パーソナライゼーションが検索とSEOに及ぼす影響

最終更新日:2024/02/17

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検索技術を検索エンジン会社が取得した特許から読み解くマニアックなブログSEO by the Seaが、パーソナライゼーションと検索に関する総まとめ的な記事を発表していたので紹介します。古くからその技術は存在し、少しずつ導入もされてきた検索のパーソナライゼーションですが(一時は検索結果のパーソナライズド化でSEOが無意味になるなんて話もありました)、意外とその内容について理解していない人も多いのではないでしょうか。この記事を読めばあなたもパーソナライゼーションと検索の関係について堂々と語れるようになる?! — SEO Japan

この記事は数年前にウェブサイト・マガジンに寄稿したものだ。しかし、この記事には検索および検索エンジンの進化について考える上で役に立つ情報が詰まっているため、このサイトでも紹介することにした。その上で、小さな変更を幾つか加えさせてもらった。

検索エンジンは、質素であった初期から大きな進化を遂げている ? しかし、気づいていない人もいることだろう。グーグル、ヤフー!そして、ビング等のメジャーな検索エンジンは、検索の秘密を明かさない。そのため、これらの検索エンジンの仕組みを完全に理解することは出来ない。しかし、それでも検索エンジンは進化をつづけている。そして、次に台頭すると見られているのがパーソナライゼーションである。

検索エンジンは既に2つの主要な段階を通じて発展を遂げ、現在、第3世代に差し掛かっていると言えるだろう。第一段階は、文書内のキーワードのマッチングであり – すべての検索者に、それが誰であろうと、どんな意図があるとうと、同じ結果が表示されるようになった。第二段階は現在に当たる可能性がある。検索者が検索エンジンを利用する経緯を精査し、意図を予測する。最後に、第三段階では、検索者の実際の興味を考慮し、それに沿ったページを推奨する。

第一段階 – キーワードのマッチング

ウェブ、そして、現在の検索エンジンが開発される以前、テキストの文書が詰まったデータベースでの検索とは、クエリ内の用語と文書内の全く同じ用語をマッチさせることを指した。関連性や重要性で文書をまとめる作業は、可能な場合であっても、途方もない作業であった。一部のデータベースの検索は、規定の範囲内で特定の単語が同じ文書に存在する場合のみ文書を見つけることが出来る。例えば、「California beaches」に対する検索では、両方の単語が隣どうしに位置する場合のみ結果をもたらす。

その後、ウェブはハイパーリンクを使ってお互いを結びつけることが可能な相互に接続されたページのネットワークを導入した。検索エンジンは進化を遂げ、単語がページの異なる場所に掲載された場合、その重要性の違いを理解するようになった。例えば、特定のフレーズで検索をかけた場合、これらの単語をタイトルに含むページは、ページの“重要な”部分ではない場所に単語が表示される場所よりも関連性が高いと考えられる。

また、他のページへリンクを張る単語をインデックスすることで、関連性を見出すことが出来る。リンクが向かうページが「deep sea fishing」と言うフレーズをアンカーテキストとして使っているなら、リンクを向けられたページは「deep sea fishing」に関連していると見なされる。ページへのリンクの存在もまた、ページの認識された重要性を決定する上で役に立つ。検索エンジンは、リンクを張られたページの言外の重要度を感じ取るため、ページへのリンクの質および量に関する情報を参考にすることがある。

しかし、この類のキーワードマッチングの効果には限界がある。2人が主要な検索エンジンのいずれかで検索を行う場合、同じ検索用語を使っているにも関わらず、全く異なる情報を探している可能性がある。例えば、コーヒーが好きな人がjavaを検索する場合と、人気の高いプログラミング言語に関する技術的な情報を求めるプログラマーの人がjavaを検索する場合、探している情報は全く異なる。用語「java」には、コーヒー、プログラミング言語、イドネシアの島、あるいは、その他にも意味があるかもしれない。

第二段階 – 検索行動を学習

検索エンジンが進化し、ユーザーにより多くの選択肢(ウェブページ)を提供するようになるにつれ、検索エンジンは、検索に対して洗練されたアプローチで対応する必要性が生じるようになった。検索エンジンの2段階目の発展は、次の質問を投げかけることで始まった: 誰かが検索ボックスに何かしらフレーズを入力した際、その人の意図をどのように把握すればいいのか?

複数のオプションが浮かんだ。検索者に対するプロフィールを作り、彼らの興味に関する情報を – フォームに記入してもらうか、もしくは、デスクトップやeメールの内容を確認するか、または明確に示された興味や暗示された興味を基に、彼らの行動や検索履歴を記録することで、 – 集める。残念ながら、人々は自分の興味に関する個人的な情報を検索エンジンと分かち合うことを嫌がる。また、個人の過去の検索履歴は、今後の意図を予測する上で役に立つとは限らない。

しかし、ユーザーと検索エンジンの間の膨大な量のインタラクションから集めれた情報を収集することは可能だ。検索結果のリストが提供されると、人々はどのページをクリックするのだろうか?javaに対する検索の大半が、プログラミングに関するページを選択するなら、検索結果にはプログラミングのページを多く掲載し、コーヒーに関するページを減らす価値はある。

ユーザーの行動を調査することも可能だ ? どのようにマウスのポインタを検索結果のページで動かしているのか、選択したページにどれぐらいの時間とどまるのか、どれぐらいページをスクロールダウンするのか、その他にも様々なケースが考えられる。

同じユーザーの一連の検索を調査することで、修正した検索行動に対する方向性を垣間見ることが出来る可能性がある。不満の残る結果が表示された場合、どのようにクエリを変更するのだろうか?検索用語は短くなっただろうか?長くなっただろうか?あるいは新しい用語と組み合わされただろうか?あるユーザーの選択した結果(ウェブページ)と同じクエリを用いた別のユーザーの選択した結果を比較すれば、多くの情報を獲得することが出来る可能性がある。検索エンジンは戦略を公開しないものの、この種の分析がウェブのどこかで用いられている点は明白である。人々がストアで検索を実行した際にアマゾン.comが提供するアイテム対アイテムの推奨が良い例だ(この本を購入した人は…にも興味がある)。それでは、検索エンジンが、同じ用語を使って検索した他のユーザーが選択したページを推奨する模様を想像してもらいたい。

検索が行われる際に検索エンジンが集めている可能性のあるその他の情報 – ロケーション、ブラウザで示唆されている言語の好み、または、利用している機器(携帯電話、PDA、またはデスクトップ) – が追加される。

検索エンジンは、選択するサービスを精査することで、ウェブ検索者に関する情報を多く入手することが出来るだろう。検索がユーザーから探している情報を幾つか挙げていこう:

  • クリックした検索結果
  • eメールの通知における関心ごとの選択
  • パーソナライズドされた検索履歴
  • クリックされた広告
  • ブックマークされたページ(デリシャス、ヤフー!Myweb 2.0)
  • 写真のタグ(フリッカー)
  • 注釈(グーグル・サイドウィキ、ツイッター、フレンドフィード等)
  • 検索エンジンをカスタマイズして選択したウェブページ(グーグル・カスタム検索)
  • バーティカル検索で利用されたクエリおよび選択されたページ(グーグル・マップ、ヤフー!ローカル検索、グーグル・プロダクト検索等)
  • 個人のプロフィール(オーカット、マイスペース等)
  • クエリの変更

第三段階 – 人々から学習

ある時点で、検索エンジンは、検索やその他のサービスとのインタラクションに基づくパーソナライゼーションを越えて、ウェブ自体に人々が残した足跡を分析することになるだろう。マイスペースやフェイスブック等の場所のプロフィール、ディグ.comでのディグ、テクノラティでのブログの要求、そして、その他の台頭するウェブサービスを利用することでユーザーは無数のページに自分の判を押すだけでなく、ウェブ全体に自分の痕跡を残すことが可能になり – その他の人やサービスはこの痕跡を調査することが出来る。プライバシーに関して、これが何を意味するのか自分に問いかけてみるとよい。

OpenIDやタイプパッドの認証の構想における識別情報に関連するデジタル署名には、さらに人物および興味に関する見識が含まれている可能性がある。

パーソナライゼーションとSEO

パーソナライゼーションは、人々が検索を行う方法、サイトのオーナーが望むオーディエンスについて学ぶ事柄、そして、SEOキャンペーンの効果の計測 – 特に取り組みの効果を測る手段としてランキングレポートを利用しているSEO企業には – に大きな影響を与えるはずであり、その可能性はとても高いだろう。

検索エンジンの進化途中の段階から学ぶことは出来るのだろうか?パーソナライズドした検索結果を提供する試みの一環として、検索エンジンの取り組みの焦点は、キーワードのマッチングから、検索者の本当の興味について学ぶ局面に移った。キーワードのマッチングは、今でも検索エンジンが結果を返す際に役割を持っているが、検索者から集められた情報は、彼らが目にする結果においてより大きな役割を持つようになりつつある。

数ヶ月前電話で同僚と話していたとき、選んだキーワードにおける最もランキングの高い競合者を特定したと言う話題になった。私は同じ用語を使って検索を試みたが、ランキングのトップを獲得していたと同僚が言っていたサイトを見つけることは出来なかった。私は同僚に閲覧しているグーグルの検索ページの一番上を見て、sign outと言うラベルが張られたリンクが右上に掲載されているかどうか確認してもらったところ、- ある、と言う答えが返っていた。つまり、私の同僚はグーグルにサインインした状態であり、クエリは過去の検索履歴に基づいてパーソナライズドされた検索として取り扱われていたのだ。グーグルでパーソナライズドされていない状態で検索を行ったところ、同僚のサイトは競合者のサイトを上回っていたが、どうやらグーグルにサインした際に、頻繁に競合者のページを訪問していたため、当該のキーワードにおいて自分のサイトよりも高いランクを獲得していたのだ。明らかにパーソナライゼーションはSEO業界に新たな問題を突きつけている。

検索エンジンの行動を推測し、変化を遂げる状況を観察するしか手はないが、SEOの業者、またはウェブサイトのオーナーがパーソナライゼーションの効果を予測する上で実施することが可能なステップが幾つかあるので紹介しよう:

  • ソーシャルネットワーキングのセオリーとオンラインのソーシャルネットワークについて学習する。
  • ランキングレポートの価値が下がっている点を認識し、クライアントと協議する。
  • ログファイルの分析およびウェブの分析ツールを使って、有意義な方法で結果とコンバージョンを計測する方向で調整する。
  • 意図するオーディエンスおよび既存の顧客に関する情報をさらに集める方法を見つける。

この記事は、SEO by the Seaに掲載された「What Personalization Means to Search」を翻訳した内容です。

パーソナライゼーションも個人の検索履歴を超えてウェブ上に存在するソーシャル上の情報や関係性まで考慮するステージに突入しつつあるんですね。だからこそGoogleもソーシャル対応を加速化させている一面もあるのでしょうけど。SEOについては記事にもあるように効果、特に順位測定という面ではやりにくくなっていくかもしれません。とはいえSEO自体は検索エンジンのウェブサイトページの評価を上げる作業という意味ではパーソナライゼーション関係なく必要であり続けるとは思うのですけどね。さて3年後、5年後のパーソナライズド検索はどこまで進化しているのでしょうか? — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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