Googleのトップ二人が語り尽くしたGoogleの現状と未来

最終更新日:2024/02/17

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Googleがパートナー向けに定期的に行っているカンファレンスにてラリー・ペイジとエリック・シュミットがGoogleについて語り合うという他のどんな検索系イベントでもありえない夢のトークセッションがありました。サーチエンジンランドのダニー・サリバンがその内容を詳細に報告してくれたので早速紹介します。創業のきっかけ、検索エンジン、Google+、YouTubeにアンドロイド、モトローラ買収に経営スタイルの変化まで、、ウェブの世界で仕事をする人なら興味津々の内容が盛沢山です。– SEO Japan

グーグルのツァイトガイストカンファレンスの季節がやって来た。ツァイトガイストカンファレンスは、主要なパートナーおよび広告主向けの最大のイベントである。そのカンファレンスのとりを飾ったのは、CEOのラリー・ペイジ氏と会長のエリック・シュミット氏による夢のトークセッションであった。以下に私のライブブログを提供する。グーグルがグーグル自体に恐れることはないと答えたページ氏の発言でこのセッションは幕を閉じた。

ペイジ氏は、参加者が一昨日と昨日のセッションで刺激を受けてもらえたら本望だと語っていた(刺激を与えるパネルを介してインスピレーションを与えることは、ツァイトガイストの重要な側面の一つである)。そして、企業および提携者で構成されるオーディエンスに感謝していた。

ペイジ氏は12歳のときに発明家のニコラ・テスラ氏の自伝を読んだようだ。「私は大人になったら発明家になりたいと思っていた。」テスラ氏は常軌を逸した科学者のような発明家であった。しかし、この本を読み終えると、同氏は泣いたようだ。世界最高の発明家になったとしても、それでも負け組の烙印を押されてしまうからだ

それ以来、何かを成し遂げることが可能な企業を作ることが同氏の目標になった。「誰もが愛用し、全ての人々に影響を与えるテクノロジーを作りたい。」とペイジ氏は述べていた。

グーグルが13年目を迎えた点に関して、グーグルがいつ“頃”生まれたのかを問う議論が必ず行われる。成功するためにグーグルは何をしたのだろうか?ユーザーに焦点を絞り、素早く反復する姿勢が同社に成功をもたらしたようだ。

なぜ検索が選ばれたのだろうか?ペイジ氏は、スタンフォード大学で、ランキングの改善に関するリサーチを行ったようだ。当時検索エンジンで「大学」と入力すると、関係のないウェブページが選ばれていた。大学と言う言葉を含んでいるだけのページが掲載されていたのだ。検索エンジンの関係者に語りかけ、なぜこのような結果を出すのかを尋ねたところ、ユーザーの過ちだと言う答えが返ってきた。

「だからこそ検索エンジンを構築したかったのだ。私達はユーザーに焦点を絞っている検索エンジンが存在しない点に気づいていた。これは世界中な様々な製品に共通する。」とペイジ氏は話した。

グーグル+に話題が移った。「とてもワクワクしている。」「グーグルの全てのユーザーとより親密な関係を構築したかった。全ての製品を統合して、ウェブの利用を現実の生活に近づけたいと望んでいる。」

「また、モバイルにおいても優れたユーザーエクスペリエンスを実現したかった。コンピュータのようにモバイル機器を使ってもらいたいのだ。グーグル+の魅力は、携帯電話で自動アップロードを行える点だ。“これは魔法のような経験”であり、共有することも可能だ。」

ハングアウト機能を介してグーグル+で金曜日にコンサートを行うウィル・アイ・アムが話題に上がった。グーグル+は検索においても役に立つだろうとペイジ氏は述べた。何度もグーグルプラスに関して“本当にワクワクする”と述べていた。

次にアンドロイドの買収に話は移った。グーグルがアンドロイドを買収した際、アンドロイドはまだ小規模な会社であった。アンドロイドは、革命を起こすオープンソースのプラットフォームを構築することを夢見ていた。「正気ではなかった。」とペイジ氏は述べた。クローゼット一杯に壊れた電話機が溢れていた。しかし、焦点を絞り、献身的に働き、最終的に目標を達成した。

「私は同じ映画を何度も何度も見る。」「当時、アンドロイドは常軌を逸していると思われていた。クロームもそうだ。「さらにブラウザーを増やすのはなぜか」と言う声が多かった。しかし、クロームは1億6000万人ものユーザーに利用されており(と思う)、ますます成長している。ディスプレイについて、「何をするつもり」だとグーグルに疑問の声を投げかける人がいた。しかし、ディプレイネットワークは成長し、ウェブ上の様々なコンテンツに資金を投じている。」

マーク・キューバン氏がユーチューブの買収するべきではなかったと主張しているが、受け入れられない。過去3年間で広告の収益は連続で3倍増加している(と思う)。

テクノロジーにおいてはまだ早い段階であり、大抵の人達は、来年を過大評価し、今後の5年間を過小評価している。

オンラインで交流するために私達が利用するツールは、今後5年間で大幅に変わるだろう。5年前を振り返ると、ソーシャルネットワーキングのツールは存在していなかった。効率を改善する余地は残されており、前に進むのがさらに楽しくなる。全力でグーグル+を介してこのようなツールを私達は構築しようとしている。

電話の話になった。コンピュータ並みにパワーアップしている。場所を把握し、常にユーザーと行動を共にしている。電話の機能は世界を変えるだろう、「そして、まだ始まったばかりである。」とペイジ氏は述べた。グーグルウォレットの話になった。グーグルウォレットのおかげで買い物が“素晴らしい経験”になる。しかし、あくまでもこれは氷山の一角である。

「グーグルは世界を良くする責任を負っている。」だからこそペイジ氏は自分の仕事を愛しているのだ。

エリック・シュミット氏を檀上に迎えた。シュミット氏は、コーリー・ブッカー氏の言葉を長々と引用していたが、聞き取れなかった。出版物の修正が行われ、そして、Q & Aセッションに移った。

質問: 最初の数年間よりも最近の数年間の方が楽しいか?

ラリー・ペイジ氏:「最初の数年間はストレスが溜まった。」 するとシュミット氏が「現在とは対照的に?過去には破産寸前まで追い込まれたことがある。請求書の支払いが滞り、現金制限プログラムを適応された。全くふざけたプログラムだった。」と割って入った。すかさずペイジ氏は「最初の数年間はストレスが溜まった」と繰り返し、会場が笑いで包まれた。ペイジ氏は、その後状況は徐々に改善されていったと述べた。

ジョン・バッテル氏からの質問: 過去、検索=グーグルだったが、どのようにグーグルブランドは前に進んでいくのか?

ラリー・ペイジ氏: 「ブランドが信頼されること、つまりグーグルがユーザーのことを考えて行動していると思ってもらうことは重要だと私は考えている。」そして、ペイジ氏はセキュリティに触れた。「純粋なテクノロジーの美しさ、そして、イノベーション – ユーザーにとって大事なことのために戦うべきである。」

質問: モトローラの買収は、グーグルにとって、大きなリスクを背負う新しい時代の幕が開けたことを意味するのか?そして、どのように吸収するつもりなのか?

ラリー・ペイジ氏: 「確かに大きな買収ではあるが、残念ながら時価総額が2倍に上がるわけではない。この点に関しては、大きな変化はないと言えるだろう。企業は常に未来に向けて投資しようと心掛けている。」そして、ペイジ氏はユーチューブに触れ、「私達はこのようなリスクを負えるように全力で取り組んでおり、チャンスだと考えている。」と述べた。「モトローラは他の会社よりも早くアンドロイド化しており、“とても自然な提携”だと考えている。」

質問: 特許からのテクノロジートランスファー、事業開発の創出、そして、大学の塀の中で隠れたポテンシャルを外に出すために出来ることはもっとあるのではないだろうか。

エリック・シュミット氏: 「スタンフォードはグーグルにとても好意的であった。」そして、ラリー・ペイジ氏は「確かに。私達は株の一部をスタンフォード大学に譲渡した。スタンフォードは、教授陣に会社を始めることを許可し、再び大学に戻り、経験を伝えることで、文化が育っている。私達がグーグルを始めたとき、教授の方々が実業家の人々を紹介してくれた。この類の文化は他の大学ではあまり育っていないだろう。特許に関しては、グーグルは何度も訴えられてきたが、今まで誰も訴えたことはない。それでもうまくいっている。」と答えた。

質問: 経営のスタイルはどのように変わっていったのか?

エリック・シュミット氏: 「私達は賢くなっていった。グーグルでは常に徹底した経営体制を敷いている。経営陣として、私達は世界中がうらやむデータ分析を利用して、規模に併せて経営を行う術を見つけた。ランダムに推測することも可能だが、データで裏付けていなければならない。ラリーは、このような厳しい環境に耐えられるかどうかに関して、素晴らしい判断力を持っている。」

ラリー・ペイジ氏: 先日、グーグルは製品エリアに焦点を絞るために組織を変更した。どんな会社においても、静的ではないなら、成長するにつれ、組織を再編成しなければならなくなる。グーグルのビジネスはとても複雑であり、ユーチューブからアンドロイドに至るまで、すべて異なるのだ。ユーザーエクスペリエンスに“しっかりと焦点が絞られている”点を私達は確認している。異なる時間帯を採用する場所にオフィスが多く、会議を行う方法を常に変えていく必要がある。」

エリック・シュミット氏: 「私達のように瞬く間に成長する企業の重役はほとんどが30代だ。5年後、経験豊かな歴戦の勇者になっている。」

質問: 13年後、または20年後、グーグルはどうなっているのか?想像することすら可能なのだろうか?

エリック・シュミット氏: 「ムーアの法則では継続的に成長していく。」ラリー・ペイジ氏は、「グーグルをポケットの中で運ぶ時代がやって来るかもしれない。」と口を挟んだ。「何が出来るようになっているかを考えると興味は尽きない。」とシュミット氏は続けた。

ラリー・ペイジ氏: 「大学生の頃、車の自動運転は不可能だと思えたが、データを見ると、不可能ではないことが分かる。」

エリック・シュミット氏: 「グーグルのコンピュータ運転式の車は、飲酒運転時のラリーよりも運転が上手なはずだ。そこから始めよう。」

ラリー・ペイジ氏: 「人間が運転することで時間の無駄となり、そして、人が無益に亡くなる。テレビを見たり、または広告を見たり、他のことが出来る。きっかけ作りも私達の役目の一つである。」

エリック・シュミット氏: 「利益が多いため、このような活動を行える余裕がある点はグーグルの特権である。」

質問: しかし、方向性を失わないように、どのようにして境界線を設けているのか?

ラリー・ペイジ氏 「大抵の企業は従業員を増やしても、新しい事業を始めるわけではない。グーグルは従業員を増やすにつれ、新しい事業を始めている。占いを始めるようなものではなく、もっとスケールの大きい事業でなければならない。」

質問: 今よりもコミュニケーションをよくするために何をしているのか?

ラリー・ペイジ氏: 「私達は大事な役目を背負っており、インターネット、そして、その仕組みを改善しようと試みている。情報がどのように伝わっているのか、何に人々は集中するべきなのかを誰かに尋ねてもらいたい。今よりもコミュニケーションは改善されるはずだ。企業や政治家に訊いてもらいたい。人々が何に注目するべきなのかに関して、同じような問題を持っているだろう。」

質問: 「お大事に」カードをヤフー!に送るとしたら、どんなメッセージを綴るのか?

エリック・シュミット氏: 「元競合者に対する私の卑劣なコメントはさておき、グーグルはグーグルについて話すべきだ。しかし、ヤフー!は長期間にわたってパートナーでもあり、またライバルでもあった。ヤフー!はリーダーシップの問題を解決するべきだと私は思う。それしか私には言えない。」

質問: グーグルは飛躍的な成長を遂げているが、そのために優秀な人材と大卒の人材が必要になる。そのためにグーグルは何をするのか?

ラリー・ペイジ氏: 「私は大学はもっと成長するべきだと口論している。コンピュータ科学者になることにワクワクしてもらえないのは大きな問題だ。ウィル・アイ・アム氏とも魅力を増すにはどうすればいいか話し合った。名称や専門用語がダサイ。これは全てエリックのせいだ。」

エリック・シュミット氏: 「アメリカへの移民政策が愚かであり、バカバカしい。修正する必要がある。」

スティーブン・レヴィ氏からの質問: グーグルの成功にとって最大の脅威は何か?

ラリー・ペイジ氏: 声高に「グーグル」と発言した。

エリック・シュミット氏: 「グーグル規模の企業の問題は、常に内部に存在する。」

ラリー・ペイジ氏: 「だから私はグーグルと言った。」[オーディエンスから笑い声が漏れる]

エリック・シュミット氏: ラリー・ペイジ氏のメモに触れ、「大企業の最大の敵は己であり、ラリーは独特の才能を活かして、断固とした態度を持って取り組んでいる。」と述べた。

ラリー・ペイジ氏: 「決定が遅い企業は良い企業ではない。早く決断出来る企業のみ良い企業と言える。」

次にモトローラに関する質問が投げかけられたが、聞き逃してしまった。

質問: 最大の過ちは?

ラリー・ペイジ氏: 「以前、私達は当初ヤフー!の広告取引を実現することが出来なかった。何をすればいいのか話し合った。軍資金が足りなかったのだ。そのため、十分な資金を持ち合わせていなかったと言う過ちを私達は犯した。」

エリック・シュミット氏: 「良い年や悪い年を選ぶのは難しい。全て良い年だからだ。必ずどこか別の場所で勝っている。全体を見て判断しなければならない。そして、個人的には、総合的に見て良いと私は考えている。」

ラリー・ペイジ氏: 「遡って会社を経営することは出来ないのはもどかしい。」

質問: グーグルを褒めちぎる発言。かなり長かった。

エリック・シュミット氏: 「どうも。ベトナム戦争中、情報の伝達にとても時間がかかったことを思い出した。ラリーが説明したビジョンを採用すれば、今後50年間における社会における変化もまた劇的なものになるだろう。」

ラリー・ペイジ氏: 「その通り。そろそろ皆さんを飛行機に乗せた方がいいかもしれない。」[オーディエンスがどっと笑う]

これでトークセッションは終了した。飛行機と言えば、私も飛行機に乗り遅れそうだ。タイプミスがあったら申し訳ない。。

PS:昨夜、一緒に楽しく食事を取ったウォールストリートジャーナルのアミル・エフラティ氏、そして、ニューヨークタイムズのクレア・ケイン・ミラー氏は、それぞれこのイベントの取材記事を投稿している。ウォールストリートジャーナルの記事はここ、ニューヨークタイムズの記事はここをクリックすると読める。

また、オールシングズDのピーター・カフカ氏は動画がリリースされたと伝えている。つまり、本日のトークセッションをじかに楽しむことが出来るのだ。動画にアクセスするならここをクリックしよう。また、この下に東大の動画を埋め込んでいるので見てもらいたい。ペイジ氏による、グーグルはグーグルについて警戒するべきだと言う発言は、38分ごろ始まる。

YouTube Preview Image


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Larry Page: Biggest Threat To Google? “Google”」を翻訳した内容です。

最近参加した、聞いたり読んだトークセッションの中でも最高レベルの興味深い&面白い内容ですね。こういう内容はやっぱり関係者向けになってしまうのでしょうか?全ての話が面白く、名言満載だったのですが、Google創立のきっかけが「学生の時、検索エンジンの人に”なぜ関係ない結果が出る?”と聞いたらユーザーの検索ミスといわれたので検索エンジンを作ろうと思った。」という話は初めて聞いたのでビックリしました。脚色が入っていそうな気がしなくもないのですが、Googleのような世界を代表する大企業でも初めは自身の問題を解決するサービスを作る、という起業の基本から始まったのかと思うとどこか感慨深いです。Facebookも頑張っていますが今後のGoogleからもますます目が離せません! — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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