2011年ソーシャルメディアの最前線を数字と図版で理解する

公開日:2011/10/27

最終更新日:2024/02/17

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ソーシャルメディアの論客ブライアン・ソリスが、ニールセンが発表したソーシャルメディアに関するレポートを改めて細かく分析した記事を。レポート自体、分かりやすい数字と解説、そして魅力的なビジュアルで流行りのウェブインフォグラフィックを凌駕する内容ですが、そこにブライアン・ソリスの的確かつディープな分析が加わった日には…これ以上ソーシャルの今を理解するものは他にない。 — SEO Japan

この記事は筆者の新著The End of Business as Usual(いつも通りのビジネスの終焉)を紹介するシリーズ記事である

ソーシャルメディアを巡る状況はどうでもいいような問題でもなければ、その分野のエキスパートや第一人者に任せるような領域でもない。ソーシャルメディアは、浸透しており、人々が情報を見つけて共有する仕組み、そして、お互いにつながりを持ち、協力する仕組みを変えつつある。デジタルな社会経済を形成するメディア、そして、文化的な進化とは私が無関係であるかのような言い草だが、実際には私も他の人達と同じようにこのメディアおよび進化の一翼を担っている。しかし、そんなことは皆さんも、そして、私も既に承知しているはずだ 。

ソーシャルメディアは新しい“普通”になろうとしている。この数年で、「ソーシャル」をメディア、ゲーム、コマース、CRM、ビジネス、そして、消費者運動に至るまで、何らかの言葉の前につけるだけのごまかしが終焉を迎え、その言葉が実際に何を意味するのか、そして、ビジネスとメディアの未来にどこまで適用されるのかが明らかになりつつある。

しかし、ソーシャルメディアが文化の骨組みの一部になり始め、さらに実際に私達が目の当たりにしているように、企業、政府、スポーツチーム、そして、その他のほぼ全ての団体がコミュニケーションの取り組みをソーシャル化している一方で、その多くは、メディア自体よりも遥かに重要度が高い取り組みになるとは思えないような取り組みを行っている。事実、ソーシャルメディアは行動に影響を与える効果があるが、決定、そして、最終的には行動に影響を与える力ほど大事なものなど他に存在しない。ソーシャルメディアの状況は、必ずしもどのネットワークが#優勢なのかよりも、どのようにして人々が時間を割き、交流を行い、そして、結びついているのか、そして、その結果として何が起きているのかの方が重要である。

この点を実証するため、先日発表されたニールセンのソーシャルメディアレポートで判明した興味深い結果を詳しく見ていこう。

1) 懐疑派は進歩の邪魔であり、遅れていると思われている。ニールセンの調査によると、と言うよりも現実なのだが、ソーシャルメディアは一時的な流行ではないようだ。このレポートは冒頭で、ソーシャルネットワークとブログの利用が、アメリカ人がインターネットに費やす時間の大部分を占めている(インターネットの利用時間の約25%)と言う重要な調査結果を紹介している。

2) 5人のインターネットのアクティブユーザーのうち4人、つまり普通の人達がソーシャルネットワークを毎日利用している。

3) 米国以外でも10ヶ国の主要な世界のマーケットでソーシャルネットワークとブログはインターネットのアクティブユーザーの75%に浸透している。

4) 製品を調べるために3つ以上のデジタルな媒体を参考にする人の60%が、特定のブランドや小売店の情報を仕入れるためにソーシャルネットワーキングサイトを使っている。また、そのうちの48%はフェイスブックまたはツイッターで投稿される小売店のオファーに反応している。

5) 成人のソーシャルネットワークサイトのアクティブユーザーの70%はオンラインで買い物をしている。

6) 成人のソーシャルネットワークのアクティブユーザーの53%はブランドをフォローしている。

7) タンブラは1年前よりもオーディエンスが約3倍に増加している。

ニールセンのレポートは、事業の構成要素におけるソーシャルメディアの重要性に対しての確証、そして、見解を与えてくれる。しかし、成長を促してくれるのは誰なのだろうか?ソーシャルメディアユーザーのユーザー層とその心理を理解すると、ブランドのストーリーをソーシャルコンシューマーのニーズと行動により効果的に結びつける上で効果がある。ニールセンは、ソーシャルネットワークとブログのビジターの過半数を女性が占めている点を思い出させてくれている。18-34歳の層は全ての年齢層のなかでアクティブなユーザーの割合が最も高い。35-49歳のアメリカ人はソーシャルネットワークを熱心に利用するだけでなく、平均の消費者と比べ、その他のサイトよりもソーシャルネットワークとブログを訪問する可能性が高い。また、以前のレポートでは、ベビーベーム世代もまたフェイスブック等のソーシャルネットワークを利用しており、50歳以上のインターネットユーザーにおける利用者は88%以上増加していることが判明していた。


以前から言ってきたことだが、フェイスブックは進歩的な企業のソーシャルウェブのホームページとして君臨している。ピングドムによると、フェイスブックの8億人と言うユーザーの規模は、2004年のインターネットユーザー全体と同じ規模のようだ。そして、ニールセンも紹介しているように、オンラインで過ごす時間の53.5%をフェイスブックが独占している。

当然ながら、ソーシャルメディアは全体の一部でしかない。消費者がインターネットおよびソーシャルネットワーク等にアクセスする経緯こそが肝要なのだ。ご覧のように、37%のユーザーは携帯電話からソーシャルネットワークにアクセスしている。ソーシャルネットワークは別として、モバイルデバイスのためにオンラインでアイテムを用意していないなら、消費者と接触する大きな機会を見逃していることになる。

消費者のアクティビティは、楽曲へのアクセス、ウェブの閲覧、そして、GPS機能に加え、ソーシャルネットワーキングに大きく集中している。コンテンツおよび1:1の交流を介してのつながりは、新しい時代の消費者主義において関連性および注目を獲得する上で絶対に欠かせない。

ソーシャルネットワークのアプリは2010年の第三四半期から30%も増加している。その先頭を走るのがフェイスブックであり、モバイルデバイスでの利用は25-34歳が29%で飛び抜け、続いて18歳-24歳と35-44歳が共に20%で並んでいる。携帯電話からのソーシャルネットワークへのアクセスは中高年の世代で大幅に増えている。55歳以上のモバイルデバイスの利用は109%にジャンプアップし、35-54歳の層では69%増加している。

ソーシャルネットワークのアクティブなユーザーは、平均的なユーザーよりもオフラインで遥かに大きな影響力を持っている。 消費者が仲間の推薦を信頼すると言う点は理解できるが、NM インサイトが実施した調査では、ソーシャルメディアユーザーの60%が製品およびサービスを精査しており、検討する製品の情報ソースとしてもソーシャルメディアを愛用していることが判明した。上の図を見れば分かるように、オフラインでも効果は顕著に表れている。33%はテレビ番組に関する意見を共有する傾向が見られる。75%は音楽に大幅に時間を割いている。50%近くは服、靴、そして、アクセサリーに夢中のようだ。

ここ数年、私はビジネスが考える消費者のソーシャルネットワークにおける望みと消費者の本当の望みまたは期待の間のギャップを調査してきた。ご想像通り、その差は非常に大きい。ニールセンはさらに一歩踏み込み、ソーシャルネットワークでの消費者の特定のブランドの行動に対する見解を提供している。ソーシャルネットワークユーザーは決定前の段階で、消費者のフィードバックおよび製品の情報収集に時間の大半を費やす。決定する時点で、ユーザーはクーポンやおまけを求める。そして、買い物を行った後、積極的にポジティブな、またはネガティブなフィードバックを行う。その結果、その他のユーザーの決定に影響を与える。

ソーシャルネットワーキングの攻勢は米国のみで起きているわけではなく、世界的な現象、そして、デジタルな生活を送る手段に発展している。ニールセンは、ソーシャルネットワークとブログをオンラインで費やされる時間の目的地の上位として挙げており、以下の国々のアクティブなネットユーザーの少なくとも60%に届いていると報告している:

1. オーストラリア
2. ブラジル
3. フランス
4. ドイツ
5. イタリア
6. 日本
7. スペイン
8. スイス
9. 米国
10. 英国

ソーシャルメディア 1.0の終焉

ソーシャルメディアは、求められていた成熟期に差し掛かっている。つまり、「ソーシャル」と「メディア」が矛盾することなく、企業と顧客がオンラインでつながりを持つ上での、本当の意味での用語として定着しつつあるのだ。ソーシャルメディアは日常業務に混乱をもたらし、何もかもを考え直さなければならない状況に身を置かれている。様々な業務において、一からやり直さなければならないだろう。すべてを再び学び、疑問を投げかけている状況だが、そうあるべきなのだ。創作活動からメッセージの送信、実行、そして、サービス、忠誠に至るまで、ソーシャルとメディアを合体させた交流とリーダーシップの強力な形式として、洗練され、有意義なプログラムを今こそ適用するべきなのだ。

「ソーシャル」が、人々が話し合う仕組み、そして、協力して問題を解決する仕組みにおいて、基本的な構成要素の一つになる日が間もなくやって来るだろう。メディアのソーシャル化よりも、デジタル全体において関係と経験を改善する取り組みの方が重要度は2倍ほど高い。

現在の企業の取り組みについて皆さんは何が違うと思うだろうか?何が通常通りのビジネスの終焉をもたらすのだろうか?


この記事は、Brian Solisに掲載された「The State of Social Media 2011: Social is the new normal」を翻訳した内容です。

余計なコメントを付け加える気もおきないソーシャルメディアの今を理解できる内容でしたが、最後の章「ソーシャルメディア 1.0の終焉」は短いながらソーシャルの現実と本質に迫る内容でした。ソーシャルメディアが成熟期に差し掛かっている分、企業やビジネスに混乱が起きており、根本的な改革を迫られている。。。まだまだ鼻で笑う超一流大企業の方も多いと思いますがさて数年後にどうなっているのか楽しみです。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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