SEOはゼロサムゲーム。

SEO Bookのアーロン・ウォールによる熱いGoogle論を。リンクの話題からブランディング、Googleのビジネスモデルからイノベーション論まで幅広い話題を語り尽くしています。 — SEO Japan

バナーブラインドネスが作り出された経緯とほぼ同じ道筋をたどり、やがて、その他の広告の形式もブラインドネスが発生するだろう(註:バナーブラインドネス = バナーを人々が無視するようになったこと)。

以下のような広告に騙されると、人々は*あらゆる*個人のデータを誰かと共有する行為に対して信頼を失う。


(サイトにアクセスするには携帯番号を入力してください!)

上記の例は、まさに卑劣なアフィリエイトの習慣そのものである。法律の抜け穴を探し、違法になり、罰金が科せられるまでは悪用する。収益性が高い場合は、罰金を実際に取られるまでずっと続ける。

このような弱みに付け込む広告は、すべての人々が参加するゲームを台無しにしてしまう。そのため、長い間営業を続ける意図を持つ企業が支援する優良ネットワークは、通常このような不快な広告を掲載することはない。

収益を上げる方法は他にもあり、情報を深めることで効率を上げる取り組みもその一つである。これはグーグルとフェイスブックが出来るだけ多くの情報を必死で集め、潰しあっている理由の一つである。ユーザーのことを熟知し、誰よりも多くのデータを持っているなら、他のネットワークが同じ利益を上げるのは難しいだろう。これはウェブサイトにとっても言えることだが、広告ネットワークを作る上でも当てはまるのだ。

配信型広告ネットワークは大きな力を持つ。なぜなら、広告ユニットが時間の経過と共に個人および広告主の好みの変化に合わせて同じように変化するからだ。それぞれの広告を介してネットワークはデータを集めることが出来る。そして、このデータはネットワークの効率を上げ、広告費の値上げをするために使われる。

大半のオンラインビジネスは、コアの基盤的なレベルで営業することを意図していない。また、参入しやすいために競争は激化している。そして、情報は共有され、そっくりそのまま真似されていくのだ(あるいは少なくとも大きな影響を受け、同様のサービスが作られていく)。ビジネスモデルが真似されやすい場合、情報を共有するコストは高くなる。アドセンスのパブリッシャーは100万を超えている。グーグルがページおよびキーワードのレベルでデータを共有するとすぐにマーケットの効率は大幅に上がるだろう。

しかし、手法およびビジネスモデルは疲弊してしまう可能性がある。クリック報酬型広告でさえ、専門分野とユーザーのタイプに大きく依存しているのが現状だ。インターネット・エクスプローラのユーザーは、広告への意識が高い精通したウェブユーザーよりも遥かにCTRが高い

あるマーケットで私たちは関連する複数のサイトにeメールを送ったが、5人に2人がクレームをつけてきた。なぜなら、同じようなドメイン名のウェブマスターが昨年100通近いメールを送りつけ、やめるように頼んでも送り続けていたからだ。数千ドルを関連するコンテンツに投資し、関連する人々に言及する手法は、この分野ではあまり使えなくなった。

信頼が置かれる場所には濫用がはびこり、こうしてブレット・タブキ氏が「グーグルによるリンクのないインターネット」と巧みに表現した状況に発展したのだ:

  • もう誰も誠実にリンクを張らない。
  • すべてのリンクが疑わしい。
  • もう誰も自由にリンクを張らない。
  • 自由にリンクを張る人物はナイーブだと思われてしまう。
  • ページランクには金銭の価値がある。
  • リンクは通貨である。
  • 記事にはかつて良質なリンクが詰まっていたが – もはや話の内容を基にリンクを張る行為は行われていない。

グーグルは自分達が与えた損害について気にかけているかもしれないが、心を入れ替えるには、あまりにも収益が高かったのだろう。タブキ氏が結論づけているのよう、意図的ではないが、“グーグルでリンクをクリックし、あるページを訪問すると、そのページには面白そうなリンクが掲載されていない場合、Uターンし、グーグルに戻ることになる”。

ウェブを整理しようとすると、哲学的な見解、そして、関連性アルゴリズムに反映されるビジネスのゴールが重要視されることになる。グーグルの規模が小さく、機敏だった頃は、弱者を応援し、初期の広告主とも言えるアフィリエイトを受け入れ、他にはないウェブの民主的な見解も持っていると自負していた。グーグルは規模が大きくなるにつれ、ダイレクトマーケティングの限界に近付いていることに気付き、悪の巣窟を一掃するにはブランドが必要だと主張するようになったのだ。

ブランドを構築するなら、新しい検索の需要を作りだすことが出来るだろう。しかし、大半のパブリッシャーにとっては、検索はゼロサムゲームである。つまり、誰かが勝てば、他の誰かが負けるのだ。他の人と全く同じ既存の需要をターゲットにしていることになる。これは、アドセンスのパブリッシャーやアフィリエイト、そして、その他の大半のオンラインの配信ビジネスモデルに当てはまる。オフラインのパブリッシャーでさえ、戦略的な競合者と刺し違えることが出来るなら、資金を失うことも厭わないのだ

ブランドを宣伝せよと言うグーグルの掛け声にブランドはどのように呼応しているのだろうか?ブランドは、グーグルにもらった抜け道を活用しているのだ:

安価なコンテンツを手に入れる方法を探すメジャーなメディア企業が増えつつある。トムソン・ロイター、コックス・ニュースペーパーズ、そして、アシェット・フィリパッキは、1本の記事につき最低$5程度で大勢のフリーランスのライターから記事を手に入れているディマンド・メディアやAOLのSEEDと同業者のアソシエイティド・コンテントが提供する記事を掲載している。

キーン氏と同氏のメディアパートナーは詳しい情報の提供を拒んでいるが、このような取引を熟知している幹部が、メディアパートナーは関連する広告収入の一部と共に1本の記事につき$75から$120支払っていると示唆している。

ブランドが解決策と言う答えは面白みがないが、流れに逆らうことは出来ない。グーグルがブランドの宣伝を好んでいるにも関わらず、わざわざアドワーズで禁止されているビジネスモデルを推進しようとする人はいないだろう。既にグーグルにそのビジネスモデルを否定されている状況で、第二のチャンス、第三のチャンスが転がり込んでくるはずがない。グーグルが禁止した行為を行えば、活動停止に追い込まれる可能性だってある。

サービスのプロバイダーとして、グーグルのビジネスの目的を理解することが出来れば、見返りを手っ取り早く得るには何をすればいいのか見極める上で役に立つだろう。グーグルが好むことを把握しているなら、そこに少し力を入れて、乗り切ればいいのだ。グーグルが手を引こうとしている取り組みを推進しているなら、苦労することになるだろう。

すべてのSEOのクライアントのプロジェクトが、利益を得ているわけではない。事実、継続するプロジェクトの立ち上げ時は、両者ともに損をすることがほぼ確実である。それぞれのビジネスのタイプによってアプローチは異なり、グーグルが売り込みたいことを売り込む方がよっぽど簡単に利益を上げることが出来る。

通常、このSEOの手法は、小規模なビジネスに適用するよりも、強力なブランドに適用する方が多くの価値をもたらす。最近、「グーグルに隠れるブランド」のような概念に関するゴミのような誤報がSEOのスペースを汚染している。なぜだろうか?それは、そこに広告の予算が存在するからだ。

ブランドは事実上ゴールでつまづいても、勝利を収めることが出来る – 出来そこないのSEOのスタッフが作業をしても勝てるのだ。そのため、グーグルが、ブランド売り込んでいても、SEO業者は列を作って、ブランドが公正な機会を得ていないと主張しているのだ

しかし、実際にはブランドは実に気楽なものであり、SEOをその他の広告 + マーケティングの取り組みに応用する方法は星の数ほどある。

先日、多くのウェブサイトに影響を与えるアップデートをグーグルは行った。グーグルボットは暴れまわっているが、浮上するサイトもあれば、沈むサイトもある。グーグルにとっては何も変わらない。また、グーグルは結果を混合させたいのであろう(関連性を少し犠牲にしてでも)。なぜなら、ユーザーが必要以上に快適に利用するような事態は避けたいからだ。

競争に参加する人数が増えれば、グーグルの影響力も増す事実は、グーグルが新しい分野を検索ゲームに加えたがっている理由の一つとして挙げられるだろう:

グーグル曰く、ユーザーは書籍検索サービスを通して見つけた本を買うことが出来るようになるそうだ。また、書籍の小売店 – 個人経営の店も含む – もまたグーグルエディションを自分のサイトで販売し、収益の大部分を手に入れることが出来るようになる。グーグルは、パブリッシャーが小売価格を決めるのか、それともグーグルが決めるのかを決めかねている。

グーグルは、新しい分野では、赤字を出しても、もしくは損益のない状態でも満足するだろう。なぜならグーグルは関連性を補うためのマーケットシェアを買っているからだ。「消費者は各種の小売店が充実していることに満足しているが、その他の業界は競争が少ない市場を好むだろう。なぜなら独占したいからだ。」 – ダン・クランシー。マーケットシェアを手に入れたら、価格を吊り上げることが出来るようになるのだ。

また、グーグルは新しい3カラムの検索結果のレイアウトを導入した。どうやら、簡単に過去のバージョンに戻すことが出来るようにするつもりはないようだ。今でも利用可能なレガシーなURLは存在するものの、いずれ使えなくなるだろう。新しい検索結果のレイアウトは、各種の分野をより深く掘り下げて検索することが出来る。そして、今回のレイアウトの変更が広告のクリック数を減らすのではないかと推測している人もいるが、一時的に減ったとしても、やがて回復するだろう。グーグルのバーティカルな検索サービスの大半は、関連性を制限し、通常の検索結果のインラインの統合は運任せであったのだ(フィリップ M. パーカー氏の自動生成型の書籍が競争激しいキーワードに対するオーガニックな検索結果で2位を獲得していた瞬間を私は一度目撃したことがある) :D

しかし、グーグルが推奨しているバーティカルの種類について考えてみると、グーグルがマーケットのデータを購入し、収益化に再び乗り出し、検索のシェアを高めるための広告のチャンネル/カテゴリーと少なからず見なしてしまうだろう。

  • 最も多くの動画をホスティングしているサイトはどこか?間違いなくユーチューブだ。

  • 議論?大半の無料のウェブフォーラムやQ&Aサイトは、サイトを収益するために何を利用しているのだろうか?アドセンスだ。
  • 本?グーグルエディションズが数カ月後に立ち上げられる。
  • アップデート?グーグルは最終的にツイッターを買収するだろう。
  • 製品検索?結局、グーグルのアフィリエイトネットワークに組み込まれる可能性があるだろう。
  • 地図 & 地域の情報?専用の広告が用意されている ;)

地域もしくは最近の情報を求めていることをグーグルが分かれば、掲載する広告の特徴がさらに増えることになる。多くのユーザーがバーティカル X 検索後の結果を好むなら、グーグルはこのデータを使って、そのバーティカルを通常の検索結果に積極的に反映させることも出来るだろう。グーグルは検索の提案から広告のターゲッティングにいたるまで、ありとあらゆる事柄を最適化することが出来るのだ

そして、有料コンテンツモデルが成熟するにつれ、バーティカルへ焦点を絞る戦略により、グーグルは取引のフローで中心的な立場を確立し、関連性を改善し、掲載している有料コンテンツを推奨するために必要なデータを手に入れることが出来るのだ。

マーケティング全般において、SEOが主に需要を満たしていると言う考えは、多くの人々がビジネスモデルを嫌っている理由の一つに挙げられると思う。多くの変わりゆく選択肢の一つになることは、大半の人にとってはあまり喜ばしいことではなく、関連性のアルゴリズムについて知識がない場合は尚更である :

産業情報時代が終わりを告げた現在、アルゴリズムベースで定義されるインデックスに一歩足を踏み入れると、インデックスのアルゴリズムは、1909年のフォードの技術者のデジタル版ともいえる最高の従業員を送りだす。フォードは工場の中で誰が最も生産性が高いかを気にしていなかった。グーグルは最も価値の高いブランドかどうかを気に留めていない。グーグルは同社の価値をユーザーに一任している。ユーザーはグーグルの法則に貢献しているに過ぎない。そして、この法則にはユーザーはアクセスすることは出来ないのだ。

既存の需要を単純に満たすだけでは大きな問題が発生する。まず、オーガニックなスタートアップを始める機会を失う問題が挙げられる。全体が成長するわけではないからだ。また、SEO志向の戦略を基にペイパルやスカイプやグーグル級のサービスを作ることも出来ないだろう。万が一うまくいっても、刺激の少ない、退屈なサービスに終わってしまうだろう。なぜなら、新しいフィールドを開拓するわけではないからだ:

テクノロジービジネスはイノベーションが生命線である。語源的に考えると、テクノロジーは“行動のより良い方法”と言う意味である。そのため、イノベーションはテクノロジー企業には欠かせない要素である。テクノロジー企業は行動のより良い方法を作りだすために生まれる。最終的には他の誰かがさらに良い方法を考案することになる。そのため、イノベーションをやめたテクノロジー企業を待っているのは、死である。

イノベーションとは、製品サイクルを意味する。プロのCEOは、製品サイクルを効果的に最大化する。見つけるのは彼らの仕事ではない。反対に創設時のCEOは製品サイクルを最大化するのではなく、見つける能力に秀でている。私たちの実験、そして、その実験を裏付けるデータによると、創設時のCEOに製品サイクルを最大化する方法を教える方が、プロのCEOに新しい製品サイクルを見つける方法を教えるよりも容易だと言うことが判明した。

他にも大きな問題はある。既存のシステムに既存の解決策を提供しているだけなら、時代遅れの製品低俗な製品、そして、バブルに関わる製品を宣伝している可能性がある。そうではないと思うなら、ウェブサイトの広告を見て、最高の解決策を提供しているかどうか、もしくは、最高の収益を生み出す解決策を推薦しているかどうか確かめよう。

歴史を通して、人間は自分が手にした物を守るため、そして、奪うために戦いを繰り返してきた。正当に手に入れる者もいれば、違法に手を入れる者もいる。しかし、司法制度であっても、最も収益の高いビジネスモデル反映している。だからこそ、ウォーレン・バフェット氏(米の有名な投資家)は、金融商品は“自分が手にしている場合を除いて”、金融世界の大量破壊兵器だと考え、… そして、銀行家達が刑務所行きを宣告されず、失業率がいまだに高い状況にも関わらず、記録的な金額のボーナスをもらっているのだ。資金回収は悪夢であり、人々はクズを手に入れるために戦わなければならない。検索も多くの人々にとっては借金ベースの金融システムと同じような機会を与えている。つまり、手を伸ばせば成功に届きそうに見えるものの、実際には届かないのだ

私も同罪だが、意味のあるウェブサイトを運営していると良い気分になる。このウェブサイトが他の類のサイト並みの利益を上げられたら言うことはないのだが :D

検索エンジンが賢くなれば、いつか見返りを得ることが出来るかもしれない。

しかし、現時点では、検索はゼロサムゲームである ;)


この記事は、SEO Bookに掲載された「SEO is a Zero Sum Game」を翻訳した内容です。

思ったままに様々な話題について語っており少しまとまりがない気もしますが流石アーロン・ウォール、部分部分で読み応えのある内容です。最近以前にもましてどこか哲学者染みてきた気がしなくもないですが・・・汗。しかしGoogleの新しい3カラムのレイアウトを、将来的によりGoogleの収益性を向上させるための手段であり、ひいては各バーティカル分野においてプラットフォーム的存在になるための布石であると話しているのは、言い過ぎと思いつつも確かに長期的なビジョンではそうだよね、と思わせてくれる分析でした。いや、実際、ネットの世界もGoogleのみならず、マイクロソフト、Apple、フェイスブック、ツイッター等、そういうことを考えて皆行動しているんだと思います。5年後の未来はどうなっているんでしょうね。 — SEO Japan
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