2013年、東南アジアがスタートアップとテク業界に一番アツい理由

最終更新日:2024/02/16

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最近、シンガポールやインドネシアなど、東南アジア進出を目指すネット企業が日本で増えているようですが、さて数年後に大成功している会社は出てくるのでしょうか。今回は、東南アジア進出をしている・これから考えている日本のネット企業&スタートアップのために、東南アジアのテク業界の今について解説した記事をThe Next Webから。実は2013年初頭に書かれたこの記事ですが、今でも十分通じる内容、東南アジアに興味がある人に是非。 — SEO Japan

アジアではテクノロジーとスタートアップがどのように変化したかに関するシリーズ記事の準備のために、2012年を振り返ってみて、私は、それが東南アジアにとってどれほど意義深いものだったのかを感じた。

10億人を超える人口を持つ中国とインド、もしくは日本と韓国のハイテク市場に焦点を合わせる人達には無視されることが多いが、東南アジアは恐らく、テクノロジー市場が世界最速で発展している地域の1つだ。テクノロジーがこんなにも生活に欠かせず目に見える影響を与えている場所は他にはなく、それは2013年も継続する準備がすっかり整っている。

私がなぜ東南アジアにおける今年の可能性に興奮したのかにはいくつかの理由がある(順不同)。私なら世界のその他の場所に住むことを選ばないだろう。

マーケットとして気付かれている東南アジア

外部刺激は、新興成長市場の発展を助ける重要な要因である。2012年以前、東南アジアは海外プレイヤーからの流入はほんの少ししか見られなかった。大部分の人は、もし海外で危険を冒して試みるとしたら、もっと大きな機会や市場に焦点を合わせることを好んだ。

東南アジアには6億人ほどの住人がいるにもかかわらず、インターネットとテクノロジーは、アメリカやヨーロッパほどには広く取り入れられていない。確かに、私が2011年に指摘したように、この地域のテックの足跡を測定することは簡単ではないし、そのことは、企業が可能性のあるターゲットオーディエンスがもっと明らかな他の市場を支持して東南アジアを無視する傾向にある主な理由だ。

今日まで話を進めると、東南アジアは人口が多く金になるだけでなく、競合相手によって未開発の場所であるということに、より多くの企業が気付いている。この気付きは2011年末に始まり、インドネシアやマレーシアやタイなどの国におけるTwitterとFacebookの使用がニュースになった2012年まで続いた(中には欧米市場よりもアクティブな国さえあった)。

今日のマルチデバイス時代では、ソーシャルメディア使用は、インターネット普及率のような従来メトリクスとは対照的に、国内でのWebの発展を測定するのにより正確な手段だ。インドネシアのTwitterとFacebookの高い使用やタイでのInstagramの人気などの要因が、見かけによらず低い有線インターネット率にもかかわらず、Web企業にこの地域を知ってもらう手助けをしている。

去年だけでも、東南アジアでRocket Internetが5つの企業をローンチし、LazadaとZaloraが東南アジアの発生期のeコマース市場におけるAmazonのような市場サービスの未来について強気な投資家たちから何百万ドルも資金調達した

音楽サービスのAirbnbDeezerTencentのWeChatメッセージングアプリNaverのLineアプリなどその他の国際的に有名な名前が、ユーザーベースを成長させるためにこの地域への焦点を鋭くした。中国のBaiduは、シンガポールを拠点としたリサーチセンターへのドアを開くと同時に、タイベトナムの可能性を探るために新しい製品をローンチし、その穏やかで緩やかなアプローチを継続した。このセンターは言語学を専門に扱い、東南アジア市場のためのローカルサービスを発展するために使われる。それは、中国の検索大手がここでの可能性を認識していることを示す。

スマートフォンの成長とインターネットアクセス

東南アジアを有名にしているその成長の証の中心となっているのは、スマートフォン所有の増加だ。それは、インターネットアクセスの増加をもたらすのに役に立ってきた。東南アジア全域でモバイルデバイス唯一最大の推進力になっているのがAndroidだ。その影響力に関する調査は様々だ:EricssonによるとGoogleが所有するそのオペレーティングシステムは、31パーセントものマーケットシェアを占めるが、GfKはその数字を49パーセントと言いっている

別の調査では、この地域でのスマートフォンの売上は前年比で78パーセント上昇しているとGfKは見積もっている。7つの主な市場―シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム、カンボジア、フィリピン―で、2011年7月から2012年6月の間に累積137億ドルに値する携帯電話が販売されたことが明らかになった。

GfKデータで最も興味深いことは、スマートフォンがそれらの7つの市場で販売された全ての携帯電話のほんの25%にしかならないことだ。それは、さらなる成長が豊富にあることを意味する―いつかは、ますます多くの初めてのインターネットユーザーが、Webへの主な/唯一のアクセスポイントであるモバイルフォンと共にオンラインにやって来るだろう。

今のところは、まだ多くの人にとって価格の壁が存在する―前払いが標準で、多くのオペレーターがデバイスに補助金を支払わないためだ。もし2年契約のために獲得する値引きがなかったら、あなたはロックされていないiPhone 5を買うだろうか?

デバイスがどんどんと安くなり古くなり、ディスカウントされたモデル―iPhone 3Gのように―が、消費者の予算に該当するようになる中、人々の手にデータをもたらすのを手助けするその他の組織が存在する。先週、MYR500(US163ドル)以下の3Gスマートフォンを購入する時に若い人がMYR200(US65ドル)の払い戻しを受けることができるスマートフォン割引の詳細をマレーシア政府が発表した

この動きは、テクノロジーへのアクセスを向上することによって突き動かされ、このアイディアは“古い第二世代の携帯電話をもった人々を基本の3Gスマートフォンに移行させること”だと、スポークスパーソンは言った。全体人口ではなく、デバイスにお金を支払う余裕のない人達に向けたこの動きは、モバイルが本当の変化をもたらして、この巨大市場の利益となることができるという全体的感情を示している。

助けを出しているのは政府だけではなく、インターネット企業がより低くなった壁に飛び付いてきた。10月には、Googleがフィリピンでモバイル所有者にサービスを無料で使わせる‘Free Zone’構想をローンチしOperaのWeb Passは、モバイルWebユーザー初心者が費用を抑えたまま自らの活動を管理するのを手助けしている。そのサービスは11月にマレーシアでローンチし、それ以降世界中の新興市場に拡大してきた。

さらには、低い料金でWebサービスの使いたい放題を可能にするバンドル契約を提供するために、サービスプロバイダー(メッセージング企業のWhatsAppやOperaThenなど)とチームを組んだ数えきれないほどのモバイルオペレーターが存在する。タブレットの導入はゆっくりだが、Kindleの新しいFire rangeやGoogle Nexus 7のようなより安価なデバイスが成長して、この地域にやってくることが期待できそうだ。

この全ては、より多くの人々のためのより多くのアクセスを意味する。それは情報の利点を東南アジアの住民にもたらすだけでなく、eコマースや電子政府やリモート学習のようなWebサービスのための豊かな環境も作る。

より多くのスタートアップが地域的に考えている

私は、主に消費者の立場からこの変化に目を向けてきた。よく言われるように、スタートアップは魚のいる場所で魚釣りをしなければならないという正当な理由で、全てのエコシステムは捕らわれの聴衆を持つことを頼りにする。東南アジアのインターネット人口は力強く成長しているため、この地域のスタートアップは、自国市場の外に出てローカル市場を越えてリーチする可能性をより高く評価して前進してきた。

単純化しすぎないようにしよう。東南アジアは、その多様性のおかげでかなり複雑に込み入っている。言語、文化、民族性は、たとえあなたが最大の国々を査定しても、地域によって異なる。しかし、成功するスタートアップの新しい波は、初日から地域の考え方を採用することによって大きな報いを受けることができることを示してきた。

大部分の企業がまだ自国市場で勝つことに焦点を合わせていた頃、たくさんのビジネスが、幅広い視野から得るべきものが豊富にあることを示した。Paul Srivorakulは、バンコクを拠点とする民間投資会社Ardent Capitalの会長だが、Admax Networks(2012年2月、Komliに買収された)とEnsogo(2011年6月、LivingSocialに買収された)の創設者として最も有名だ。

Srivorakulは、早くから両方のビジネスを複数の市場で経営し、これまでで最も有名な東南アジアの2つの買収で分け前を手に入れた(その契約金は未公開のままだ)。Ensogoは、タイランドで85%、フィリピンで50~60%、インドネシアで45~50%のマーケットシェアを誇った―Grouponがあまりにそれを買収したがり、それが実現しなかった時にあまりに攻撃的だったのも驚くに値しない。

どちらのビジネスもタイに焦点を合わせたままにしておくこともできたはずだ。しかしながら、この2つのビジネスは、境界線を押し上げて、多くの起業家が東南アジアに企業を作る時に身に着ける傾向のあるその地域のブリンカーを通り越して、2つの業界リーダーにとって明らかに有益な買収となった会社へと発展したのだ。

当然ながら、Srivorakulは、地域的アプローチの支持者だ。Ardentは、東南アジアの投資コミュニティへの新規参入者だが、すでにそのポートフォリオ企業をこの地域の主要市場にわたって拡大するのを手助けするシステムを作っていて、もっと成長する可能性、そして、―恐らく重要なことに―資金を調達して求婚者を引き付ける可能性を与えている。

管理上のサポートを蓄積したり、そのポートフォリオ企業の間でリソースと知識を共有したり、Srivorakulのコンタクトのネットワークに手をつけることによって、彼はArdentが支援したスタートアップが素早く効果的に拡大することができると確信している。

‘初日から地域的になる’モデルを申請する企業に勧めているのはArdentだけではない。地域的に考えている企業数の増加は、競争を増やし、より良いサービスを提供し、この市場に参入することやプレゼンスを押し上げることを決めた大企業に魅力的な買収を提供することによって、東南アジアの利益になる。

ローカルで始めて基盤を確立したら拡大するというのは、いまでも企業が進む有効な道筋のままだが、それにはいくつかのリスクも伴う。特定の市場に進出するのに時間をかけることによって、スタートアップは早期進出者のアドバンテージを失うかもしれないし、地元にもっと定着した国内企業からの競合相手の増加に直面するかもしれない。サービスが最新の消費者トレンドを基盤にしている場合や、世界のどこかで確立されたビジネスからヒントを得ている場合には、それが特に当てはまる。

スタートアップと起業家のためのより多くの機会

大企業の関与やインターネットアクセス率や地域的思考とは関係なく、東南アジアのスタートアップシーンは猛烈な勢いで成長してきた。そして、それは、他の要因とは関係なく、確実に2013年も継続する。これの大きな理由の1つは、機会の増加だ。

アクセラレーター

去年のJFDIアジアの初ブートキャンプは、欧米スタイルのアクセラレーターを汎東南アジアスタートアップにもたらし、大きな前進となった。100日間のプログラムは、会社の創設に成功した人達からの指導と専門知識と共にビジネスを発展させることに完全に焦点を合わせていた。その結果、半分以上のスタートアップが資金を獲得した。実に、参加者15人のうち60パーセント以上が最低でもSG650,000ドル(US530,000ドル)を獲得したのだ。それは、JFDIアジアのCEOであり共同創設者のHugh Masonが(当然のことながら)誇りに思い、励まされることだ。

このプログラムは週末のスタートアップイベントを利用して、参加者を探して特定するのを手助けした。ブートキャンプがけん引力を持った今、その要素は今年は取り除かれているが、これらのイベントが、この地域にわたって定期的なミートアップやコミュニティの引き金となったとMasonは私に言った。このようにして、それは実際に参加した企業以外にも影響を与え、スタートアップの認知とビジネスを築く可能性を促進するのを助けている。

今年、JFDIアジアは、二つのプログラムを実施するつもりだ。それは、Goldengate Venturesと連携し、急速に発展する将来有望なスタートアップがシード・ファンディングステージとその先に進むのを手助けする。JFDIは100以上のスタートアップが卒業することを目指していて、その中の1つが1億ドルのスタートアップ(本当の影響力を持ったゲームチェンジャー)になると楽観しているのだと、Masonは言う。

それは、JFDIがその当初の成長から、Techstarsアフィリエイトの成長の平均より上回っているという事実に大いに基づく。Masonは、これらのマクロ要因が一緒になってこの地域の起業家に大きな機会と参入すべき市場を提供するのだと考える。

今現在、どこで何がどのようにして東南アジアから大企業が台頭するのかは明らかではないが、エコシステムの成長と指導へのアクセスとファンディングと情報が、これが起こる可能性を増やすことは間違いない。同様に、失敗およびシリアル・アントレプレナー精神―会社を始めて、それが確立したら去ること―から学ぶことは、東南アジアにわたって今も種をまいている2つのことだ。これらの要因は、より経験豊富な熟練した起業家から出現する未来のサービスとビジネスにとって重要になるだろう。

スタートアップハブと地域を越えた投資家の成長

私はこの言葉が嫌いなのだが、‘スタートアップハブ’がアジアのいたる所で台頭してきた。例えば、バンコクは今、少なくとも3つのコワーキングスペースを持っているし(1年前にはほぼゼロだった)、TNWは、ベトナムやカンボジアやその他の風変りな地域などの盛況なコミュニティにあるスタートアップから定期的に話を聞いている。

低い生活費に加えてインターネットの接続性が、明らかにこれの理由だ。しかし、それについて申し訳なさそうにするというより、これはこの地域への才能と投資の可能性を引き付ける大きな機会なのだ。

シンガポールは―数多くの政府プログラムのおかげで―VCキャッシュの中心点であり続けるが、取引は、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシアなどこの地域にわたるスタートアップで為されている。同様に、この地域に特に夢中な日本の投資家がいて、VCはシンガポールの外で出現している。

最も精選された最高のものは、シリコンバレーを去って東南アジアに向かうことはなさそうだが、Goldengate Venturesの創設チームの2人は、アメリカでの成功を見て、アジアを選んだ。同様に、DoctorPage現在Googleが所有するDailyDeal共同創設者Max Scheichenostのヘルスサービス)のようなスタートアップが、グローバルな野望を持ってアジアで始まり、この地域がビジネスを築くのに素晴らしい場所としてますます見られることを示している。

課題

しかしながら、東南アジアはたくさんの課題と戦っている。外国人にとっての市場の開示性は、この地域全体では広く異なり―ビジネスフレンドリーなシンガポールから、ビザや就労の許可が厳しいベトナムまで―、多くのスタートアップが質の高い地元の才能を採用して持ち続けることが大きな課題であることを知った。

同様に、多くの人の考え方は、スタートアップに不利な立場にある。多くの東南アジア諸国における社会は、多国籍企業やその他の大企業が提供することができる給料と待遇に張り合うことができるスタートアップがほとんどないことはさておき、大企業で働くことを高く評価する。それはいくらかのアドバンテージを保持するかもしれないが(給与を狙った金目当ての人を除外するのに役立つため)、多くの起業家志望が、外に出てスタートアップを築いて経験から学ぶというよりも、リスクの低い仕事や環境に閉じこもっていることはほとんど間違いない。

そして、継続中のテック問題、むらのある所得分配、給与体系の互換性難、この地域全体にわたる低い銀行使用率がある。

東南アジアがやってきたという甘い考えは持たないようにしよう。まだなされるべき仕事はたくさんある。しかし、最初に言ったように、私は、東南アジアは、成長と変化の可能性のある世界で最もエキサイティングな地域であると考えている。2013年、東南アジアに幸と進歩あれ!

画像ソース:ThinkstockThinkstocktratong/Shutterstock、calsidyrose/Flickr、ThinkstockAfrica Studios/Shutterstock、keithroper/Flickr


この記事は、The Next Webに掲載された「Why Southeast Asia is the world’s most exciting region for startups and tech in 2013」を翻訳した内容です。

どちらかというと、データ寄りの基本情報でしたが、潜在的可能性が高いことは間違いないので、チャレンジャーなあなたなら真剣に検討する価値はあると思います。課題にもありましたが、大半の国はまだまだ新興国、お金持ちになることや安定した生活を求めて大企業で働きたい人が大半でしょうし(ま、今の日本もそうですけど・・・)、現地でスタートアップで働きたい人を探すことは難しい気はしますけどね。だからこそ、現地人でスタートアップにチャレンジする人も少なく、外国人にチャンスがあるともいえますが。実際、東南アジア諸国のスタートアップって意外と外国人が行っているケースが多いですし。

後は東南アジアと一括りにすることは簡単ですが、実際は異文化、多言語で国間で関係性・関連性が余りなかったりすることもあり、全体を一気に取りに行くことはまず不可能ですよね。とはいえ単一国のシングルマーケットではインドネシアを除けば規模が少なすぎますし(流行のシンガポールなんて日本の地方都市みたいなものですし・・・)、1つ1つ攻略していくのには時間もお金もリソースもかかりそうです。その覚悟があれば別ですが、「日本が飽和状態だから次は一気に東南アジア制覇!」と勢いで進出すると痛い目に会うかも。その意味ではネットビジネスはそれに近いことができる最も可能性ある分野と思いますが、さてさて数年後に東南アジアを制覇した日本のベンチャー&スタートアップは出てくるのでしょうか?

否定的なことばかりを書いてしまいましたが、その成長性を考えれば、潜在市場と可能性は圧倒的な東南アジア、これからの時代はその地で勝負する選択肢は個人にとっても企業にとっても確実に有力な選択肢の一つとは思います。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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