マーケティング・ハッカーを目指せ!

公開日:2012/08/23

最終更新日:2024/02/18

ブログ

米国と比較して、変化に対応するのが遅いといわれる日本の広告業界ですが(あくまで一般論)、アドテクノロジー分野で世界をリードする米国であっても変化に柔軟に対応できるエージェンシー(日本でいう広告代理店)、そしてクライアントは少ないようです。そんな技術革新への対応が遅れがちな状況をカリスママーケッター、ミッチ・ジョエルが既存のエージェンシー/クライアント側、そしてアドテク業界側それぞれ理由について考察した、広告・マーケティングの未来を考える人には興味深い記事を。 — SEO Japan

マーケティング業界には見逃された大チャンスがある。

Judy ShapiroCloudLinuxのチーフ・ブランド・ストラテジストであり、Trench Warsのブロガー)は、先週ニューヨークで行われたTechCrunch Disruptカンファレンスでいくつかのとてもよく似た疑問について自問自答するのに忙しかったようである。Advertising Ageの論説、When Hacker Culture Collides With Business Realityの中で、彼女は、私たちが追及していないだけでなく小さなスタートアップが手にすることを許しているマーケティング企業にとっての大きなチャンスをいくつか見ている:

“…テック少年たちが自分のおもちゃを壊しているが―メトリクスと運営の拡張性の欠乏によって引き起こされる運営の混乱をきちんと整理することをまかされるのは、プロフェッショナルマーケッター(すなわち、大人)であることが多い。この文化的衝突が、マーケッターがテック疲労に直面する理由とFacebookのIPOが勢いをなくした理由を説明し始める。マーケッター自身が混乱を整理するのが面倒くさくなっているために、たぶん投資家たちは、Facebookがマーケティング商品を届けることができると確信できなかったのだ。”

大人vs.スタートアップの問題ではない。

真実は痛みを伴う。これが真実だ:マーケティングプロフェッショナルの大半は、テクノロジーを恐れているのだ。彼らはテクノロジーを理解していない。彼らはテクノロジーで遊ばない。彼らは、新しく面白い方法でブランドストーリーを伝えるために新しいプラットフォームやチャンネルに何ができるのかだけでなくそれがどう機能するのかに深く飛び込むための時間を費やすよりも、むしろ技術的な仕事をプログラマーやITの学位を持つ人に委ねたほうがいいと思っている。もしマーケッターが気を引き締めてテクノロジーやイノベーションやスタートアップ文化を受け入れ始めなければ、私たちは自分たちの業界に絶滅への道を設定することになる。マーケッターがこれらの革新的なスタートアップの大部分を遠ざける主な理由(そして、彼らの多くが突然驚くほどの成功をする理由―Radian6以外は探さなくていい)は、マーケッターが以下の2つに分類されるからだ:

  1. クライアント: ブランド。これらの人々は製品の4つのPを知り抜かなければならない。彼らは、マーケティングを改革する方法を見つける時間もなければ、業界全体がどのように進化していくかを解明するためのリソース(人、時間、予算)もない。あなたは、1つのブランドがGoogle AdWordsのような広告プラットフォームを開発するのを想像できるだろうか?私はできない。その上、もしあなたがブランドのCEOだったなら、チーフ・マーケティング・オフィサーとそのチームが、外に出て、熱狂的なつながりのある世界で新しいメディアの形を見つけるために時間とお金を費やすことを許すだろうか?
  2. エージェンシー: エージェンシーの大部分は、プロのサービス企業にすぎない。彼らのビジネスモデルは、他のプロのサービス企業と違いはない:彼らは、かかったお金ではなく人単位時間でお金を請求する。彼らは、それらの費用を負うべきではないブランドのためのマーケティングチームとして行動する。彼らは、最も困難なマーケティングの問題を解決する手助けをするクライアントのパートナーとして行動する。多くのエージェンシーが進化した。独自の製品を作って販売するエージェンシーもあれば、時間とお金とリソースを教授陣のようなラボや最先端技術開発チームに割り当てるエージェンシーもある。クライアントと財政的なパートナーになって―ビジネスと成長させるために一緒に取り組む―、時間ベースの請求から離れるエージェンシーもある。これらの多様なビジネスモデルでは様々なレベルの動きがあるが、真にブレイクしたものは(まだ)ない。

ぬかるみにはまっている?

私たちマーケッターは大きなチャンスを逃していると主張する人がいるかもしれないが、私にとってはこれらの意見に賛成するのは難しい。マーケティングエージェンシーは、特定のことをするために設立された(ブランドも同じ)。彼らに、生き残るためには突然テクノロジー企業もしくはベンチャーキャピタルになろうと努めなければならないと言うことは、ビジネスモデルを完全に変えなければならないことに近く、今日まで彼らを成功させてきたことに忌み嫌われるものを実行する全く新しいスキルを追加しなければならないと言うことと同じなのだ。

では、何がうまくいくのか?

“問題ない、ただこの‘テクノロジー’全体を受け入れて前に進もう!”と言えたらどんなに素晴らしいことか。私たちみんなが知っているように、変化は難しい(特に、あなたのビジネスが繁栄し始めている時)。シリコンバレーから生まれた無視することが出来ない強烈な教訓がいくつかある。さらにはニューヨークのマジソン通りから生まれた無視することができない強烈な教訓もいくつかある。マーケッターはTechCrunch Disruptで時間を過ごす必要があるが、同じ位の時間を心理学、社会学、アート、ストーリーテリングを勉強することに費やす必要がある。最終的に、テクノロジーがより多くの人をつなげ、より多くの人がコンテンツクリエイターやキュレーターになれば、マーケッターの真の仕事は、人々の前にメッセージを提示することを超えて、劇的に変化した世界で人々が物を買う動機づけをするものをより理解することへと進む混合物になっていく。この課題に取り組むスタートアップがバレーにたくさん存在するのかどうかは分からない。

マーケッターがこの大きなチャレンジに受けて立つかどうか、そして彼らがそれを率いるのか、それによって名を汚されるのかを見るのは面白いだろう…


筆者について:ミッチ・ジョエルは数々の受賞歴を誇るカナダ発のデジタルマーケティング/コミュニケーションエージェンシー、Twist Imageの代表です。2008年にはカナダで最もソーシャルメディア上で影響力のある人物、そして40歳以下で最も有名な40人の一人、さらに世界で最も影響力のあるオンラインマーケッター100人の一人に選ばれました。著書である「Six Pixels of Separation」(Grand Central Publishing – Hachette Book Group)は、ビジネス/マーケティング書として英語圏で大ベストセラーになっています。ミッチのブログはこちらから。


この記事は、Six Pixels of Separationに掲載された「The New Marketing Hacker」を翻訳した内容です。

マーケティング・ハッカー、思わず新手のバズワードかと思ってしまいましたが、テクノロジーを理解し、それを当然のものとして活用できるマーケッターはまだまだ少ないのでしょうね。既存のマーケティング業界は過去何十年、それこそ100年以上前から培われた伝統が存在するわけですし、その中で鍛えられた人間と、新興アドテクノロジー業界の技術至上主義の人間が相容れることは難しそうなことは想像がつきますが。。。。時間と共に解決していくとは思いますし、今の時代、両方の側面を理解し、良いとこ取りで実践していける人は貴重な存在と思いますし、そういう人にはチャンスな時代でもありますよね。

しかし、このマーケティング・ハッカー、ってカッコいい言葉ですね。思わず名刺の肩書に書きたくなりました(しないけど)。さて、この記事を読んで皆さんはどう思われたでしょうか? — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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