Googleのページレイアウト・アルゴリズムとアドセンスの不思議な関係

公開日:2012/01/25

最終更新日:2024/02/17

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Googleがページ上部に広告が多すぎるページにはペナルティを与えることを明言したニュースが話題になりましたが、同時にインターネット上のウェブページを広告で埋め尽くしているのも世界最大のディスプレイ広告&コンテキスト広告のプロバイバーであるGoogle自身でもあったりします。前述のサーチエンジンランドの記事でもGoogleの広告戦略との若干の矛盾が取り上げられていましたが、今回はGoogle批判では誰にも負けないSEO Bookのアーロン・ウォールが考える今回のGoogleのアルゴリズム変更について。 — SEO Japan

グーグルは過度の広告掲載を阻止するアルゴリズムを導入したと発表した。ページの上半分の何%(日本語)を広告に当てることが出来るのかに関しては明言を避けているが、ブラウザのプレビューツールの利用を推奨している。グーグル.comの検索結果でこのツールを利用すれば、当然ながらスパムサイトと評価されるはずである。いずれにせよ、グーグルはパンダを回避した小規模なアドセンスのウェブマスター達に先制攻撃を与えた可能性はある。

アップデートのペースが大幅にアップ

パンダが行われてからほぼ1年が経過するが、まだ全てのサイトがダメージから回復したわけではない。そのため、最初の攻撃に大きな懸念を抱く人達もいるかもしれないが、“過剰な量の広告”アルゴリズムはパンダよりも遥かにアップデートのペースが早い :

ページのレイアウトをアップデートすると、ページレイアウトアルゴリズムは自動的に再びクロールを行う際にこの変更点を反映し、サイトの十分な量のページを処理して、変更を評価する。その期間は、サイトのページ数、そして、グーグルボットがコンテンツをクロールする効率等、様々な要因に左右される。典型的なウェブサイトでは、グーグルボットがクロールを行い、サイト上の十分な量のページを処理し、レイアウトの変更を反映するまでに数週間を要する。

パンダの影響を受け、アドセンスの広告ユニットを増やして、広告収入の減収を埋め合わせようとしたウェブマスター達は、たった今、パンダ特急第2号の突進をまともに食らってしまったのではないだろうか 😉

問題はスクリーンのレイアウトなのか?

グーグルは上半分のスペースには広告ではなく出来るだけコンテンツを掲載するべきだと大打撃を受けたアドワーズの広告主に薦めていた

しかし、グーグルはアドセンスに関するデータセットを豊富に持っており、個人的にはただ単にレイアウトを見ているだけだとはどうしても思えない。私が当該の広告主だったら、以下のような様々なメトリクスを考慮に入れるだろう:

  • アドセンス CTR
  • ビジター1人の平均ページビュー
  • リピート訪問 & ブランド検索数
  • 直帰率
  • クローム & グーグルのツールバー経由のクリックストリームのデータ(そのため、その他の広告ネットワークを利用しているとしても、データをサンプリングすることは出来る)

モバイルのアクセスが主体となっているサイトもあれば、大きなモニターで閲覧されることが多いサイトもあるだろう。グーグルがページロードを確認し、CTRを計測する際は、推測に頼るよりも、実際のユーザーのレスポンスを追跡する方が望ましい。

その後、これらのデータから優れたメトリクスを考案し、トラフィック/収益が高いサイトに対して、攻撃を与えるべきか、見逃すべきかを確認するため、精査を行い & この類のエッジケースがなくなるまで“アルゴリズム”の調整 + 改善が行われると見られる。グーグルは、コンテクスチュアル広告 & ディスプレイ広告では敵がいない状態であるため、グーグルのエコシステムに十分な価値を与えていないと感じられるパブリッシャー達に厳しい条件を飲ませることが出来る。

アドセンスを一掃するだけのアルゴリズムではない

このようなアルゴリズムに加え、グーグルは、ドアウェイページのレッテルを貼られたサイトのネットワークを意図的に攻撃し、アービトラージが大き過ぎると感じた場合、サイトで掲載されている広告、もしくはアカウント全体を無効にする取り組みを昨年行ってきた。SEO ブックのメンバーの一人が、昨年の10月にパキスタンのアドセンスのアカウントが大量に葬られた点を指摘するスレッドを紹介してくれた。また、別のメンバーはこのメールと同じような文面のアカウント停止を伝えるグーグルからのメールのサンプルを送ってくれた:

このメールの大事な点を挙げていく:

  • クリック詐欺、著作権の問題等は指摘されていない。
  • 広告主の苦情にも触れられていない。
  • グーグルは、サポート用の電話番号も、“推奨する対策”のアドバイスも、アカウント内の改善するべきサイトの一覧も提供せず、過去に遡って、30日間 – 50日間以上に渡る“収益”をなかったことにしている(かつてアカウント停止されたある人が、グーグルがアドセンスの支払い日までわざと待ち、過去に最大限遡って打撃を与えられたと言っていたことを私は覚えている)。

グーグルの最新の四半期収支報告では、グーグルはグーグルの対前年比の収益が25%アップしているものの、ネットワークの収益の成長率は15%に留まっていると強調している。また、グーグルは、検索の品質が改善されたこと、そして、パンダ等のアップデートを成長率の低さに関係しているとして挙げていた。

この報告では、アルゴリズムが展開されるまでは、グーグルがスパムに資金を投じていた点は明かされていなかった 😉 アドセンス & コンテンツファームの問題は、インセンティブの構造が意図しない結果をもたらしたために発生していたのだ。

ゴミは消えつつあるのか、それとも新しい埋め立て場に移動しているだけなのか?

グーグル+の過剰なプロモーション(この件を取り上げたエントリを遅ればせながら投稿する予定)、もしくは、グーグルがいまだにディマンドメディアに再び資金を投じて、動画“コンテンツ”をユーチューブに投稿させている経緯を考慮すると、グーグルは今でも同じモデルに投資している可能性があるが、関連性に対するコントロールを強め、ゴミからマシな作品を取り出せるように工夫している可能性はある(コンテンツを掲載し、ユーザーのレスポンスを追跡すれば、そのコンテンツが比較的どれだけ質が高いかが分かるはずだ)。これらのサイトを短期間で過剰に宣伝しているなら、グーグルもまた同じ類の歪んだビジネスモデルの問題を作り出していると言えるだろう。

ユーザーエクスペリエンスを提供していると言えば、劣悪な作品と優れた作品を容易に区別することが出来るかもしれないが、その他のパブリッシングエコシステムへのインパクトの方が大きな問題と言えるのではないだろうか。グーグル+上の人気のあるユーザーから大量の薄いスパムがもたらされ(誰かセレブに焦点を絞ったペイパープラスのサイトを作った人はいるだろうか?)、上半分に自然なSERPが事実上存在しない場合は、詳細な編集コンテンツが経済的に実現不可能な状態になるかもしれないのだ。

次に、最悪の作品の一部を一掃する取り組みを取り上げ(“劣悪なインセンティブ”の以前の世代に発生)、さらにこの問題を追及していく。この問題の影響を受けたとしたら、パンダはあの有名なフロリダアップデートと並ぶ大きさ/凶暴さを持っていることになり(小規模な個人のウェブマスターに与えるインパクトにおいて)、彼ら/私達を無理やり価値連鎖の上の領域に上らせるだろう。

つまり、短期的には痛みを伴うが、(ブランド & オーガニックな非検索トラフィックのストリームを作るべき警鐘と取られた人達にとって)規模が小さくなった後には長期的に見て遥かに大きな見返りを得ることが出来るかもしれない。

「企業」に勤める

企業勤める点に関するラリー・ペイジ氏の見解を以下に掲載する:

私の祖父は車のメーカーに勤めていた。そして、私は祖父が作った、会社から身を守り、仕事場に持っていく武器を持っている。それは大きな鉄パイプであり、先端にリード線が大量に詰められている。会社で自分の身を自分で守らなければいけなかった祖父の時代の企業から現在の企業はどの程度進歩してきたのだろう。

多くのSEO業者にとって、やり直しと言う概念は苦痛を意味するが、優秀なSEOのプロ達は強制的な進化、そして、その全てを楽しむ傾向が見られる。彼らはのたうち回ることもなければ、死んだふりをすることもなければ、SEOを忘れることもない。そして、グーグルが時折厳しい初期化を行わなければ、巨大なヘッジファンドがばらまき作戦でSERPをぶち壊し、私達を容赦なく叩きのめしてしまうだろう。

改善の余地のある領域

このエントリをグーグルにとって前向きな提案だととらえることも出来る(実際、大半はグーグルよりである)、しかし、グーグルのミーハーなファンとも思われなくないので、グーグルが一貫性を保つために、改善の余地のある点を幾つか挙げていきたいと思う:

  • リスティングを継続的に掲載するためには、分厚く、奥深いコンテンツが必要だと言うなら、グーグルの製品だからと言う理由で薄いグーグル+のページをSERPの上位に格付けするべきではない。*常に*疑わしきは罰せずの態度を貫いてきた人々でさえ、SERP内のグーグル+の配置に関しては不快感を覚えている。
  • グーグルのアドセンスは“あなたのサイトから、まだ収益を生むことができます”旨を伝えるメールを自動送信し、パブリッシャーに3つの広告ユニットを利用するよう求めている。このような行動が怪しい取り組みに結びつくなら、そもそも最初から推薦するべきではない。ちなみに「3つの広告ユニット」のメッセージの下には、最近の“異常に広告が多い”点を伝えるエントリにリンクを張る“注意して進める”必要があると(赤で)綴られている。
  • ルーキーのウェブマスター達が勘違いしないように、現在のマーケットにおけるベストプラクティスとは一致しない過去のケーススタディを通知するべきである。
  • アドセンスのヒートマップの一部はペナルティに直結している。昨日の告知の前に、これらの問題を正しておいて欲しかったが、これらの問題が来週も存在するようであれば、グーグルは故意に、そして、意図的にグーグルの“ベストプラクティス”のアドバイスに従う小規模なビジネスのオーナー達を容赦なく痛めつけるだろう。

求む、フィードバック

このアップデートはパンダアップデートよりも規模が遥かに小さいため、サイトのサンプル/例が大幅に少ない。今回のアップデートの影響を受けた人はいるだろうか?影響を受けたなら、以下の点について説明してもらいたい …

  • 広告のレイアウト
  • 広告のCTR
  • 収益の手段(アドセンス、その他、その両方)
  • アップデートによるサイトへのインパクトの度合い

この記事は、SEO Bookに掲載された「From AdSense to SpamSense to Spam Cents」を翻訳した内容です。

突っ込み所満載のトピックにしては、SEO Bookとは思えない柔らかなトーンの記事でした。明言はしたとはいえ、記事の最後にもあるように、パンダアップデート等に比較するとはるかに実際のダメージが少ない(報告もまだまだない)変更ですからね。私などはますますGoogle自身のブランディング戦略の一環で出したアルゴリズム変更といえないレベルの告知記事かな、と思ってしまうのですが、さて三カ月後、半年後に今回の更新がどのような影響を広告(多くはアドセンスの)で成り立っているコンテンツサイトのランキング&収益状況がどうなっているのか気になる所です。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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