ランディングページに死を

最終更新日:2024/02/16

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最近、SEO以上にLPOに力を入れている私の会社ですが(テレビ東京のWBSでも紹介されました!)、サーチエンジンランドにて気になるタイトルの記事を見つけたので思わず翻訳&ご紹介。 — SEO Japan

今週、SMX Advancedカンファンレスで、私はプレゼン「ワンパターンのランディングページに死を」(リンクをクリックすると、スライドシェアでデックが開く)を行った。このスライドは、ほとんどがグラフィックで構成されているため、このサイトで詳しく説明させてもらう。

実は、私はランディングページ推進派であった。7年間に渡って、ランディングページの構築に携わってきた。弊社は、多くの一流の企業に対して、ランディングページの作成およびテストを行うソフトウェアを販売している。つい最近は、ランディングページの素晴らしさを絵で表現していた。ランディングページは、パフォーマンスマーケティング、コンテンツマーケティング、そして、テクノロジーが交差する部分である。これでは、好きにならずにはいられない。

しかし、これほどランディングページを愛しいても(少なくとも理想的なランディングページに関しては)、大半のランディングページは質が低く、毎日、胸を締め付けられるような思いをしている。

劣悪なランディングページの原因

ランディングページの質を下げる理由は次の2つのうちの1つであることが多い。(a)マーケッターが具体的なインタラクションについて考慮せず、ユーザーエクスペリエンスがひどい。(b)具体的なインタクションを考慮しているものの、ビジターが求めることではなく、自分達が求めること(コンバージョン)ばかり考えている。このモバイル支払い処理サービスは、その典型的な例だ(社名を隠している):

Landing Page Assault

このタイプのランディングページは、誘い文句のようなものだ。浅はかであり、「取引を成立させるために」最適化されている。正直に言うと、大半のビジターは、このようなアプローチに親切に反応することはない。だからこそ、大抵の場合、ランディングページの直帰率は95%前後に達するのだ。

この点について深く考えてもらいたい。何も問題がないなら、広告をクリックした20人のうち19人が、いきなり戻るボタンをクリックしないはずである。バーでナンパしたところ、20人のうちの19人に拒絶されるなら、誘い文句を変えるだけでは不十分である。全く異なる – そして、より誠実な – アプローチを採用する必要がある。新しいデオドラントを試した方がいいかもしれない。冗談はさておき、この拒絶反応は、ブランドにとって死に等しい。

しかし、幸いにもこの状況を変えることが出来る。

救済への道は – 直観とは相容れないかもしれないが – ランディングページについて考える行為を止めることだ。ランディングページは、マーケッターが生み出した作品である。「早く、あの企業のランディングページを見てみたい」等と願う人はいない。

その代わりに、エクスペリエンス/経験について考えよう。顧客候補の視点になって考えよう。広告をクリックしてランディングページにアクセスした際、求めているものを与えているだろうか?自分のことを好きになってもらえる理由を与えているだろうか?

コンテンツマーケッターは、望ましいブランドのインパクトを作る上での適切なエッセンスを持っている。しかし、良質なコンテンツが、必ずしも十分な勢いを得ているとは言い切れない。

コンバージョンの最適化の原則は、顧客候補の背中を押すことだが、優れたコンテンツが存在しない状況では、中古車のディーラーの戦術に成り下がってしまう。しかし、この戦術自体は問題ではない。この2つを連動させることが可能である。これが、卓越したポストクリックマーケティングの秘訣である。

ランディングページの既成概念を突き破る

様々な方法が考えられるが、ここでは1つの方法に焦点を絞って説明する: 1つのページのみに制限する必要はない。ランディングページはページである。ランディングページのユーザーエクスペリエンスを、型にはめる必要はなく、ビジターにとって最適な形式を採用するべきである。

先程紹介したひどいページは、いろいろな意味で、典型的なリード生成型のランディングページだと言える。このランディングページは、「無料」や「保証」等の用語、箇条書きした機能やメリット、Verisignやベター・ビジネス・ビューローからの信頼の目印、受賞経験による社会的証明、「start here」に導く赤い大きな矢印、コール・トゥ・アクション、500ドルを提供するオファー等、所謂ベストプラクティスを所狭しと詰め込んでいる。

しかし、自分がビジターだった場合、少し落ちつかない気分になるのではないだろうか?店に入って、店内を見渡した瞬間に、店員からしつこく購入を求められるケースを想像してもらいたい。これはマーケティングにおける攻撃とも言える。コンバージョンが一部発生する可能性はあるが、購入しない人達は、当該ブランドと決別するだろう。

1ページ – 顧客をコンバートさせるページが1ページしかないと考えていると、このような集中砲火型の攻撃につながる可能性がある。

同じキーワードフレーズで見つけたIntuitのランディングページと比較してもらいたい(クリックすると拡大する):

Microsite Example

ビジターが到着するページには、全てランディングページのDNAが共有されている。ヘッドライン – Get paid on the spot – があり、「start now」ボタンが用意され、無料のカードリーダーに対するコール・トゥ・アクションが提供されている。また、メディア「Wired」と「Wall Street Journal」に取り上げられており、社会的証明が存在する。プロセスと対応する電話機に関する箇条書きのような文章が用意されている。iPhoneを使ったハロー効果が用いられている。また、どこにでもあるようなストック写真ではなく、動画が用いられており、このデバイスを実際に利用するデモを見ることが出来る。

レベルの高いランディングページだと言えるだろう。

単一のページのランディングページとこのランディングページの違いは、コンテクストに沿ったナビゲーションを上部に用意している点である。これはマイクロサイトである。大変な作業を要すると思う方もいるかもしれないが、実は割と簡単に作ることが出来る。一つのページに全ての要素を詰め込もうとするのではなく、複数の関連するページを利用しているのだ。HTMLでページを結びつけるのは、難解な作業ではない。

こうすることで、顧客候補にとって、1つ目のページで納得した場合、「start now」をクリックする選択肢が生まれる。 しかし、コンバージョンする前にさらに情報が欲しい場合、より深く情報を追求することが出来る。

製品の利用を説明するために1ページまるまる割かれている。価格を詳細に説明するページ(通常は小さな活字で済ましてしまうか、あるいは、提供しないページもある)も用意している。このような詳細な情報を提供するページは、強力なコンテンツの役目を務めている。Intuitは、会社の経営者が知りたい情報: 月額料金、スワイプ利用料金、キー利用料金、手数料 – を全て明確に提示することで、信頼を構築している。

コール・トゥ・アクションが全てのページに登場している点に注目してもらいたい。ビジターに向かって叫んでいるわけではないが、忍耐強く待っている – 準備が済んだら、すぐに取引に移ることが出来る。

それだけではない。社会的証明にうんざりしている人もいるだろう。顧客候補の一部は、確実に飽きている。Wall Street Journalのロゴは、同紙がサービスを高く評価していることを示唆している。しかし、必ずしも、高く評価しているとは限らない。酷評している可能性もある。このようなマイクロサイトは、本当の意味での、社会的証明を提供する余地を得ている。ロゴだけではなく、ヘッドライン、配信された日付、そして、実際の記事に向かうリンクを加えることも出来る(クリックすると拡大する):

Genuine Social Proof

顧客の推薦広告にも同じことが言える。どこの誰かも分からない人物が「最高の製品だ!」と推奨するいかにも怪しい広告は避けるべきである。そうではなく、証言者の名前と組織を明かすべきである。この会社は、動画の証言も組み込んでいる。これは本物の推薦であり、信頼構築およびブランド構築の効果が見込める。

その他のランディングページを振り返ってもらいたい。顧客を獲得する点において、どのランディングページが優れていると思うだろうか?

マイクロサイトの形式にこだわる必要もない

確かにマイクロサイトは効果が高いかもしれない。しかし、このフォーマットに拘る必要もない。1つのページに執着する姿勢を正せば、オーディエンスを魅了する様々な方法が思い浮かぶはずだ。

例えば、California Closetsが提供するこの相談ガイドを見てもらいたい。専門用語で表現すると、所謂「コンバージョンパス」と言われるアイテムである(クリックすると拡大する):

California Closets

このクリックパスは、対立しない一連の選択肢をビジターに与え、求めている製品に導く。このガイドでは、まず「クローゼットの整理」か「部屋の整理」を選択する。クローゼットを選択すると、今度は「ウォークイン」か「リーチイン」を選択する。ビジターの関心に合わせて、既にイメージとコピーが調整されている。ウォーキンクローゼットを欲しい場合、ショールームに足を運ぶか、または、お宅訪問相談を選ぶ。

このインタラクティブな会話は、当該のビジターの求めに応じて完全に調節されたコール・トゥ・アクションのページでクライマックスに達する。理想のウォークインクローゼットに関する相談を自宅で無料で受けることが出来る。3-Dのレンダリングを実施し、予算内で見積もりを立て、忙しい生活にスケジュールを合わせると謳い、そして、短いフォームを用意している。

注記: これは多目的のウェブサイトではなく、PPCのランディングページである。ちなみに、このようなユーザーエクスペリエンスは、タブレットやスマートフォンでも抜群の効果を発揮する – タップに向いているからだ。

また、マルチページのランディングページによるユーザーエクスペリエンスは、「進行形のコンバージョン」を可能にする – BlukeCross BlueShieldの例に見られるように、会話のようなコンバージョンを介して、ビジターをゆっくりと進ませる(クリックすると拡大する):

Progressive Conversion

「少なければ少ないほど、得られるものは多い」と言うデザインの有名な原則が存在する。大量の要素を投じて、大声で注目を呼び込む行為を回避することで、本当の意味で有意義なコミュニケーションが生まれる。ジョージア州の85000の中小企業。活発なフェイスブックのコミュニティ – 社会的証明。郵便番号の入力 – シンプルな3つの手順の1つ目の段階 – でこのランディングページはスタートする。

ステップ2でも手間はかけていない: 何人の従業員が働いているのか?また、規模に応じた補償や解決策等、主なメリットが幾つか取り上げられている。

最後のステップに到達する頃には、勢いが増しており、ここで、簡素な見積もりのフォームを提供する。ちなみに、このページのコンテンツはビジターに合わせて調整されており – 郵便番号、会社の規模等 – 各種のプランが用意される仕組みになっている。ビジターは、この会話のそれぞれの段階で提供した情報の量よりも、多くの情報を入手する気になっている。「Finish」と記された緑色のボタンが、これが最後のステップであることを強調している。

コンバートだけでなく、印象を与え、刺激し、説得する

最後にもう1つ例を紹介したい。再びマイクロサイトを取り上げるが、このサイトは、マルチページのカンバスを巧みに利用している。

The Center for Arts and Technologyは、芸術関連の複数のプログラムを用意する専門学校である。このマイクロソフトは、Fashion Design & Merchandisingプログラム向けであり、生徒候補に対するリード生成を考慮している(クリックすると拡大する):

A Very Creative Microsite

1つ目のページに到着すると、まず何が目に入るだろうか?ファッション性の高い美しいイメージが視界に飛び込んでくる。単なるモデルの写真ではなく、ページの構造に組み込まれている。このページでは、情熱に従い、クリックしてさらに情報を得る – または、上部のナビゲーションバーで、何を学びたいかを自分で選ぶことも出来る。

プログラムの詳細を調べることも可能だ。単なる箇条書きではない。ファッション業界での輝かしい未来を語る心躍るストーリーである。コール・トゥ・アクションには「Start My Future!」が用いられ、イメージにシームレスに統合された短いフォームが用意されている。しかし、ここでも最大の要素はファッション自体である。

それでも、コンテンツは十分に用意されている。就業の機会を紹介するためだけのページがあり、このプログラムが導く可能性のある、様々な仕事がリストアップされている。実際に何を学ぶのだろうか?必修科目から選択科目、パターンのドラフトから、ファッションショーの演出に至るまで、提供されているコースの全容を紹介するページが用意されている。

各ページにメインのイメージが掲載されている。このイメージは、ショーの本質を表現しており、言葉ではなく、プログラムの面白さを直観的に伝えている。私はファッションとは無関係の人間だが、それでも、興味をそそられた。単一のページのランディングページでは、このような気分にさせるのは不可能である – 単純に物理、または、概念におけるスペースが足りないのだ。

創造性の面での自由が生まれるが、技術的な難易度は決して高くはない。必要とされているのは、HTML、CSS、そして、複数の良質なイメージだけである。

ただし、多目的のウェブサイトでもなければ、スライドショーでもない点を忘れないでほしい。これは、コンバートさせるための、PPCのランディングページのユーザーエクスペリエンスである。このユーザーエクスペリエンス全体を通じて、コール・トゥ・アクションとコンバージョンのメカニズムは一貫している必要がある。ビジターの準備が整い次第、次のステップに進んでもらうためだ。ただし、ビジターを説得するのはボタンのラベルではなく、あくまでもコンテンツである。

ワンパターンのランディングページを拒絶する意欲が湧いてきただろうか?競合者との差別化を行い、好印象を残すことで、ビジターをコンバートさせるだけではなく – 当該の分野で最も優れた製品としてビジターの心に深く刻まれることになるだろう。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Death To The Cliche Landing Page」を翻訳した内容です。

最初の事例のランディングページが凄すぎましたが、まぁ、日本でもチラシの延長で情報過多、デザインも意味なく派手すぎるランディングページもなくはないですけどね。記事の内容自体は色々書いてありますが、結論からいうと、ランディングページ作るなら、テスト&効果検証もね、という話なんですが、それもないまま、何となく「広告経由のユーザーを受けるページが必要」という前提の元、自身の感性でデザインしたランディングページを作成し、ユーザーに訴求したい要素をテンコ盛りにしてしまった挙句、良い結果も出せず悶々としているマーケッターも意外と多いのでしょうか。。。

それはともかく、途中からの事例は、単一のランディングページではなくマイクロサイトを多数紹介していましたが、確かにこのアプローチは日本ではあまり見られませんよね。記事タイトルは単一ランディングページだけでなくマイクロサイトもリードジェネレーションの選択肢として考慮すべき、という意味でつけられたことも同時に分かるわけですが、記事でも触れられているようにタブレットやスマホ時代にマイクロサイトは改めて注目したいアプローチであることは間違いないと思います。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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