GoogleのEATにおける、10の誤解を解く

ここ数年間でもはや必須の概念となったと言えるE-A-Tですが、概念であるが故、様々な誤解も生まれています。SEOにとって非常に重要であることは間違いないのですが、正確に理解をしなければ、不要な施策や作業を生み出しかねません。今回は、E-A-Tにまつわるよくある10の誤解を説明した、Searh Engine Journalの記事を紹介します。

E-A-Tの仕組みとGoogleの使用法について、多くの混乱と誤解がある。この記事では、GoogleのE-A-Tにおける、10の誤解を紹介していく。
E-A-T(専門性、権威性、信頼性)は、2014年度版のGoogleの品質評価ガイドラインで初めて用いられた概念である。

このガイドラインは、Googleによる検索結果の品質評価の際に使用される。検索結果の品質評価では、何千人もの評価者が雇用され、Webページを手動で評価し、そのWebページの品質に関するフィードバックをGoogleに送信する。

品質評価者によるフィードバックはベンチマークされ、Googleのアルゴリズムの改良に用いられる。E-A-Tは、該当のWebサイトが信頼に足る専門的なコンテンツを提供しているかどうかを測定するための基準として機能している。

ガイドラインには、以下の記述が見られる。

「有益な目的のある全てのWebページにとって、専門性、権威性、信頼性(E-A-T)は非常に重要である。」

Googleは、品質評価者に対し、以下を考慮するよう、求めている。

  • 分析しているWebページのメインコンテンツのE-A-T
  • Webサイト自体
  • Webサイトのコンテンツの作成者

現行の品質評価ガイドラインでは、E-A-Tという言葉は、175ページ中137回、用いられている。

この1年間、特に、2018年8月1日にロールアウトされたGoogleのコア・アルゴリズム・アップデートによるオーガニックトラフィックのパフォーマンスの変化と関連して、E-A-TはSEO業界における大きな話題となった。

SEOの専門家はE-A-Tがこのアップデートにおいて重要な役割を果たしていると推測し始めた(Googleは後にウェブマスター セントラル ブログでこれを認めている)。特に、E-A-Tに大きな問題を抱えるYMYL(Your Money, Your Life)の領域のWebサイトに大きな影響があったようだ。

SEOの業界で様々な意見が交わされることはよくあるが、E-A-Tについての議論はすぐに混乱、誤解、事実誤認をもたらした。

こうした誤解の大半は、その理論とGoogleの現状のアルゴリズムへの反映との間に存在するズレが起因している。

優れたE-A-Tを持つWebサイトを検索結果画面に表示させることがGoogleの目標であり、アルゴリズムによってそれを実現しようとしている。しかし、E-A-T自体は、現在のアルゴリズムがどのように機能しているかを説明するものではない。

この記事は、E-A-Tにまつわる10の都市伝説や誤解を解くことを目的としている。また、E-A-Tがどのように機能し、Googleがどのように利用しているかも明らかにしたい。

1.E-A-Tはアルゴリズムではない

E-A-T自体がアルゴリズムであるわけではない。

パブコンのQ&Aセッションにて、ゲイリー・イリェーシュ氏は、「Googleは何百万もの小さなアルゴリズムの集まりであり、それらが一体となり、ランキングスコアを算出している。こうしたベイビー・アルゴリズムの多くは、Webページやコンテンツ内にある、E-A-Tとして概念化が可能なシグナルを探している。」と述べている。

つまり、E-A-Tは特定のアルゴリズムを指すわけではないが、Googleのアルゴリズムは、サイトの内外で、E-A-Tの良し悪しに関連するシグナルを探しているのだ。これは、「Web上のリンクを活用して権威性を理解する」ページランクのようなものだ。

2.E-A-Tスコアというものは存在しない

前述と同様のQ&Aセッションにて、イリェーシュ氏は、「内部的なE-A-TスコアやYMYLスコアといったものは存在しない」ことを認めている。

GoogleのアルゴリズムがE-A-Tスコアを付与しているということはなく、評価過程でE-A-Tを分析している品質評価者が個々のWebサイトのランキングに直接影響することもない。

3.E-A-Tは直接のランキング要素ではない。専門性、権威性、信頼性も、それぞれが直接のランキング要素ではない。

これは、E-A-Tがランキングにおいて重要ではない、ということよりも、セマンティックについて関連する議論である。

ページスピード、HTTPS、タイトルタグ内のキーワードなど、Googleは少なくとも200のランキング要素を用いており、これらは特定のページのランキングに直接影響する。

E-A-Tはこのような影響を与えるものではなく、ランキングにおける役割はより間接的なものである。

E-A-Tはランキング要素なのか?スピードのように直接測定可能な技術的なものであるか、という意味では、そうではない。

人間が算出するように、そのコンテンツがE-A-Tと合致しているかどうかを判断するためのプロキシとして、複数のシグナルを用いている。

この意味においては、ランキング要素であると言える。
引用元:Danny Sullivan氏のTwitter

「E-A-Tの要素が現在のアルゴリズムにどのように組み込まれているか?」という質問に対し、AJ・コーン氏は下記のように答えている。

多くのSEO担当者が、専門性、権威性、信頼性がランキング要素であると考えているようだ。しかし、それらはアルゴリズムがどのように機能しているか、ということではなく、アルゴリズムがすべきことを近似的に示しているに過ぎない。例えば、これらに影響を与えるために、Googleがアルゴリズムとして何を行うか、といった議論のほうがはるかに良いはずだ。健康関連のトピックにおいて、価値の高い医療系のテキストとの関連性を図るために、GoogleがBioSentVecを使用するだろうか?確信があるわけではないが(Googleはこれらを実験していると個人的には考えているが)、こうした議論のほうが、「専門性をより良く伝えるために、署名欄にDr.を含めるようにすべきか」といった議論よりも、はるかに有益だろう。

4.E-A-TはすべてのWebサイトが注力すべきものではない

Googleは、品質評価ガイドラインにて、特定のWebサイトに期待されるE-A-Tのレベルは、そのWebサイトのトピックや、どの程度YMYLの領域であるかによると、明言している。

例えば、「高いE-A-Tが求められる医療系のアドバイスは、適切な医療の専門家や認定を受けた人や組織によって書かれ、作成されるべきである」、としている。

しかし、写真やギターの弾き方といった、趣味の領域のWebサイトにおいては、専門性をそこまで必要としていないため、E-A-Tの分析としては、低い水準となる。

読者の幸せ、健康、経済状況、幸福などに直接の影響を与えうる、YMYLのトピックを扱う企業の場合、E-A-Tは最重要項目となる。

また、クレジットカードの情報を受け付けるため、ECサイトもYMYL領域に分類されることには、注意が必要だ。

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このE-A-Tメータは、異なるカテゴリのWebサイトで、どの程度E-A-Tが求められるかを、端的に表している。

5.E-A-Tに注力をすることが、テクニカルSEOの監査やその他のSEOの目的の代替となるわけではない

E-A-Tに対応することだけで、SEOのパフォーマンスが向上するわけではない。

オンページの最適化、品質の高いリンクの獲得、テクニカルSEOなど、SEOを成功に導くための従来の施策も、E-A-Tの取り組みの成功にとっては重要なのである。

アルゴリズムのアップデートによってネガティブな影響を受けたWebサイトにとって、E-A-Tは検討すべき事柄の1つに過ぎない。

コアアップデートからの回復には、Webサイト全体の品質の向上、ユーザー体験における課題への取り組み、テクニカルSEOの問題の解決、Webサイトのアーキテクチャの改善など、複数の異なる領域の改善が求められるのである。

さらに、ページスピードが遅い、クローリングやレンダリングに課題がある、など、技術的な課題を抱えるWebサイトは、Googleに適切にインデックスされることすら叶わない可能性もある。

他の課題も含め、Webサイトのパフォーマンスに与える度合いによって、E-A-Tへの取り組みに優先度をつけるべきだ。

6.E-A-Tは新しい概念ではない。また、誤った情報に対するGoogleの戦いも、新しいものではない。

E-A-Tについての新しいコンテンツが数多く公開されているが、その中には、E-A-Tは2018年8月1日のコア・アルゴリズム・アップデートの時期に始まった、Googleによる新しい取り組みであると主張する記事もある。

しかし、E-A-Tは2014年度版の品質評価ガイドラインで初めて導入されている。

さらに、E-A-Tに注目した調査を行ったところ、2018年から2019年の間のコアアップデートでネガティブな影響を受けたWebサイトの51%が、2017年3月の「フレッド」アップデートでも、ネガティブな影響を受けていたことがわかった。

誤った情報を減らし、高品質で信頼できるコンテンツを表示させようとするGoogleの取り組みは、8月1日のアップデートよりも以前から行われているのである。

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また、Googleは、検索結果の信頼性と透明性を改善し、フェイクニュースを減らすことを目的とした複数の取り組みを行っている。具体例を挙げてみよう。

7.2018年8月1日のアップデートは、Googleが公式に「メディック」や「E-A-Tアップデート」と名付けたものではない

8月1日のアップデートは、バリー・シュワルツ氏によって、非公式に「メディック」と名付けられた。しかし、Googleはコアアップデートに正式な名前をつけることは、もはや、ないようである。

8月1日のアップデートを「E-A-Tアップデート」と呼ぶマーケターもいるが、これは不正確だけなく、誤解を招く可能性もある。なぜなら、このアップデートによってパフォーマンスが低下した要因は、E-A-Tだけとは限らないからである。

8.著者の経歴を記載すること自体がランキング要素であるわけではない(Googleはあらゆる著者についての情報を認識し、取得することはできない)

E-A-Tを改善するための最もよくある推奨事項の1つに、全てのコンテンツにその著者についての署名を書くことが挙げられる。また、理想的には、その著者が誰であり、高品質なコンテンツを作成できると信頼すべき理由を説明した、経歴や固有のページを作成することが求められている。

その著者が該当のトピックに対してどの程度の専門家であるかを判断するための手段として、著者の経歴を見るべきであると、Googleは品質評価ガイドラインで品質評価者に対し繰り返し推奨している。

しかし、ウェブマスターハングアウトにて、ジョン・ミュラー氏は、著者の経歴は技術的な要件ではなく、その効果を得るために特定のスキーママークアップを必要とするわけでもないと、述べている。その代わり、ジョン・ミュラー氏は、下記の推奨事項を伝えてくれている。

著者のページと、専門性・権威性・信頼性について、私が推奨することは、ユーザーを確認したり、ユーザー調査を行うことである。特に、そのコンテンツを作成している人物がどれほど優れた人であり、その分野についてよく知っている人であり、その資格があり、その分野について関連している人物であるということを伝えるための最適な方法について、Webサイトの設定を確認してみよう。

また、パブコンのQ&Aセッションで、イリェーシュ氏は次のように述べている。

Web検索では、我々は非常に人気のある著者のエンティティを保持している。もし、あなたがワシントンポスト紙のエグゼクティブであれば、あなたについてのエンティティを持っているだろう。つまり、著者ではなく、エンティティが重要と言えるのだ。

つまり、Googleは、定評のある著者をナレッジグラフで認識することができるのだ。しかし、あらゆる著者を認識できるほどのものではない可能性がある。

ただし、過去数年間、Googleはオーサーシップに関する様々な取り組みを行っているため、これの機能についての取り組みも開始しているかもしれない。

9.YMYLのWebサイトのみがコア・アルゴリズム・アップデートによる影響を受けるわけではない。また、E-A-Tのみがアルゴリズムのアップデートにるパフォーマンスの低下の要因であるわけではない。

ここ最近のコア・アップデートの影響を受けるWebサイトは、特に健康や医療の領域などの、YMYLのWebサイトであることが圧倒的に多い。しかし、他の領域でも影響を受けるWebサイトもある。

例えば、2018年8月1日以降のコア・アップデートのたびに、レシピ系のWebサイトは影響を受けている。しかし、これらのWebサイトの多くは、E-A-Tのレベルはほぼ同一である。こうしたWebサイトは、料理愛好家によって運営されており、彼らは皆、レシピをオンラインに投稿する資格を有していると言えるだろう。

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競合する4つのWebサイトを見る限り、E-A-Tのレベルはほぼ同一であるにもかかわらず、ここ最近のコア・アップデートによってパフォーマンスが大きく変化している。

しかし、レシピ系のWebサイトの多くは、それぞれ固有のSEOの課題を抱えている。それらはE-A-Tにとどまるわけではなく、アーキテクチャの課題、過度な広告、ページスピードの遅さなどである。

こうした課題は、アルゴリズムのアップデートによるパフォーマンスの低下の要因となりうるのだ。

10.E-A-Tは、対応してすぐに結果を得られるものではない。E-A-Tへの対応には時間が必要だ

SEOの施策の中には、メタデータの最適化や技術的な課題の修正など、更新されたコンテンツをGoogleが再クロールし、インデックスすればすぐに効果を期待できるものもある。

しかし、E-A-Tはこうした類の施策とはならない。なぜなら、直接のランキング要素ではないからである。

Webサイトの信頼性を向上させるには、多くの時間と労力が必要となる。

ユーザーからの信頼を得るには時間がかかり、検索エンジンがその変化を処理するには、さらに時間がかかることもある。これは、E-A-Tの課題が原因で、アルゴリズムのアップデートによるネガティブな影響を受けたWebサイトにとっては、特に当てはまるものだ。

Googleは、次のコア・アップデートがロールアウトされるまで、Webサイト全体の品質の再評価を行わないこともある。そのため、E-A-Tを改善するために行った取り組みへの再評価が行われるまで、少なくとも数か月かかる可能性もある。

しかし、E-A-Tの改善による効果は、SEOのみに見られるものではない。E-A-Tの改善を行うことでユーザー体験の向上が期待できる。その結果、ユーザーはあなたのWebサイト、著者、そしてブランドを信頼することができると、さらに確信を持つようになるのである。

E-A-TはSEOにとって重要です。しかし、唯一の対象項目であることはなく、従来のSEOの取り組みも同時に必要となります。また、Webサイトの領域によって、必要とされる度合いが異なる点についても注意が必要でしょう。数値化することが難しく、また、すぐに効果を期待できるものでもないですが、ユーザー体験の向上につながる可能性のあるWebサイトにとっては、長期的に取り組むべき内容であると再確認することができました。

この記事は、Search Engine Journal に掲載された「Google’s E-A-T: Busting 10 of the Biggest Misconceptions」を翻訳した内容です。

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