アジャイルマーケティングの時代

公開日:2012/11/08

最終更新日:2024/02/18

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インバウンドマーケティングやコンテンツマーケティングが注目を浴びている現在、これ以上新たなバズワードはいらないよといった感じですが、新たに出てきたのがこの「アジャイルマーケティング」。米国でも別にブレイクしているわけではありませんが、考え方としては納得できるものだったので、日本でも一足先に紹介してみたいと思います。 — SEO Japan

数年前、私はアジャイルマーケティング – マーケティングプロジェクトにアジャイルソフトウェア開発のメソッドを適応する管理アプローチ – を紹介するコラムを作成した。このコラムの中で、成功を収める、継続的なコンバージョン最適化プログラムを構築する上で、アジャイルマーケティングのアプローチの適用は、最も重要な要素だと示唆した。

あれから2年が経過したが、このアプローチの活用は今まで以上に必要とされている。

コンバージョンの最適化の戦略およびテクノロジーにおける全ての進歩において、成功に最も影響を与えるのはマーケティングチームのスピードと柔軟性である。

盛り上がるアジャイルマーケティングのムーブメント

アジャイルマーケティングは、コンバージョンの最適化以外にも適用することが出来る。スピードと柔軟性の価値がある点は、あらゆる形式のデジタルマーケティングにおいて明らかである。

例えば、ジョナサン・コールマン氏は、REIでSEOでのアジャイルマーケティングに関する素晴らしいプレゼンを行っていた。リック・ドラゴン氏もアジャイルマーケティングをソーシャルメディアマーケティングに活用する方法を取り上げた書籍「Social Marketology」を出版している。

業界全体で、アジャイルマーケティングの勢いが増しつつある。

アジャイルソフトウェア開発およびアジャイルプロジェクト管理に特化したプロ集団のヴァルテック社は、アジャイルマーケティングに関するホワイトペーパーをリリースしている。私が序文の作成に関わったこのホワイトペーパーは、現在のマーケティングの能力において最も重宝されているのはアジリティだと指摘している。また、私は先月パリで行われた同社のイベント「アジャイルデイ」でトリのキーノートを担当し、プレゼン ? すべてマーケティング 誰もがアジャイルになれを発表した(リンクをクリックするとスライドおよびエッセイを見ることが出来る)。

また、別のグループのマーケッター達も、アジャイルマーケティングのカンファレンス「スプリントゼロ: アジャイルマーケティングの物理学」をサンフランシスコで行っていた。 トラビス・アーノルド氏は、「アジャイルマーケティングの宣言」を記した包括的な記事を投稿している。この宣言はこのイベントで議論され、称賛されていた。ジム・イーウェル氏およびジョン・キャス氏のブログで展開されている多くの良質な議論も注目に値する。イーウェル氏とキャス氏はともにアジャイルマーケティングにおけるパイオニアである。

ボストンシアトルサンフランシスコロサンゼルス等、大都市で多くのアジャイルマーケティングの会合が行われるようになったことは、スプリントゼロの成果の一つと言えるだろう。この情報を分かち合う会合は、社内でのアジャイルマーケティングに関するアイデアや経験において意見交換を行う、うってつけの場所になるはずだ。

アジャイルマネージメントのメリット

アジャイルマーケティングは、なぜ突然このように勢いを増しているのだろうか?

10年以上前に作成されたアジャイルソフトウェア開発の宣言は、冒頭でアジャイルマネージメントを支持する4つの価値を挙げている:

  • プロセスとツールよりも個人と対話
  • 包括的なドキュメントよりも動くソウトウェア
  • 契約交渉よりも顧客との協調
  • 計画に従うことよりも変化への対応

この宣言の起草者達は、「左記のことがらに価値があることを
認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく」と雄弁に語っている。

この宣言書は、ソフトウェア開発を考慮して作成されたものの、このような価値のエッセンスは、現代のマーケティングの特徴を正確に描いている。

「変化への対応」は、管理の目的の一つとして一般化している。「個人と対話」は枠を抜け出そうとするマーケティングチームにも当てはまるが、ソーシャルメディアおよびパーソナライズされたデジタルエクスペリエンスにおいける顧客との関係にも該当する。「顧客との協調」は支持者およびインフルエンサーとの協力、そして、マーケティングのインフラにおける顧客の声を反映させるメカニズムの実現と言い換えることも出来る。

「動くソフトウェア」に関しては直接当てはまるわけではないが、「動く経験」- 顧客の期待を裏切らないデジタルおよびフィジカルな経験 – はマーケティングで最優先するべきポイントのはずである(これは、継続性および関連性を扱うコンバージョンの最適化のプロとしての意見である)。

マーケティングにこのような価値が豊富にあることを考えると、多くのマーケッター達がアジャイルマーケティングの原理および取り組みに引き寄せられるのは当然である。

アジャイルマーケティングの新しい2つの価値

アジャイルマーケティングを実践している人達と話しをする中で、- アジャイルマーケティングの原則は様々なチームの中から様々な経緯で現れていると認めざるを得ないが – アジャイルマーケティングを推進する動き支える2つの重要な価値があると言う結論に達した。

  • 意見や慣習よりもテストとデータ
  • 少数の大きな賭けよりも多数の小規模な実験

アヴィナッシュ・カウシク氏は、- 誤っていることが多い意見、そして、伝統的な考えとは対照的に – テストとデータを使って、マーケティングの決定を行う方針を推奨する第一人者である。コンバージョンの最適化も同じ哲学に根差している。 しかし、徐々にマーケティングの様々な局面でも、アイデアをテストして、データを使って成果を計測する機会が提供されるようになりつつある。

ビッグデータに対する最近の注目により、マーケティングが、少数の重役の勘に頼るのではなく、実際の顧客の行動から得られた見解を手に入れ、活用する新たな道が開けたと言えるだろう。

データおよびテストは、マーケティングの実装における根本的な変化を促している。数ヶ月前から主要なキャンペーンにおいて幾つか賭けを行う代わりに、マーケティングチームは、小規模な一連の実験を継続することで、より“反復的”に取り組みを行うことが出来るのだ。

新しいアイデアを、大きなリスクを抱えることなく、投資を抑えつつ、そして、迅速に試し続ける必要がある。実験によって成果が証明されたら、リソースを用いてスケールアップさせることが出来る。

マッドメンの時代のマーケティングとは全く異なる環境ではあるが、上のリンクをクリックしてもらえれば分かるように、競争で優位な立場を得るため、アジャイルマーケティングのメソッドを採用するマーケティング業者は増え続けている。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Have You Adopted Agile Marketing Yet?」を翻訳した内容です。

そもそも「アジャイル開発」に馴染みがないとピンとこない言葉かもしれませんね。私もアジャイル開発を完全に理解しているわけではありませんが、簡単にいえば、開発期間を短期間に小分けし、各開発期間で少しずつ機能を追加&リリースも毎回していくような開発手法です。最近のウェブサービスによくある「永遠のベータ版」ならぬ、とりあえずある程度形を作った上で一般公開し、レスポンスを見ながら追加開発していくスタイルにマッチしたことから、開発の現場では普及しているようです。最近でいえばリリースした後もユーザーレスポンスも見ながら調整改善を繰り返していくソーシャルゲームなどは、開発かはともかく、100%アジャイルな運営方法ですよね。

アジャイルマーケティング、このアプローチをマーケティングに取り入れようという概念のようですが、どれだけプランしても最初から完璧なキャンペーンは展開できないという前提の元に、ユーザーレスポンスを見ながら改善しながらマーケティングの効果・精度を上げていく、という考え方時代はデジタル時代に即した考えた方と思いますし、失敗は炎上を恐れソーシャルメディアマーケティング等、新しい取り組みが何もできないままの状態でいるよりは最終的には個客の数も信頼も勝ち取れるアプローチではと思います。

そこまで大がかりな話にしなくともSEOやPPCのようなサーチマーケティングも、結果を出し続けているサイトは、テスト&実践、改善のサイクルを細かく回せているのでしょうし、結果として限りなくアジャイルなんですけどね。私の会社が取り組んでいるLPOなんかもまさにアジャイルな手法です。従来型のマーケティングキャンペーンではデータよりは慣習や感性(&莫大な予算)を元にした一発勝負的な派手なアプローチが多いにも事実と思いますし、このアジャイルマーケティング、バズワードと扱き下ろすことは簡単ですが、マーケティング活動改善のヒントになる要素も多分にあるのではと思います。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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