広告ベースの非直接的なマネタイゼーションか、ユーザー課金による直接的なマネタイゼーションか、あなたに適しているのはどっち?

公開日:2013/05/07

最終更新日:2024/02/16

ブログ

先日紹介した「マネタイズはどうやるの?」と尋ねるのはもう止めてという記事が注目を集めたアンドリュー・チェンのブログ。ビジネスモデルがコモディティ化した今日、スタートアップはマネタイズのことを心配する必要はない、という大胆な提言の記事でしたが、そうはいってもマネタイズも大事でしょ、特に日本では、というあなたのために同じくアンドリュー・チェンがウェブサービスのマネタイズについて考えてみた記事を。数年前の記事につき事例がMy Spaceになっていますが、そのままFacebookに置き換えて読んでみてください。内容の鮮度は今でも十分通用するのでご心配なく。 — SEO Japan


スターウォーズの熱狂的ファンはマネタイズしやすいが、その人数には限界がある

不景気になると直接的なマネタイゼーションへの興味が増える

消費者インターネットにおける広告をベースにした収益モデルの弱さに関する議論は常にあり、不景気が続く経済動向の最中、多くの会社がフリーミアムをベースにしたモデルに転換している。Silicon Alley Insiderは最近、“Revenue Crisis: Here Come The Pro Accounts(収益の危機:プロアカウントがやって来る)”という記事の中でこれについて書いた。そしてもちろん、37 Signalsの例の周りには絶えず議論がある。Techcrunchの記事、“37 Signals Drives Another Company To The Deadpool(37 Signalsが他の会社をデッドプールへと追いやった)”で説明されているような、無料で製品をわたすビジネスモデルに対して批判する人達だ。“A Radical Business Plan for Facebook: Charge people(Facebookのための急進的なビジネスプラン:お金を請求する)”というSlateの記事もある。

直接的なマネタイゼーション vs 非直接的なマネタイゼーション

私自身の言葉で一般的な主張を言い直すと、インターネット上には基本的に2種類の会社がある(ちなみに、私はこれら2つの会社の分類についてStartonomicsでの講演で議論した―動画はこちらスライドはこちらからチェックできる):

  • 直接的なマネタイゼーション、別名、アドバタイザー:直接的なマネタイザーは、購読、eコマース、バーチャルアイテムなどを介して、自分たちの製品にお金を請求する。一般的に、彼らは、焦点を絞った小さな顧客グループを持つ。
  • 非直接的なマネタイゼーション、別名、パブリッシャー:非直接的なマネタイザーは、自分たちの製品を使用するのにお金を請求しない。実際に、製品を無料で配布することもよくある。彼らはオーディエンスを切り刻んで(オーディエンスを区別するためにコンテンツを使用する)、ターゲットを絞ったオーディエンスを直接的にマネタイズする会社に販売する。

ここでは、直接的なマネタイザーと非直接的なマネタイザーには異なる問題があることを記しておく:

  • 直接的なマネタイゼーション:最大の問題は、CPA限られた規模の顧客ベースだ。
  • 非直接的なマネタイゼーション:最大の問題は、コストゼロのユーザー獲得ユーザーインテントの特定(ターゲッティングを介して)だ。

そしてもちろん、重要な問題は、直接的なマネタイゼーションには“自分がやっただけお金を稼ぎ”、至る所でお金になる軌道を維持することができるという大きな長所があることだ。これはブートストラップ・スタートアップに最高だ。

それに比べて非直接的なマネタイゼーションの会社は、途中でたくさんの資本を燃焼し、アドバタイザーにとって興味深い十分な大きさの塊の中にあるオーディエンス・セグメントに売るのに十分な大きさになるまで、かなり巨大な臨界質量に手を伸ばす必要があることが多い。

ベンチャーキャピタリストの視点から見ると、非直接的なマネタイゼーションモデルはより大きなエグジットを生み出すことができることが多く、それ故に“大きくなる”という信念がここには生きている。その理由は、非直接的なマネタイゼーションが、口コミによる成長と合わせて非常に横並びのオーディエンス(検索、Eメール、動画などのように)を持つ会社に適しているからだ。

VCの視点から見ると、直接的なマネタイゼーションモデルは、高価なマーケティング技術によってのみリーチできるより小さな顧客ベースを持っているために、望ましくなくなることが多い。その結果、スタートアップが顧客ベースに手を伸ばすために全てのマーケティングチャンネルを使い果たして、それ以上成長できないかもしれないことが理由で、最終的にエグジットはより小さくなってしまう。これが理由で、歯科矯正医のオフィスのためにソフトウェアを作ることは非常にお金になるかもしれないが、これらの会社は、ベンチャーリターンビジネスではなく、ライフスタイルビジネスになってしまうことが多い。

あなたはどっち?

私は、ここで立ち止まって尋ねたい。あなたの会社にとってはどちらのメソッドが最も適しているだろうか?ニッチな製品なのだから製品にお金を請求するべきなのに、無料の製品と広告によるサポートを選んでいるWeb2.0企業がいくつか存在することに私は気が付いている。これは間違いかもしれない。同様に、より多くの利益を生み出すかもしれない幅広いオーディエンスの支持を得ている製品が非直接的なマネタイゼーションモデルとして存在している(例えば、多くのデジタルコンテンツ)。

どちらの戦略も機能する:MySpaceとWorld of Warcraftを比べてみよう
最終的に、これは同時に2つの変数の最適化である。1つの変数はオーディエンスのサイズ、もう一つは利益の可能性だ。

その緊張関係とは:

  • オーディエンスのサイズは訴求力の幅によって決まる。
  • 利益の可能性はオーディエンスのインテントと情熱で推進される。

もちろん、時には、これらの2つの変数は対立することがある。全ての人がお金を支払う製品はめったにないし、多くの場合あなたは小さなグループを高い率でマネタイズするか、低い率で一時ユーザーの大きなグループをマネタイズするか選ばなければならない。

このモデルの2つの角にいるのが、MySpaceとWorld of Warcractだ。

  • MySpaceは素晴らしい非直接的なマネタイザーである―彼らには膨大なオーディエンスがいるが、各ユーザーからはほんの少しのお金しか儲けない。たとえユニークユーザーが何千万人もいても、彼らは月に1人のユーザーから数セントしか稼がない。しかし、これが年間の収益だと10億ドル近くにまで加算される。ここで留意すべきは、MySpaceの最初のバージョンは比較的構築コストが安かったことだ(それは単なるウェブサイトなのだ!)。
  • World of Warcraftは素晴らしい直接的なマネタイザーである―彼らのオーディエンスはもっと小さい(登録者は1500万人未満)が、各ユーザーからたくさんのお金を稼ぐ。彼らは月に15ドルを請求し、かなり少ないオーディエンスでも年間の収益は10億ドル近くを稼ぐ。ここで留意すべきは、WoWの最初のバージョンがとても高価だったことだ(何千万ドルにもなった!)。

要は、どちらの戦略も機能するということだ―問題は、あなたが自分にとって一番適したモデルがどちらなのかを知るためにこれらのことから何を学ぶかということだ。


この記事は、@andrewchenに掲載された「Ad-based versus direct monetization: Which one is better for you?」を翻訳した内容です。

この記事、実は「マネタイズはどうやるの?」と尋ねるのはもう止めてより以前に書かれたものだったのですが、合わせて読むと両方の記事の理解が深まるかもですね。前回のマネタイズを気にしなくていいという話は広告ベースかどうかはともかく、VCのバックアップを受けて巨大成長を狙うようなビジネスを対象にした話かな、と、再納得。自分のできる範囲で小さくやるスタートアップは、マネタイズが最初から重要なことも改めてまた理解できます。ちなみにライフスタイルビジネスという言葉が出てきますが、日本語でライフスタイルビジネスという生活必需品じゃないけど人生をちょっと豊かにするビジネス(スターバックスとか)に聞こえますが、英語圏でライフスタイルビジネスというと「自分が好きな生き方をするために行うビジネス」のことを指すのでご注意を。って私も初めてこの記事で知ったのですが 汗 スタートアップ起業家も増えている日本ですが、さてマネタイゼーションの仕組み、ビジネスの目指す方向性、あなたの選択はどっち? — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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