SEOビジネスを製品化するレバレッジ手法

公開日:2014/05/08

最終更新日:2024/02/16

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日本のSEO業界といえば、大半のリンク中心のサービスベンダーか少数のコンサルベンダーにわかれていましたが、GoogleのSEO取締り強化やコンテンツマーケティングの普及に伴い、その図式も大分崩れてきました。今後のSEOビジネスのあり方に関して悩んでいる方も多いのではと思いますが、今回はSEO Bookによるサービス中心のSEOビジネスを製品化してレバレッジを図ろうというSEO業者向けの記事を。 — SEO Japan

クライアントにサービスを提供しているなら、「サービス」から「製品」を作ろうと試みた際に、私が直面した問題と同じ課題に悩まされているのではないだろうか。製品がデジタル形式で提供されるこの業界では、「製品」と「サービス」と言うワードは、どちらも同じように扱われることが多い。

SEO、あるいは、その他のデジタルマーケティングサービスに対する価格設定は、人気の高いトピックの一つではあるが、最適な価格を明確に答えることが出来る人は少ない。

価格設定に関して、明確、もしくは、半明確な答えがあるとは私は思っていないが、ビジネスの多くの領域を自動化し、容易に管理するための明確な進路を決めることは出来る、と私は確信している。私はこの取り組みをビジネスの「製品化」と呼んでいる。

始めにすること

製品によっては、価格設定を簡単に行うことが出来るものもある。時間(コンサルティング)を売っているなら、当然ながら、時給制を採用することが可能だ。実は、SEOコンサルタントの「未来」は、既に到着していると私は思っている。多くのSEO業者は、次のようなデジタルの領域に進化している:

  • テクニカルSEO
  • CRO(コンバージョン率の最適化)
  • 競合者分析
  • 分析
  • 広義のオンラインマーケティング戦略および実施

有料検索、eメールマーケティング等、その他の領域も存在するが、上述した領域は、SEO業者がそれぞれのサイト、そして、クライアントのサイトで行ってきた取り組みのほとんどを網羅している。クライアントにサービスを提供し、そして、エージェンシーを始める人が増えるにつれ、一から出直すことが重要になる。.

大きなエージェンシーを運営しているなら、分析の面で大きな違いはあるが、ここでは、一般的なフリーランサーと小さなエージェンシーに焦点を絞って、話を進めさせてもらう。それでは、私が推薦する手順を紹介していく(マーケットやブランドのメッセージ等を既に特定していると仮定し、ここでは価格設定/製品のみを取り上げている):

  • 維持可能な純利益を特定する。基本となる収益を幾ら入手したいだろうか?
  • 求めるスタッフの人数、および、予想される下請けのコストを基に、受け入られる利鞘を特定する。
  • 純利益を達成するために必要な粗利益を特定する。

この方針を採用する理由

純利益は、個人的にとても重要であるため、私は上述した取り組みを行う。量が増える度に、利鞘が薄くなるような、デジタルマーケティング業界のウォルマートにはなりたくない。

例を用いて、この考え方を説明していく。まずは、次のシナリオを想像してもらいたい:

ロードアイランドでの酪農業を引退し、新たに会社を作って、年に150万ドル稼ぎたい。

この場合、会社に所属する唯一のメンバーとして、自営業者税の支払いが求められるため、従来のW-2「従業員」のカテゴリーよりも、多くの税金を支払わなければならない(ここでも出来るだけ状況をシンプルにするよう心掛けている)。公認会計士は、会社の状態に応じて、様々な選択肢を調査するものの、基準となる収益を特定する点に関しては、基本の計算は同じである。

「収益」のみにこだわると、全体像を見ることが出来ない。短期、中期、そして、長期においてビジネスを運営する上で欠かせないのは、健全な利鞘である。それでは、再び例を挙げて、説明する:

ジャックが運営するSEOエージェンシーは、2011年に100万ドルの純利益を得た。総売上は500万ドルであった。2012年、この会社は150万ドルの純利益を上げ、総売上高は、1000万ドルであった。

一方、ジルが経営するSEOエージェンシーは、2011年、50万ドルの純利益を得た。総売上は200万ドルであった。2012年、ジルの会社は、150万ドルの純利益を上げ、総売上は、400万ドルであった。

この場合、利鞘を基本的な計算((純利益/総売上)で割り出すと、次のような結果になる:

  • ジャックの2011年の利鞘は20%であった。
  • ジャックの2012年の利鞘は15%であった。
  • ジルの2011年の利鞘は25%であった。
  • ジルの2012年の利鞘は38%であった(純利益はジャックと同額)。

1000万ドルの15%は、必ずしも恥ずかしい数字ではないが、現在のウェブマーケティングの状況下では、私ならジルのケースを望む。利鞘38%は、競合者への対応、アルゴリズムの変更、そして、値上がりする質の高い人材を確保するために必要なコスト等を考慮すると、全体的なビジネスの存続性を確保する上で有効に働く。

この例では、年間150万ドルを「稼ぐ」点だけに執着すると、考えを誤る可能性が高い。すべてのスタッツを計算して初めて、望む利鞘を割り出し、価格モデルにある程度フィットする「製品/サービス」を「考案」する作業に取り掛かることが出来る。

製品を作る

SEO業者の関係者の多くは、様々な領域に身を置き、直接関与している。少なくとも、ほとんどのSEO業者は、具体的に参入して、「ボタンを押す」方法を知らなくても、特定のタイプのサービスを実行する「方法」を心得ている。

SEO業者は、すべてのタイプのサービスを網羅しようとする傾向が見られるものの、まずは、コアの強みを調べ、製品として提供する上で、何が最も理に叶っているのか特定すると良いだろう。これからビジネスを始めるなら、白紙の状態から、この取り組みをスタートさせることが出来るが、特に大きな違いはない。

やがて、直接的、間接的なものを含め、幾つかのタイプのコストに遭遇することになる。ここでは、分かりやすさを優先し、フリーランサー、または、一人で事業を行うと仮定する。その場合、サービスを売る際に、2つの主なコストが存在する:

  • 直接的なコスト(タスクを完成させるために、外部の業者を利用することで発生するタスク)
  • 間接的なコスト(自分自身の人件費、オフィスの利用料、保険、ツール、マーケティングのコスト等)

正確に利鞘を特定する上で、マーケティングをプロジェクトの一環としてコストに含めるべきか否かに関しては、賛否両論がある。私は賛成派だ。コストとして計上することで、具体的な数字をより正確に出す効果が見込めるためだ。

製品を以下の領域に絞ったと仮定しよう:

  • テクニカルなSEOの評価
  • SEOの競合者分析の評価
  • コンバージョンの最適化
  • コンテンツマーケティング

その場合、次のツールを用意していると考えられる:

  • Screaming Frog SEO Spider(米国では、約158ドル/年の利用料を支払う)
  • Majestic SEOの購読料金(シルバープランの年間購読料金は588ドル)
  • Ahrefsの購読料金(プロの年間購読料金は約948ドル)
  • Visual Website Optimizerの購読料金(スモールビジネスプランの年間購読料金は約588ドル)
  • 競合者分析、コンテンツマーケティング戦略の計画および実行、SEOの評価を実施するために利用するRaven SEO Tools(年間1188ドル)
  • 接触、および、その他のリンク候補調査作業に用いるBuzzstream(年間1188ドル)

他にも加えることが可能なツールはあるが、上述したツールを使えば、品質の高い製品を作り上げることが出来る。ツールに費やす年間のコストは4,658ドル、そして、月間のコストは389ドルになる(四捨五入)。

必要と見なしたその他のコストにも、同じ公式を当てはめることが出来るが(年間および月間のコストの金額)、ここでは、分かりやすく「その他のコスト」に389ドル支払うと仮定する。

知識 + ツール = 勝利

ツールは、2部構成の数式の1部分である。知識を持っていない状態では、ツールは役に立たない。知識の取得にも、様々なコストが必要になってくる:

  • テストサイトを作る
  • カンファレンスに参加する
  • メンバーシップサイトに登録する

知識を獲得するためのコストは、個人個人で大きく異なる。 上の全てのコストが合理的だと考える人もいれば、1つ、または、2つのみだと考える人もいるだろう。迷ったら、自分が持っているスキルに関連する選択肢を検討し、自分のビジネスにとって合理的なコスト(年間)を特定すると良いだろう。特定したら、この金額を先程推薦したツールのコストに足す。

製品リストを分類する

次に、提供している、そして、製品化している各種のタイプのサービスを詳しく見ていく。自分の人件費と外部の業者に費やすコストではなく、自分の人件費だけで済む可能性が高い。しかし、コンバージョンの最適化とコンテンツマーケティングには、恐らく、自分自身の人件費に加え、次のようなコストが加算されていくだろう:

  • ユーザーテスト
  • コンテンツの作成
  • コンテンツのデザイン
  • プロモーション支援
  • インタラクティブなコンテンツのプログラミング

製品を作る際、私は以下の表を利用する:

  • GIは総収益
  • 税金はGI x (税率)
  • NIは純利益
  • GMは粗利益(E2/B2)
  • NMは売上純利益率(G2/B2)

この例では、150ドルを時給に設定し、評価を40時間に推定している。直接的なコストと価格を調節し、求める利鞘を導き出すことが出来る。

間接的なコストに関しては、現在のプロジェクトに分散することが出来る点を覚えておいてもらいたい。

つまり、時折、価格表を見直し、現在のクライアントのリストを基に間接的なコストを修正することが出来る。この例では、現在、クライアントは抱えておらず、私のサイトは収益は上げていないため、この評価は、利鞘に対して、すべての間接的なコストを使い果たすことになる。

しかし、それぞれのビジネスに都合が良いように製品を作ることが可能である。通常、私は自分のビジネスに有効な基準を見つけるようにしている。先程仮定した領域では、私なら各セクションからサブ製品を作る試みを行うだろう:

  • サイトのサイズと範囲に応じた評価(合計のページ数、eコマースサイト、動的かどうか等)
  • 現行の作業の合計時間に応じたコンバージョンの最適化、および、初回の評価およびフィードバックに対する複数の異なる価格
  • 各種のアセットに分類する必要があるスケールに応じたコンテンツマーケティング(動画、インタラクティブなコンテンツ、インフォグラフィック、レポート等)
  • 現行の作業に必要な時間数に応じたSEOの競合者分析、および、初回のリサーチ(または単発の概説)の範囲に応じた各種の価格

各サービスにそれぞれ多くの変数があり、ここで全てをリストアップすることは出来ないが、概念は同じである。マーケットから始め、ターゲットのマーケットの「大半」を網羅する「取り組み」に分類すると良い。

より効率良く仕事を管理する

自分自身の時給を間接的なコストとして挙げたのは、稼ぎ出したい金額を手に入れる上で、月に働く基準となる時間数を設定するためである。獲得したい金額と働きたい時間数を組み合わせると、最低の時給額を導き出し、求める収益に応じて、調節して、最適な価格を打ち出す際に役に立つ。

特定の製品を作る際に時給を用いると、特定の製品に必要な時間数を簡単に割り当てることが可能になる。各製品に時間数を割り当てる際は、次のように、仕事量を管理する上で効果的な複数の取り組みを実施することが出来る:

  • 新しいプロジェクトの見積もりを行う際に、現行のプロジェクトを基に、新しいプロジェクトに対する余裕があるかどうかすぐに判断することが出来る。
  • 事前に多忙が予想され、外部の支援を必要としていることが分かっているなら、提案の中に追加のコストを含め、事前に外部の支援を得る準備を進めることが出来る。
  • プロジェクトを引き受け、合計の時間数が必要な時間に足りている、または、超過していることが分かれば、後のプロジェクトで調整を行うことが出来る。

各製品に必要とされる時間数を割り当てることで、仕事量を管理し、ピークの時間を円滑に過ごすことが出来るようになる。サービスに対する需要のピーク、そして、谷間の期間は確実に生じるため、ストレスを抑え、より多くの利益を得られるようにピークを過ごすことが出来れば、金銭面において、深い谷間を作らずに済むかもしれない。

製品化が有効に働くその他の領域

すべてのプロジェクトを個別に見積もる作業は、この上なく面倒だと私は感じる。

見積もりを終えた後、署名する必要のある契約書、手配する必要のある請求書、そして、達成する必要のあるタスクのプロセス等が現れる。

販売中の製品があるなら、遥かに自動化を行いやすくなる:

  • 送信する提案書のテンプレート
  • 契約書類
  • 請求書の手配
  • CPM/PMシステムへの新たなクライアントの案内
  • 完了し、割り当てる必要があるタスク
  • 会計ソフトで記録するクライアントごと、もしくは、仕事ごとの分野と仕事の設定

時間のかかるプロセスではあるが、サービスを製品化すると、様々な領域でビジネスの役に立つ。


この記事は、SEO Bookに掲載された「Productizing Your SEO Business」を翻訳した内容です。

SEOに関わらずウェブマーケティング関連のサービスベンダーには事業をスケールさせる上で参考になる点が多い記事だったと思います。製品化というか、サービスを上手くシステム化できると様々な面で効率化が可能ですし、結果事業を成長させるきっかけになりますよね。私自身もSEOではコンテンツマーケティングやインフォグラフィック、CROではLPOに励んでいますが、日々勉強することばかりです。。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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