エモーショナルデザインとSEOの関係

最近デザイン系の記事が多いSEO Japanですが、今回はデザインとSEOの深い関係について考えてみた記事をサーチエンジンランドから。「SEOにデザインなんか関係ない!」とお考えのハードコアなSEOマニアの方から「デザインにSEOは関係ない!」と考える反SEO信者のデザイナーさんまで是非ご一読を。 — SEO Japan

先日、SEOの同僚から連絡があり、ウェブサイトのユーザビリティとSEOの関係について – オンラインで学べる以上の情報が欲しいと頼まれた。「知識を増やしたいと思っており、この分野にこそ焦点を絞るべきだと考えています」と私の同僚は話していた。

彼はお薦めの本、オンラインコース、ウェブセミナー等を知りたがっていた。そこで私は揺るぎないはじめの一歩を踏み出すための、とっておきのリストを作成した。

私は張りきって今後行われるウェブセミナーのリスト(説明および議題付き)を送信したところ、「全ての議題に目を通したけど、検索エンジンとSEOに関連するものは一つもなかったのですが」と言う返事が返ってきた。

がっかりした。非常に賢い人物だが、SEOの殻の中に閉じこもっている。

SEOのプロとして、文書(ウェブページ、イメージ、動画、ウェブセミナー等)にキーワードフレーズが含まれている場合、当該のフレーズは、文書もしくは文書の内容を説明していなければならないと私達は考える。

SEO bubble

SEOのプロとして、「キーワードがないなら、関連性がない!」と解釈しがちだが、SEOの目でウェブサイトを見ているために、私達には見えていないつながりが存在する。

そして、反対にキーワードフレーズが文書に存在しない場合は、キーワードのフレーズが当該の文書には該当しないと考える。

あるユーザビリティのトピックが検索エンジンのビジビリティに関連していないと思えても、実際には関連しているトピックがある。それは、エモーショナル・デザインである。

本能的、行動的 & 内省的なデザイン

ユーザビリティに関する書籍の中で私が特に気に入っているのが、ドナルド・ノーマン氏が綴ったEmotional Design: Why we love (or hate) everyday things[1]である。この本の中で、ノーマン氏はデザインの3つの領域を取り上げている:

  • 本能的なデザイン
  • 行動的なデザイン
  • 内省的なデザイン

同氏は次のように説明している:

本能的なデザインは、見た目を重要視している。本能レベルは早い: 良い悪い、安全危険等を瞬間的に判断させる…。 (p. 5 および p. 22)

本能レベルのデザインは、利用の喜びおよび有効性と関係がある。行動レベルは最も人間的なサイトの部分である…。これは意識的なレベルではない。だからこそ、行動レベルで自動車を無意識のうちに運転し、内省的なレベルで別のことを意識的に考えることが出来るのだ。(p. 5 および p. 23)

内省的レベルのデザインでは、製品の合理化および知性化を考慮する。 内省レベルは、脳の考える部分である。私達は過去の経験を記憶し、問題を他の人達に伝えることが出来る。(p. 5 および pp. 22-23)

ユーザビリティのプロは、大部分において行動レベルのデザインを考慮する。また、ウェブデザイナーは本能レベルのデザインを意識する。興味深いことに、ユーザー/検索エンジンのユーザーは、醜いデザインと比べ、魅力的なデザインにおいてはエラーを許容する傾向が見られる。

「…劣悪なデザインに対して言い訳を並べることは出来ないが、ユーザーがリラックスしている状況では、デザインの心地よい、快い部分によって、インターフェース内の困難および問題を許容する。」[2]

検索エンジンフレンドリーなウェブデザインのパイオニアとして、私は美しいデザインに主に焦点を絞っているわけではない。また、最適化において検索エンジンのユーザーおよび検索エンジンの双方が影響を与えると言う理由のみで、検索エンジンに合わせることだけを優先しているわけでもない。

本能レベルの処理 & グーグル・グリビリティ

私は、ユーザーが検索エンジンの結果ページ(SERP)とウェブサイトを利用する際に、常日頃から3つのレベルの処理に注目している。

本能レベルはウェブのSERPで無視することは難しい。なぜなら、人間特有の直感的な知覚が働くからだ。サイトのリスティングが検索結果の1位に掲載されているなら、最も関連していると考えるのではないだろうか?そして、グーグルやビングがこのリスティングを1位に掲載していると言うことは、リンクを安心してクリックすることが出来ると考えるのではないだろうか?

今まで何回、検索エンジンのユーザーとして、不適切な検索リスティングに煮え湯を飲まされてきただろうか?それは正確なクエリを入力しなかったユーザー側の誤りなのだろうか?あるいは、検索スパムを排除することが出来なかった検索エンジンのせいなのだろうか?それともどちらにも非はあるのだろうか?

ウェブサイトのユーザビリティの重鎮、ヤコブ・ニールセン氏は、「ユーザーのスキルが改善されるものの、ごく僅か」の中でこの点について次のように述べている:

検索に関しては、ユーザーは3つの問題に直面している:

  • 異なる検索戦略へクエリのターゲットを変更することが出来ない
  • 検索結果を理解し、それぞれの目的地のサイトの実用性を適切に評価することが出来ない
  • 劣悪な結果で埋め尽くされた、汚染されたSERPで、ブログ、そして、ユーザーの問題を解決に導く点に欠ける過剰にSEOが行われたサイトを見分けることが出来ない

この3つの問題が存在するため、多くのユーザーは検索エンジンの言いなりになって、通常は上位のリンクをクリックする – これはグーグル・グリビリティ(註:「グリビリティ」=「だまされやすいこと」の意)と呼ばれる行動である。

エモーショナル・デザインで、ノーマン氏は、本能および行動レベルでは、ユーザーが実際に製品を目にする、または利用する際のユーザーの“その場の”感覚が最も重要だと述べている。今回の背景では、製品とはウェブ検索エンジンである。ユーザーは何を見ているのだろうか?SERPで見た内容を基にユーザーはどのような行動に出るのだろうか?

反対に、内省的なレベルは長期間継続する。内省レベルでは、ユーザー/検索者はSERPおよび付随するウェブサイトにおける過去の経験を記憶する。

従って、グーグル・グリビリティを克服するためには、脳の別の部分 – 内省レベルに頼らざるを得ないのだ。

検索リスティング & ランディングページの内省レベルのデザイン

エモーショナル・デザインの中で、ノーマン氏は次のように綴っている:

3つのレベルにおいて、文化、経験、教育、そして、個人の違いを介した多様性に最も影響を受けやすいのが内省的なレベルである。また、このレベルは他のレベルよりも優先される。(p. 38)

私は内省的な処理をeコマースサイトでここ1ヶ月の間嫌と言うほど目撃してきた。

検索エンジンのユーザーのタスクは、あるブランドから黒いマーカーのボックスセットを購入することであった。興味深いことに、ターゲットのオーディエンスの特徴は、この特定のブランドのマーカーを非常に気に入り、マーカーを色付きのテープで覆っていたほどだ(研究室で自分だけが使えるように)。さらに、研究室に秘密の隠し場所を設けていた。

気持ちはよく分かる。私は10年間生物化学の研究所で働いていた。このようなマーカーは試験管、三角フラスコ、ビーカー等にラベルを貼る上でとても便利なのだ。

このマーカーブランドのオーナーは、当該のマーカー専用のウェブサイトを別に作成した。すると、検索者がグーグルのSERPで何をクリックしたと思うだろうか?もちろん、当該のミニサイトのリスティングであった。

検索エンジンのユーザーは、多数のオンラインストアを彷徨うよりも、この重宝するマーカーのソースに直接アクセスすることで、時間、そして、(願わくば)お金を節約することになると考えていたのだ。

しかし、このブランドのホームページはフラッシュベースのスプラッシュページであった。このランディングページに対する一般的な反応は次のようなものであった:

「これはダメだ!」(すぐに戻るボタンをクリック)

この反応は、検索者はフラッシュベースのスプラッシュページの過去の体験を記憶しているため、内省的なデザインに対するリアクションを明白に示している。重宝するマーカーであっても、フラッシュ動画を見たいとは思わなかったのだ。

同じ月、私達は別の検索テストも実行していた。検索者が検索結果内でミニサイトのリスティングを見たときに何が起きたか分かるだろうか?再び一般的な反応を以下にまとめる:

「二度とクリックするもんか!」

SEOは、“その場”だけでは終わらない。SEOは手っ取り早い解決策でもなければ、今流行りの戦略が集まった取り組みでもない。SEOは、いつでも、そして、長期間に渡って見つけてもらう取り組みである。

エモーショナル・デザインは、初めてのクエリから、1ヶ月後の2回目のクエリに至るまで、検索エンジンのユーザーの経験において重要な鍵を握っている。検索エンジンは感情を持っていないが…ユーザーには感情があるのだ。

参照:

  1. Norman, D. A. (2004) Emotional Design: Why we love (or hate) everyday things. New York: Basic Books.
  2. Norman, D. A. (2002). Emotion and design: Attractive things work better. Interactions Magazine, ix (4), 36-42. 以下のURLで検索を行った: https://www.jnd.org/dn.mss/emotion_design.html.

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「The Ties Between Emotional Design & SEO」を翻訳した内容です。

日本語でエモーショナルデザインとそのまま気取って書いてしまいましたが、ユーザーの意図を理解することがデザインでもSEOでも重要ということですね。実際に検索エンジンは検索エンジンでより深くユーザーの意図を理解し適切な検索結果を変えすためにリーズナブルサーファーモデルやパーソナライゼーションに長年力を入れていますし、サイト運営者も進化する検索エンジンやより利便性を求めるユーザーに負けじとデザイン&SEO、そしてLPOも頑張っていきたいものです。 — SEO Japan [G+]
Page Top

投稿ナビゲーション