Googleのエマニュエルアップデートは著作権侵害サイトを殺す

Googleがパンダ、ペンギンに次いで送り込む次の刺客はどの動物だ?なんて思っていたら、突然リリースされた「エマニュエル」アップデート。エマニュエルといえば、坊や夫人しか思い浮かばないついに40大台越えの私ですが、今回のアップデートはSEOより著作権侵害サイト対策に関する内容ということで、動物路線とは違ったネーミングなのでしょうか。名前はともかく、その内容をサーチエンジンランドが早速解説。 — SEO Japan

大量のDMCA「削除」要請を受けているだろうか?受けているなら、注意するべきである。グーグルの検索結果のランキングを下げる最新のペナルティを受ける可能性があるからだ。「パンダ」や「ペンギン」等のペナルティに新たに仲間が加わるのだ。私達はこのペナルティを促したハリウッドの大物、アリ・エマニュエルに敬意を表して、“エマニュエルアップデート”と呼ぶことにした。

グーグルを嫌うハリウッド

グーグルは、ここ数年間にわたって娯楽業界から批判を受けていた。その結果、一部のコンテンツオーナー達はグーグルとの取引を自制する動きに出ていた。

アリ・エマニュエル: AllThingsD

今年開催されたD カンファレンスで、ウィリアム・モリス・エンデバー社の共同CEOを務めるアリ・エマニュエル氏が、グーグルは本気になれば著作権を侵害したコンテンツを除去することが出来ると不満を漏らし、この発言は大きな注目を集めた。エマニュエル氏は次のように発言していた:

グーグルに結果を検閲してもらいたいわけではないが、この問題を解決することが可能な優秀な人材をグーグルは抱えているはずだ。」

例えば、グーグルはフィルターを行うことが可能であり、実際に児童ポルノのフィルタリングを行っている。既に実証済みなのだ。盗むのも、児童ポルノもよくないはずだ。

この問題を議論する動画は視聴する価値がある。47分頃からこの話題を取り上げている。ここをクリックして、確認してもらいたい。その後、グーグルは、AllThingsDが取り上げているように、そんなに簡単ではないと反論していた:

「グーグルのスーザン・ウジスキ氏は、ステージ上で“エマニュエル氏は勘違いしている。大きな勘違いをしている”と反論した。“グーグルは著作権を基にビジネスを構築するつもりはない”と述べたウジスキ氏は、“一目で見分けることが可能な児童ポルノと比べ、コンテンツを見ても、著作権を持っているかどうかを判断することは出来ない”と発言した。」

著作権侵害の検知

しかし、実際にはグーグルが著作権の侵害を推測することが可能な手段が存在する。デジタル・ミレニアム・コピーライト・アクト“削除”要請を利用する手である。

この要請は、グーグルからコンテンツを削除する方法の一つであり、誰でも請求を行うことが可能である。ただし、著作権侵害の証拠ではなく、主張でしかない。異を唱えることも可能である。しかし、グーグルは全ての要請を評価しており、妥当と見なされるとコンテンツは削除される。

この要請を申請するのは面倒であり、個別のウェブページのみが削除の対象である。巨大なエンターテイメント企業の場合、もぐら叩きゲームを行うようなものだ。しかし、現在、グーグルはこの方針を転換し、ページごとから、サイトごとに対象を切り換えようとしている。来週から、多くの削除要請を受けているページを持つサイトは、グーグルの検索結果でランキングが落ちると見られている。本日の投稿の一部を以下に掲載する:

来週からグーグルはランキングで新たなシグナルを考慮するようになります。それは、グーグルがサイトに対して受けた正当な著作権侵害による削除の要請の数です。削除通知を多く受けたサイトは、ランキングが下がる可能性があります。

なぜ今?

今までなぜこの取り組みを行わなかったのだろうか?個人的には、グーグル – パートナーシップを求める事実上のコンテンツ配信企業 – は、結果に著作権を侵害したコンテンツが表示されると言う恥ずかしい状況に対応する必要があるとついに判断したのではないかと考えている(ビングでも同じことが起きているが、ハリウッドは気にしていない)。 グーグル側は、この変更は必要とするデータを得たためようやく実施することが出来るようになったと主張している:

グーグルは2年前に著作権侵害の削除のシステムをリブートして以来、オンライン上の著作権を侵害しているコンテンツに関して、所有者から遥かに多くのデータを得られるようになりました。事実、現在グーグルは2009年に得た著作権侵害の通知の合計を超える通知を毎日受け、処理しています – 過去30日間で4300万を超えるURLを処理しました。このデータをシグナルとして検索の格付けにおいて利用していきます。

正当な要請とは?

しかし、実際には正当ではないものの、グーグルがクレームを認めてしまった場合はどうなるのだろうか?実際にこのような状況が発生する可能性はある。「正当」とは、適切な手順を踏み、グーグルが異議の申し立てを受けない状況を指すと私は理解している。以下に投稿の一部を掲載する:

認可されているかどうかを把握しているのは著作権の保有者のみであり、著作権が侵害されているかどうかを決定することが出来るのは法廷だけなのです。グーグルは、特定のウェブページが著作権法を違反しているかどうかを判断することは出来ません。つまり、この新しいシグナルは検索結果の一部に影響を与える一方で、正当な著作権侵害の通知を権利の保有者から得られない限り、ページを削除しません。また、誤ってコンテンツが削除されたと考えているユーザーが元に戻すことが出来るようにカウンター通知ツールを今後も提供していきます。

通知が正当であったとしても、グーグルは時折(3%)要請を拒否する場合がある。ここで滑稽な例が提供されている。

誰が影響を受けるのか(& なぜユーチューブはペナルティを免れるのか

ペナルティを受ける可能性があるサイトをある程度特定したい人に向けて、グーグルは、多くの要請を受けているドメインをリストアップするグーグル・トランスペアレンシー・レポートこのページが第一歩になると述べていた:

しかし、グーグルは、サイトがこのページにリストアップされているからと言って、ペナルティを必ず受けるわけではないと明言している。これは一般的な指針であり、多くの通知を得ているサイトを挙げているだけである。

このページがウェブ検索の削除通知のみを取り上げている点に注目してもらいたい。それでは何が欠けているのだろうか?同サイトは次のように説明している:

  • グーグル検索以外の製品に対する要請(ユーチューブやブログスポット等)は対象外です。
  • ファックスや書簡等、グーグルのウェブフォーム以外の手段で投稿された要請は対象外です。

ユーチューブは大量のDMCA要請の的であり、コンテンツの削除は四六時中行われている。ユーチューブは多くのDMCA要請を受けているため、エマニュエルアップデートによって降格される。しかし、実際にはユーチューブのランキングが落ちることはないだろう。この点に関する詳細は、「ユーチューブが新しい著作権侵害のペナルティを免れる仕組み」 & 「Google – YouTube等、人気の高いサイトは著作権侵害ペナルティを逃れる」(日本語)を参考にしてもらいたい。

エマニュエルはペナルティ?

ここで名称に話を戻そう。コンテンツファームおよび質の低いコンテンツが検索結果を埋め尽くしていると言うクレームに対応する形で、グーグルはパンダアップデート(日本語)を2012年の2月にリリースした。このアップデートは定期的に実施され(ほぼ1ヶ月に1度のペース)、ペナルティを与えられるべき新しいコンテンツが存在するかどうか、もしくは、質の低いサイトが改善されたかどうかを判断している。

今年の4月、グーグルは新たなフィルターとなる、ペンギンアップデートをリリースした。このアップデートも定期的に実施されており、とりわけスパムを過剰にスパムしているサイトをターゲットにしている。

グーグルは、今回のDMCAベースのアップデートに名前を与えていない。毎回アップデートやフィルターに名前をつけるわけではなく、今回も名前を与えるとは思えない。そのため、私達はグーグルに先んじて名前を与えてきた。

ペンギンの時と同じように、エマニュエルはペナルティではなく、「調節」(日本語)だと主張するかもしれない。新しいシステムが導入されると、エマニュエルの攻撃を受けたサイトはペナルティを受けるのではなく、ただ単に見返りを与えられなくなるだけである。

調節かどうかに関係なく、影響を受けたサイトにとってはペナルティのように感じられるだろう。検索結果の1ページ目から脱落し、事実上、ユーザーに見てもらえなくなる。恐らく、定期的にチェックされるシグナルになると私は推測している(現在、確認中)。そのため、通知が時間の経過とともに少なくなると、ランキングが回復していく可能性がある。

PS: グーグルは、このプロセスの仕組みを詳しく説明するのは時期尚早であり、アップデートを行いながら、“調節していく”と述べていた。

冤罪?

常軌を逸したグーグルの検索結果の世界はさらに悪化しつつある。劣悪なリンクを向けてサイトに被害を与える懸念にDMCA要請が加わり、パブリッシャーの心配の種は増える一方である。

しかし、少なくともDMCA要請に関しては、申請が遥かに難しく、申請者の名前は記録に残る。

デジタル著作権保護団体のパブリック・ナレッジは、ブログで包括的なエントリを投稿し、懸念を表明しつつも、落ち着くよう呼び掛けている。結論の一部を以下に掲載する:

グーグルの新しいポリシーが、コンテンツの正当なソースを見つける上で、正当な著作権の保有者の利益を保護する上で、そして、法を順守するサイトをペナルティから守る上で役に立つなら、全ての関係者にとってプラスに働くだろう。しかし、このポリシーを含むあらゆる新しいシステムは、潜在的な危機、そして、意図とは異なる結果をもたらす可能性があり、また、濫用されるリスクもある。グーグルは間違いなくこの点を把握しているはずだが、グーグルが生じる問題にどのように対応するのか、そして、ユーザーの利益を最優先するかどうかは、今後の展開を見てから判断していきたい。

別のデジタル著作権の保護団体、EFFはパブリックナレッジよりも大きな懸念を抱いている。本日投稿されたブログで、EFFは次のように述べている:

特に心配しているのは、誤検出の問題である。例えば、問題になっている侵害していると思われるコンテンツを投稿する権利を持っているサイトを違法にコンテンツを表示していると混合し、政府が誤ってターゲットに絞っていたことがあった。要するに、グーグルのプロセスの仕組みの詳しい情報が分からない状態では、グーグルが同じように過剰にサイトを狙い、ユーザーに反論する手段を与えることなく、法律を順守する関連するサイトの検索結果のランキングを下げる可能性を否定することは出来ないのだ。

削除の要請は、著作権の侵害を告発しているに過ぎない。法廷やその他の仲裁人が主張の妥当性を判断するわけではない(著作権の保有者は悪意ある告訴に対する責任を負う可能性はある)。告発のみを基にした検索結果の格下げ – 事実上、検索エンジンのユーザーにこのサイトは探しているサイトとは違いますと伝えるに等しい ? は、著作権の保有者に対して、ユーザーが見る、聞く、そして、読むアイテムにおいて、権限を少し与えることになる。

この変更によって、グーグルからサイトが完全に削除されるわけではない点に注目してもらいたい。映画や歌の名称とファイルの形式を組み合わせた用語等、ユーザーが用いる一般的な用語に対して、発見しにくくするだけである。しかし、適切な方法を心得ている人達は、こういったサイト、少なくともDMCAの要請を正式に受けていないページを引き続き見つけるだろう。

グーグルのプレスイベントから漏れた主要な検索の変更

私がどうしても納得することが出来ない点がある。グーグルは、週明けのプレスイベントで検索について語っていた。グーグルは、iOS向けの新しい検索アプリ、そして、通常の検索結果内にGメールの結果を含める試み等を紹介していた。

エマニュエルに触れる時間はなかったのだろうか?イベントに詰めかけたプレス陣に対して、今週、間違いなく重大な検索のニュースを伝える時間はなかったのだろうか?

グーグルは、DMCAのフィルターの詳細は今朝になってようやく承認を得たばかりだと明かしている。たとえそうであったとしても、金曜日の午後まで待つのではなく、プレスイベントで話題にすることは出来たように思える。 この新しいシステムが濫用されるのではないか、もしくは何かしら検閲が行われるのではないかと心配する人達がいるため、私には納得できない。

どうやらユーザー達は気づいていたようだ。しかし、月曜日には最新のiPhoneの噂で持ち切りになっているだろう。そのため、グーグルがこの件に関して批判を受けることになっても、長続きはしないだろう。

ハリウッドに媚を売る

勘違いしないでもらいたい。この新しいシステムは役に立つ可能性がある。私は著作権を侵害したコンテンツが検索結果で見返りを受ける現状を快くは思っていない。特にその多くが劣悪な広告やマルウェアにリンクを張っている場合は尚更である。

オートミールの必読のコミックから – 「ゲーム・オブ・スローンズを見ようとしたら、こうなった」

私もハリウッドや娯楽産業自体は、コンテンツへのアクセスをさらに認めることで、問題の多くを解決することが出来ると考えている。オートミールのコミック「ゲーム・オブ・スローンズを見ようとした」はこの考えを良く表している。

しかし、娯楽産業に重い腰を上げさせるために、グーグルはこの取り組みを行わずを得ないのだろう。少なくともハリウッドは、時代遅れの配信モデルには触れずに、グーグルに不平をぶつけ続けることは出来なくなるだろう。ちなみに、アメリカ映画協会は既にグーグルの取り組みを高く評価している。ザ・ガーディアンの記事の一部を以下に掲載する:

この動きは娯楽業界からは歓迎されており、アメリカ映画協会のグロバールポリシーのシニア・エグゼグティブ・バイスプレジデントを務めるマイケル・オリーリー氏は、発表のなかで次のように述べている: 「私達は、グーグルの取り組みによって、消費者をオンラインで映画やTV番組にアクセスする多くの正当な手段に導き、また、サイバーロッカー、ピアツーピアサイト、そして、世界中のクリエイターの汗と涙の結晶を盗むその他の違法な会社から距離を置くようになると前向きに考えている。」

アメリカレコード協会も賛同しており、この発表を取り上げており、これが認可を受けた楽曲を“正しく優先する”計画であると誤って位置づけている。以下に同協会の発表の一部を掲載する:

本日、グーグルは、検索エンジンのランキングの中で、クリエイターにとって意義深い違いをもたらす、重要な可能性を秘めた変更に関する発表を行った: 著作権の侵害による削除要請を多く受けているサイトは、検索結果でのランキングが下がる可能性があるのだ。その結果、アーティストに料金を支払い、ファンに対して楽曲を提供している、認可を受けている楽曲サービスのランキングは改善されるはずである。この変更は、しかるべき方向に向かう上で重要なステップである – そして、グーグルに以前から促していたステップである – 私達はアクションを起こしてくれたグーグルを称賛している…

しかし、この常識的なステップを踏み、インターネット上のその他のアクティビティの形式に対するグーグルのアプローチに一致する形で著作権を処理することで、同社はクリエイターの権利の価値を認める意欲を新たに示したことになる。これは朗報である。また、音楽ビジネスに認められた数多くのデジタルサービスのオンライン市場にとって、一歩前に進んだと言えるだろう。

アリ・エマニュエル氏を含むハリウッドは、コンテンツ契約に同意する限り、今後数週間に渡って、この変更を行うグーグルの動きについて、グーグルから直接何度も何度も情報を得ることになるはずだ。

因みに、アルゴリズム、アップデート、そして、フィルターの詳細を本気で理解したいなら、サーチエンジランドのSEOガイドおよびSEOランキング要素の周期表のページを参考にしてもらいたい。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「The Emanuel Update: Google Will Penalize Sites Repeatedly Accused Of Copyright Infringement」を翻訳した内容です。

なんでエマニュエルかと思っていたら、エマニュエルさんという人がGoogleに出したクレームに発端になったアップデートだったからなんですね。公式にそういう名前がついているわけではないようです。記事の後半にもあるように、今後のGoogleのビジネス展開も踏まえた上での多分に政治的な要素も絡んだ話にも見えます。先にこんな関連記事も紹介していたので(順番逆でしたね)よろしければどうぞ。

著作権侵害サイトはそれ自体で大問題ですが、他人のコンテンツをコピーして自分のサイトのコンテンツ補充やサテライトサイト構築に活用しているモラル0なSEOマニアも多いのもまた事実。その手のサイトが自分のサイトより上位に表示されている日には思わず怒り心頭ですし、最悪、オリジナルなはずの自分のサイトが重複コンテンツとみなされる恐れもあるわけです。意外とSEO担当者にも気になるエマニュエルアップデートでした。
— SEO Japan [G+]

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