私と共同創業者のマークが3年前にアンドリーセン・ホロウィッツを創設して以来、私たちは27億ドルを調達してきた。多くの人が、この事実に対して多くの質問を私たちに投げかける。その中でも最も多い2つの疑問が下記だ。
- なぜ一介の新しいベンチャーキャピタルがそこまで多額の資金を集めるのか?
- 新しいベンチャーキャピタルがどうやってそこまで資金を集められたのか?
この答えに行き着くためには、アンドリーセン・ホロウィッツを始めるにあたってのそもそもの動機を振り返るのが有益だ。
1999年、私は自ら創業したLoudcloudのための一回目の資金調達の後、私たちは新しいベンチャーキャピタル企業を訪問し、彼らのチーム全員に会いに行った。創始のCEOである私は、資金援助者に会うことや私たちが素晴らしい会社を作るためにどんなふうにパートナーを組むことができるかを話すことに大変興奮していたことを覚えている。その興奮は、トップパートナーの一人が、私の共同設立者の前で私に「本物のCEOはいつ獲得するつもりですか?」と言ったときに、ものすごい勢いで下がった。
私は呆然とした。そのコメントが、私を息ができない状態にしたのだ。要するに、私たちの最大の投資家は、私のことを私のチームの目の前で偽のCEOと呼んだのだ。私は、「どういう意味でしょうか?」と言った―彼が発言を覆して、私の面目を保たせてくれることを期待して。しかし、彼はこうたたみかけた。「大きな組織を考案したことのある人物、優れた上級管理者を知っていてあらかじめ作られたカスタマーリレーションシップをもたらす人物、自分がやっていることを分かっている人物。」
私はほとんど息もできなかった。彼が私のCEOとしての立場を傷つけたことも最悪だったが、もっと悪いことに、私は彼がある程度は正しいことを分かっていたのだ。私にはそれらのスキルがなかった。私はそれらのことをやったことがなかった。そして、私はそれらの人々を知らなかった。私は創始のCEOだったが、プロのCEOではなかったのだ。自分がこの会社を経営する時間が残り少ないことを示す時計の音が聞こえてくるようだった。
私はその仕事を学んで、十分なネットワークを築くことができるのか?それとも会社を失うことになるのか?その疑問が何か月も私をひどく苦しめた。
その次の年、良くも悪くも私はCEOに留まった。私は、そのパートナーが言ったことと自分が始めにいた場所のギャップを埋めるために驚くほど一生懸命働いた。たくさんの努力と友人や指導者(特にビル・キャンベル)の助けのおかげで、この会社は生き残り、最終的にはかなり成功し価値のあるものになった。
しかしながら、私がそのやりとりについて考えなかった日は1日もなかった。私は常に、自分はどれくらい成長しなければならないのか、自分のスキルを築くことや必要なコネクションを作るための支援をどう見つけることができるのか疑問を抱いていた。
マークと私はこれについてよく話し合った。私たちは、なぜ、投資家がこの会社を作った私たちが経営することを前提にするのではなく、創設者である私たちがこの会社を経営することができることを全く疑う余地のないことであるとを自分の投資家に証明しなければならないのかと、疑問を口にした。この会話が最終的にアンドリーセン・ホロウィッツへのインスピレーションになったのだ。
マークと私は、新しいベンチャーキャピタル企業の基本となった簡単な信条を共有している:一般的に、長い目で見ると創業者CEOはプロ経営者のCEOよりも良い業績を上げ、創業者CEOが成功できるようにするベンチャーキャピタル企業が最高の会社を作ることを助け、より良い投資利益を生む。
私たちが創設者が自分たち自身の会社を経営できるようにするベンチャーキャピタル企業を計画することに取り掛かると、まずは質問することから始めた。プロ経営者のCEOはどのように創業者CEOよりも優れているのか?プロのCEOは2つの中核となる強みを持つ:
- 優れたスキル – CEOになることは、幅広く知っていることを要する。実際にCEOだった多数の経験がなればそれを得ることは大変に難しい。CEOの経験のない創設者は、当然、“オンザジョブ・トレーニング”の期間にたくさんの重大なミスをする。優れたプロのCEOはすでにそういうスキルを身につけているのだ。
- 優れたネットワーク – 優れたプロ経営者のCEOは、傑出したエグゼクティブや従業員をたくさん知っている。さらに彼らは、主要なレポーターやアナリスト、重要な見込み客や業界のプレーヤーも知っている。創設者は、これらの人々を全て知っているほどの業界経験がない傾向があり、自分たちのネットワークをほぼ一から築く必要があるのだ。
次に、私たちはこう尋ねた。ベンチャーキャピタル企業はどうやってこれらのギャップを埋める手助けをするのか?
スキルの問題を解決することは難しいことが分かった。なぜなら、残念ながらCEOになる方法を学ぶにはCEOになるしか道がないからだ。もちろん、私たちがいくつかのスキルを教えようとするかもしれないが、教室の授業でCEOになることを学ぶことは教室の授業でNFLのクォーターバックになることを学ぶようなものだと経験上知っている。たとえペイトン・マニングとトム・ブラディがあなたの指導者であるとしても、経験がなければ、あなたが教室の外に出た瞬間に命を奪われる。
私たちは、創業者CEOに必要なすべてのスキルを与えることはできないが、学習プロセスを加速する指導のようなものを提供することはできると考えた。その結果、私たちの最初のジェネラル・パートナーの条件は、CEOになるための努力をしている創業者のための効果的な指導者になることだった。だから、私たちのジェネラル・パートナーの多くは元創業者か元CEOかその両方で、彼らは創業者が傑出したCEOになることを手助けすることに重点を置いている。
もちろん、全ての創業者がCEOになりたいわけではない。プロのCEOを呼んでくることが適切な会社もある。そういった会社には、創業者が適切なCEOを見分ける手助けし、そしてそのCEOがその会社にうまく溶け込んで、創業者と連携してその唯一無二の力を保持するのを手助けすることに重点を置く。
次に、私たちはネットワークを追い求めた。
私たちが一緒に仕事をしてきた既存のベンチャー投資家には重要な業界のリレーションシップがあったが、彼らには以下のことが欠落していることが分かった:
- サイロ – 起業家であるあなたは、ジェネラル・パートナーがあなたを顧客やエグゼクティブに紹介してくれるのを当てにすることができるが、ベンチャーキャピタル企業そのものを当てにすることはできない。それぞれのジェネラル・パートナーには独自のネットワークがあり、他のパートナーのネットワークにアクセスすることは実行可能でも実用的でもないことなのだ。なぜなら、それらのパートナーたちは自分自身の会社を優先しているため、実際のところあなたが彼らに会うことは決してない―彼らはあなたを手助けする状態にないのだ。つまり、あなたがつながることができる企業全体のネットワークは存在しないのである。
- アクセスするのが難しい – CEOとして、VCに「見込み客を紹介してほしい」と言うのは少しおかしな話だ。まず、それは迷惑のように思える―VCは他にたくさんのすることを抱えている忙しい人たちなのだ。次に、そのような紹介を実行するのは簡単なプロセスではない。どこで紹介をするのか?そのVCが会議を設定するのか?あなたがその見込み客に会うために遠方まで行かなければならないのか?VCがあなたの所にやってくるのか?見込み客はそれをするほど十分に資格があるのか?もしそうでないなら、あなたがお願いすべきことなのか?問題をさらに深刻化させるのは、顧客に会う必要性が1回限りではないことだ。あなたは、2回目、3回目、そして10回目をどうやってVCに頼むというのか?そして、どの時点でVCはあなたを顧客(もしくは、パートナー、サプライヤー、投資家、買収者)に自分の力で接触する能力がないと判断するのだろうか?
- 不完全 – 最後に、VCのネットワークは不完全な傾向がある。あるジェネラル・マネージャーは通信業者のようなある種の顧客を知っているかもしれないが、医薬品会社や政府機関のような別のものは知らないかもしれない。彼らは顧客を知っているかもしれないが、重要なレポーターとは深い関係を持っていないかもしれない。彼らは重要なレポーターを知っているかもしれないが、あなたが採用したいようなエグゼクティブは知らないかもしれない。エグゼクティブは知っているかもしれないが、エンジニアは知らないかもしれない。創設時のCEOは、忙しいのだ。もしあなたがネットワークに入ろうと時間を費やして成果がなかったら、おそらくあなたはもう一度挑戦する気にはならないだろう。
これらの問題を解決するために、私たちはアンドリーセン・ホロウィッツのネットワークが企業全体で、アクセスがとても簡単で包括的で、ネットワークのそれぞれの枝葉を開発し管理するためにフルタイムで働くオペレーティングパートナーによって支えられたものになるようにデザインした。
このアプローチが、すでにいくつかの輝かしい結果をもたらしてきた:
- 2011年、私たちは、メンロパークにある私たちのオフィスで法人顧客とパートナーに向けた600以上のポートフォリオプレゼンテーションを開催した。これらのプレゼンテーションは、ポートフォリオ企業と今後のFortune 500/Global 2000のシニアエグゼクティブ間に3000以上の紹介をもたらした。
- 私たちは、4000人以上のエンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャとの関係を築いてきた。そして、ポートフォリオ企業には1300件以上の紹介を行い、そのポートフォリオに130の雇用をもたらしている。
- 2011年に550人以上のエグゼクティブを私たちのネットワークに追加し、ポートフォリオ企業へのエグゼクティブ紹介は300件を超えた。
- 私たちは、私たちのポートフォリオ企業の代理としてメディアとの交流を400件近くやってきた。
これらの実践を通して、私たちは創業者が重要なCEOスキルを発達させ、最高のプロのCEOと同じくらい幅広くパワフルなネットワークを巧みに使うことを手助けすることができている。そして、このことが理由で私たちは創業者の間で人気の企業になったのである。
この創業者たちからの評判が、私たちが新しいテクノロジー企業を築いている優れた起業家に投資することを可能にした。面白いことに、起業家からの需要はあらゆるステージと規模で出現している。Cumulus NetworksのJRリバースのようなシードステージの起業家からAirbnbのブライアン・チェスキーのような急成長中の会社を持つ起業家まで、いたる所にいる優れた創設者たちが、自分にできる限り最高のCEOになりたいと願い、それを手助けする私たちと手を組みたいのだ。
それが、私たちが27億ドルの資金調達をした方法であり理由である。私たちは世界で最高のテクノロジー企業を築く世界で最高のテクノロジー起業家を助けるという唯一無二の立場にある。そして、それこそが私たちがしようとしていることなのだ。
この記事は、ben’s blogに掲載された「Why Has Andreessen Horowitz Raised $2.7B in 3 Years?」を翻訳した内容です。
VCじゃなくとも、企業においても社内の新規事業や事業拡大の過程で、誰かを信じ支援し成功を目指す、というケースはあると思いますが(私の会社もアンドリーセン・ホロウィッツの1000分の1規模で 汗 やっていますし)ここに書かれている内容には十分共感できる、参考にできる何かが含まれていると思いました。信じて任せるだけなら勇気を出せば誰にでもできると思いますが、それをどう支援するか、成功できる環境作りをするかということが本当はもっと大事なことなのかもしれません。 — SEO Japan
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