GoogleはAmazon撲滅作戦を決行するのか?

最終更新日:2024/02/16

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Google対Microsoft(Bing)、Google対Facebook/Twitterの対立構図は良く話題になりますが、ネット業界のジャイアントAmazonは意外と比較されることが少ない気もします。以前、Eコマース分野におけるGoogleのAmazonへの挑戦を紹介したことがありますが、今回はさらに踏み込んでGoogle vs Amazonの戦いについて考えてみた記事をSEO Bookから。 — SEO Japan

公平な条件

独占企業が「公平な競争の場を作りたい」と言い出すと、問題が発生する可能性がある。

グルーポンが良い例だ。同社がグーグルの買収を蹴った後、グーグルは次のように反応した…

携帯電話マーケットでも同様傾向現れ始めている: 「我々はコンパティビリティを使って、チームとして、思い通りに操る」とグーグルのアンドロイドグループでマネージャーを務める人物がeメールの中で明言していた。

ショッピング検索

ペンギンアップデートが行われる前、グーグルは「平等な条件で競争する場所」を作りたいと主張していた。現在、グーグルショッピングは有料制を導入しているが、Amazon.comは参加を見合わせている。その結果、再びグーグルは「公平な条件」で勝負したいと言い出している:

「私達は小売業者に公平な競争の場を提供しようと試みている。」とグーグルショッピングのサミア・サマット上級副社長は述べている。さらに、テクノロジーと小売の双方で健闘している企業が数社存在すると同氏は加え、次のような疑問を投げかけた。「その他の小売業者がこの標準に達するためにはどうすればいいのか?」

この発言からは腹黒い思惑が感じられる。長年に渡り、より焦点を絞り、質の高いコンテンツを用意し、そして、徹底したレビューを提供することで、ニッチサイトは検索で成功を収めてきた。しかし、割と大規模なサイトがランキングを大幅に落としている一方で、データをシンジケートする巨大なサイトが代わりに上位にランクインしている(例えばこのグラフに目を通してもらいたい。Pricegrabberはヤフー!ショッピングの主なソースである)。

検索に過剰に焦点を絞るビジネス、または、他の配信チャンネルを持たないビジネスはルール違反だと主張する人もいるかもしれないが、このような他のチャンネルを構築することで、コンテンツが重複し、排除されてしまうなら、リスキーなチャンネルを別のチャンネルとトレードするしかない。そのため、提携について再び交渉を数年後に行う際、この契約から多くのメリットを得られるパートナーを求めることになる。

グーグルがアマゾン、eBayを含むプラットフォームに業者を追い込む仕組み

グーグルは、ここ数年、パンダおよびペンギンアップデートを介して、小規模なコマースサイトを追放することに力を入れていた。小さなオンライン販売業者がグーグルの検索エコシステムに参加する場合、複数の選択肢が与えられている:

  • 無視する: 大きなブランドを構築するまで、検索を完全に無視する(ただし、ブランディングはハイレベルな取り組みであり & 多くの小規模なニッチ企業にとってはブランディングへの投資はコストの面で厳しいのが現実である)
  • 仲間に加わる: 製品ページを削り & ショッピングカートの設定を変更する等、永遠に続く試練を耐え抜く
  • PPC: 非実用的な薄っぺらいフィッシングサイトを運営し、新しいペイドインクルージョンプログラムを使ってクリックごとにグーグルに料金を支払う
  • 第三者のプラットフォームを利用する: グーグルがアルゴリズムで贔屓している大型のプラットフォームで販売を行い、当該のプラットフォームが仲間外れにされないことを願う。

検索を無視することは長期的な戦略ではない。また、顧客の障害価値を高めるためにリピート販売を実施するだけの広範な製品に欠ける小規模な業者にとっては、一部のPPCのコストは採算が合わない。そして、SEOは極めて高価になり、安定感を失いつつある。その結果、小規模なオンライン販売業者は4番目の選択肢を選んでいる。

eコマースストアの運営は難しい。次の課題に取り組まなくてはならない…

  • インベントリの調達 & 管理
  • 従業員の管理
  • 技術/ソフトウェアの問題
  • コンテンツの作成
  • マーケティング
  • クレジットカード詐欺
  • カスタマーサポート
  • 配送

このような問題の解決に手を貸してくれるサービスも存在するが、オフラインで販売を行う企業の多くは、オンラインでも販売を展開している。また、ここ数年間でeコマースサイトが費やすコストの中で増加の一途をたどっているのはSEOである。

オンラインビジネスの多様性を掻き消す参入の障壁

小規模な業者が大規模な企業とオンラインで競争するには何をする必要があるのだろうか?まず、マーケットにおいて、グーグルがもたらす影響を幾つか挙げていく…

  • ペンギンやパンダに対応するため、製品の差別化や新製品 & サービスの構築に時間を割くことが出来ない
  • ショッピングカートのソースコードを修正して、ページカウントを削減し & 製品を統合するため(そして、その他の余分な“PHPを習う”ため)に時間を割くため、より詳細なコンテンツを作成することが出来ない
  • (グーグルボットのみに)新たに必要とされる機能を持つカートに切り換え & リダイレクトを整理する必要があるため、販路開拓およびメディアへの対処に時間を割くことが出来ない
  • 競合者が自分のサイトに埋め込んだリンクを無効にする必要があるため、新しい提携 & 検索以外の配信チャンネルの構築に時間を割くことが出来ない

この不安定な環境は、大規模な業者よりも小規模な業者に負担をかける。なぜなら小規模な会社は…

規模 = 品質と言う憶測は誤っている。事実、グーグルは収益に貢献しない業者は認めていない。

前から分かり切っていたこと

約半年前、SEO Bookは「ブランディング & サイクル」に関するエントリを投稿し、次のように指摘した:

グーグルは一部のマーケットを必要以上に統合し、グーグル自身が参入することに苦戦しているため、アルゴリズムを介してブランドを目立たせる取り組みは、来年もしくは今後の2年間でピークに達するだろう(グーグルファイナンスが上位にランクインすることが出来なくなった“後”、グーグルはQDFアルゴリズムを考案していた)。すると、グーグルはさらに積極的にグーグル自身のバーティカルをプッシュし & 小規模な会社がオンラインで成功を収める上で支援する旨のPRキャンペーンを活発に実施するようになるだろう。

しかし、その一方でアマゾンは既に何度も賢明な決定を下し、グーグルに対抗している:

その上、アマゾンはキンドルファイアを作成し、コンテンツストリーム契約を勝ち取り & 書籍およびeコマースにおける確固たる地位を確立した。

グーグルが「公平な条件で戦おう」と言いだすのは目に見えている。グーグルは、アマゾンが同じようなネットワーク効果からメリットを得ており & 現在、アマゾンがその地位を利用してオンライン広告に乗り出していることに気づき、行動を起こす必要性を感じているのだ。

もし、グーグルがアマゾンで行われている書籍検索を案じているとしたら、アマゾンのデータを基に構築される分散型の広告ネットワークに対しては、いてもたってもいられないほどグーグルは心配するはずである。

イグニッションワンのウィル・マルギロフCEOは次のように指摘していた:「私は常にコンバージョンのデータこそが最高のデータだと考えている。eコマースにおいてアマゾンよりもコンバージョンに関するデータを持っているサイトが存在するだろうか?」

「他のどの企業も見ることが出来ないデータをアマゾンは大量に抱えている。検索の行動はコンバージョンのデータとは異なる。アマゾンは長年の間ユーザーが購入する経緯を観察してきたのだ。」とデジタルマーケティングサービスを提供するiCrossingで米国のメディアを担当するジョナサン・アダムス氏は述べている。

また、アマゾンには、ファネルを切り換え、オーディエンスのデータを使ってターゲティングのセグメントを一括することで、需要を生成する広告予算(ブランディングの予算等)を追求するチャンスもある。このセグメントは、グーグルの意図を基にしたオーディエンス層とフェイスブックの興味を基にしたオーディエンス層を融合した層に該当すると言えるだろう。

グーグルは製品検索において上位をキープする力を持っている。グーグルは、自然の結果を動かすことで収益化を狙う一方で、同社はその他のオンラインショッピングサービスとの差別化を行う機会を失っている。大型の小売業者をリストアップしているだけなら、ユーザーは好きな業者を見つけ、グーグルを蚊帳の外に置くようになるだろう。また、多くのオンラインショッピングの利用者は、グーグルがペイドインクリージョンで結果を汚染する以前から、アマゾンで買い物を始めるように教え込まれている:

リサーチ会社のフォレスターによると、第3四半期における米国のオンラインショッパーの30%は、Amazon.comで買い物のリサーチを始め、一方、グーグル等の検索エンジンを初めに用いると答えた利用者は13%だったようだ – これは、検索エンジンが、リサーチを行う場所として最も多く利用されていた2年前と正反対の結果である。

アマゾンを破壊するためにグーグルはどの企業と提携を結ぶのだろうか?小規模な業者だろうか、大企業だろうか、それともその両方だろうか?この提携は実を結ぶのだろうか?皆さんの考えを聞かせてもらいたい。


この記事は、SEO Bookに掲載された「Is Google Concerned About Amazon Eating Their Lunch」を翻訳した内容です。

コマース分野におけるGoogleとAmazonの覇権争いが多分にSEO Book独自の見解も含めて詳細に分析された記事で興味深い内容でした。途中に出てきた「検索行動のデータを握っているのはGoogleだが、コンバージョンのデータを握っているのはAmazon」という見解は、ナルホド!と思いました。ソーシャルストリームをFacebookやTwitterに抑えられてしまった(Google+でた以降はしていますが)以前から、世界最大のEコマースサービスとして君臨してきたAmazonですし、検索を軸に様々なコマース関連サービスを提供し出しているGoogleですが、その牙城を崩すのは一筋縄ではいかないでしょうね。

後半に出てきたフォレスターの「米国のオンラインショッパーの30%はAmazon.comで買い物のリサーチを始め、グーグル等の検索エンジンを初めに用いる利用者は13%」という数字も個人的には予想以上でAmazonがそこまでの存在、ブランドなのかと衝撃でした。日本の場合、どのようなデータになるのでしょうか。

ネット業界ウォッチャー、そして1(いち)Eコマース業者としても気になるGoogle vs Amazonの行方。かつて行われた検索市場の覇権争い以上に激しい戦いが繰り広げられていきそうな予感です。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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