マーケット・オブ・ワンに、まどわされるな

公開日:2012/09/23

最終更新日:2024/02/18

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ネットが普及し始めた頃から嫌という程、語り尽くされてきたワン・トゥ・ワン・マーケティングの重要性ですが(その割に最近まで、というか今でも普通のマス指向の広告キャンペーンがネットにも溢れかえっていますが・・・)、今回は少し視点を変えて特定の個人視点に頼りすぎたマーケティングの危険性に関する記事をミッチ・ジョエルから。文中で出てくるマーケット・オブ・ワン(個客市場)とは、大量市場(マス・マーケット)との対比で使われる用語です。 — SEO Japan

あなたが何かをするからといって(もしくは、何かをしないからといって)、実際の市場がどうあってどう反応するかの兆しにはならない。

一日中ここに座ってレディ・ガガがどんなにヒドいかを嘆くことはできるが、彼女は成功しているだけでなく、彼女には大量の支持者もいるということは否定できない。大量の支持者に本質的な価値はなく、大衆に受け入れられている多くのこと(テレビでやっているダンスや歌の大会のように)に質の高いものはさほどないと主張することはできるが、大衆は、大きな声で明確な言葉で話す。あなたにとっての平凡が彼らにとっての深い情熱なのだ。

マーケット・オブ・ワンにならないこと。

私がソーシャルメディアとデジタルマーケティングのメリットについて、とあるリテイラーと議論している時に、彼らの経営幹部の1人が私の話に割って入ってきた。この人物は、自分たちには一緒にトレンドについて議論をしている顧客のパネルがいて、その中の1人がEメールアドレスさえも持っていなかったのだということを私に伝えてきた。彼らは、この人物と連絡を取り続けることができるようにするためにEメールを設定するのを手助けした。もし彼らの消費者がEメールさえも使っていなかったら、ソーシャルメディアやデジタルマーケティングがどのようにして彼らを救うことができるのだろうか?統計的に言うと、そのユニークな人物は、標準の代表ではないため、彼らのパネルにいるべきではない。一人の例外的な人が彼らのパネルにいることが理由で、ソーシャルメディアとデジタルマーケティングで関与しないことは、“マーケット・オブ・ワン”の典型例だった(私にとって)。結局のところ、この人物がメールさえも使っていなら、彼らの消費者の全てがメールを使っていないかもしれないのだろうか?馬鹿げている。それが間違っていることを証明するデータがあるのだから、もっと馬鹿げている。実際、それは少ない割合ではなかった。それは、ほとんど存在しないことを示すほどに取るに足りない割合だった。彼らはみんなEメールを使っていて、オンラインにかなり没頭していた。

私たちはみんな、マーケット・オブ・ワンのように行動する(ことがよくある)。

もしあなたが以下のようなことを言ったことがあるなら…

  • 私は、テレビでやっているインフォマーシャルから何かを注文することは絶対にない。
  • 私は、検索エンジン内の広告を絶対にクリックしない。
  • 私は、新聞を読まない。
  • 私は、ラジオを聞かない。
  • Dancing With The Stars(註:素人参加型のオーディション番組)は最悪のテレビ番組だ。
  • 私は、ロケーションにチェックインするのにFoursquareのようなサービスを絶対に使用しない。
  • 私は、大衆小説を読まない。
  • 私の子供はEメールを使用しない。
  • 私は、クーポンを取っておいてそれをお店に持って行くことは絶対にしない。

これらは全てマーケット・オブ・ワンからの発言だ。そして、あなたはこれについて注意をする必要がある。

私たちは、とても大きくてものすごく繋がりのある世界の中に生きている。あなたやあなたのTwitter上の友人がみんな何かをしないからといって、それをするたくさんの割合の人々がいないということではない。私はコンテストに参加しない…ではそれは、私のエージェンシーは決してクライアントのためにコンテストを実施すべきではないという意味なのか?無理だ。私は、そのような個人的な発言が“マーケット・オブ・ワン”であること、コンテストを愛していて定期的にもしくは頻繁に積極的にコンテストに参加する人々が何百万人もいるということを認識している。コンテストは機能するのだ!データは嘘をつかない。あなたが何かをしないからといって、もしくはあなたが時代の先を行っているからといって(これは“アーリーアダプター”によくある)、それが実行可能なマーケティングオプションではないということではないのだ。

あなたがブレインストーミングをしているにしろ、クライアントや同僚とマーケティングについて議論しているにしろ、決してマーケット・オブ・ワンに優れたアイディアを台無しにさせたりしないことを忘れないようにしよう。


筆者について:ミッチ・ジョエルは数々の受賞歴を誇るカナダ発のデジタルマーケティング/コミュニケーションエージェンシー、Twist Imageの代表です。2008年にはカナダで最もソーシャルメディア上で影響力のある人物、そして40歳以下で最も有名な40人の一人、さらに世界で最も影響力のあるオンラインマーケッター100人の一人に選ばれました。著書である「Six Pixels of Separation」(Grand Central Publishing – Hachette Book Group)は、ビジネス/マーケティング書として英語圏で大ベストセラーになっています。ミッチのブログはこちらから。


この記事は、Six Pixels of Separationに掲載された「A Market of One」を翻訳した内容です。

その業界に詳しかったり、自分の愛情がありすぎる人がサービスを作る時に、ありがちなパターンですよね。本人が先を行き過ぎていて、誰もついてこれない、マニアックすぎるサービスを作ってしまう悲劇、、、「早すぎた」の一言で済ませるのは簡単ですが、もっと冷静に客観的に市場やニーズを見つめることができていれば、そんな悲劇も回避できたかもしれません。

ネット業界でいえば新しく登場した手法やチャンネルを一時的には祭りたてて猫も杓子も使うものの、ブームが過ぎると「終わった」「古い」ものとして軽視する傾向もありますよね。最新のソーシャルメディアマーケティングも良いですが、メジャリティのユーザーが実際に使っているものを改めて見直し、その価値を再検討するようなことも時には必要かもしれません。懸賞サイトが復権するかは別にしても、メールマーケティングなんかはもっと活用できうる分野と思ったりしてます(別に何も関連サービス手掛けていませんが・・・)。SEOも何度「終わった」といわれたことかわかりませんし、LPOもキーワード自体は余り旬な言葉ではないせいか、話題になることも少ないですし、効果の割に活用する企業も少ないです。何故か最後はただのグチになってしまったSEO Japanでしたが、最近インバウンドマーケティングも話題なことですし、特定の手法や考え方に驚されず全体を俯瞰する視点を持てるようにしたいものです。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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