再び起きた有料リンク事件

公開日:2012/05/28

最終更新日:2024/02/17

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米国で定期的に起こる大手企業の有料リンク購入によるGoogleペナルティのニュースですが、GoogleのSEO取締り強化やパンダ、ペンギンアップデートで最近は余り目立った話題がありませんでした。今回、大手金融会社のサイトが有料リンク購入によりペナルティを受けたということでその内容を紹介します。 — SEO Japan

JC ペニーに似た問題が起きている。今回、リンクを買っているとして注目を集めているブランドはダン & ブラッドストリート・クレディビリティ・コーポレーション(DBCC)である。今回の問題はニュースとしての価値は低いが、SEOの業者、クライアント、そして、パブリッシャーが問題を避けるために肝に銘じておきたい教訓である。

ジョッシュ・デービスと言う名の人物が、本日の投稿の中で、同じ人物から3回にわたってリンクを要請された後、一ヶ月30ドルの見返りを受ける代わりに記事にDBCCのサイトに向かうリンクを掲載して欲しいと頼まれたと明かし、注目を集めた。

ダン & ブラッドストリート社(D & B)は創業200年近いフォーチュン500に名を連ねる企業であり、ビジネス上の意思決定を行うために人や企業に関する情報を提供する企業である。この企業がリンクを買ったのだろうか?そういうわけではない。2010年にD & Bから独立したDBCCは民間の会社であり、D & Bブランドをライセンス契約で用いて、小規模なビジネスに信用のソリューションを提供している。

この当事者であるDBCCはフォーチュン500の企業ではなく、この点は“サプライズ”を少し薄めてしまう感は否めない。また、JC ペニー(日本語)、オーバーストック、そして、グーグル自身に至るまで、有料リンクに手を出した様々な大きな企業に関するストーリーが既に報道されており、DBCCの行為をレポートする価値が薄れたと感じる人もいるだろう。結局、誰もが同じことをしているのではないのだろうか?今回の件は、何か新しい問題が起きているのだろうか、もしくは何か他のケースと異なる点があるのだろうか?

特に目新しいことはないと思うが、間違いなく有益な教訓を数多く得られる。

クライアントの皆さん、注意して下さい

DBCCのチーフマーケティングオフィサーを務めるジュディ・ハケット氏は、今回の件について私がインタビューを行った際、とても怖がっていたようだ。ハケット氏が統括する部門は、このリンクが購入される仕組みを慌てて解明していた。

デービス氏はリンクの要請をiAcquire(iアクワイア)に結びつけていた。ハケット氏は、DBCCがiアクワイアと協力してるかどうかについては、たとえ尋ねたとしても、機密条項を理由に出し、コメントを避けていたはずだ。しかし、同氏は「iアクワイトを含むあらゆる会社に対して、グレイハットまたはブラックハットの取り組みを許可する契約は結んでいない」と明言していた。

また、ハケット氏は、DBCCがグーグルのガイドラインを侵害する意図は全くなかったと言う主張を譲らなかった。

「私達はこのような行為を絶対に認めません。」と同氏は述べた。

このような否定する発言/不快感を表す発言は以前にも聞いたことがある。ニューヨークタイムズが有料リンクを利用したとして取り上げたJC ペニーは次のように述べていた:

J.C. ペニーは、自然な検索の方針に違反しているため、送られてきたリンクの投稿については認めているわけでもなければ、関係しているわけでも、認識しているわけでもない。

私は方針の詳しい内容を知りたくなり、JC ペニーにニューヨークタイムズの記事が出た後に尋ねてみた。するとJC ペニーの広報担当者から次のようなeメールが返ってきた:

私達は方針の内容を明かすつもりはないが、グーグルのガイドラインに従う点は間違いないく明記されている。

当たり前だ。ただし同社はこの規定に従っていなかった。さもなければJC ペニーは禁止処分を受けていなかったはずだ。JC ペニーが有料リンクを認めていなければ、関与もしていないと言ったのは、暗にSEO業者がすべてやっと言っているようなものであった。eメールをさらに交換したところ、次のようにJC ペニーは主張していた:

サーチデックス社がJC ペニーのSEOプログラムを実施していた。グーグルのガイドラインに違反しているため私達はリンクを買っていない。サーチデックスは、この点を把握していたはずであり、従ってSEOプロバイダーとしての契約は打ち切った。これは間違いなくサーチデックスの過ちである。

SEO業者の行動を全く把握していなかったJC ペニーにも非はある。同じことがDBCCにも言える。JC ペニー事件の後、大きなブランドが有料リンクスキームのペナルティを受ける度に責任を転嫁することが出来るため、彼らにとってSEO業者は便利な存在だと私は冗談を言うようになった。

大規模な企業やブランドは、このような行動によって90日間の利用禁止処分を受け、その後、グーグルに従う。 グーグルにとって、大勢のユーザーが結果に掲載されていると期待する重要な企業を永遠に検索結果から追放するのは容易ではない。そのため、クライアントとして、もしくは重要なブランドとして、次の点を肝に銘じておいてもらいたい:

  • SEO業者がどのようにリンクを獲得しているのか完全に把握しているだろうか?
  • 有料リンクを求めていないなら、その点を明確に業者に伝えていただろうか?
  • リンクの購入を認めているなら、短期間でPRに大きな傷がつくリスクを覚悟しているだろうか?
  • 有料リンクスキームを認めているなら、短期のグーグルによるペナルティを受ける覚悟はあるだろうか?

大きなブランド、またはグーグルにとって欠かせないリソースではないなら、自問してもらいたい点は1つしかない。グーグル経由のトラフィックを全て失う覚悟は出来ているだろうか?重要ではないウェブサイトにとっては、有料リンクに対してペナルティを科されることは、一時的な後退ではなく、死刑を意味する。

SEO業者の皆さん、注意して下さい

SEO業者によるリンクの購入に関しては、有料リンクキャンペーンの事実が明るみに出た段階で、クライアントに見捨てられることを覚悟しておくべきである。また、誘う相手をとことん慎重に選んでいる場合は別として、キャンペーンが明るみに出ることも覚悟しておこう。

今回のケースでは、SEO業者はマーケティングについて「アバウト」ページで説明する人物に話しを持ちかけていた。この人物が有料リンクに詳しいことは明らかであり、偽装したピッチを投げかけるのは得策ではなかった。

私自身もこのタイプのピッチを受けたことがある。グーグルのウェブスパムチームを統括するマット・カッツ氏も口説かれることがあるようだ。大きなブランドの代理人からこの類のeメールが送られてきたら、私自身も記事に取り上げ、“暴露”することに対して懸念を抱くかもしれない。私なら一般の人達を保護するための取り組みだと考えるだろう。高速道路で逆走する車を見かけるケースに似ている。誰にとっても危険であることは明らかである。

iアクワイア自身は、クライアントの機密契約があるため、コメントを控えるだろう。何らかの経緯で関与したかどうかを認めることも、DBCCと協力していたかどうかを確認することもないだろう。しかし、iアクワイアは次のように私に述べている:

iアクワイアは世界中の多くの大きなブランドをクライアントに抱えている。ブログネットワークや大規模な有料リンク市場でリンクを大きなブランドが買うのは日常茶飯事であり、ビジネストとしての私達の使命は、ブランド戦略をよりホワイトハットなリンク広告のアプローチに導くことである。

この取り組みには時間および労力が必要とされることが多く、また、現実の世界で既定の目標を持った大きなブランドと仕事をするのは、単純な作業ではない。そして、SEOマネージャー、オンラインのマーケティングマネージャー、そして、チーフマーケティングオフィサーレベルの人達に何度も教育を行わなければならない問題も抱えている。iアクワイアは毎日この教育プロセスを実施している。

誤解してもらいたくないので言っておくが、iアクワイアはリンクネットワークではない。私達が構築するリンクは全て業界の常識に従っている。私達のリンクはコンテクスチュアルであり、関連している。アウトリーチは、アリゾナのオフィスに勤務する40名のインハウスのスタッフによって行われており、すべて厳しい品質保証を介して送られている。

iアクワイアのビジネスは、ブランドをホワイトハットの戦略に導くことだが、ブラックハットをいまだに行っている新しいクライアントを頻繁に獲得しており、ホワイトハットに方針を転換することが出来るように支援している。私達はコンテンツマーケティング、ソーシャルメディア、そして、デジタルのPRチャンネルに多額の資金を投じており、この方針転換を内部で、そして、ブランドのために急速に行っている。

iアクワイアに関する記事に対しては、- 機密契約を結んでいるため、特定のクライアント、もしくはクライアント候補に対する具体的な戦略について明かすことは出来ない。リンクに対する金銭の見返りは、iアクワイアの戦術的な方向性を示すものではない。iアクワイアのサービスは総合的であり、コンテンツマーケティング、デジタルPR、ソーシャルメディアのプロモーション、そして、オンページのSEOコンサルティングが多く含まれている。

私達はグーグルのアルゴリズム、そして、クライアントと問題を抱えたことはなく – また、検索エンジンによって作られたガイドラインに忠実な手法にマーケットを動かしていくことは重要だと理解している。iアクワイアはサービスラインを継続的に進化させており、先日はマイク・キングを招き、この方向転換に貢献してもらい、検索エンジンのガイドラインおよび業界のベストプラクティスを真剣に考慮するように心掛けている。その上、マイク・キングは世界中で行われる様々なカンファレンスでこのベストプラクティスを継続的に薦めていく。

iアクワイアは、DBCC – 最終的にクラアイントとして浮かび上がることを想定して – はホワイトハットの世界に導く必要のある企業の1社と示唆しているのだろうか?共同設立者のジョー・グリフィン氏はeメールで次のように引き続き見解を述べている:

D & BCCのことを取り上げているわけではない(2つ目のセンテンスでグレイからホワイトに移行する点を述べた件)。私達は具体的にクライアントやクライアント候補について話しをすることは出来ない – 禁止されているのだ。

企業の世界は微妙なニュアンスで溢れており、私達は、SEOのブランド戦略を修正する取り組み、特にオフページのSEOに関して、そして、とりわけブラックハットのリンクネットワークを壊滅させる取り組みに関しては他の誰よりも尽力してきた。

iアクワイアは多くの異なる目標、異なるアプローチに遭遇しており、そして、すべてのクライアントを完璧なホワイトハットのソリューションに導くべく努力している。iアクワイアのチームは、質の高い編集コンテンツおよびクリエイティブなスキルの発展に焦点を絞り、リンクを集めている。また、私達は大量にリンクを開拓している。

この方向性を強化するため、私達はマイク・キングをiアクワイアに招へいしたのだ。マイクは、適切にオフページのSEOを実装する方法を教育する取り組みにおいては、業界でも1、2を争う存在であり、この点においてもiアクワイアに貢献してくれている。

iアクワイアは有料リンクサービスではない。私達は総合的なオフページSEOをあらゆる規模の企業に提供しており、適切なオフページSEOの教育において業界をリードしている。

グリフィン氏がマイクと呼んでいるのは、マイケル・キング氏のことであり、執筆および講演活動において一部のSEOサークルで評価が高い人物である。キング氏はサーチエンジンランドが主催するSMXのイベントでも講演をしてくれたことがあり、来月のイベントでもステージに上がる予定である。キング氏の見解は鋭く、豊富な考えを持っており、2ヵ月前にiアクワイアが同氏を雇用した際は、iアクワイアにとってプラスに働くように思えた。

キング氏がこの問題に関わること自体が私にとっては意外であった。同氏はかなりのホワイトハットのように思えたからだ。iアクワイア、そして、同社のクライアントをホワイトハットなアクティビティに導く上で同氏が貢献するのは素晴らしいことだが、iアクワイアが有料リンクサービスと言う印象を持たれたくないなら、なるべく早くホワイトハット化を進めるべきである。

しかし、現在、このリンク要請はiアクワイアの取り組みを介して行われており、有料リンクサービスではないとしても、リンクを買っているように見える点は致し方ない。そのため、検索エンジンのガイドラインに従っていると言う主張を通すのは難しいだろう。

グーグル様

一方、グーグルの存在も忘れるべきではない。昨年のこの時期、JC ペニーに関する報道を有料リンクに対する戦争での勝利とグーグルは見なしていた。その1年後、何か変わっただろうか?そこまで強い抑止力はあったのだろうか?

正直言って、私には分からない。多くのSEO業者がリンクを買っていると言う人がいる。リンクの購入は避けられないようだ。このような指摘の正しさ、もしくは誤りを証明する良質な調査データを私は持っていない。

ただし、今日のニュースは大勢の人々にとって意外でも何でもなかった点は間違いない。D & Bであったとしても、ニューヨークタイムズやウォールストリートジャーナルがわざわざ取り上げたとも思えない。昨年JC ペニーとオバーストックに関する全く同じ記事を配信していたからだ。

グーグルはリンクを数える方法よりも優れた方法を考案したのだろうか?私はソーシャルが大きなシグナルとなることを期待している。この理由については以下の記事で説明している:

現実には、徐々に老朽化し、腐敗が進むリンクシグナルから抜け出せていない。これが何でもありを認める言い訳に過ぎないと考えている人には、「クライアントの皆さん、注意して下さい」のセクションを再び読んでもらいたい。本当にグーグルから追放されるリスクを負えるほど大きなブランドだろうか?

ペンギンアップデートによって、リンクを買っていた多くの人々がペナルティを受けている。その一部はグーグルに復帰するには、サイトを作り直さなければいけない(日本語)と知り、愕然としている。

最後に、私はDBBCに関するコメントを求めたところ、具体性のない一般的な警告が返ってきた:

有料リンクに関するグーグルのガイドラインは以前と変わっていない: ページランクを渡すリンクを購入する行為はガイドラインに違反しており、グーグルは適切な措置を講じる。

ページランクが何か分からないようなら、次のガイドを参考にしてもらいたい: ページランクって何?検索エンジンのユーザー & ウェブマスター向けのガイド

パブリッシャーの皆さん、気をつけて下さい。リンクブローカーの皆さん、恥を知りなさい

リンクを売って欲しいとアプローチされる側においては、今回の件は、グーグルが本気でリンクを売ってほしくないと思っている点、そして、グーグルが2007年以来リンクを売却するサイトにペナルティを与えている点を思い出す良いきっかけと言えるだろう。不意にリンクの要請を持ちかけられたなら、nofollowアトリビュート等を使ってリンクをブロックしない限り、自らのサイトを危険に追い込んでしまう。

リンクを要請する側がこのような警告を行ってくれるなどと期待するべきではない。DBCCの代わりに要請されたリンクが非公開の取引の良い例である。グーグルがペナルティを受ける可能性がある点は触れられていない。また、情報を開示しないことも求めており、米国連邦取引委員会のガイドラインも違反している可能性が高い。次に実際のリクエストの一部を掲載する:

リンクは目に見えるコンテンツ内、もしくはソースコードに有料と明記してはならない(パートナー、リンク、有料リンク、広告、またはスポンサーリンク等の表現が一般的)。

デービス氏がこの取引を続けたところ、報酬について再び明言しないよう求められたようだ:

リンクの情報を開示してはならない。自然に見えるようにしてもらいたい。

このリクエストは私が頻繁に受信するスパムリクエストに似ている。SEO業界は、リンクを買う行為がフェアかどうか、求められているかどうか、もしくは当たり前かどうかについて意見が分かれるかもしれないが、有料リンクを情報を全く開示することなく他の人に押し付ける行為に関しては、議論の余地はないのではないだろうか。

2008年に投稿した頭の悪いリンクブローカーとの会話の中で私は次のように指摘した:

有料リンクの問題に関して、そして、グーグルが実際にリンクを張ったサイトにペナルティを与えるかどうかに関して、異論を唱える人達は多い。しかし、その異論は、非倫理的な行動の言い訳にはならない。検索マーケティングにおける非倫理的な行動は実在し、これは典型的な例である。リスクについて全く触れられていなかった。何度もリスクについて尋ねると、否定されるばかりであった…

リンクを買いたい、もしくはリンクブローカーになりたいなら、これはグーグルが嫌うアクティビティである点を予め知っておくべきであり、また、度胸がないなら採用するべではない。有料リンクスキームの危険を伝えた上で、それでも相手が実施すると決断して初めて、リスクを減少させる方法について話す権利が生じる。

個人的には、デービス氏の投稿に寄せられたコメントの一部に関して呆れた、と言うよりは失望したと言った方が正しいかもしれない。先程も申し上げた通り、一部の人達は有料リンクを過去の話として片づけてしまう。また、有料リンクを不要に“暴露”したとしてデービス氏を非難する人もいる。

しかし、一部のSEO業者が第三者のウェブサイトをグーグルとのトラブルに巻き込んでしまう可能性があった点に関しては誰も気に留めていないようだ。これは今回の件で最も解せない点である。ただし、これが初めてでもない。しかし、解決するべき問題であることに変わりはない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「What Can We Learn From The Latest Brand To Be Called Out For Paid Links?」を翻訳した内容です。

クライアント、SEO業者、そしてGoogle三者三様のドライな視点で書かれており、日本でもペンギンアップデートや過剰SEO/リンクペナルティにより順位下落の憂き目にあったサイトが増えている中、色々と考えさせられることの多い記事だったのではないでしょうか。今回はペナルティを受けたサイトであるDBCC以外に、DBCCのSEOを担当していたSEO業者のiAcuireがDBCC自身からも(これは半分ただの責任逃れだと思いますが。。。)ネット界隈からも槍玉に挙げられており、さらに大きな論争になっています。後程、関連記事を紹介したいと思います。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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