コンテンツSEOの重要性がますます高まる中、内部対策(テクニカルSEO)は今でも必要なのかと聞かれることがあります。
ユーザーを意識した施策であるコンテンツSEOに対し、内部対策は、サイト情報をクローラーに適切に伝える役割を担うものであり、その重要性は依然として高いままです。
コンテンツの内容を検索エンジンに適切に伝えるための内部対策は、必要不可欠な存在だといえるでしょう。
内部対策で実施すべき内容はほぼ決まっているものの、実際に行うとなればその対象は多岐にわたります。
特に、SEOを始めたばかりの方にとっては、どこから手を付ければいいかわからないと悩む対象でもあるでしょう。
そこで今回は、SEOの内部対策において押さえるべき具体的な手順、およびその方法をご紹介します。
SEO内部対策を最適化しコンテンツの内容を伝える
SEOの手法はおもに、コンテンツSEO、内部対策、外部対策、ユーザー体験(UX)の4つに分類することができます。 以下は、それぞれの概要です。
- コンテンツSEO:検索ユーザーのニーズに応える良質なコンテンツを作成
- 内部対策:良質なコンテンツを正確に検索エンジンに理解してもらう
- 外部対策:インターネット上で外部から高い評価を得る
- ユーザー体験:検索ユーザーが検索結果から得た情報に満足する
なお、分類の仕方によっては、コンテンツSEOも内部対策の一つと捉えられるケースもあります。 ここではより細かく、別のものとして考えることにしましょう。
今回特に注目したいのが、コンテンツSEOと内部対策の関係です。
コンテンツとは、Webサイトに掲載された文章やタイトル、画像、動画、図表などユーザーが直接目にする内容です。
ユーザーは、コンテンツを実際に読むことでその内容を理解しますが、検索エンジンのクローラーは、ソースコードから理解します。
良いコンテンツをただ作るだけではなく、その内容を正確かつ適切に検索エンジンに伝えるためにも、サイト内部の最適化はSEOにおいて欠かせないプロセスです。
検索エンジンの検索順位決定の仕組み
内部対策を理解するには、まず検索エンジンの検索順位決定の仕組みについて理解する必要があります。 検索順位が決まるまでの流れは、以下の3段階に分かれています。
- クローリング:クローラーの巡回
- インデキシング:Webページのインデックス
- ランキング:アルゴリズムに基づいた順位決定
そのため、以下の2点が非常に重要です。
- クローラーの巡回を促し、サイト内も巡回しやすくする
- コンテンツの内容やサイトの構造をクローラーに適切に伝える
そもそもクローラーがサイトに訪問してくれなければインデックスされず、インデックスされてもサイト内巡回がしっかりと行われなければ、重要なページが評価されない恐れもあります。 また、インデックスされたページを評価する際に、検索エンジンはアルゴリズム、すなわちルールに則って検索順位を決定しています。 検索順位を上げるためには、検索エンジンのルールに対応した内部対策による最適化が必要不可欠です。
URLの正規化
重複コンテンツとは、内容が同じ、ほぼ同じであるURLが複数ある状態のことです。
重複コンテンツは、自サイトの内外で2パターンありえます。
自サイトと他サイトで重複コンテンツとなる場合は、検索結果に表示されないという問題が起きます。
そもそも、自社で作成したオリジナルコンテンツが重複となることはコピーでもない限り起きにくいことではありますので、ここでは主に自社サイト内での重複コンテンツについて説明します。
自サイト内でコンテンツが重複する場合では、既存コンテンツによる水増しなどと判断されるケースや、どのURLを評価すればよいのかわからない状態(評価の分散)となる可能性があります。
この重複コンテンツの問題は、サイトの仕様によって意図せず発生している場合もありますので、注意が必要です。
重複コンテンツの問題を解消するためには、URLの正規化を行います。
URLの正規化が必要になるケースとしては、おもに次のパターンが挙げられます。
- wwwの有無、サブドメイン
https://domain.com
https://www.domain.com
https://sub.domain.com - httpとhttps
https://domain.com
https://domain.com - index.htmlの有無
https://domain.com
https://domain.com/index.html
上記のパターンの場合、URLとしては異なるものの、実際にはどちらも同じページが表示されます。
- モバイル版とPC版
https://domain.com/page.html
https://domain.com/mobile/page.html
https://sp.domain.com/page.html
上記は、モバイル(スマホ)用のページとPC用のページでURLが異なっているものの、デバイスごとに見せ方を変えているだけで、実際の内容は同じコンテンツというケースもよくあります。
- パラメータを利用しているURL
広告の効果測定などのために、URLの末尾にパラメータを設定するケースがあります。
この場合も重複コンテンツと見なされることがあります。
301リダイレクトによる正規化
同一のページに対して複数のURLが存在して評価が分散してしまう場合は、301リダイレクトによる恒久的な転送が推奨されています。
wwwやindex.htmlの有無などによるURLの違いを統一して、指定した一つのURLに評価もURL表示も集約することができます。
Googleでは.htaccessファイルに記載して301リダイレクトの設定を行うことを推奨しています。
canonicalによる正規化
301リダイレクトではURL自体を統一してしまうため、モバイル版とPC版でURLを替える必要がある場合や、パラメータが必要な場合には適用できません。
また、.htaccessファイルへの設定が不可能なときも利用できません。 このようなときは、canonicalを用いてURLを正規化します。
alternateによる正規化
PC版とモバイル版が存在する場合、PC用のページにrel=”alternate”を記述し、モバイル用の別ページがあることを検索エンジンに知らせる必要があります。
PC用のページにrel=”alternate”を記述することで、検索エンジンからPC版とモバイル版が重複ページと見なされずに済みます。
サイト構造
Webサイト全体をどのような構造にするかは、ユーザーにとってだけでなく検索エンジンにとっても重要な要素です。
通常、クローラーは内部リンクをたどり各ページの存在を認識しますが、サイト構造が複雑であったり、内部リンクがついていなかったりするページが存在している場合には、すべてのページを認識しきれない可能性があります。
なお、サイトの構造を検索エンジンに伝える上で、XMLサイトマップを作成・送信することも重要です。
簡潔なディレクトリ構造にしてわかりやすい名前を付ける
階層構造が深すぎると、情報の重要性や関連性が曖昧になり、ナビゲーション的にもわかりにくくなります。
クリック数が多くなれば、サイト内の移動も不便になるでしょう。
ディレクトリ名もわかりやすさが重要です。
「dir1」などの記号的な名前を付けても、ユーザーからはどんなトピックを伝えたいのかがわかりません。
URLからコンテンツ内容を推測できるようなディレクトリ名を付ける方がユーザーにとってはよいでしょう。
ページごとに適切なキーワードを設定する
サイト全体で、どのページでどのキーワードについて記述するかを明確にすることも重要です。
設定したキーワードに沿ってページごとに適切なコンテンツを記載し、タイトルを設定することで、サイト全体で何を伝えたいのか、何を重要視しているのかが検索エンジンに正しく伝わります。
URLにもコンテンツと関連した言葉やキーワードを用いる
「page1.html」のような内容がわからないファイル名や、自動生成によるパラメータ、セッションIDなどを含むURLは、ユーザーにとって不親切なだけでなく検索エンジンにとっても低評価の対象となります。
各ページのコンテンツがどのような内容なのか、URLからだけでもある程度推測できるようになっていることが重要です。
404エラーページの用意
すでに存在しないページのリンク、単にURLのタイプミスをした場合などに備えて、ユーザーに優しい404エラーページを作っておくと効果的です。
単にエラーを表示するだけでなく、トップページやメインとなるコンテンツに誘導することで、ユーザーの機会損失を防ぎ、ユーザーエクスペリエンスを高めることにつながります。
サイトマップ
サイトマップとは、サイト全体の構成情報をまとめたものであり、ユーザー向けとクローラー向けがあります。
このうち、内部対策として重要なのがクローラー向けのサイトマップの存在です。
先述した通り、検索エンジンが検索順位決定を行うためには、クローラーによるサイト訪問が必要です。
サイト訪問を促すために、サイトマップを記載した「sitemap.xml」を作成し、ウェブマスターツール(Google Search Console)から送信します。
新しいページが追加された際にも、sitemap.xmlを更新することで早めのクローリングが期待できます。
また、ユーザー向けのサイトマップは、サイト内のページリストや階層構造を一覧できるHTMLとして提供します。 サイト全体の目次ページとして機能し、必要とするユーザーの利便性向上に寄与します。
robots.txt
Webサイトの中には、必ずしも上位に表示される必要がない、あるいはSERPsに表示されない方が好ましいページも存在します。 たとえば、ログインページはインデックスする必要がありません。
このように、インデックスを避けたいページやディレクトリに関しては、「robots.txt」に記載することでクローリングの対象外とすることができます。
クローリングの効率アップにもつながると考えられているため、適切に除外ページを設定するようにしましょう。
JavaScriptの使用について
検索エンジンのクローラーはテキストやタグの内容および意味を読み取るだけでなく、JavaScriptを実行することもできるようになってきています。
そのため、JavaScriptでページや内部リンクを動的に生成する場合であっても、クローリングやインデキシングには問題ないと考えて良いです。
ただし、バージョンの差異などの理由により、JavaScriptの中には実行できないものがある可能性もあります。
また、JavaScriptの多用はクライアント側に大きな負荷をかけ、スピード低下やパフォーマンス低下を引き起こすこともあるため、その点にも注意が必要です。
ページ作成時の内部対策
実際にページを作成するにあたっては、下記の項目について最適化を行います。
内部リンク
クローラーもユーザーも、基本的にはリンクをたどることでサイト内を移動します。
サイト内のリンク設定は、サイト内の回遊率やクローラーの巡回を増やすため、わかりやすいナビゲーションのため、SERPs(検索結果ページ)におけるCTR(クリック率)を上げるためなど、さまざまな目的のために必要です。
パンくずリストは「トップ>SEO対策ガイド>内部対策」のような形で、サイト内における現在の居場所をわかりやすく表示します。
上の階層に戻る動作も素早く行えるようになり、ユーザーの利便性アップにもつながります。
また、SERPsにパンくずリストが表示されると、サイト全体でどのようなコンテンツがあるかの推測もしやすくなり、CTR向上が期待できます。
グローバルナビゲーションやフッター部分にコンテンツリストを掲示するなど、全体のリンク構成がわかりやすく伝わる手法もなるべく導入しましょう。
また、ある記事からサイト内の別記事へのリンクは、サイト内の回遊率やクローラー巡回率を上げるだけでなく、コンテンツの内容的なつながりも示します。
サイト内リンクが集中するページであるほど、サイト内における重要度が高いことが検索エンジンにも伝わり、より正確にコンテンツ全体を理解してもらえるようになります。
meta description
要素内にmeta descriptionで記載した内容は、SERPsにおいてスニペットとして利用される可能性が高くなります。
該当ページはどのようなキーワードやトピックを取り上げているのか、ここで簡潔に説明しましょう。
ユーザーはタイトルとあわせてスニペットの情報からコンテンツ内容を推測するため、ここが正確でわかりやすいほどSERPsにおけるCTRも高くなります。
meta keywords
meta descriptionと同じく要素内に設定するメタタグの一つで、該当ページで中心となるキーワードを設定するものです。
しかし現在、Googleはmeta keywordsをランキング要素には使用していないとしています。 そのため、無理に設定する必要はありません。
ただし、meta keywordsを設定することでページごとに狙いたいキーワードがわかりやすくなるため、運用上設定しておくという選択肢は十分考えられます。
altタグ
画像を利用する際は、
します。 何らかの理由によって画像が表示されないときは、画像の代わりにこの代替テキストが表示され、ページ全体で伝える意味がつながりやすくなります。
また、画像にリンクを設定する場合は、代替テキストがアンカーテキストのような役割を果たします。
altタグによる適切な設定は、Google画像検索に対して正しく画像の意味を伝えるのにも役立ちます。
見出しタグ(hタグ)
ページ内の見出しには、見出しタグを用います。
見出しタグはhタグとも呼ばれます。 h1が最も重要で、以下h2、h3と続きます。
新聞の大見出しや小見出しと同様に、情報の構造や階層をわかりやすくするとともに、クローラーに正確に伝える役目を持っています。
見出しタグの数値は情報の階層を示すため、正確に使う必要があります。
文字サイズなどの装飾目的で見出しタグを誤用すると、コンテンツの内容や意図がクローラーに正確に伝わらなくなるので注意しましょう。
引用タグ
Webの本質の一つとして、情報のリンクや連携が挙げられます。
他サイトの有用な情報を紹介したり参照したりすることで、さらにユーザーの役に立つコンテンツになっていくのです。
しかし、他サイトに掲載された内容をコピーして自サイトに掲載した場合、たとえデザイン的には引用であると見せていても、検索エンジンには盗用と見なされる恐れがあります。
また、引用する際は、「内容を改変しない」「引用元を明記する」などいくつかのルールを守る必要があります。
その上で、必ず引用タグ(blockquote)を利用しましょう。
引用タグを用いることで、検索エンジンのクローラーに対して「引用部分であること」を明示できます。
見出しタグと同様に引用タグも、装飾目的で誤用すると内容や意図が間違って伝わるので注意しましょう。
ページネーション
長くなりすぎたコンテンツを複数ページに分割した場合や、同一カテゴリに属する製品を複数ページにまたがって掲載する場合などには、rel=”next”タグとrel=”prev”タグを使用し、検索エンジンに関連性のあるページであることを伝えることが推奨されていました。
しかし、2019年3月にGoogleがrel=”next”タグとrel=”prev”タグのサポートを終了したというアナウンスがあったため、現在は、ページネーションを行うことによるSEO的なメリットはなく、各ページは独立したページとして扱われます。
コンテンツのマルチメディア化
テキストのみでわかりにくい、あるいは難しそうに見えるサイトは直帰率が上がる傾向にあり、検索エンジンからの評価低下にもつながります。
ユーザーにとってのわかりやすさや情報の伝わりやすさを考慮し、直帰率を下げるためには、画像や動画、インフォグラフィックなどを適切に使用してコンテンツのマルチメディア化を図る必要があります。
ページスピードの高速化
Googleが実施した「スピードアップデート」において、ページが表示されるまでの速度である「ページスピード」は、極端に遅くない限りはランキングへの影響はそれほどないとされています。
しかし、ユーザー体験においては重要な要素であり、特に直帰率に大きく影響してきます。
画像やCSSなどを軽くする、キャッシュを利用するなどの工夫により、ページスピードをできる限り速くすることが望まれます。
モバイル向けのサイトが主流を占めるようになってきた中、Googleが推進しているAMP(Accelerated Mobile Pages)への対応による高速表示化も重要度を増しています。
内部対策のまとめとチェック方法

SEOの内部対策は、以下のような基本的な対策が重要です。
- サイト構成とキーワードマッピングを明確にする
- 各ページのURLがユニークになるように正規化して評価分散を防ぐ
- 内部リンクを最適化する
- メタ情報を最適化し、タグを正しく用いる
- クローラー向けのサイトマップやrobots.txtを最適化する
一方で「内部」の言葉どおり、ブラウザで表示してもコンテンツ上では確認できない、あるいはしにくい要素ばかりなので、対策に漏れが生じやすくなる恐れもあります。
SEOの内部対策を実施する際は、チェックリストを用意して一つずつ確実に確認し、漏れがないようにするのがおすすめです。
コンテンツSEOの成果を検索エンジンに伝えるためにも内部対策が重要
コンテンツSEOの重要度が高まり注目を集めていることからも明らかな通り、
といえます。
だからこそ、内部対策による最適化が不可欠なのです。
ユーザーからも検索エンジンからも高い評価を得て上位表示を獲得するためには、
SEO内部対策を実際に行うにあたっては、実施すべき項目もチェックすべき項目も多岐にわたるため、プロの手を借りるのもおすすめです。
SEO Japanを運営するアイオイクスでは、内部対策によるサイト改善サービスをはじめとして、お客さまのサイトや事業における課題・状況に応じて効果的なSEO対策のコンサルティングを行っております。 SEO・サイト運用・コンテンツマーケティングでのお悩みをお気軽にご相談ください。