ビジネスプラン抜きでスタートアップが資金調達するための4つの秘訣

公開日:2013/02/19

最終更新日:2024/02/16

ブログ

最近、個人的なブームになっているHubSpot創業者によるスタートアップ&投資関連の記事を続けて。起業家が投資を受けるために必須と考えられているものの一つがビジネスプラン。アイデア一つで起業してみたものの、市場規模からビジネスモデル、競合調査に売上予測まで、様々な情報をまとめ上げる作業も大変なわけですが、必ずしも出資を受けるためにビジネスプランが必須なわけではない、、、という筆者の考えを。– SEO Japan

これに関して深入りする前に、2つのことをはっきりとさせておく。私が“プラン”なしと言う時は、正式に書式化されたビジネスプランがないことを意味する―自分が何をしたいのかについて何の考えも持たないということではない。そして、私がスタートアップファンディングと言う時、エンジェルからのアーリーステージのシードファンディングについて話している(とは言っても、これらのアドバイスの大部分はVCにも当てはまる)。

地元ボストンの起業家コミュニティのメンバーおよびパートタイムのエンジェル投資家として、私は様々なプロセスの段階にいるたくさんの新しいスタートアップと接触している。そして、ビジネスプランを書くこと(そして書き直すこと)にあまりに多くの時間を費やす起業家がいることにはいつも驚かされる。プロセスの計画を立てることはとても役に立つことが多いが、効率性の度合いはかなり低い。なぜなら、自分の考え、アイディア、ブレーンストーミング、調査を元にして、それを外面的に消費できる書類に“捕え”ようとすることは非常に困難で時間がかかるからだ。あなたが物事について“考えること”(そして、実際にビジネスについて考えることに)に10分費やすたびに、あなたは書類を読む人にとってそれを理にかなう形にしようとして1時間を費やすかもしれない。そして、本当に皮肉なのは、その書類を全て読む人はほとんどいないということだ。

私がビジネスプランを好まない主な理由の1つは、物事は変化することだ。ビジネスプランを書いてそれを継続的に改善することに時間を費やす代わりに、私はむしろ、市場をテストしてアプローチを改善する起業家を見たい。Josh Kopelmanが最近、“Failing Cheaper(安く失敗すること)”というタイトルの素晴らしい記事を投稿した。一読の価値がある。

とにかく、どのようにして正式なビジネスプランを書くという窮状を味合わずに資金を獲得するチャンスを増やすのかについて私の考えをいくつか紹介しよう。ここでは、あなたが少なくとも投資家もしくは投資家グループのいるオーディエンスを獲得する能力を持っていると仮定している。もしそうでないのなら、あなたには別の問題がある(そして、ビジネスプランはそれには役に立たないだろう)。

プランもしくはパワーポイントなしでスタートアップファンディングを調達するための秘訣

  1. ストーリーを持つ:人々はストーリーを好む。ストーリーはワクワクする。ストーリーには登場人物がいて、筋がある(どんなに小さなものでも)。あなたのストーリーは、使用事例に関することかもしれない(すなわち、あなたの製品が、問題を解決するためにどのように使われるのか)。そのストーリーは、あなたがその機会をどのように発見するのかの説明かもしれない:“大企業のオフィスで働いていた私。私たちは、[X]をする方法を必要としていた。顧客を失っていて、[X]を成し遂げる方法を見つけることができずに悩んでいたためにコンサルタントを雇っていた。そして私は思った。この問題の一部を解決する簡単な方法がある…。”このストーリーは期待される“未来の状態”についてかもしれない。例えば:“2年もすると、インターネットと共に育った人達は、今日ほとんどの医者のオフィスに存在している非効率性をもはや受け入れなくなると私たちは思っている。”
  1. レバレッジを示す:人が違えばこれを違う風に呼ぶ(一般的な言い回しは、“不当な優位性”)。基本的に、あなたがする必要のあることは、あなたが持っている(もしくは手に入れそうな)レバレッジの種類を伝えることだ。早期の起業家がほとんど話題にしないレバレッジで私が気に入っているのが、資本効率だ。例:“私たち二人はこの本当にエキサイティングな市場機会に偶然出会った大学生です。私たちは、小豆と米を食べて共同アパートを拠点に仕事をしながら25,000ドル以下でこれを作ることができます…。”このレバレッジポイントは基本的に、あなたが、同じもしくは似たようなことをしている他の人よりも安く身をもって学ぶことになると言っている。[注:誰もがいくつかの教訓を学ばなければならない。問題はあなたがそれらを学ぶのに費やすお金がどれくらいなのか?ということだ。] 他に私が気に入っているレバレッジポイントは、顧客グループへのアクセス(以前の仕事/生活から)、可能性のあるパートナーと流通チャンネルへのアクセス、製品を築くことができるユニークな“才能”へのアクセス、事前に書いたIP(あなたはすでに自分が取り組んできたサイドプロジェクトから必要なコードをたくさん手にしている)などだ。基本的に、ここでのアイディアは、なぜ自分がこれを全く失敗しないという過度なチャンスを持っているのかを説明しようとすることだ。
  1. 自分の子どもが醜いことを受け入れる:ほとんどの親が自分の赤ちゃんは美しいと思っているのと同じように、ほとんどの起業家は自分が美しいスタートアップを持っていると考える。なぜ自分のスタートアップが美しいのかを他人に説明しようとして時間を費やさないことだ。それは違う。その代わりに、なぜ自分の子どもが美しい何かに成長していくのかを説明することにエネルギーを費やすのだ。製品を築いたり、顧客を見つけたり、サポートに取り組んだりするなどの問題にあなたがどのように取り組むつもりなのかを説明するのだ。
  1. 夢は大きく、しかしプランは小さく:アーリーステージの段階では、物事を安く効率的に成し遂げることができる起業家が資金提供を受ける可能性が高い。この理由はシンプルだ。あまりに多くのキャッシュは、市場が本当に求めているものやあなたがそれをどのように届けるかについてあなたが間違った感覚を持つことを許す。持っているキャッシュが少なければ少ないほど、あなたは本当に難しいこと(人々に自分のお金を手放させてあなたが提供するものを買ってもらう方法を探すことなど)に早く取り組まなければならない。大部分のアーリーステージ投資家はこのことを知っている。私は、アイディアには起業家というものよりも多くのお金がかかるということを知っているのだが、少しのキャッシュでそれができると信じ、そうしようと頑張っている人達をサポートする方が好きだ。Joshが言ったように、より安く失敗を学ぶのだ。

もしあなたがアーリーステージのファンドレイジングの初心者なら、自分とエンジェルファンディングの間に立つ唯一のものは、小切手帳が投資家のポケットから飛び出るほどに魅力的な散文ときらめく財政的な予測を備えたピカピカのビジネスプランだと考えるという落とし穴にはまるのは簡単なことだ。私は、これは事実ではないということをあなたに伝えるためにここにいる。今日のスタートアップの大部分は、ビジネスプランという形で書き記すために、実際に自分たちが次第になろうとしているものについて十分に知らないのだ。


この記事は、OnStartupsに掲載された「4 Quick Tips on Raising Startup Funding Without A Plan Or A PowerPoint」を翻訳した内容です。

ビジネスプランを私もたまに読む機会がありますが、実際書いてある8割はどうでもよいことだったりしますし(アプリやネット広告市場について今更語られても・・とか、そもそもサービスが成功することが前提の売上予測とか・・)、特にその分野に出資をする側に多少の経験と知識があれば、ビジネスプランは必ずしも必要ない気もしますけどね。起業家にとっては、それを考えるプロセスで学ぶこともありますから、大事なこととは思いますが、ビジネスプランのためのビジネスプランには陥りたくないものです。

しかしここに書かれている4つの秘訣、どれもなるほどなぁ、と思えるものでした。ストーリーの大切さは投資家に対しても顧客に対してもいえますよね。無数のスタートアップが存在し、大半がスマホがらみだったりする今、真のレバレッジは最強の差別化要素になりえるかもしれません。自分のサービスを客観視できる力は、それを改善し成功に導いていくためにも必須ですし、大きな夢を持つことは大事ですが、何ごとも1つ1つ達成していくことが長続きの秘訣ですよね。資金調達に限らず、スタートアップにとっては大事だな、と思えることばかりでした。 — SEO Japan [G+]

記事キーワード

  • Facebook
  • X
  • はてなブックマーク
  • pocket
  • LINE
  • URLをコピー
    URLをコピーしました!

編集者情報

  • X
  • Facebook

アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

メディアTOPに戻る

RECRUIT

一緒に働く人が大事な今の時代だからこそ、実力のある会社で力をつけてほしい。
自分を成長させたい人、新しいチャレンジが好きな人は、いつでも歓迎します。