ユーザーファーストを掲げる検索エンジンは、ユーザーの検索ニーズに応えられるサイトやコンテンツを高く評価する傾向にあります。
検索結果上で上位表示を狙うためには、「コンテンツと検索キーワードとの関連性の高さ」が重要であり、そして、「どのようなキーワードを選ぶか」が順位に大きく影響してきます。
一方、SEO対策を行うにあたっては、「サイトを上位表示すること」だけを狙えば良いわけではありません。
選んだキーワードで上位表示された結果として、売上の増加をはじめとした事業の目的に繋げることが必要であり、事前に設定した目的を達成できるようなキーワード選定が求められています。
そこで、この記事では、キーワード選定の基本的な考え方を解説します。さらに、具体的なキーワードを選ぶための手順や、キーワード選定において活用できるツールについても併せて紹介します。
キーワード選定の考え方と具体的な方法
検索数と売り上げ、競合性の関係
ユーザーは、知りたいことや行動したいことがあるときに、検索キーワードを用いて検索を行います。
検索エンジンは、ユーザーの検索意図に応えるべく、検索キーワードと関連性の高いページを高く評価します。検索キーワードについて考えることは、SEO対策の根幹であり、上位表示を狙うためには欠かせない要素なのです。
検索数(検索ボリューム)と競合性
上位表示を狙う理由は、主に検索エンジンからの自然検索流入数を増やすためです。
また、検索数と競合性には、検索キーワードの性質も関係してきます。
「SEO対策」のような単一のキーワード(ビッグキーワード)は、検索数が多く、競合性が高くなります。
一方で、「SEO対策 キーワード 選び方」のように複数の言葉を組み合わせたロングテールキーワード(スモールキーワード)は、ニーズが絞り込まれているため、ビッグキーワードに比べて検索数は少なくなり、競合性も低くなる傾向にあります。
キーワード選定には目的や立場の確認が大切
キーワードを検索数や競合性だけで選定すると、サイトへの流入が増えたとしても、SEO対策の目的が達成できない場合があります。
たとえば、「サイトへの流入を増やすことで、売上を増やしたい」というケースを考えます。
施策を行う上で、ビッグキーワードを狙い、サイトを上位表示することができれば、サイトへの流入も多くなり、売上が増える可能性があります。
また、キーワードには、ユーザーの検索意図が反映されています。
たとえば、「炊飯器 パン 作り方」のようなキーワードの場合、「炊飯器でパンを作る方法を知りたい」という検索意図であるため、炊飯器の購買意欲は低いものと思われます。「売上を増やすこと」を目的とするならば、購買意欲の高いキーワードを選ぶ必要があります。
事業者としての立場からキーワード案を出すための考え方
事業者の立場からキーワードを選ぶときには、最終的に目指すところが「売上を増やすことなのか」、「ブランド力をアップさせることなのか」といった目的の明確化が重要です。
「売上を増やすこと」が主な目的であれば、サイトへのアクセスから購買までのプロセスをしっかりと想定することが重要です。選ぶべきキーワードは、購買意欲が高いと思われるキーワードになるでしょう。
「製品について幅広い情報を求めているのか」「機能を詳しく知りたいのか」「価格を含めて競合製品と比較したいのか」などの、ユーザーのニーズや行動をしっかりと把握します。「どのようなキーワードであれば、ユーザーの検索意図にマッチし、次の行動につながるのか」を考えましょう。
また、ブランド力アップが主な目的であれば、アクセス数を増やすことが主な目的となります。選ぶべきキーワードは、流入数の増加が望めるビッグキーワードが主となるでしょう。
サイトの運用が始まったら、ファインダビリティを測ることも有効です。ファインダビリティとは、「サイトの見つけやすさ」という指標であり、「検索結果上でどれだけ露出ができているか」も考慮する必要があります。
検索者の立場からキーワード案を出すための考え方
キーワードを選ぶ際には、検索ユーザーのことを考える必要があります。
ユーザーは自身の知りたいことやしたいことを調べるために検索を行っているため、ユーザーの検索意図や行動、条件などに合わせたキーワードを選ぶ必要があります。
ユーザーの検索意図を考える際に注意したいのが
- ユーザーの知識によって検索キーワードが変わる
- サービスや製品名を知らないことがある
- 自分の悩みがぼんやりとしていて、はっきり言語化できていないことがある
の3つの要素です。
「犬の種類について調べたい」という検索意図は同じでも、ユーザーの知識の違いによって検索するキーワードは変わります。「ヨークシャーテリア」や「ウェルシュコーギー」「ジャーマンシェパード」などの具体的なキーワードを使う人もいれば、「犬種」というキーワードで検索する人もいるかもしれません。
「トリミング」というサービス名を知らないために、「ペット 毛 カット」などのキーワードで調べることもあるでしょう。
また、ユーザーが調べたいことをはっきりと言語化できていないケースも想定されます。ぼんやりと「犬を飼いたい」とは思っているものの、具体的に調べる内容や目的が定まっていなければ、犬種や性格、飼い方、しつけのしやすさ、寿命などのキーワードをユーザーが自発的に入力することは考えにくいでしょう。
キーワードを選ぶ際は、「ユーザーがどのような意図で検索を行うのか」を想定することが重要です。
ターゲットとなるユーザーのイメージ(ペルソナ)を設定し、その行動やストーリーを具体的に考える手法も効果的でしょう。
ターゲットは自社の商品を「買う人」なのか「買うべき人」なのか、あるいは「欲しがりそうな人」なのかといったイメージをし、ユーザーが商品の購入前に悩むシーンや実際の使用シーンといった場面を想定することで、よりユーザー目線に沿ったキーワードが選べるようになるのです。
広告のデータから売り上げにつながるキーワード案を出す
続いて、キーワードを選定する具体的な手法を紹介します。
「コンバージョンにつながりやすいキーワード」を選ぶために役に立つのが、Google広告やYahoo!プロモーション広告などのリスティング広告の検索クエリのデータです。
広告を出すと、その広告を通して、ユーザーがコンバージョンまで至った検索キーワードの情報などを確認することができます。実際にコンバージョンに至った検索キーワードを調べることで、ユーザーの行動意欲や購買意欲といったモチベーションを数値化して把握できます。
キーワードを選ぶにあたっては、客観的なデータが役立ちます。費用はかかってしまいますが、実際のユーザーデータを収集する上で、広告は非常に有効なのです。
関連キーワードの調査方法
ユーザーの検索意図や行動は多様性に富んでいるため、一つのキーワードだけですべての検索意図に応えることは困難です。
検索キーワードと検索行動のギャップを埋めるためには、「キーワードの幅を広げる」ことが必要です。さまざまな検索意図に対応できるように、複数の関連キーワードを組み合わせることが求められます。
関連キーワードを調査する方法としては、以下のようなものがあります。
キーワードプランナー
Google AdWords内のツールであるキーワードプランナーを使えば、キーワードごとの検索ボリュームや競合性を調査できます。
また、指定したキーワードの関連キーワードも表示してくれるため、とても便利です。
サジェスト機能(オートコンプリート)
検索エンジンの検索欄にキーワードを入力すると、オートコンプリートとして、入力した内容に関連するキーワードがいくつか表示されます。
これは「サジェストキーワード」と呼ばれるもので、キーワードの関連性を調べる上での参考になります。
SERPs下部の関連キーワード
検索結果画面(SERPs)では複数ページに渡って結果が表示されますが、各ページの下部に「○○に関連する検索キーワード」(○○は入力したキーワード)が表示されます。
これらのキーワードは、実際のユーザーの検索行動をもとに表示されており、関連キーワードと組み合わせた複合キーワードとなっています。
検索結果画面(SERPs)に戻った際の提案表示
検索結果画面(SERPs)から目的のサイトを開き、すぐに検索結果画面へ戻ると「他の人はこちらも検索」という欄が表示されます。
「他の人はこちらも検索ユーザーの興味が高いキーワードが表示されるので、関連キーワードを選ぶ際の参考になります。
関連キーワードを調査し、複合キーワードを設定するメリット
関連キーワードを調査して複合キーワードを設定することは、「多様な検索ニーズに応えられる」というメリットがあります。
複合キーワードは、ビッグキーワードに比べて検索ボリュームが少なく、競合性も弱くなるため上位表示を狙いやすくなります。また、複数のキーワードで意図を絞り込むことで、ユーザーニーズをより深く理解することが可能です。
キーワードの順序
複合キーワードでは、キーワードの順序が異なると、違うクエリとして処理されます。
たとえば、「靴 おすすめ」と「おすすめ 靴」では、キーワードがまったく同じであっても、違うクエリとして扱われます。基本的に順序によって検索意図が大きく変わることはないため、順序の違いを気にする必要はほとんどありません。
ただし、キーワードの順序によって、ユーザーの検索意図が異なるケースも一部あります。その場合は、キーワードの順序と検索意図をよく考え、その意図を汲み取ったコンテンツを作成しましょう。
キーワードの検索数の調査とそのツール紹介
コンバージョンにつながるキーワードや、サジェストキーワードを洗い出したら、実際に使用するキーワードを決めていきます。
まず、第一の判断材料となるのが検索数(検索ボリューム)です。検索数が多いほど、ユーザーのニーズが大きくなります。
検索数は、以下のようなツールを用いて調査することができます。
Google広告 キーワードプランナー
Google 広告内のツールであり、検索ボリュームなどを調べる基本的なツールです。
無料の範囲だと検索ボリュームは大まかにしかわかりませんが、課金して広告を運用することで、検索ボリュームを詳細に調べることができるようになります。
https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/tools/keyword-planner/
Ahrefs(エイチレフス)
SEO対策やコンテンツマーケティングのための多機能なツールです。
有料ではありますが、その分、機能性や使い勝手が優れています。キーワードや被リンクの調査・分析をする際に有効です。
Ubersuggest
関連キーワードや、検索ボリュームを調査できるツールです。
無料ながら、詳細な検索ボリュームを把握できる点が優れています。
https://neilpatel.com/jp/ubersuggest/
キーワードの優先順位
候補に挙げたキーワードをすべて網羅したコンテンツは、検索エンジンに良い評価を受けやすくなります。
しかし、すべてのキーワードを網羅したコンテンツを作るには、手間も時間もかかるため、現実的とは言えません。コストと得られる効果を考えるならば、優先順位を決めて作成する必要があります。
キーワードの優先度を決めるにあたっては、以下のような要素を判断材料とします。
検索数(検索ボリューム)
検索ユーザーの需要を把握し、ユーザーのニーズが高いキーワードを優先します。キーワードプランナー等のツールを用いて調査します。
検索結果におけるクリック率
検索結果画面(SERPs)で、順位別にどれくらいのCTR(クリック率)になるかのデータを把握し、上位表示を狙うべきキーワードを決めます。
Advanced Web Rankingというツールを使うことで、ビッグキーワードとロングテールキーワード、ブランドの有無といった違いや、キーワードジャンルごとのCTRが把握できます。
https://www.advancedwebranking.com
キーワード難易度
サードパーティツールなどから、競合性の高さを把握します。
競合が多ければ多いほど、競合性は高くなり、上位表示の難易度は高くなります。
ここで紹介したのは、参考程度のもので、上位表示の難易度が高いからといって、必ずしも諦める必要はありません。キーワードに優先順位を付ける場合、コンテンツの内容や検索順位、コンバージョンの状況など、現在のWebサイトの状況も考慮する必要があります。
目指すべき目標、予定されるコストや労力、想定される費用対効果なども判断材料の一つとして、狙う優先順位を決定しましょう。
選ぶべきキーワード数
キーワードを選定するにあたっては、
- ユーザーの検索意図(検索者の立場)
- 事業者としての目的(事業者の立場)
の両方を考慮する必要があります。
まずは、「ユーザーの検索意図に沿ったコンテンツを作ること」が大切です。
同じような検索意図のキーワードが複数存在する場合は、検索意図によって複数のキーワードをグルーピングした上で、一つのグループに対し、一つのコンテンツを作成します。
キーワード選定後に行うこと
キーワードが決まったら、選んだキーワードに沿ってサイト全体の設計を行い、個別のコンテンツ制作に取りかかります。
また、コンテンツが完成して公開した後は、状況を見ながらチューニングを行う必要があります。
サイト全体の構造設計
「一つのコンテンツには一つの検索意図を対応させること」がSEO対策の鉄則です。
キーワードの選定後は、「サイト全体をどのような構成にするか」を決めることが、きわめて重要な役割を果たします。
検索意図だけに応えるためのコンテンツや情報がバラバラに存在していては、ユーザーにとって見つけにくく、理解しづらいものになってしまいます。さらに、検索エンジンにとっても「情報をどのように分類しているのか」「どの情報を重視しているのか」「ユーザーに何を伝えようとしているのか」を評価や判断ができなくなってしまいます。
これらを明確にするためにも、情報の構造をはっきりさせ、「サイト内のどのページでどのキーワードを取り扱うのか」というキーワードの情報設計を行うことが重要です。また、サイト内でキーワードが重複しないように配慮する必要があります。
サイト内の情報構造をしっかりと設計し、サイト全体でトピックを網羅することでユーザーの検索意図に幅広く応えられるようにしましょう。
各ページの骨子設計
検索ユーザーの役に立ち、検索エンジンにも評価される良質なコンテンツであるためには、ページの情報構成がわかりやすく、かつ論理的であることが重要です。
ページ内の情報構造をはっきりさせ、論理的に話題を展開することで、検索意図に適切に応えるように設計します。また、検索意図に応える上では、関連情報を網羅することも効果的です。
各ページのコンテンツ作成(ライティング)
キーワードとページの構成が固まったら、具体的なコンテンツ作成に取りかかります。
コンテンツを作成する上では、ユーザーが本質的に求めている情報を、「結論・過程・背景・理由・考察」などの要素を用いて、論理的に伝えることを心がけましょう。もちろん、選んだキーワードを適切に取り上げて、検索意図に応えることも忘れてはいけません。
ユーザーは情報の正確性や信頼性を求めているため、統計データや専門家の意見など、客観的な裏付け要素を用いて伝えることも重要です。
コンテンツでSEO対策!プロが教えるユーザーからも検索エンジンからも評価される高品質コンテンツの作り方
サーチコンソールを使用し既存記事からキーワードを選ぶ方法
SEO対策には終わりがありません。
しかし、改善を行えば、それなりの結果が期待できます。SEO対策においては、コンテンツを公開した後も、改善し続けることが可能なのです。
コンテンツを改善する上で便利なのが、Googleサーチコンソールです。
キーワードの順位動向などの把握や、優先して対応すべきキーワードなどの情報を読み取ることができます。非常に便利かつ強力なツールなので、サイト改善に活用していきましょう。
【まとめ】ユーザーに寄り添ったキーワード選定が重要
SEO対策の要となるキーワード選定においては、ユーザーの検索意図を考慮することが重要です。
ユーザーの検索意図を読み解いて適切なキーワードを選ぶためには、「ターゲットとなるユーザーを具体的にイメージすること」「ユーザーの行動を想像すること」が欠かせません。また、SEO対策を行う目的を明らかにすることも重要です。
キーワードを選ぶ過程では、優先順位や検索数などツールを活用し、データによって裏付けされた意思決定が必要です。
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