Googleレスポンシブ検索広告の最適化の方法

公開日:2022/09/21

最終更新日:2022/09/21

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検索アルゴリズム、解析ツール、ユーザー行動。Webを取り巻く環境の多くが日々変化しています。Google広告ももちろん変化しており、この変化に併せ、広告テストの方法も変化しています。今回は、Googleのレスポンシブ広告に焦点をあてた、Search Engine Journalの記事を紹介します。

Googleのレスポンシブ検索広告の限界や重要な差異などを学ぶことで、広告キャンペーンをより効率的に行うことができるはずだ。

レスポンシブ検索広告(RSAs:esponsive search ads)が拡張テキスト広告(ETAs :expanded text ads)に取って代わった今、広告最適化のための戦略を改めて見直す良い機会と言えるかもしれない。

レスポンシブ検索広告の最適化は、多くの広告担当者が今まで行ってきたアプローチとは大きく異なっている。

テストをするためのテキストのバリエーションを決定するために、今までと同様の方法を用いるかもしれない。しかし、統計的に有意となる結果を導くためのテストを行う方法は変化している。

レスポンシブ検索広告のテストは、拡張テキスト広告のテストとは異なる

かつて、広告のテストとは、複数のバリエーションを互いに競わせる、A/Bテストが主であった。

競い合わせているそれぞれの広告のデータが蓄積した後、正しい指標を分析することで、勝者を選別することができた。

勝者となる広告を判断するためのよくある指標は、コンバージョン率とクリック率を組み合わせたものであった。つまり、「インプレッションあたりのコンバージョン数」を求めていたのである。

統計的に優位と言えるほどのデータが蓄積された後、コンバージョン率が最も優れている広告が、勝者とされた。

勝者となる広告を見つけるためのこの手段は、3つの理由によって、もはや機能しなくなっている。

これら3つの理由を見ていこう。

理由1:1つの広告グループごとに、3つのレスポンシブ検索広告しかテストできない

拡張テキスト広告の時代では、広告主はA/BテストをA/B/C/D/…というように拡張することができた。そして、上限の50に達するまで、対象を追加することができたのである。

1度の実験に50の広告を使用している広告主を見たことはないが、5つか6つの広告を同時にテストする広告主は多く見てきた。

しかし、現在Googleは広告グループの上限を、最大で3つのレスポンシブ検索広告に設定している。つまり、広告テストを進める方法がすでに変化しているのだ。

理由2:広告の組み合わせにおける、完全な指標を取得することができない

レスポンシブ検索広告は最大で15の広告見出しと4つの説明文を使用することができる。そのため、1つのレスポンシブ検索広告で43,680のバリエーションが作成できるのである。

これは、拡張テキスト広告におけるバリエーションの最大数である50を大きく超える数である。

そのため、ユーザーがレスポンシブ検索広告を閲覧する場合、広告主が送信した広告見出しと説明文のサブセットだけが、実際の広告に表示されるのだ。

さらに、表示される広告見出しと説明文はオークションごとに異なる。

2つのレスポンシブ検索広告を比較する場合、43,680通りの広告Aと43,680通りの広告Bとを比較することを意味するのだ。

つまり、広告Aが勝者であるとわかったとしても、実際には制御が不可能である変数がその実験には発生しており、あなたが発見した結果を無効にしてしまうのだ。

Google広告のレポートでは、表示されるレスポンシブ検索広告の組み合わせを確認することができる。画像は著者による2022年のスクリーンショット。

より有益なデータを得るためには、組み合わせレポートを参照すべきだ。このレポートでは、各広告でどの広告見出しと、どの説明文が使われているかを見ることができる。

しかし、このデータにおける問題点は、Googleはインプレッション数しか提供していないという点である。

勝利した広告を算出するために、CTAとコンバージョン率の両方を知る必要があるが、このレベルでの粒度では、どちらもGoogleから得ることのできない指標である。

理由3:広告グループのインプレッション数は、キーワードと同様、広告に依存するようになった

広告テストの手法を進化させる必要がある理由の中で最も驚くべきことは、古い手法は、インプレッション数が広告グループのキーワードのみに依存していると仮定された考えで構築されていることだろう。

レスポンシブ検索広告はこの課題に取り組んでいる。現在、広告グループのインプレッション数は、キーワードと同程度に、広告に依存するようになっている。

Optmyzrの2022年5月の調査では、レスポンシブ検索広告を採用した広告グループのインプレッション数は、拡張テキスト広告のみの広告グループの2.1倍となっていることがわかっている。

画像はOptmyzrより引用。2022年5月。

そして、レスポンシブ検索広告を採用した広告グループのインプレッション数の劇的な増加が、広告のランクやクオリティスコアの改善によるものなのか、Googleがこのタイプの広告を好むように設計したのかはさておき、最終的な結果は同じである。

我々の仕事場であるこのサンドボックスは、特に、最大数のアセットを持ち、可能な限りピン留めを慎重に使用する、レスポンシブ検索広告を好むようだ。

そのため、現代の広告の最適化を行う場合、インプレッションあたりのコンバージョン数だけではなく、各広告のインプレッション数も考慮に入れる必要があるのだ。

現代の広告のテストでは、インプレッション数の差異も考慮する必要がある。

広告バリエーションを使用したA/Bアセットテスト

幸いなことに、レスポンシブ検索広告がもたらした課題をGoogleは考慮している。広告の最適化のために、テストツールのサブセットである広告バリエーションをアップデートしたのだ。

複数のレスポンシブ検索広告を作成するのではなく、テストではアセットを操作する。広告主は、アセットのピン留め、アセットの交換、アセットの追加、の3つをテストすることができる。

すべてのオプションは、左のサイドバーのテストのメニュー内にある。

Google広告内のテストメニューにある広告バリエーション

ピン留めテスト

ピン留めは、広告の一部に必ず表示させるテキストをGoogleに伝える方法である。

ピン留めの最も簡単な形式は、特定の場所に特定のコンテンツを表示することを、Googleに伝えることである。よくある使い方としては、広告見出しの1に、ブランド名を常に表示させる、といった形だ。

Google広告の画像。2022年6月。

上級の使い方として、複数のテキストを特定の場所にピンどめすることが挙げられる。

もちろん、広告にはピン留めされたテキストの1つしか表示されない。そのため、広告主が管理する広告と動的に生成される広告のメリットとのバランスを採る方法であると言える。

よくある方法として、広告見出しの1に、すべてのバリエーションをピン留めすることで、3つのブランドメッセージのバリエーションをテストすることだろう。

ピン留めの極端な形式としては、「偽の拡張テキスト広告」と呼ばれるものを作成することが挙げられる。これは、レスポンシブ検索広告のあらゆる位置にテキストをピン留めするというものだ。レスポンシブ検索広告の目的と反するため、Googleはこれを推奨していない。

Optmyzrによるレスポンシブ検索広告の調査でも、このタイプのピン留めをすることで、広告グループが獲得できるインプレッション数を大幅に減少させてしまうことがわかっている。

しかし、純粋なレスポンシブ検索広告よりも、「偽の拡張テキスト広告」のCTRとコンバージョン率が高かったことは、多少の驚きと言える。

拡張テキスト広告の最適化の技術を駆使し、何年間も運用してきた広告主はすでに優れた技術を持っているため、機械学習が提供できる上乗せはそれほどない、と考えることができる。

Optmyzrからの引用。2022年6月。

ピン留めからテストを始めるためには、広告バリエーションを選択し、テキストを更新し、ピン留めのアクションを選択しよう。

Google広告からの引用。2022年6月。

その後、広告見出しや説明文をどの場所にピン留めするかのルールを作成する。

例えば、「ブランド名を含む広告見出しは、広告見出しの1の位置にピン留めする」、といったルールが作成可能だ。

しかし、複数の場所に同時にピン留めをする広告バリエーションのテストを作成することはできない。

アセット追加のテスト

広告バリエーションで利用可能であるもう1つのテストは、特定のアセットを追加したり削除した場合に、何が起こるかを見極めるテストである。

このテストは、大幅な変更をテストする際に適している。例えば、特別なオファー、別のバリュー・プロポジション、異なるコール・トゥ・アクションの設定、などが該当する。

Google広告からの引用。2022年6月。

また、広告カスタマイザがパフォーマンスに与える影響をテストする際にも活用できる。

レスポンシブ検索広告で使用できる広告カスタマイザは、位置情報の挿入、カウントダウン、ビジネスデータである。

アセット交換のテスト

広告バリエーションでサポートされている3つ目のテストは、アセットを変更した場合のテストである。

このテストは、僅かな変更を加える際に適している。

例えば、「本日、10%節約」を「10%割引」に変更した場合のインパクトを調べる場合などだ。

どちらもオファーとしては同一であるが、表現方法が異なっている。

Google広告からの引用。2022年6月。

測定

広告バリエーションには、最適な測定方法が自動的に伴っている。

例として、ピン留めテストをした場合のテスト結果を見てみよう。

統計的に有意な結果には、アスタリスクが付けられている。

Google広告からの引用。2022年6月。

統計データにカーソルを合わせると詳細情報が確認でき、その実験の信頼度のレベルの説明が表示される。

Google広告からの引用。2022年6月。

ここから、たったの1クリックで、勝利したバージョンのテストをレスポンシブ検索広告の一部として加えることができる。

しかし、これらの広告バリエーションのテストは、キャンペーンレベル以上(クロスキャンペーン)で使用することを想定としている点は、注意が必要と言える。

現状、単一のレスポンシブ検索広告や単一の広告グループでテストを行うことはできない。Googleはこの制限を認識しており、改善に向けて取り組んでいることを明言している。

まとめ

Googleの広告の形式が変化している。そのため、広告テストの方法もまた、変化すべきだ。

広告バリエーションはGoogle広告に組み込まれている。広告全体ではなく、アセットを対象としたテストを行うことができ、ピン留めテストも可能だ。

Optmyzrの最新のレスポンシブ検索広告の調査では、インプレッション数はキーワードと同程度に広告に依存するようになっている。そのため、CTRとコンバージョン率だけではなく、高品質のインプレッションを正しく組み合わせるべきだ。これが、PPC広告の最適化における、最新の方法と言えるだろう。

SEO Japanには珍しく、Google広告をメインに扱った記事でした。普段は検索周辺の情報を確認していますが、Google広告もまた日々変化が起きています。サーチジャーニー全体で考えてみるとGoogle広告も無視できない存在であるため、SEOを活かすためにも、こうした変化には敏感でいたいと考えています。

この記事は、Search Engine Journalに掲載された「How To Optimize Google Responsive Search Ads (RSAs)」を翻訳した内容です。

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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