New York発Gramercy Labsは極めてニューヨーク的なスタートアップインキュベーション

先日、シリコンバレーだけじゃなくニューヨークのスタートアップシーンも熱いという記事を紹介しましたが、それを裏付けるような強力なスタートアップのインキュベーションファームがニューヨークで誕生したというニュースが入ってきたので紹介します。 — SEO Japan

このご時世、企業を成長させるのは、家族を育てるようなものだ。初めての子供 = 初のエンジェルラウンド、初めての失敗 = 2人目の子供、初めての方針変換 = 新築の家への初めての引っ越し。誰がしつけ役を演じるのか?困難な状況を迎えたときに誰が周りを落ち着かせるのか?ゼロから意義深いものを作り上げる行為は、絶妙なバランス感覚が必要とされる。そして、家族を育てるための方法が一つだけではないように、会社を成長させる方法も無数に存在する。

ここ数年間で、シリコンバレーに拠点を持つYコンビネータのポール・グラハム氏は、衝撃的といっても過言ではないほどの業界を揺るがす成功を収めてきた。同氏の成功を皮きりに、テックスターズ等の革新的なインキュベータが多数誕生している。テックスターズは、デビッド・コーヘン氏ボールダーで設立したインキュベータであり、現在、シアトル、ボストン、そして、ニューヨークでプログラムを抱えている。デビッド・マクルア氏率いる500 スタート-アップスもYコンビネータと同様の起業支援のアプローチを採用し、小規模の株式保有を交換条件に指導および初期のシードファンドを重要視している。しかし、最も革新的なアプローチを採用しているのは、昨年の暮れに立ち上げられ、企業によるスタートアップの作成を支援するプレハイプだろう。同社は、グーグルの20%ルールを利用し、大きな企業に適応している。そして、今年の春、ジ・アントレプレナーズ・ラウンドテーブルはアクセラレータプログラムを立ち上げ、ニューヨークでの第一期生となる10社のスタートアップを発表した

さらに、空前の盛り上がりを見せるニューヨークのテックシーン(日本語)に、今度は、2011年5月に正式に設立されたグラマシー・ラボズが参入している。インキュベータと呼べなくもないが、設立者がスタートアップに関与するレベルの高さを考えると、インキュベータではないのかもしれない。シリアルエントレプレナーのケビン・フォーチュナ氏フィリップ・ジェームズ氏によって設立されたグラマシー・ラボズは、スタートアップコレクティブ(共同体)と呼ぶのが相応しいだろう。根本的には、グラマシー・ラボズは、実証済みのマーケットで勝ち組の利点を活かし、優れた投資陣を擁し、ディスラプティブメディアおよびeコマースビジネスを構築する取り組みを行う。

Screen shot 2011 06 03 at 11.42.48 AM 520x47 New York Citys Gramercy Labs Collective: A more intimate kind of startup incubation

グラマシー・ラボズを率いるケビン・フォーチュア氏は、2007年にAOL タイムワーナーに売却された広告テクノロジー企業、Quigoの元CEOであり、一方のフィリップ・ジェームズ氏(下の写真)は2007年に「ワインのIMBD版」とも言えるスヌースメディアを立ち上げる前は大西洋を横断し、エベレストに登頂し、そして、コロンビア大学のビジネススクールを卒業した異色の経歴を持つ。ジェームズ氏とフォーチュナ氏は2008年の半ばに初めて出会った。フォーチュナ氏はスヌースメディアの初期の投資家の一人であり、現在、役員として貢献している。2009年の暮れ、両氏は役員を務める会社、設立した会社、またはアドバイザーを務める会社のために多くの異なる名刺を配っていたことに気づき、これらの会社、そして、今後関与する会社をまとめる統一のプラットフォームの必要性を感じた。当時、フォーチュナ氏はポートフォリオを、ジェームズ氏は新しいワイン関連の会社を始めようとしていた時期であり、その後間もなくグラマシー・ラボズのアイデアが生まれたであった。

DSC75742 520x387 New York Citys Gramercy Labs Collective: A more intimate kind of startup incubation

フォーチュナ氏とジェームズ氏は新しいワイン関連のスタートアップの設立に力を注ぎ始めた。その結果、Lot18が2010年2月、50万ドルのシード投資を基に4人の従業員によって立ち上げられた。Lot18(同社はザ・ネクスト・ウェブが選んだ知っておくべきニューヨークのスタートアップ トップ 20入りを果たしている)は「招待制の会員制サイト」であり、割引価格で高級ワインと高級食品を販売するウェブサイトである。「ギルトグループのワイン版」とも言えるLot18は、ニューヨークベースのベンチャーキャピタル機関 ファーストマーク・キャピタルによって集められた280万ドルのシリーズ A ラウンドを基に公式に2010年11月に設立された。先日、同社さらにシリーズ B ラウンドの投資で1000万ドルをさらに獲得し、立ち上げられてからたった半年の間に従業員が6名から70名に増え、20万人以上の購読者を抱えるサービスに成長した。今後の数ヶ月で、Lot18のチームは食べ物、ワインの付属品、そして、ブドウ園等の食通向けの分野にサービスを拡大させる計画を立てている。

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2011年の年明け、フォーチュナ氏とジェームズ氏は、シリアルエントレプレナーのデビッド・ウェイド氏とビルボード、スピン、そして、ブレンダーのエディターとして名高いクレイグ・マークス氏と共にスタートアップを立ち上げた。これは両氏が関与する最新の会社である。ポップダストは、プレミアのポップミュージックのオンラインの発信地となるべく設立されたサイトであり、ピッチフォークやステレオガムと同様のサービスを提供し、インディーズの音楽シーンに注目している。[ポップダストを取り上げたエントリに興味があるなら、ここをクリック] グラマシー・ラボズのスタートアップはすべてポップダスト方式を採用し、成功している。基本的には、実行可能で有益なコンセプトを採用し、ビジネスセンスに優れる統括マネージャー(ウェイド氏)とクリエイティブで有名な人物(マークス氏)にペアを組ませてブランドを確立し、ソフトウェアを介してスケーラビリティを構築する。

グラマシー・ラボズのポートフォーリオを構成する企業を挙げていこう: スヌースメディアLot18ポップダスト、そして、セレブのステータスをランク付けする誰もがうらやむ独自のテクノロジーを使ってセレブニュースとゴシップを提供するフェイムボールである。現在のポートフォーリオを構成する4社はそれぞれニューヨークのテックコミュニティに深く根差しており、グラマシーの超成長スタートアップカルチャーを投入される前に早い段階で投資を受けている。フォーチュナ氏とジェームズ氏は2人で力を合わせ、配信コンテンツの要素、ゲーム理論、eコマース、メディア、そして、広告を組み合わせ、スケーラブルなデータを基にした組織を構築する専門知識を活用し ている。フォーチュナ氏は、戦略、事業開発、そして、資金集めの面で企業を引っ張り、一方、オックスフォード大学で計算化学の修士課程を修了しているジェームズ氏は製品およびエンジニアリングの面を支えている。

「グラマシーの優れた点は、私達の会社の全ての従業員が一スタッフではなく、経営者と思えるように全力を尽くすところだ。グラマシー・ラボズの従業員は全員大きな自治権を持ち、就業時間は決められておらず、休暇も自由に取ることが可能であり、リソースも十分に用意されている。私達はグラマシーの企業での勤務は、お決まりの作業に従事するのではなく、使命、または、創作活動に励んでいるように思ってもらうべきだと考えている。適切にこの理想を実現すれば、卓越、効率、そして、革新は後からついてくるはずだ。」

-ケビン・フォーチュナ氏

「働きやすい場所を作ると言う話をよく耳にするが、グラマシー・ラボズでは、それは使命の一部である。私達は永遠に続く価値をもたらす企業を構築しようとしているのであり、そうするためには、優秀で情熱的な人材を雇用し、維持する必要がある。」とジェームズ氏は述べた。「ストリートファイター2のゲーム機とロングアイランドのワイナリーへの日帰り旅行が必要なら、提供しよう。」グラマシー・ラボズは自ら応募するタイプの会社ではない(家族の一員になることを志願することは出来ない)。しかし、家族のメンバーと馬が合い、ワインが大好きなら、フォーチュナ氏とジェームズ氏は喜んで耳を傾けるだろう。

フォーチュナ氏は、企業は、豊かなマーケットで「情熱の頂点」に達する、消費者と向き合うウェブテクノロジーであり、それでいて当該のマーケットで1位か2位になれるポテンシャルを持っていなければならないと語っていた。ニューヨークに拠点を置いている場合、さらに有利である。

ジェームズ氏曰く、「最も重要なことは、自分達(ジェームズ氏およびフォーチュナ氏)が自分達の持つスキルと経験を活用し、自分達だけの利点を会社に与えられる点を確信すること」のようだ。

フォーチュナ氏とジェームズ氏は複数の企業の役員に名を連ねており、全てのグラマシー・ラボズの企業でアドバイザーとして任務を果たしているが、現時点での“本職”は、Lot18で、フォーチュナ氏がCEO、そして、ジェームズ氏は会長のみである。両氏は、全てのグラマシー・ラボズの企業の投資家であり、株式保有者でもある。5年後のグラマシー・ラボズはどうなっているのかと尋ねたところ、フォーチュナ氏から次のような答えが返ってきた :

「グラマシー・ラボズが起業家としてのキャリアを始め、高める場所として最高の起業だと認識されていれば本望だ。何はともあれ、- 金額だけではなく、投資家および同僚達によって、私達が作り上げ、維持する個人的なコネクション、職場としての評判、優れた、役に立つ製品とサービスを構築しているかどうか、そして、正しい行為を実行しているかどうかを基に適切に成功を計測している企業として名が通っていれば言うことはない。」

-ケビン・フォーチュナ氏

ライター紹介

コートニー・ボイド・マイアーズはTNWで東海岸を担当する編集者であり、ニューヨークのブリックリンをベースに活動している。ロボットに関する記事の執筆でキャリアをスタートさせた。そして、マグネットとキンドルでの読書をこよなく愛している。コートニー・ボイド・マイアーズをフェイスブックでフォローするならここを、ツイッターでフォローするなら@CBMをクリックしよう。また、eメール:Courtney@TheNextWeb.comで連絡を取ることも出来る。


この記事は、The Next Webに掲載された「New York City’s Gramercy Labs Collective: A more intimate kind of startup incubation」を翻訳した内容です。

シリアルアントレプレナーが設立した会社なんですね。関わっているスタートアップが音楽やワイン、ゴシップなどいかにもニューヨークらしいというか、先日の記事にもあったように、西海岸で作られたテクノロジープラットフォームをベースに様々な興味や才能を持った人が独自のサービスを作り上げるという路線を貫いたまさにニューヨーク的スタートアップインキュベーションでしょうか。日本はどうしても東京中心になりがちですが大阪や福岡、北海道や名古屋、横浜などでその街・地域の特色を生かしたスタートアップが出てくると日本のスタートアップブームも本物になっていくのかもしれません。 — SEO Japan
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