WEBマーケティングにおいてよく耳にするLPOという言葉ですが、意味をきちんと理解している人は意外と少ないかもしれません。また同じくSEOやEFOも合わせて良く使われる言葉ですが、これらと混合しがちです。LPOについて正しい理解を持てるように、概要や手順、成功事例などを紹介していきます。WEBマーケティングに携わる方やLPOを検討中の方はぜひお役立てください。
LPO(ランディングページ最適化)とは
LPOとは、「Landeing Page Optimization」の略で、「ランディングページ最適化」と訳されます。LP(ランディングページ)は広義では「ユーザーが最初に訪問するページ」のことを意味しますが、LPOにおいては狭義の「ユーザーを特定のアクションに導くことに特化したページ」のことを意味します。そして「LPO」はCVR(コンバージョン率)を上げるために、ユーザーのニーズに合わせてランディングページの問題点を改善していくことをいいます。
この記事では、「ランディングページのCVRが上がらない」、「ランディングページを効率的に作成したい」という方へ、まずはLPOの基礎から紹介していきます。
LPOが知られるようになった背景
LPOは1996年に誕生しましたが、注目を集めるようになったのは比較的最近で、2006年にGoogleが「Website Optimizer」というLPOツールを提供するようになったのがきっかけで広く知られるようになりました。
インターネットが普及する前の広告は効果測定が難しく、推定評価に頼っていた部分が多かったのですが、インターネット技術の発展によりweb上でのさまざまな活動が数値として測定できるようになると、インターネット広告の効果も明確な数値で測定可能となりました。すると測定された数値に対応することが求められるようになり、ランディングページについてはLPOで成果を上げようとする動きが活発になっていきました。
ちょうどその頃、バナー広告やリスティング広告などのインターネット広告の出稿数が増加して広告単価が高騰してしまい、費用対効果を得るのが難しくなってきたこともLPOが注目されたきっかけの一因です。
これらの流れから、クリック数を稼いで集客を増やすことだけでなく、1回の閲覧をどれだけ成約に結びつけるのかが重要になり、CVRを高めるためのLPOの手法が求められるようになりました。
なぜLPOをする必要があるのか?
なぜLPOを行う必要があるのかというと、どんなに考えられて作られたページであっても、実際にユーザーの反応を見なければ効果がわからないからです。
そして、ページを訪れたユーザーの動きを分析することでランディングページの問題が見つかれば、それを改善することでさらにCVRをアップさせることができます。
LPOを行う最大の目的は、途中離脱を防ぎ、目標とするコンバージョンまで効率的に導くことです。インターネット広告やSEO対策などを施し、コストをかけてユーザーをランディングページまで引っ張ってきたのに、ランディングページがユーザーの欲求をつかまなければコンバージョンに結びつきません。そのためLPO対策はCVRをアップさせると同時に、ランディングページ運用のためにかかった広告コストなどの費用対効果のアップにもつながる重要な施策なのです。
LPOとWEBマーケティング
最近では企業が広告費をインターネット広告に割く割合が大きくなってきています。テレビや雑誌・新聞などさまざまな媒体がある中、インターネット広告が注目され、LPOがさかんに行われている理由は何でしょうか。
ランディングページの最大の特徴は、ユーザーがランディングページの中でCVに至るように設計された構造であるということです。
そのため、CVを獲得しやすいという性質がありますが、LPOによってさらにCVの増加が期待できます。
LPOはユーザーに答えを求めるという観点で、テスト検証やターゲットごとのパーソナライゼーションの手法で発展してきました。このような実際にユーザーの答えを測定しながら行うLPOの手法は、CV達成に直結しインターネット広告の効果を上げるために最適な手法だといえます。
さらにLPOは、他の広告と比べて媒体費用や時間を節約できます。低予算・短期間で、大きな効果を上げていくことができることも利点といえるでしょう。
LPOとSEO・EFOの関係
混同しがちなWEBマーケティング用語に、LPO、SEO、EFOがあります。それぞれの意味や違いを紹介していきます。
LPOとSEO・EFOの違い
WEBマーケティングにおいて良く耳にするLPO、SEO、EFO、それぞれについて意味を明確に把握しておきましょう。
- SEO … 「Search Engine Optimization」の略で「検索エンジン最適化」と訳されます。Googleなどの検索エンジンに評価されて検索結果上位に表示させるための施策を行います。
- EFO … 「Entry From Opimization」の略で、「入力フォーム最適化」と訳されます。ユーザーが問い合わせフォームなどの入力中に離脱することを防ぐための施策を行います。
- LPO … 「Landing Page Optimization」の略で「ランディングページ最適化」と訳されます。ユーザーのニーズをくみとりCVにつながるようなランディングページの改善をしていく施策を行います。
3つに共通する「Optimization(最適化)」とは、ページをユーザーに評価される状態に改善することを意味します。
SEOは集客のための施策で、検索エンジンやユーザーに向けて対策します。EFOとLPOは、コンバージョンに直結するCRO(コンバージョン率最適化)に含まれる施策のひとつで、ユーザーに向けた対策となりSEOとは目的が異なるマーケティング手法です。
対策を組み合わせて相乗効果を狙おう
主なWEBマーケティングは、以下の3つに分類することができます。
- ①集客のための施策:SEM(検索エンジンマーケティング)…SEO、リスティング広告やバナー広告
- ②接客のための施策:CRO(コンバージョン率最適化)…LPO、EFO
- ③フォローのための施策:メルマガ、SNSなど
上記のWEBマーケティングの手法は、組み合わせて使うことで相乗効果を発揮します。
例えばSEOだけではCVにつながらず、LPOなどのCROだけだと集客が弱くなってしまいます。
そのため効果をあげるためのWEBマーケティングの基本的な手法は、①②③を組み合わせて行います。例えばSEOでランディングページへユーザーを集客し、LPOやEFOなどの取り組みをしっかりと行ったページでCVにつなげていきます。
LPOの進め方とポイント
LPOの基本的なことが把握できたら、LPOの進め方や実施する上でのポイントを見ていきましょう。
LPOの進め方とPDCAサイクル
LPOは次の順で進めていきます。
①目的と目標を決める
CVRを上げるためには、ユーザーが求めるサービスや商品情報を提供することが重要です。そのため検索ワードや流入経路、閲覧日時などからLPを訪問するユーザー像を的確に判断することが重要です。またそのユーザーにどうして欲しいのかCVを決め、LPOの効果を客観的に評価できるようCVRやクリック率、直帰率などの目標を具体的な数値で設定します。
②現状を把握する
目的・目標を決めたら、ランディングページの現状を正確に把握します。データ解析を行い、ユーザーの属性や流入経路、クリック率、ページ滞在時間や直帰率などから現状のランディングページがユーザーのニーズを満たしているのか客観的に判断します。
③仮説を立てる
分析した結果を踏まえて仮説を立てます。例えば、ページの滞在時間が長いのにCVに結びつかない場合は商品説明に魅力がないのかもしれません。またアクセス数は多いのにページ滞在時間が短い場合は、流入元の広告とランディングページに何らかのギャップがあるのかもしれません。このように分析結果の指標から仮説を立て、問題点を洗い出し改善策を挙げていきます。
④仮説を検証する
仮説を立てたら改善点を実装し検証していきます。検証は、画像やキャッチコピーなどを変えた複数のランディングページを作り、どれが一番ユーザーのクリック率が高いか比べるABテストや、検索ワードによってページ構成を変える・ユーザーごとにパーソナライズされたランディングページを用意するなどの方法で行います。
注意したいのが、LPOは導入してすぐに結果が出るケースばかりではないということです。成果を出すためには、①目的・目標を決める、②現状を把握する、③仮説を立てる、④実装し検証する、のPDCAサイクルを何度も回し、効果の測定と改善を繰り返し行うことで、よりCVRの高いランディングページ運用を行うことができるようになります。
LPでコンバージョンを上げるための基本構成
LPOの目的は、訪問したユーザーをCVにつなげるためのランディングページを作ることです。そのためには、一般的なサイトとは違うデザインルールが存在します。
ランディングページの基本構成を見ていきましょう。
①ファーストビュー
ユーザーがはじめに目にする画面です。基本的にキャッチコピーと画像で構成され、そのビジュアルでユーザーが求める情報がこのページにあることをアピールしなくてはいけません。またイメージのギャップから離脱されないように、流入元の広告とデザインを連携することもポイントです。
②ボディ
ファーストビューからスクロールしたボディ部では、ユーザーを「説得する」ことと「安心感を与える」ことを行いCVへ導きます。
・ユーザーを説得する
提供する商品やサービスの魅力をわかりやすく伝え、ユーザーにとってどんなメリットがあるのかを訴求します。ユーザーが直感的に魅力を感じるように、わかりやすい言葉で写真や図などを使って展開していきます。
・ユーザーに安心感を与える
ユーザーの不安や疑問を解決し、提供する商品やサービスの信頼性をアピールすることでユーザーに安心感を与えます。公的機関による分析結果やメディア掲載情報、利用者の声、導入事例などを効果的に配置します。
③クロージング
購入ボタンや申込みボタンの前に、「限定〇個!」や「登録は簡単!」など、ユーザーの購入や申込みを促す文言(CTA)を配置してCVへ誘導します。またユーザーにとって分かりやすいボタン配置やデザインも重要です
またクリック先の購入フォームや申込みフォームは、入力作業が煩雑になると途中で離脱するユーザーが出てしまうため、簡単でわかりやすく入力できるフォームの最適化(EFO)が重要になります。
LPは必ずしもこの構成である必要はありませんが、この流れはユーザーの興味を引きCVに導く効果的な順番になっています。
またユーザーをCVに導くためには、提供する情報は必要最小限に留め、外部リンクも極力排除するなど、シンプルでわかりやすいページにします。ユーザーが直感的に理解できる流れで、迷わせない、考えさせない作りであることがポイントです。
LPOでよくある改善手法
先程はLP(ランディングページ)の基本構造を解説しました。それでは具体的にどのような改善手法があるのでしょうか?今回は一般的によく使われる手法を紹介します。
➀ファーストビューの改善
スマートフォンでサイトにアクセスするユーザーは年々増えています。もちろんBtoBビジネスの場合は会社のPCからアクセスするユーザーが多い傾向がありますが、一般消費者を対象としたBtoCビジネスではスマホでのアクセスの伸びはここ数年で顕著です。Google Analyticsで訪問ユーザーのデバイスカテゴリを確認して「desktop」と「mobile」の割合を確認しておきましょう。
ファーストビューがなぜ重要かというと、サイトにアクセスしたユーザーの約50%以上はスクロールせずに離脱すると言われているからです。そのため、まずはファーストビューを改善することが成果に繋がりやすいことが挙げられます。
【ファーストビューのチェックポイント】
・訴求文言(キャッチコピー)にこだわる … サイトに訪問したユーザーはまずファーストビューにある情報でサイトを閲覧するか判断します。ユーザーの訪問目的を理解したうえでユーザーの興味を引くようなキャッチコピーにしましょう。サイトが男性向け・女性向けなのかだけでも訴求方法は全然違ってきます。キャッチコピーの改善はABテストで検証も行いやすい施策でおすすめです。
・CTA(Call To Action)ボタンを入れる
LPの場合、たいていはサイトにCTAボタンがあります。コンバージョンポイントであるCTAボタンがファーストビューにないのは機会損失になる可能性が高く勿体ないことです。ユーザーの気持ちになってどのようなCTAボタンをどこに設置したらよいかを検討しましょう。ファーストビューのCTAボタンもABテストを行いやすく検証しやすい施策です。
・広告などの送客元とサイトのトーンを併せる
テキストや画像のバナーなどの広告経由でLPに訪問する場合はその流入導線も重要です。
遷移したときに訴求内容がズレたり、世界観や色味のトーンが違う、クオリティ差があるなどがあるとユーザーには違和感が生じて離脱率が上がってしまいます。ファーストビューの改善は流入元の広告とセットで考えましょう。
②CTAボタンの改善
CTAボタンの改善もコンバージョン率に直結するため、LPでは重要なポイントです。実際にヒートマップでサイトのタップ数を分析してみると改善点が多く見つかるケースがほとんどです。
【CTAボタンのチェックポイント】
・デザインの視認性を高める
ユーザーの目に留まらなければ意味がありません。CTAボタンの周辺情報(色やテキスト)と比較してボタンを目立たせましょう。ボタンの大きさや、色、テキストを変更してベストな組み合わせを見つけましょう。ボタンにちょっとした動きをつけるケースもあります。
・CTAボタンの設置個所を追加・入れ替える
CTAボタンを設置する個所を変更するのは簡単にできる施策です。例えばCTAボタンの設置個所を増やす、ユーザーの滞在時間が長いエリア付近に設置するなどが挙げられます。ヒートマップ分析と実際に実機でサイトを閲覧して、データとユーザーの気持ちの双方からベストな状態を検証しましょう。
③ページ内のトピック構成を変える
ユーザーが求めている情報とサイトの内容が一致しないケースがあります。例えば自社のサービスをユーザーに知ってもらいたいあまり、サイトに情報を詰め込みすぎてしまうのはよくあるケースです。ヒートマップ分析でユーザーがサイトから離脱するポイント、興味があるトピック、ないトピックを見極めましょう。
【トピック構成のチェックポイント】
・ユーザーが求めているトピックを移動する
ヒートマップ分析ではユーザーの読了率や滞在時間を確認することができます。例えば、ユーザーが興味を持っているトピックがページの下部に埋もれてしまっている場合は、離脱してしまったユーザーの目には触れておらず勿体ないことです。LPのストーリーを考慮しつつ、ページの上部に移動するなどを検討して改善しましょう。
・ユーザーの興味がないトピックは削る
なかなか勇気がいることですが、ユーザーに読まれていない箇所は削るか短くしましょう。例えばお客様の声を10件掲載していて、最初の2~3件しか読まれていなければ、残りの7件を削ってみるのもよいでしょう。
・見出しのテキストを調整する
見出しのテキストは重要です。なぜなら見出しのテキストの解像度が低いとそのページ全体の説明も曖昧になりがちです。具体的にトピックの中身が想起できるテキストを選びましょう。目次には大見出しだけではなく小見出しも掲載したほうが内容をより伝えやすい場合もあります。
その他にページの読み込み速度をあげることでユーザーの離脱を改善できる場合もあります。
ヒートマップ分析やgoogleが提供する分析ツールを使ってサイトの課題を見極めて、地道にPDCAサイクルを回して改善していきましょう。もし複数の施策を同時に行う場合は後から成果を検証できるかを実施前に考えておくと良いでしょう。
まとめ
LPOは、ランディングページ最適化の意味で、LPのCVR向上のために行うWEBマーケティング手法のひとつです。CVRを上げと同時に、WEB広告の費用対効果も高める施策です。
WEBマーケティング施策におけるSEO、EFOと混同されがちですが、検索エンジンやユーザー向けに対策するSEOと目的が異なり、LPOはユーザー対策の施策です。またLPを最適化するLPOに対して、EFOは申込みフォームや購入フォームなどの入力フォームを最適化する施策です。またLPOは、SEOなどの他のWEBマーケティング施策と組み合わせることで効果を高めていきます。
LPOは、
- LPの目的・目標を決める
- LPの現状を把握する
- 仮説を立てる
- 実装し検証する
のPDCAサイクルを何度も回し、繰り返し行うことで効果を上げていきます。
さらにLPには、ユーザーをCVに導くために効果的な順序で要素を配置するデザインルールがあります。
以上、LPOの概要や手順などを紹介してきました。
LPOはWEBマーケティングにおいて重要な施策です。正しく理解して適切に行って効果を上げていきましょう。