サイト移行における問題。トラフィック減少の原因として考えられる11の要因

最終更新日:2021/09/23

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Webサイトの移行は、どんな種類のWebサイトであれ、発生する可能性があります。多くの時間と労力が費やされることもあり、一大イベントとなることも考えられます。また、SEOという観点からもWebサイトの移行は大きなイベントであり、手順を間違えてしまうと、トラフィックの減少に繋がる可能性も十分にあります。今回は、こうしたWebサイトの移行において、SEO観点からポイントとなる項目を解説した、Search Engine Journalの記事を紹介します。

Webサイトの移行は大きな利益となることもあるが、その過程においては多くの問題が発生することも事実である。この記事では、Webサイトの移行によってトラフィックが減少しうる、11のよくある要因を紹介する。

Webサイトの移行にかかる手順は煩わしいものであるが、長期的にみれば、そのWebサイトに利益をもたらすだろう。しかし、その過程においては、多くの問題が発生する。

リダイレクトの不備、robots.txtファイルのミス、サイトマップの問題、内部リンクの破損などは、Webサイトの移行によってトラフィックが減少する要因となり得る。

Webサイトの移行後にトラフィックが減少し、その要因を特定するためには、試行錯誤が必要となる。

この記事で紹介する内容をチェックリストとして活用し、Webサイトの移行後にトラフィックが減少してしまう理由を再確認しよう。

クローラーを巡回させ、よくある課題のリストを作成することから始める

まずは、Webサイトに悪影響を与える可能性のある問題についてのリストを作成しよう。そのリストを活用し、発生した問題の検証と修正を行うのだ。

ScreamingFrogは、Webサイトをスキャンし、各ページの固有の問題を確認するための最適なツールである。

Webサイトのスキャンを実行し、どういった問題があるか、確認しよう。大規模なWebサイトの場合スキャンに時間がかかる場合もあるが、問題を発見するためには、その時間を費やす価値は十分にある。

  • リダイレクト
  • 内部リンクの破損
  • 重複コンテンツ
  • メタデータの問題
  • ブロックされたURL

私がまさにそうであるが、多くのことを手動で行いたいと思う人もいるはずだ。しかし、このツールを使用すれば、多くの時間を節約できるだろう。

スキャンしたデータを保存しておけば、下記に記載するような多くの問題をすぐに特定することができるだろう。

Webサイトの大規模な移行や再設計を行う前に、スキャンしたデータをバックアップしておくべきだ。こうすることで、移行後のデータとの比較が可能となり、何が変わったかをすぐに確認することができるはずだ。

Webサイトの再設計の前には、HTMLやレイアウトのコピーを保存し、必要に応じて見直すことができるようにしよう。

Webサイトの移行後にトラフィックが減少する原因となる11のよくある要因

Webサイトの移行後にトラフィックが減少する原因としては、以下の項目(もしくは、いくつかの組み合わせ)が考えられる。

1.Canonicalタグの変更

トラフィックが減少したり、ランキングが下降したりしたページはどこだろうか?こうしたページの内容を見て、canonicalタグを分析し、トラフィックに影響する変更があったかどうかを確認しよう。

タグにおけるよくある問題は下記の通りだ。

  • 関係性のないページを指している
  • プログラムの問題(例:末尾のスラッシュの記載がない)
  • もはや存在しない、古いURLを指している

2.robots.txtやインデックスされないコンテンツ

robots.txtのファイルや、トラフィックが減少したページを開き、そのページがインデックス可能な状況であるかどうかを確認しよう。インデックスにおける問題が、トラフィックの減少の要因となっている可能性があるからだ。

Googleはrobots.txtのテストツールを提供しており、それを活用すれば、問題の特定や修正に大きく役立つ。

詳細は「Googleのジョン・ミュラー氏による、robots.txtでブロックされたページが表示される理由の説明」(英語)の記事を参照してほしい。

3.メタデータの消失

Webサイトの移行の過程で、メタデータが消失している可能性も考えられる。データベースの移行において、カラムが1つ消失することによって、タイトルタグやメタ・ディスクリプションが失われてしまうかもしれない。

ScreamingFrogでスキャンしたデータを活用し、タイトルタグとメタ・ディスクリプションの内容が適切な状態になっていることを確認しよう。

もし、こうしたメタデータが消失しまっているのであれば、修正を行う必要がある。Googleで「site:URL.com」と検索すれば、移行前のメタデータが表示されることもある。

もしくは、移行前に作成したバックアップデータを参照することもできる。

こうした処置を行わないと、キーワードを含んだタイトルやディスクリプションを、手動で追加し直す必要が生じてしまう。Webサイトの規模にもよるが、不可能なほどの時間がかかってしまうかもしれない。

備考:データベースのスペシャリストの協力を得られたり、調査の時間を厭わないのであれば、移行前のメタデータを新しいWebサイトにインポートすることも考えられる。

4.ページスピードの低下

Webサイトの抜本的な移行や、サーバーの変更を行った場合など、ページスピードが低下してしまうことも考えられる。

トラフィックが減少したページのいくつかを確認し、ページスピードが遅くなっていないか、確認しよう。

そのためには、下記の作業が必要となるだろう。

  • CDNも移行の対象であり、適切に機能しているかを確認する
  • キャッシュシステムが適切に稼働しているかを確認する
  • スピードを向上させるためにできる、簡単な修正方法をPage Speed Insightsで確認する

また、サーバー関連の問題により、Webサイトの読み込みが遅くなることも考えられる。

5.内部リンクの確認

内部リンクは、ユーザーをWebサイトに留めておくための自然で優れた方法である。また、検索エンジンが、ページからページへと移動することにも役立つ。

ブログ記事内の内部リンクを含め、リンク先が古いWebサイトではなく、新しいWebサイトに向けられていることを確認しよう。

6.コンテンツのアクセシビリティに関わる問題

GoogleのSearch Consoleには、インデックスされている全てのページがリストアップされている。Search Consoleへログインし、「インデックス」内にある「カバレッジ」を開くことで、レポートを確認できる。

その後、「エラー」、「有効(警告あり)」、「有効」、「除外」などをクリックしよう。

このレポートで、問題のあるURLを確認することができる、また、個別のURLにカーソルを合わせ「URLを検索」をクリックすれば、詳細な状況を確認することもできる。

詳細ページの「公開URLをテスト」をクリックすれば、Googleがそのページにアクセスする際、問題となり得る可能性を特定することが可能だ。

7.リダイレクトの不備

リダイレクトは、Webサイトの移行において、不可欠な要素である。Webサイトの移行の際、301リダイレクトの処置を計画に含めていなければ、Webサイトの移行後に多くの問題を抱えることになるだろう。

検索エンジンにWebサイトの移行先が伝わらないことになってしまうため、トラフィックの減少が発生してしまう可能性がある。

ユーザーも困惑してしまうはずだ。リダイレクトに関する問題は悪夢のようなものであり、SEO担当者が最も恐れる問題の1つと言える。

ScreamingFrogでレポートを作成し、問題のあるリダイレクトの箇所を特定しよう。

そのためには、下記の手順が必要だ。

  • リダイレクトの経路を整理する
  • 連続するリダイレクトを追跡し、リダイレクトが正確であるかを確認する
  • 古いURLが新しいURLにリダイレクトされていることを確認し、301リダイレクトを使用しているページへのリンクを更新し、新しいページへのリダイレクトに置き換える

移行前の古いURLの全てをScreamingFrogにアップロードし、これらのURLをクロールし、レポートを分析することで、開始URLと遷移先のURLが正確であることを確認しよう。

また、最終のステータスコードも併せて確認しておくべきだ。

さらに、古いページには、301リダイレクトを使用すべきだ。恒久的ではない302リダイレクトは使用すべきではない。

8.外部リンクの消失

外部リンクは、依然として、検索エンジンに対する強力なシグナルである。多くの外部リンクを獲得している優れたWebサイトを構築できれば、順位状況も良いはずだ。

Webサイトの移行後、外部リンクを設置してくれているWebサイトのオーナーに連絡を取り、新しいWebサイトへのリンクに置き換えてもらうことを依頼しよう。

古いリンクに不備があったり、リダイレクトの対象ではない古いページへと遷移させてしまうと、検索結果の順位に問題が生じることもある。

こうしたリンク切れのページを、新しいWebサイトの類似のページや同一内容のページへとリダイレクトさせることも可能だ。

例えば、リンク先がsite1.com/dogsである場合、リンク切れのページをsite2.com/dogsにリダイレクトすることができる。また、リンク切れのページを、類似のページへのリダイレクトにすることも可能である。

9.プラットフォームやホスティングにおける問題

プラットフォームやサーバーの移行を行っているだろうか?変更することは良いことではあるが、下記のように、こうした変更がWebサイトのトラフィックの減少の要因となることもある。

  • ファイヤーウォールが検索エンジンのボットをブロックしている
  • 検索エンジンのボットがクロールすることが難しいJSを使用しているプラットフォーム
  • 速度やパフォーマンスの低下
  • 国による制限

プラットフォームやサーバーの移行を計画している場合(または、すでに行っている場合)、トラフィックが減少しているページを慎重に確認しよう。

ちょっとした準備をすることで、トラフィックの減少の要因となりうる、プラットフォームやホスティングの問題を避けることができるのだ。

10.画像

画像検索から多くのトラフィックを得ているだろうか?そうであれば、Webサイトの移行において、画像のURLが正しくリダイレクトされていることを確認しよう。画像のURLが下記の状態となっていることを確認すべきだ。

  • 正しい画像にリンクされている
  • 新しいドメインにリンクされている

CDNを利用している場合は、CDNの変更により、全ての画像を新しいWebサイトに移行することもできるはずだ。

CNAMEを使用して画像のURLを生成している場合は、CNAMEが新しいWebサイトやサーバーを指していることを確認しよう。

11.Googleのアップデート

Webサイトの移行とGoogleのアップデートのタイミングが重なることも考えられる。Googleのアップデートはアルゴリズムを変更するだけでなく、あなたのチームを混乱に陥れることもある。

Webサイトの移行のタイミングでGoogleのアップデートが発生し、ランキングが変動することもあるだろう。

Googleが主要なアップデートを行っていないか、確認すべきだ。あなたとあなたのチームが抱えている問題は、Webサイトの移行とは関係がないかもしれない。

トラフィックの減少からの回復と再構築

Webサイトの移行の前に、重要なデータを収集し、ベンチマークをしておくことが肝要である。Webサイトの移行前後のすべての変更を追跡できるようにしよう。

個人的には、Google Analyticsのアノテーション機能を使用し、SEOに関わる項目の変化を追跡する方法を好んでいる。

同様の方法で、エンジニアにも変更点を記録しておくことを勧めている。それにより、SEO担当者がトラフィックの減少の要因を特定することが可能となるからだ。

Webサイトの問題を解決するためには、時間と忍耐が必要となる。運が良ければ、解決方法をすぐに発見することもできるが、基本的には、SEOには長期的なアプローチが求められる。

自身のWebサイトを見て、こうした問題を確認し、必要な修正を行おう。修正が完了した後、数日から数週間待つことで、トラフィックが移行前の水準に達するかどうかを確認しよう。

移行前と比較し、トラフィックが劇的に減少しているのであれば、今回紹介したリストに沿って作業を行い、どうしても解決できないのであれば、プロフェッショナルに助けを求めよう。

そして、そこで学んだことを次回に活かし、より多くのトラフィックを獲得し、今まで以上に強力なWebサイトを構築しよう。そう、自信を持つことが重要なのだ。

SEOチームだけではなく、多くのチームを巻き込んで行われるであろうWebサイトの移行ですが、誰しもが移行後のポジティブな影響を期待しているはずです。しかし、ちょっとした不備によって移行後にトラフィックが大きく減少した、ということも十分に考えられます。SEO担当者にとっては、まさに悪夢のような出来事となりますが、こうした事態を避けるためにも、この記事で紹介された項目についてはしっかりと確認しておきたいものです。


この記事は、Search Engine Journal に掲載された「Site Migration Issues: 11 Potential Reasons Traffic Dropped」を翻訳した内容です。


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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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