Googleの検索マスター、アミット・シンガル氏への生中継インタビュー

最終更新日:2024/02/17

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SEO Japanでもお馴染み、サーチエンジンランドの運営会社が行っている検索マーケティングの一大イベント「SMX」が現在ロンドンで行われています。イベントのハイライトセッションの1つ、Googleで最も優れたエンジニアに与えられるサーチフェローの称号を持ち、検索アルゴリズムから最近のサーチ・プラス・ユア・ワールドの統合までGoogle検索に関して最も影響力のある人間ともいわれるアミット・シンガルにダニー・サリバンが行ったインタビューのレポート記事をを早速紹介します。 — SEO Japan

サーチエンジンランドのダニー・サリバンとクリス・シャーマンが、SMX ロンドンのステージに上がり、アミット・シンガル氏にインタビューを行っている。アミット・シンガル氏はグーグルフォローである。グーグルフェローとは、グーグルで実績の高いエンジニアに贈られる敬称であり、シンガル氏はグーグルのコアのランキングチームを2000年から引っ張っている。同氏はまたサーチ・プラス・ユア・ワールドのインフルエンサーでもある。これは、人物に焦点を当てたグーグルの検索エクスペリエンスであり、自分の世界 – 写真、友達、アイテム – から検索で個人的な結果を見つけることが出来る製品である。

クリス・シャーマンがステージに上がり、グーグルのバイスプレジデントであり、グーグルフェローでもあるアミット・シンガル氏の紹介を行っている。クリスは、シンガル氏が生活したことがある国/街をグーグルマップを使ってビジュアル化し、同氏の経歴を紹介している。シンガル氏はミネソタ大学で科学修士課程を修了し、AT&T(ベル研究所)に勤務した後、グーグルに入社した。

シンガル氏は紹介に感謝し、子供の頃の思い出、そして、スタートレックを見て成長した少年時代について語った。同氏は話しかけられるロボットを作ることを夢見ていたようだ。長年の間、学生として言語ソフトウェアの開発に取り組み、この夢を実現することが出来るとシンガル氏は信じていた。2010年、同氏はグーグルに向かい、セルゲイ・ブリン氏に「グーグルの検索エンジンは優れていますが、私に書き直させて下さい!」と述べ、新しいランキングシステムが誕生したのであった。

次にシンガル氏は、キーワードだけにとらわれずに、複数の意味を持つ同じワードに対処する取り組みに参加した経緯について説明した: ユーザーの意図をどのように理解することが出来るのだろうか?Apple(ソフトウェア)vs. Apple(フルーツ)は検索の第一世代であった。コンピュータが2つのAppleの違いを理解するようになった時、検索テクノロジーが飛躍的に進歩した。この進歩にシンガル氏は胸を躍らせたようだ。

過去5年間、アミット・シンガル氏は、子供の頃の夢を実現する寸前のところまで来たと実感している。同氏の夢を実現する前に多くの難問を解決しなければならないものの、シンガル氏は、グーグルが正しい方向に進んでおり、また、この夢を実現することが出来ると考えているようだ。「コンピュータは物事を理解するのではなく、文字列を理解する。」そして、異なる意図を識別する方法をコンピュータに教えるのはグーグルの仕事であると同氏は力説した。

続いてダニー・サリバンがユニバーサル検索、そして、グーグルがサーチ・プラス・ユア・ワールドに進化した経緯を説明している。サーチ・プラス・ユア・ワールドはグーグルにどのような影響を与えているのだろうか?とダニーが質問した。シンガル氏によると、サーチ・プラス・ユア・ワールドを実施する主な目的は安全な検索を得ることであり、グーグルの夢を実現する1歩目を踏み出したようだ。また、データによるとユーザーはこのパーソナライズされた結果を気に入っているようだ。また、この製品は、パーソナライズされた結果からワンクリックで削除する機能をユーザーに提供している。現在、グーグルは、パーソナライゼーションエンジンの分析および改善を行っている。

今度はクリスが、パーソナライゼーションは、ユーザーに同じ結果を与え、新しい結果を見つけることが出来なくなるため、結果を狭めてしまう可能性があると反論した。アミット・シンガル氏は、いかなる検索結果において異なる視点があるはずであり、グーグルはこの指摘に気づいており、パーソナライズされた結果と非パーソナライズされた結果のバランスを取っていると答えた。

ダニーは、パーソナライゼーションをユーザーが求めていないと結論付けたピューリサーチの調査に言及した。シンガル氏は、「私は科学者であり、調査を考察する際は、質問のされ方に注目する」と答えた。同氏は、この調査について意見を述べ、そして、パーソナライゼーションがグーグルのユーザーに価値をもたらすと述べた。するとダニーは、「パーソナライズされた結果の何パーセントがクリックされているか知っているだろうか?」と尋ねた。シンガル氏は、ユーザーが今まで以上に検索でクリックを行うようなっており、検索ページからのCTRが上がっていると主張した。

クリスが、ビングのソーシャルの取り組みに触れ、グーグルの取り組みとの違いを述べた。アミット・シンガル氏は、「パーソナライゼーションの大きな問題は、他の誰かが別の人のパーソナライズされた結果を判断することが出来ない点である。」と述べた。だからこそグーグルはユーザーが結果を気に入っているかどうかに関するデータに注目している。サーチ・プラス・ユア・ワールドは、ユニバーサル検索と同じアプローチを採用しており、ユーザーが結果で何を見つけようとしているのか理解する必要がある。

今度はダニーが、ビングがツイッターとフェイスブックと統合を行い、この取り組みがユーザーにとっていかに役に立つかを説明した。グーグルも同じことを今後行うのだろうか? シンガル氏は、ツイッターとの契約は満了したと述べた。ツイッターとフェイスブックの情報は隠されているため、グーグルは両者の情報を加えることは出来ないようだ。このような状況下であるため、統合はなかなか進んでいない。

次にクリスは、多くのアップデートを抱えるグーグルの進化のプロセスの仕組みについてシンガル氏に質問した。グーグルは実施するアップデートをどのように判断しているのだろうか? グーグルは、あらゆる不備のある検索結果がシンガル氏のチームに送られる内部のシステムを利用している。 このシステムに基づき、それぞれのエンジニアに問題の検索が割り当てられ、解決策がサンドボックスでテストされる。次にエンジニアはアップデートの前後の結果を説明し、アップデートがA/Bテストを介してテストされる。エンジニアは結果について議論を行い、この一連の作業は全ての局面で優れた変化が見つかるまで行われる。このプロセスを終えた後、変更は僅かな確率の実際のユーザーのトラフィックに対する生産環境に送られ、CTRの変化を確認する。この結果に基づいて、第三者のアナリスト(グーグルのスタッフ)がレポートを作成する。 レポートに基づき、グループによるディスカッションを行い、変更を実装するかどうかを判断する。とても科学的なプロセスである。これらのセッションの一部に関する動画を見ることが出来るので、この投稿に目を通してもらいたい。

ダニーがペンギンの話題に触れ、グーグルの視点では、検索結果が改善されているのかどうかを尋ねた。アミット・シンガル氏は、最終的にユーザーは最も関連する結果を提供する検索エンジンを利用するはずだと断言した。グーグルの目的は品質の高いサイトに見返りを与えることであり、ペンギンはこの目的を達成したようだ。 ユーザーが最も良いと感じる結果を計測することが可能な検索エンジンこそが、成功を収めることが出来ると言う事実は、検索エンジンを運営する取り組みのメリットの一つである。

グーグルは、利用することが可能な200を超えるシグナルを用いている。グーグルは、シグナルが正確であり、良質である点を裏付けなければならない。自然であるかどうかは別として、グーグルはありとあらゆるシングナルを採用する。するとクリスが、リンクグラフについて語り、リンクグラフは常識になりつつあるものの、ナレッジグラフはどうなっているのか尋ねた。グーグルはユーザーが探している答えをユーザーに返すことを望んでおり、これこそがグーグルを突き動かす動機である。グーグルは、ユーザーが正しい答えを返すことが出来るように、それぞれのクエリの本当の意味を理解する取り組みへの投資を徐々に増やしている。

ダニーが、バーティカル製品におけるペイドインクルージョンに関する質問を行った。以前、この取り組みはグーグルのポリシーに違反していた。アミット・シンガル氏は、なかには自然に答えられない検索もあり、グーグルはこのようなデータを得るためにデータプロバイダーと関係を構築しなければならない点に気づいたと述べた。徹底的に安全性を高め、ユーザーと正直に接するため、グーグルは自然な結果とは異なるデザインを採用し、さらに明確にするためスポンサーと呼び始めた。

次にクリスがコミュニケーションを行う機械を作る夢について尋ね、また、この機械がグーグルの利用をどのように変えるのかシンガル氏に質問した。同氏は、このような変化はほんのわずかな進歩であり、すぐに何かが変わるわけではないと述べた。また、シンガル氏は、口頭の検索の例を出し、このデータが僅かしかない現状を述べ、グーグルはこのデータに応じて適応していくだろうと答えた。

検索結果が、グーグルの収益によって計測されているのか、もしくはユーザーに対する関連性によって計測されているのかを問う質問が出た。シュミット氏は、収益は全く考慮されておらず、検索の品質を決定する際は関連性のみが考慮されると断言していた。

シンガル氏は、ユーザーに対して優れた検索エンジンを構築すると、優れた結果を期待し、さらに多くの質問を尋ねるようになるため、ユーザーはさらに好奇心を高めると述べた。関連する結果を提供することで、さらに検索を行う時間をユーザーに与えることになる。

さらにクリスの質問は続く: グーグルが到達した範囲はとてつもなく広いため、グーグルのすべてを知っている人はいるのだろうか?シンガル氏は、検索、広告、そして、その他の大きなグループを含む“エンティティ”をよく理解しているシニアエグゼクティブはいるものの、すべてを理解している人物はいないと答えた。

ダニーは、アミット・シンガル氏が出会った面白い検索を尋ねた。するとシンガル氏は、「耳のおかげで、太っているように見えるか?」と言うクエリに遭遇したことがあると答えた。同氏は笑いながら、「なぜグーグルにそんなことを訊くんだ。自分で確かめればいいのに」と述べていた。

最後にシンガル氏は、検索の質に影響を与え、様々な意味で世界を改善することが出来るこの仕事は、最高の仕事だと語った。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Live Blogging: Interview with Amit Singhal, Google Fellow」を翻訳した内容です。

Q&Aセッションだけに、単発的な質問と回答の繰り返しにはなっていますが、検索マーケティング、特にSEOに関わる人であればそれなりに楽しく読める内容でした。アップデート実施のプロセスなどは想像はついても改めてGoogleの検索トップ自らに語られると納得できますね。思ったより、Googleに関連する議論に突っ込んでいないな、という印象を受けましたが多分サンフランシスコやシアトルで行うよりは初心者が多そうなロンドンだからですかね。とりあえず最後のGoogleの全貌を全て理解している人はGoogle社内にもいない。。。というのは「そりゃそうだよな」と思うと同時にSEO業者にとってもクライアントの質問に答えられない時の言い訳にもなりそうで良かったかもです。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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