投資家とのミーティングに備えるための8つの質問

最終更新日:2024/02/17

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最近はお金をかけずに起業がしやすくなったとはいわれますが、事業を拡大展開したい時には外部からの資金調達も魅力的なオプションですよね。自分の事業が注目を浴び出すと、投資家やベンチャーキャピタルから連絡が入り出してくるものですし、人づてに投資家に合う機会も得られるようになってくるものですが、実際の打ち合わせとなると過去に経験が無いことだけに何を用意していけばよいのかわからず途方にくれることもあるでしょう。今回はそんなスタートアップな起業家さんに役立つかもしれない、VC/投資家との打ち合わせに備えるためのアドバイスを。 — SEO Japan

最近、私はSprouter上で数々の質問に回答している(註:米国の起業コミュニティ)。そして、それをとても楽しんでいる。それが質問している人達の役に立っているといいのだが。予想通り、質問の多くがVC(ベンチャーキャピタル)や投資家に関することだ。彼らへの売り込み方、何を売り込むべきか、どうやって準備をするのかなどの質問だ。それはとても人気のあるトピックで、私が何度も書いてきたことでもある。しかし、それでもまだ、基本的なことからより複雑なことまで、取り上げるべき領域がもっとあるようなのだ。だから、ここでは、VCとのミーティングのための準備や、一般に投資家との交渉に関して、私がSprouterで提供してきた回答の概要と伸展を書こう。

1. 投資家が競合他社の情報を得るためだけに私とのミーティングをする疑いがある場合は、どうすべきか?

こういうことはあり得る。一般的には、ベンチャー企業にいる共同出資者は、(1)そこで起きていることを見るために奉仕活動をする、(2)競合相手もしくは大規模な情報を得る、という任務が課せられている。そして、それは理にかなったことなのだ。もしあなたがとても高価なものを買おうとしているとしたら、通常は競合相手をチェックする。これとちっとも変わりはないのだ。

そして、投資家は、出来る限り多くのことを見たいと思っているし、見るべきなのだ。私もYear One Labsを始めるまではその本当の意味を理解していなかったのだが、投資家にとって全てのことを見ることは大切なのだ。それが視点を提供し、何が起きているかに関する全体的な知識を増やし、彼らが本当にやりたい取引を識別するのに役に立つのだ。

一般的には、私はこの質問に関しては心配しない。もしそれが最初のミーティングであるなら、恐らくとても高いレベルになるだろう。もしそれが電話による会話で顔と顔を直接会わせていないのであれば、もっとそうなる。そして、一般的には、ほとんどのスタートアップ企業が隠れる場所など持っていないのだ。特に初期の頃は。

もし誰か(投資家、競合相手、クライアント、見込み客、将来の従業員)が、あなたの会社について何かを調べたいのであれば、恐らく彼らはあなたに話しかけるだろう。だから、私はこの問題については心配しないが、同時に、あなたが、初日から全ての秘密や不当な優位性を明らかにする必要はない。

2. 私達にアプローチしてくる投資家を拒否するのは不作法なのか?私達は、礼儀から全てのミーティングを受け入れるべきなのか?

投資家とのミーティングを全て受け入れる必要はない。もしもあなたが何とか知名度や注目を集めようとしているのであれば、投資家が電話をかけてくる可能性はかなり高い。それはいい気分だが、自分の邪魔をさせないことだ。一番簡単な回答がこれだ:“あなたのご興味に感謝していますが、私達は今現在、資金を集めていないのです。今後数カ月でその状況が変わりそうな時には、ご連絡させていただければ幸いです。” ありふれたセリフだが、真実でもある。直ちに邪魔となるミーティングを遅らせつつ、投資家との前向きな関係を維持するのだ。

ちなみに、もしあなたがそれを言うなら、必ずその投資家に絶えず最新情報を伝えること。リストを(何らかの形式で)作り、彼らがこれまでに行ってきた取引を調査し、どの投資家が自分に適切であるか見つけ出すのだ。適正評価をすること。そして、人々と連絡を取り続けること。資金を集める時期が来た時には、理想的には、あなたは状況を掌握し、綿密によく整理された資金調達プロセスを実行できるようにするのだ。

3. あまりに大勢の投資家に売り込みをしすぎるというようなことはあるのか?

ある。投資家のためになら何でもする人にはならないこと。私達は、Standout Jobsと一緒に10~15の投資家に真剣に売り込みをしたが、実際にはもっと多くの人に会ったし(カジュアルに)、その中の何人かには何度か売り込みをしていた。恐らく、全てが終わった時にはその数は50~60になっていただろう。

あなたは、あまりに多くの人に売り込むことや、“あれこれ物色”しすぎることはしたくない。なぜなら、そういうことは投資家達に分かってしまうからだ。そして、投資家は自分が特別ではないことや選択肢のトップにいないことが分かると、あなたに悪影響を与えるようになる。さらに、それはあなたがたくさん断られてきたことを意味し、取り決めに汚点を付けることになるのだ。

その反面、もしあなたが止めどなく売り込みをしているのにどこにも到達していないのであれば、何が起きているのか自問すべきである。投資家は、真実の門番ではないし、成功を保証する人でもない。しかし、彼らは多くのスタートアップを見ているのだ。もしあなたが進展していないのであれば、一歩退いて、何が起きているのか自問自答すべきである。

4. 投資家のオフィスでの最初の売り込みには何を持っていくべきか?

事前に送付してあるエグゼクティブ・サマリー(註:1~2ページに事業内容をまとめた資料)、ピッチデッキ(註:事業内容を10ページ前後でまとめたプレゼン資料)とデモ。それから、名刺。

過去に私はピッチデッキも印刷して持って行ったことがある。それは、プレゼンテーションの“美しいイメージ”にフォーカスしたものではなく、よりビジネスの詳細にフォーカスしたものだった。全ての人が私に賛同するわけではないが、私は、それはかなり良い置き土産になると思った。必要不可欠なものだとは思わないが。さらに、投資家が自分達の携帯電話を見ているよりは配布物を見ている方がましだが、一番良いシナリオは、彼らがあなたに集中していることだ。

5. エグゼクティブ・サマリーにはどんな情報を入れるべきか?

それがどんなものなのか見せるためにここで共有できればいいのだが、機密情報なのでそれはできない。一般的には、以下のことを説明しよう。

  • 現状:これまでに集めた資金、月の予算、利益、チームの規模、チームの専門技術、顧客、メトリクス
  • あなたの製品サービスが解決している問題
  • 市場規模
  • ソリューション
  • 競合他社
  • マーケット戦略
  • 不当な優位性
  • 依頼(どれくらい資金を集めたいのか、その理由も)

これを2ページにまとめる。全ての言葉をチェックして、不必要なものは全て削除する。投資家があなたに電話をするほどに興味を引き付けるために、これを高レベルなセールスピッチとして考えるのだ。

6. ビジネスプランと実際の製品またはサービス、どちらがより投資家にとって重要か?

これは簡単だ―実際の製品またはサービスの方が、ビジネスプランよりもはるかに重要だ。そうは言っても、プランも必要だ。あなたがどのように取引をするのか、あなたの不当な優位性、ユーザー獲得戦略、価格設定(お金を請求する場合)、金融モデルについて言及したものだ。しかし、これはとてつもなく大量のドキュメントではなく、10枚程度のスライドを使ったピッチデッキだったり、数ページのエグゼクティブ・サマリーだったり、Lean Canvas(註:オンラインでビジネスプランを作成してくれるサービス)だっていいのだ。

あなたに必要なのは、製品/サービスとビジネスモデルである。ビジネスモデルは重要で、上に挙げたような項目を含む。あなたがどうやって顧客を獲得するのか、あなたがどうやってお金を稼ぐのか、あなたは他とどう違うのか、あなたの不当な優位性は何なのか・・・

7. 自分が要求すべき金額はどうやって計算するのか?

私は、2,3個のプランを持つことをお勧めする。1つは理想的なもの、それと別に実行可能なものを用意するのだ。実際には、最初のプランは、あなたが資金を集めない場合に設定する。その状況でもビジネスがうまく行く方法を見つけるのだ。そして、投資家への要求は、1つは小さな数字、1つはより大きな数字にするのだ。

初期段階では、これはとりわけ難しくなる。もし、マーケット内に他に同様のものが成長していて摩擦が起きているのなら、あなたはその成長と要求をしっかりと把握する必要がある。早い時期にこれを理解するのは難しいことではあるが。

手始めに、18ヶ月存続するのに十分な資金を集めること。

大部分のスタートアップ企業が、自分達が何をしているのか理解するのに最低でもそれ位の時間を必要とするのだ。だから、あなたはそれだけの時間を作る必要がある。そして、資金を調達するのに一般的に6カ月がかかるとすると(ほとんどどのステージであっても)、次のレベルに行き着くために、あなたには銀行にお金が入った時から12ヶ月あることを意味する。そして、あなたは外に出て行くことができ、再び資金を集めるのだ(必要ならば)。

物理的な時間量だけではなく、あなたは達成しようとしている次の重要なイベントに判断を下さなければならない。

もしあなたがLean Startupのアプローチに従っているなら(そうであるといいのだが!)、製品/マーケット・フィットにはもう達したか、もしくは近づいていて、ユーザー/顧客の獲得を急速に進める時が来ていることを知っているはずだ。セールスパーソンを使う必要がある場合や、たくさんのトラフィックを購入している場合は、それが高くつく。通常この段階では、会社はかなりの金額を集めている。それより前に、リスクは著しく高くなる。そのため、少ないお金を集めることはそのリスクを軽減する良い方法である。

8. VCとの最初のミーティングから私は何を引き出そうとすべきか?

もしあなたが投資家に対する売り込みが比較的初めてであるなら、学ぶことに集中することをお勧めする。気分に浸り、そのプロセスについて出来る限り学ぶのだ。私が始めたばかりの時には、私はいつも投資家が尋ねて来る質問に驚いた。投資家はそれぞれに、自分の経験や先入観に基づいて異なる質問をしてきた。それは、私が質問を予測して売り込みをするのがうまくなるのに役立った。だから、あなたも学ぶことに集中するのだ。

さらに、関心の大きさを測ることもしておきたい。このためには、自分の内なる心理学者にチャンネルを合わせる必要があるだろう。ボディ・ランゲージと注目度にアクセスするのだ。

最後に、あなたは次のステップと取り組み事項を感じ取りたい。多くの場合、次のステップはあなたが連絡を取り続ける投資家からのリクエストになることが多い。それはとても曖昧で、彼らが実際には“ノー”と言っているのかどうかを見極めなければならない。しかし、少なくとも次のステップでは何らかの明確性を持って終わり、そこから次に続くのだ。

これは単なる始まりにすぎない・・・

これは、VC、投資家、ベンチャーキャピタルに取り巻く問題の全てではないが、確かにここには興味深いものが存在している。もしあなたが独自の質問を持っていたら、この記事のコメント欄に残すか、私のSprouterページに行き、そこで聞いて欲しい。


この記事は、Instigator Blogに掲載された「8 Questions on How to Prepare for VC Meeting」を翻訳した内容です。

なかなかに良いポイントをついた記事になっていますね。特に立ち上げで悪戦苦闘中のスタートアップの場合、相手が潜在的なお金の出し手ということもあり、良くも悪くも相手に気に入られるためにはどうプレゼンすべきかという視点になってしまうこともあると思いますが、正直なところ、あまりそういうことは気にせず、やっていることに自信があるのであれば、相手に媚びようとせず素直に自分のやっていることとそれが解決する問題について語ることが大事なのではと思います。大手投資会社の新入社員がトレーニングも兼ねて来ているのなら別ですが(大手VCから連絡が来てやった!と思ったにも関わらず会ってみてガッカリなんてこともあります)、ある程度知見のある相手であれば、そこから汲み取るものは汲み取ってくれるでしょうし、興味が無いようであればそもそも何をしても興味を持ってもらえなかったでしょう(逆に興味が無い理由を聞いてみるのが良いかもしれません)。後はとにかく、、、最初のうちは拒まず誰でも会って慣れることですかね?恋愛じゃないですけど、マッチングもありますし。全ての起業家さんに最高の出会いがあることを願ってます!って私も欲しいですが・・・。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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