メディア業界のメンバーが綴る「データ・ドリブン・シンキング」は、メディアにおけるデジタル革命に関して新鮮なアイデアを提供するコラムである。
本日のコラムを担当したのは、iProspectの米国支社で取締役を務めるブライアン・カミンスキ氏である。
デジタル広告に投じられる資金を巡る戦いの中で、グーグルは確立した地位を築き上げているが、その一方で、ルーキーのフェイスブックが挑戦を続けている。グーグルは様々な広告製品を提供しており、マーケッター達はどの製品がブランドの認知度を高める上で効果があり、どの製品が利益につながるかを明確に理解している。一方、マーケティングのチャンネルとして新しい部類に入るフェイスブックは、間違いなくインパクトを持っているものの、マーケッターはフェイスブックの広告製品をどのように活用すればいいのか分からずに苦戦している。
グーグルとフェイスブックは同じではなく、異なるユーザーエクスペリエンスを提供し – 異なる価値をマーケッターに提示している点は見過ごされがちである。グーグルは目的地ではなくリソースである。ユーザーはグーグルを使って何かを見つけようとする。この取り組みはグーグルが所有するサイトのネットワーク上で行われることもあるが、その他のウェブサイトへの中継地点としても活用されている。グーグルを利用する短い時間においても、複数の広告を提示する機会が存在する – まず、ユーザーが実施する有料検索広告はすぐに売買の価値をもたらす。
ユーザーの差し迫ったニーズに応える有料検索以外にも、複数の目的地およびデバイス全体で組み合わせることが可能な各種のターゲティングの選択肢が存在し、広告スポンサーはカスタマージャーニーのあらゆる段階にアクセスすることが可能であるため、グーグルの広告は強力な手段と言えるだろう。例えば、グーグルはスポンサーに行動および閲覧履歴を基に今後のディスプレイ広告のターゲティングを行う機会を与えている。これにはリマーケティング、コンテクスチュアルターゲティング、インタレストターゲティング、そして、トピックターゲティングが含まれる。複数のターゲティングの手法を利用することで、グーグルは、キャンペーンの最適化において、精度が高く(無駄が少ない)、拡張性を持たせた状態でオーディエンスと効率良くエンゲージを行い – Google.comの外部でオーディエンスに接触する機会を提供している。
反対にフェイスブックは個人に特化し、フェイスブック内部で完結するシステムを採用している。ユーザーをコアのサイトに留まらせることがフェイスブックの目標である。そのため、ユーザーをフェイスブックに留める機能の広範なインフラを用意しており(eメール、動画、メッセージ送受信等)、内向きの広告戦略はこの点を反映している。関心およびユーザー層のデータによるターゲティングは強力なツールであり、ユーザーおよびスポンサーの双方において関連性の面で効果が見込めるものの、積極的にトラフィックをフェイスブックの外に向かわせ、ブランドのサイトに導く行為には向いていない。広告スポンサーがフェイスブックのエコシステムの外側に向かわせる実験を行っても、追跡および分析プラットフォームとの統合は難しく、従って価値を特定するのは困難である。
それぞれのプラットフォームにおいて、肝に銘じておいてもらいたい4つの一般的な概念を挙げていく:
- グーグル広告はパフォーマンスの手段として非常に効果が高く (a)第一者および第三者のデータを使ってオーディエンスに接触する力 (b)巨大な拡張性 (C)複数の非常に効果的なリターゲティングの選択肢を提供している。
- 現在、グーグルのディスプレイ広告は、拡張性に優れたさらに広範な製品を提供しており、PPC、そして、グーグルが運営するDSP ダブルクリック・ビッドマネージャー(以前はインバイトメディアが運営)等のその他のデジタル広告の取り組みに容易に組み込むことが出来る。
- フェイスブックは、認知度および検討に焦点を絞ったブランディングの手段として採用されている。
- フェイスブックはロイヤルティとブランドの支持をもたらし、一方のグーグルはユーザーにより直接的な売買の機会をもたらす。
どちらも様々なマーケティングの目標に対して活用することが出来るが、グーグルはよりパフォーマンスに焦点を絞り、フェイスブックはロイヤルティの構築およびブランドの支持者の獲得に効果があると言われている。そのため、双方の直接的な価値を比較することは不可能である。しかし、マーケッター達はどのように予算を配分すればいいのか突き止めなければならない。フェイスブックの広告の価値を特定する上で特に難しいのは、計測する方法の特定である。第三者のツールはフェイスブックのインフラでもたらされるトラフィックにアクセスすることは出来ないため(フェイスブック広告からフェイスブックページのトラフィック)、サイト分析プラットフォームでフェイスブックからのブランドのウェブサイトへのトラフィックが、フェイスブック広告の影響を直接受けているかどうかを測定するのが難しいのだ。
フェイスブックはユーザーエクスペリエンスを犠牲にすることなくオーディエンスを収益化する手法を考案している。サイトのトラフィック全体の3分の1に相当する、モバイルオーディエンスを積極的に収益化する取り組みを始めるまでにかかった時間を考慮してもらいたい。フェイスブックエクスチェンジ(FBX)は、ダイレクトレスポンスおよびパフォーマンス広告のスポンサーに対して扉を開き、フェイスブックに収益化においては、流れを大きく変える可能性がある。FBXとモバイル広告は休暇シーズンに向けて開発されており、優れたマーケッターは今年中(2012年)にこの新しい機能をテストするはずだ。
フェイスブックはプラットフォームを収益化し、ユーザーエクスペリエンスへのフォーカスを効果的で、定量化可能な広告の機会で補う必要がある。グーグルと競争し、包括的なソリューションとしてのイメージを改めて作り上げるためには、フェイスブックは広告スポンサーの役に立ち、それでいてユーザーベースに関連する新たな製品の開発に力を入れなければならない。
マーケッター達は、フェイスブックが今までとは異なるマーケティングチャンネルを提供している点を理解する必要がある。フェイスブックは有料検索ではない。ディスプレイでもない。そして、その他のデジタルチャンネルとは異なり、ブランドのウェブサイトにトラフィックを直接送ることがフェイスブックの強みではない。フェイスブックはスポンサーに今後も価値の提案を継続して行っていくはずだが、優秀なマーケッターは、フェイスブックの強みをベースとした成果を計測するメトリクスを作り、このメトリクスを活用して、最適な予算の配分を行うようになるだろう。
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この記事は、AdExchangerに掲載された「Why Marketers Shouldn’t Compare Google ROI to Facebook ROI」を翻訳した内容です。
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