アクセス数は伸びているのに売り上げにつながらない、などといったWEBサイトの問題点は「コンバージョン率」から原因を分析して、改善策を講じていきます。
そこでWEBマーケティングにおいて欠かせない「コンバージョン率(CVR)」とは何なのか、という基本からコンバージョン率の計算方法、コンバージョン率の改善策まで、コンバージョン率に関するポイントを解説していきます。
コンバージョン率とは購入率やお申し込み率
WEBマーケティングおいて知らないわけにはいかない「コンバージョン率(CVR)」について、下記6つのポイントから見ていきましょう。
- コンバージョン率とは
- コンバージョン率の計算式
- 総コンバージョンとユニークコンバージョンについて
- 総コンバージョン率の求め方
- ユニークコンバージョン率の求め方
- 総コンバージョンとユニークコンバージョンの使い分け方
コンバージョン率とは
“コンバージョン(conversion)”は日本語訳すると「転換(変換)」という意味ですが、WEBマーケティングにおいては、WEBサイトにアクセスしてきたユーザーがそのWEBサイトの目的を達成した「成果」を意味します。 何をコンバージョン(成果)とするかは、それぞれのWEBサイトの目的によって変わり、商品の購入や契約、問い合わせや資料請求、会員登録やダウンロードなどがコンバージョンとなります。
また“コンバージョン率(Conversion Rate、CVR、CV率)”は、WEBサイトにアクセスしたユーザーのうちどれくらいがコンバージョンに結びついたかを表す数値のことをいいます。
コンバージョン率は、WEBサイトを管理する上でとても重要な指標となります。 例えば、コンバージョン率の推移をみていくことでWEBサイトの問題点を分析することができたり、どのような流入経路でやってきたユーザーがコンバージョンに至ったかを計測すれば、広告展開など戦略を立てるのに役立てることができます。
コンバージョン率の計算式はCV数÷ユーザー数×100
サイトの訪問者のうちどれくらいの割合が目的を達成したかを表すCVR(コンバージョン率)は次の計算式で求めることができます。
CVR(%)=CV数÷サイトへの訪問者数(ユーザー数)×100
例えばECサイトで「商品Aを購入したCVR」を算出する場合、「CVR=商品Aの購入者÷ページの全訪問者数×100」となります。例えばページの訪問者数1,000人のうち、商品Aを購入したのが100人いた場合CVRは10%です。
このように算出されたコンバージョン率からは、効率よく収益をあげるための分析を行うことができます。例えば、セッション数が多いにも関わらずコンバージョン率が低い場合は、課題はこれ以上セッション数を増やすことではなく、サイト訪問者をいかにコンバージョンに結びつけるかだ、といったことがわかります。
総コンバージョンとユニークコンバージョンを正しく使い分けよう
サイト運営をしていくうえで重要な指標となるコンバージョン(率)には、「総コンバージョン(率)」と「ユニークコンバージョン(率)」があります。
それぞれの意味や違いを理解し上手に活用していきましょう。
総コンバージョン率の求め方
総コンバージョンとは、1人のユーザーがサイトを訪問し、設定したコンバージョンに至ったアクションの件数すべてをカウントしたものになります。
例えば「商品購入」がコンバージョンと設定されている場合、1人のユーザーが商品を2点同時に購入すれば、総コンバージョン数は2、3点同時に購入すれば総コンバージョン数は3でカウントされます。
また総コンバージョン率は以下の計算式で求めることができます。
総CVR率(%)=総CV数÷総セッション数
ユニークコンバージョン率の求め方
ユニークコンバージョンとは、WEBサイトを訪問してコンバージョンに至った「ユーザー数」のことです。
例えば1人のユーザーが商品を同時に2点購入した場合、総コンバージョンは2でカウントされ、ユニークコンバージョンはユーザー数の1でカウントされます。
またユニークコンバージョンの機能で、同一ユーザーがWEB広告を30日間に複数回クリックした場合、最初の1回のみがカウントされて2回目以降はカウントされないようなものがあります。
ユニークコンバージョン率は以下の計算式で求めることができます。
ユニークCVR率(%)=ユニークCV数÷ユニークユーザー数(※)
※決まった集計期間内にウェブサイトに訪問したユーザーの数
総コンバージョンとユニークコンバージョンはサイトの特性で使い分け
総コンバージョン(率)とユニークコンバージョン(率)はサイトの目的や特性によって使い分けます。
例えばECサイトでは複数の商品購入を同一人物がしたものか、そうでないかはあまり重要ではないため、主に総コンバージョンを計測します。コンバージョンに至ったアクション数がカウントされて算出される総コンバージョン率は、売上管理の視点から評価をするのに適した指標となります。
またメールマガジンの配信申し込みやサイトへの会員登録がコンバージョンの場合は、1人が複数回コンバージョンすることはあまりないため、主にユニークコンバージョンを計測します。コンバージョンに至ったユーザー数から算出されるユニークコンバージョン率は、顧客獲得の視点から評価をするのに適した指標となります。
コンバージョン率の平均値を目標値の目安にする
コンバージョン率は、同じ業界や媒体であっても、一般的にはサイトごとに異なる値を持ちます。
とはいえ、目標にするための参考値を知りたいという方もいらっしゃると思いますので、下記の通り、業種や媒体ごとにコンバージョン率の平均値をまとめましたので、コンバージョン率の目標値を決める際に参考にしてみてください。
もし、自社のWEBサイトのコンバージョン率が平均値より低い場合は、サイトの改善が必要であると考えられます。コンバージョン率が低い原因はなにか、どのような対策を講じるか、コンバージョン率の改善につなげる的確な分析が必要となります。
- 業種別のコンバージョン率
- リスティング広告のコンバージョン率
- ランディングページのコンバージョン率
業種別のコンバージョン率
コンバージョン率の平均値は、一般的なWEBサイトでは2%前後といわれている平均値ですが、金融業界では約5%ともいわれるなど、業種・業界によって異なります。
ここでは日本国内の企業のコンバージョン率平均値のデータを示した資料が少ないため、2020年にアメリカのネット広告分析回会社Wordstream社が発表した『世界の業界別CVR平均』から業界ごとの中央値と、上位25%、上位10%の数値を紹介します。
日本国内の企業データに必ずしも当てはまるものではありませんが、参考値として自社サイトの数値と比較してみてください。
(出典 :What Is a Good Conversion Rate? It’s Higher Than You Think! | WordStream)
リスティング広告のコンバージョン率
Wordstream社から発表された『業界別Google広告のクリック率とコンバージョン率の指標データ』からリスティング広告のコンバージョン率の平均値を見ていきましょう。
この統計では、2018年のGoogleのリスティング広告とディスプレイ広告のCVRが比較されています。
またこのデータでは、すべての業界においてGoogle広告の平均クリック率はリスティング広告で3.17%、ディスプレイ広告で0.46%だったとされています。
(出典:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!] | WordStream)
ランディングページのコンバージョン率
ランディングページ(LP)とは、本来はユーザーがサイト内の最初に訪問するページを意味しますが、ここでは、ユーザーにコンバージョンにつながる行動を起こさせるような情報を提供するためのWEBページのことをLPということにします。
2017年に発表されたアメリカ・Unbounce社の統計では、ランディングページからリードに転換した割合をコンバージョン率として測定しています。
全業界のランディングページのコンバージョン率の中央値は2.35%です。
(出典:Conbersion Benchmark report 2017 from Unbounce)
CV率が低い原因は?ユーザーの離脱や調査不足が原因
コンバージョン率が伸びない原因や低下した原因は何か、次にあげる3つの原因が自社サイトに当てはまらないか検証してみてください。
- ユーザーのサイト離脱率
- ターゲットが明確にされていない
- 季節や流行などユーザーのニーズとマッチしない
ユーザーのサイト離脱率
コンバージョン率が低い原因のひとつに、「 サイト離脱率の高さ」が挙げられます。例えばアクセス数は伸びているのにコンバージョン率が伸び悩んでいる場合もこれに当たります。
サイトを訪れたユーザーが何らかの理由でコンバージョンに至らずにサイトから離れてしまうのです。
ではなぜサイトから離れてしまうのでしょうか。ユーザーがどのページまで読み進んで、どこで離脱してしまったのかをGoogleアナリティクスなどでデータを確認してみましょう。サイトの構造がユーザーの行動傾向に沿っていなかったり、ユーザーの興味を引くコンテンツになっていないなど、改善のための原因を分析しましょう。
ターゲットが明確にされていない
WEBサイトのターゲットが明確にされていないことも、コンバージョンが得られない理由となります。コンバージョンに最適なターゲットを明確にしないと、広告や流入媒体、コンテンツなどが効果的に働かず訴求力が弱くなってしまいます。例えば、男性向け化粧品を販売するECサイトで、女性の使用口コミばかりを掲載してもサイトを訪れた男性ユーザーは「思ったのと違う」とコンバージョンに至らないでしょう。
そのためWEBサイトで取り扱うサービスや商品は、どのような層に向けて展開したいのか、サイトに訪れてほしいユーザーはどのような人か、ターゲットの性別や年齢、趣味趣向など具体的なターゲット像を設定しましょう。
Google Analyticsであれば、「ユーザー>ユーザー属性」から、サイトに訪れたユーザーの年齢や性別などがわかります。自社サイトのターゲットとしている層とマッチしているか検証してみましょう。
季節や流行などユーザーのニーズとマッチしない
コンバージョン率が低いのは、取り扱っているサービスや製品が、流行やユーザーのニーズにマッチしていない、というそもそもな理由も意外とあるものです。
冬に日焼け止めや水着を販売してもあまり売れないのは当然のことのように、季節などの市場環境要因による需要の変化が原因で自社サイトのコンバージョン率が低下しているのであれば、設定している適正コンバージョン率を見直す必要があります。
またコンバージョン率を上げるためには、ユーザーは今何を求めていてどのようなことに興味があるのか、トレンドやニーズをその時々で正確に把握しておくことが重要です。
コンバージョン率を上げるための改善方法
WEBサイトでは、どれだけコンバージョンしたかということこそが重要です。コンバージョン率が低下したり、伸び悩む主な原因を紹介しましたが、どのような施策が有効なのでしょうか。コンバージョン率を高めるための施策を4つ紹介しますので、参考になれば幸いです。
- ターゲットを明確にする
- サイト流入のキーワードを設定する
- ユーザーが離脱しないコンテンツを作る
- ポイントを抑えたランディングページ(LP)を作る
ターゲットを明確にする
コンバージョン率を上げるためには、ターゲットを明確にするべきですが、まずはWEBサイトのコンバージョンである提供サービスや製品についてしっかり知っておくことが重要です。そのうえで、そのサービスや製品はどのような人に向けたものなのか、どのような人にWEBサイトに訪れてもらってコンバージョンに至ってもらいたいか、性別や年齢、趣味趣向やライフスタイルなど、ターゲット像を具体的に設定していきましょう。そしてそのターゲット像はどのような言葉や話題に惹かれるのか、どのようなデザインに惹かれるのか、ターゲットに則したWEBサイトへとコンテンツの変更やデザインの変更などを行っていきます。
例えば「30歳、会社員、独身、男性、年収500万円、趣味は車とサッカー」などとターゲット像を設定すれば、どのようなサイトに広告を打てばいいか、どのようなコンテンツが効果的か、どのような情報が求められているのか、などをより的確に分析できます。その結果、ターゲット以外のユーザーからのアクセスは減ってターゲット層のアクセスが増え、コンバージョンしやすいユーザーが増えるのでコンバージョン率アップが期待できるでしょう。
サイト流入のキーワードを設定する
ターゲット層のアクセスを集めるためには、キーワードの設定は重要です。WEBサイトへのアクセス数は多いのにコンバージョンが少ない場合は、コンバージョンしにくいユーザーが検索してヒットしやすいWEBサイトになっているからかもしれません。
そのためユーザーがどのような情報が欲しくてWEBサイトを訪問しているのか、どのようなキーワードで検索をかけサイトへやってきたのか、またどのキーワードで入ってきたユーザーがコンバージョンに至る確率が高いのかなどの分析が必要です。
コンバージョンしにくいユーザーの訪問を避ける作りに改善し、コンバージョンしたユーザーの検索キーワードを使ったコンテンツの修正や拡充をすれば、よりコンバージョンにつながりやすくなるでしょう。
ユーザーが離脱しないコンテンツを作る
WEBサイトのターゲットを明確に設定し、流入キーワードも設定し、コンバージョンしやすいユーザーを集めたら、次は訪問したユーザーが途中で離脱しない構造にするための施策を行いましょう。
ユーザーがコンバージョンに至らずに離脱してしまうWEBサイトの特徴に、入力フォームが煩雑すぎたり、サイト内に多種多様な情報があり過ぎて見にくい、探しにくいなどが挙げられます。
そのためWEBサイトの情報を整理して、ユーザーが簡単に欲しい情報を探すことができる工夫や、長いページの最後だけでなく途中にも申し込みボタンなどを設置するなど、ユーザーがストレスなくコンバージョンへと至れるような導線を設計していきましょう。
またユーザーがWEBサイトを訪れた瞬間に「なんか違うな」と離脱しないよう、「もっと見ていきたい」と思わせることが重要です。そのためには、ユーザーの興味を引くキャッチコピーやデザイン、コンテンツ、記事などを提供できているかも重要なポイントです。ユーザーのニーズとページ内容にギャップが生じないようページを最適化していきましょう。
ポイントを抑えたランディングページ(LP)を作る
ユーザーはさまざまなWEBサイトを経由してあなたのサイトへやってきます。そこでコンバージョン率をアップするために、ランディングページを作ることも非常に有効です。
しかしランディングページのアクセス数が伸びてもコンバージョンへ至らなければ意味がありません。ユーザーのニーズに則しながら、コンバージョンへと導くためにランディングページも最適化していくことがポイントです。
ランディングページでは、ユーザーが求めている情報をわかりやすく提供していきましょう。ユーザーが求めている情報と合わせて、自社製品やサービスがいかに素晴らしいものなのか、役に立つものなのか、といったメリットの訴求を行っていきます。また他社の製品やサービスとの差別化を図るために、比較記事を用意したり、専門家のコメントや、記事にオリジナル性を持たせるなどの工夫も必要です。
まとめ
WEBサイトを運営していくうえで、コンバージョン率は重要な指標となること、平均値から自社サイトのコンバージョン率を評価すること、コンバージョン率をあげるための方法などを紹介してきました。
自社サイトに最適な目標コンバージョン率を設定し、コンバージョン率をこまめに計測すること、目標値から下がった時にはその原因が何なのか、さまざまな分析や検証とWEBサイトの改善を繰り返し行っていくことが、コンバージョン率をアップしていくために重要なことです。