誰もがオンラインでアドバイスを求めている – 劣悪なリンク構築はするな。SEOでは短期的なメリットに拘る戦略を採用するな等々。しかし、このようなアドバイスにいつも従っているのだろうか?従ってもやっていける余裕があるのだろうか?
最近、英国の小規模なオンラインビジネス – チルドレンズ・ファーニチャー・オンライン(CFS)によって、この現実を改めて思い知らされた。ジェーン・コップランド氏が、ペンギンアップデートによって同社が廃業を余議なくされた旨を伝えるオンライン文書をツイートで取り上げていた。
これが現実である。小規模なビジネスが閉鎖に追い込まれる光景を私は出来れば見たくない。彼らは全身全霊で事業に励んでおり、とりわけグーグルのアルゴリズムの変化によって閉鎖しなければならなくなる状況は胸が痛む。また、閉鎖を発表する文書からは、CFSが劣悪なSEOのアドバイスの被害者のように思えるが、SEO業界全体に悪いイメージを与えている気がする。私達を愚か者呼ばわりする目立ちたがり屋は後を絶たないが、私は小規模なビジネスを沈めるのではなく、助ける側の人間として認めてもらいたいと思っている。
大勢の人達がチルドレン・ファーニチャー・ストアーのツイッターのアカウントに接触し、支援やアドバイスを申し入れていた。残念ながら、既に手遅れであり、CFSは既に店をたたみ、取引を中止していた。
他にも同じようなケースがあるはずである。事実、この件に関する私のツイッターのアクティビティが影響して、同じような境遇に身を置かれた小規模な事業のオーナーから連絡を受けた。また、毎週、必ず知り合いの誰かが同じ問題を抱えているようである。
それでは、なぜこのような現象が起きているのだろうか?責任は誰にあるのだろうか?事業が廃業し、仕事を失う人達が現れる。「それも人生だ」や「ビジネスは難しいんだ」と切り捨てるべきではない。この状況を生み出した可能性のある犯人を特定して、阻止するためには何をするべきだったかを調べないなら、何も教訓を得ることは出来ない:
以下に私が個人的に考えた犯人をその罪の重さの順番で挙げていく:
目次
事業のオーナー
事業のオーナーは最も罪が深い。恐らく、利益が出ていてる際は、“万が一”のシナリオについては全く考えていなかったのだろう。以下に彼らの過ちを上げていく:
- 絶対に全ての財産を一箇所に集中させるな – これはウェブサイトや通常のビジネスのオーナーの間で、最も一般的であり、且つ浸透しているアドバイスなのではないだろうか。それでもなお、このアドバイスは無視され続けている。CFSが様々なトラフィックのソースを持っていたら(自然なトラフィックの利益を使って作り出すことは可能であったはず)、もしくは、オフラインの事業を構築し始めていたら、グーグルのペナルティの影響は遥かに小さかったのではないだろうか。この点は、あからさまにスパムなSEOの手法を用いていない場合にも当てはまる。グーグルのビジネスの目標が今度どのようになるのか、そして、妥当な取り組みと妥当ではない取り組みの境界線がいつ動くのかは分からず、妥当ではない側に自分がいる状況に身を置かれる日がいつやって来るのかは誰にも分からないのだ。トラフィック/事業のソースを余分に手に入れることで、このシナリオに対する免疫力を(ある程度)高めることが可能である。苦渋の決断を下し、- 例えば検索広告等に利益を回さなければいけないときもある。ソーシャルネットワークでプレゼンスを確立する戦略も効果はある。幸いにもCFSはメーリングリストを維持し、このリストを使って残った在庫を販売することに成功した – メールは売り上げを最適化する上で良好なチャンネルである。
- 学ぶ – いたるところにSEOの情報が散らばっている。その全てを消化することは不可能である。しかし、オンラインビジネスとして、最も重要なベストプラクティスおよび落とし穴に関する最新情報をマーケティングチャンネルを介して把握する権利があり、そして、この取り組みが収益の大半をもたらす。CFSが妥当に注意を払っていれば、トラフィックを単一のソースに頼るべきではないこと、SEO業者が用いていた戦略が疑わしかったこと、また、同じ分野で競合者をリードする上でSEOに支払う金額としてはあまりにも少なかったことを把握していたはずである。さらに、問題が起きた際に何をするべきか分かっていたはずであり、そして、1年待って2度目の攻撃を受け、最終的に事業を畳まなければいけなくなるまで待っていたりはしなかったはずだ。
このケースでは、CFSの運営者は、同様のケースに関して時間をかけてインターネットでリサーチを行ったと明言している – しかし、どうやら“本物”のアドバイスを見つけることは出来なかったようだ。ビジネスのオーナーは、オンラインの情報をもっとうまく見つけられるように勉強するべきなのだろうか?あるいは、SEO業界はこの手の問題に関して、確実に質の高い情報が提供される環境を作るべきなのだろうか?この件に関しては、後ほど詳しく見ていく。CFSのケースでは、ビジネスのオーナーは複数の取り組みを行っていた – 可能性のある問題に関する記事を読み、別のSEO業者に相談し(サイトを諦め、新しく始めた方がいいと言われたようだ)、そして、原因と目される業者との提携を打ち切った。しかし、他にもすることはあったはずであり、他のビジネスには同じような状況で異なる取り組みを行ってもらいたい。 - 支援を求める -「事業撤退」を宣言する文書は人から人へと伝わり、支援を申し出る人達が現れ始めていた。ものの数分の間に、公の場で、そして、非公開の場で、このウェブサイトを助けるために何が必要なのかが見え始めてきた。業界のエキスパートからこの手の分析を得るには多額の費用が必要とされるが、ツイッター、SEOBookのフォーラム、グーグルウェブマスターセントラルのフォーラム、SEOMoz Q&Aフォーラム、G+、フェイスブックグループ等を介してSEOのメリットを活用していたなら、何が原因であり、何をすればいいのかに関して、ある程度の全体像をつかめたはずである。そうすれば自分達が採用しているSEO戦略がもたらすリスクを把握し、もっと早い段階でこの業者を去り、修復不可能な状況にまで陥らずに済んだのではないだろうか。この業界は確かに疑われているが、それでも、一部の人達は度量が広く、親切であり、ウェブサイトを自然な結果で売り込む上での難題に苦労している小規模な事業にとって、欠かせないアセットになり得る。
SEO 業者
- スパムな戦略 – CFSのバックリンクのプロフィールを見ると、バックリンクネットワークを利用していることが一目で分かる。
CFSの関係者と話を進めていくと、これが事実であることが判明した。大量のフッターリンク、有料のブログの投稿、関係のないサイトからのサイドバーのサイトワイドのリンク(しかも英語ではない)… 何も知らない小規模な事業を相手にして、3桁の自動更新の料金を約束し、そして、実際にしばらくは効果が続く。リスクについて警告しただろうか?グーグルがこの手のリンク構築の取り組みをターゲットにしたら、ビジネス全体にとって致命的になることを伝えただろうか?あるいは、効果が続く限り、このような短期的な戦略で得た利益を、トラフィックのソースを多様化する試みに投資するよう薦めただろうか?薦めなかったはずだ。これではドラッグディーラーと何ら変わりはなく、疑うことを知らない顧客から利益を巻き上げ、彼らの事業そのものを危機に晒していることになる。恥ずべき行為である。愚か者としか言いようがない。
- 責任はない – 上に掲載したグラフにも現れているように、CFSのサイトは2011年5月と2012年5月の2回に渡って打撃を受けている。CFSの説明によると、ウェブマスターツールズの警告を受ける頃には業者との提携を破棄したようだ。それで責任を逃れられると思っただろうか?この2011年5月から翌年の5月の間に何をしただろうか?CFSのケースで、皆さんなら責任を負うだろうか?この状況を修復するための方法を指示しただろうか?一部は自分のせいで、泥沼にはまった会社を廃業にまで追い込ませるなどもってのほかだと思わないのだろうか?自分が与えたひどいアドバイスのおかげで人が仕事を失うことについて心が痛まないのだろうか?
グーグル
そう、グーグルの責任でもある。
長期間に渡って劣悪なリンク構築戦略がうまくいく環境を作ってしまったため、競争に負けないためには、便乗して、スパム丸出しのリンク構築を行われければいけない状況が生まれた。フェアプレーを求め、“ホワイトハット”な手法を勧めている一方で、競合者は笑いながら利益を上げていく。確かにいずれペナルティーを食らうはずだが、それまでに十分な資金を蓄え、別のドメイン/SEO戦略に切り換えることが可能なリソースを手に入れる、もしくは、事実上、アルゴリズムの変化の影響を受けないレベルまでブランドを構築しているだろう。ベストプラクティスに従うと経済的に小規模のビジネスは経営が苦しくなる状況をグーグルは作り出した。よって、有罪である。
また、この手のペナルティに関する情報を、その大切なアルゴリズムを悪用することを昼夜問わず必死で研究しているヤクザなSEOしか参考にしていない点も理解するべきである。ビジネスのオーナーに対して、ペナルティを受けている理由を伝えるのはそれほど難しいことなのだろうか?「あなたのサイトは有料リンク/不自然なアンカーが多過ぎます。ウェブマスターツールズで大きな赤いビックリマークでマークされているリンクのことです。削除しましょう」と伝えるべきである。ビジネスのオーナー達がソースを見直せるように、このようなペナルティに関して良質な詳しいコンテンツを提供する責任はグーグルにはないのだろうか?ビジネスにペナルティを与えるとき – 明確な理由を示すのはグーグルの仕事なのではないだろうか?ウェブマスターツールズでの当たり障りのない通知で十分なのだろうか?
「ペンギン」や「パンダ」等を検索した際に、騙される人がでないように、回復に関してグーグルが綴ったガイドラインが1位に格付けされるべきなのではないだろうか?確かに、上位にランクインするためには何をやっても良いと言う情報を得た責任が全てグーグルにあるわけではない。確かに、グーグルは借りがあるわけではないが、グーグルがクロールし、広告を掲載することが出来るコンテンツをウェブに提供している人達に対して慈悲を示してもいいのではないだろうか?
SEOコミュニティ
SEOコミュニティにはどのような責任があるのだろうか?この業界の情報を汚染した責任がある。憶測および決まり文句を基に「SEO関連のYに影響を与える10の無関係な方法 X」と言う同じ形式で綴られた多数の浅はかな記事のおかげで、SEO業界以外の人達が有益な情報を得ることは不可能になってしまった。 2006年に作られたリンク構築戦略に関する記事が2012年に「最新」および「最先端」として広められているほど、状況は悪化している。
作者、業者、経験、そして、過去の記事を把握していないなら、SEO業界のノイズをかき分ける時間がないなら、何を信頼することが出来て、何を信頼することが出来ないかを見極めるのは不可能である。また、この業界では、ひどい情報を目にした際に声を上げる習性がないため、業界内での対立を控えるのが当然とされているため、そして、コンテンツの質に関するディスカッションが非公開のスカイプのチャットや限定されたフェイスブックのグループに制限されているため、このナンセンスなロジックの氾濫を抑えることが出来なくなっている。よって、私達全員が責任の一部を担っていると言わざるを得ない。
CFSのことは気の毒に思っている。阻止することが出来た問題が原因で事業がいとも簡単に廃業に追い込まれてしまうのは見ていて忍びない。グーグルが大きなブランドを優先することで、そして、アルゴリズムを変更し、今まで許容されていた、成功を収めていた取り組みをペナルティの対象にすることで – 成功を収めるのが非常に難しなっている中でも、こういったウェブサイトの裏では、人々が生計を立てているのだ。この投稿によって、同じ状況に身を置かれる人達がいなくなることが私の本望である。
最後に編集および背景に関する情報の提供に貢献してくれたRishiに感謝の意を表したい。
ブランコ・リートマンは、2001年からSEOに携わっており、様々な競争の激しい分野でウェブプロパティを所有している。時間の経過とともに、ブランコ・リートマンは、適切なリサーチの実施および実験が重要であることに気づき、調査結果や実験内容をSEO サイエンティストで配信するようになった。また、現在、一流のSEO SaaSプラットフォーム – DriveのプロバイダーであるRankAboveでSEO R&Dを担当している。
この記事は、SEO Bookに掲載された「Curious Case of Small Business and SEO」を翻訳した内容です。
誰に責任があると思うかはともかく、決して緩まることはないであろうGoogleのスパム取締り。SEO Japanでも様々な記事を配信していますが、ウェブ・サイトでビジネスを行う以上はある程度は自己学習・自己責任で(自分でやるかアウトソースするかは別として)SEOに取り組んでいくべきではと思います。どれだけGoogleやSEO業者を非難したところで、最後の結果は自分自身に返ってくるわけですから。。。 — SEO Japan [G+]
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