リーン・アントレプレナーの時代

公開日:2013/03/14

最終更新日:2024/02/20

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小規模に始めるスタートアップ、その名もリーンスタートアップが新しい起業の形として昨年日本でも話題になりました。色々な批判もありながら、デジタル時代ならではの起業スタイルとして市民権を得つつあるリーンスタートアップ、その延長線上で、新たに「リーン・アントレプレナー」という言葉が提唱されているいうことで、早速その内容をチェック。新手のバズワードかと思いつつ筆者が著者「ザ・リーンスタートアップ」でお馴染みのエリック・ライズとくれば、興味レベルも増してしまいます。 — SEO Japan

去年5月、長い間Lean Startupを提唱しているBrant CooperとPatrick VlaskovitsがFAKEGRIMLOCKのイラストを使ってThe Lean Entrepreneurと呼ばれる新しい本に取り組んでいるというニュースをシェアした。今、その新しい本が全国の書店に並ぼうとしている。

彼らが私に前書きを依頼してきたこと、また、以下に抜粋を投稿することを許可してくれたことを光栄に思う。2012年のカンファレンスの後、私はそれをそのムーブメント全体の成長と進化をじっくり検討する機会として捉えた。

BrantとPatrickがThe Lean Entrepreneurでやったことで私が気に入っていることの1つは、起業家がどのように新しいベンチャーに取り組み、リスクを最小限にし、成功する手段を学んでいるかの数多くのケーススタディだ―これらのケーススタディが、ガレージ・スタートアップや企業経営者のような人達に語りかけるだろう。

詳細なケーススタディの例:

  • 1999年、オンラインの自動車販売の需要を検証するため、後にCarsDirect.comとなるMVPを築いた伝説的なBill Gross。
  • 新しい車両カテゴリーを作るためにLean Startupを使ったLitMotorsアプローチ。
  • 本当の痛みを伴う正真正銘のアーリーアダプターを浮上させるために“高いハードル”の新手法を作っているAppFog。
  • 国を出ることによって開発されたEmbrace幼児保温器。Rob Emrichはどのように学び、自らの非営利企業Road of Lifeを拡大したのか。(ソーシャル起業家は注目!)
  • アパレルMVPを築いてそれらをターゲットの顧客コミュニティで素早く検証しているBetaBrand。
  • インターネットのスピードで動くことを学んでいるTelecom O2。
  • 500 Startupsおよび、アーリーステージの投資では何が機能し何が機能しないかに関するその加速されたフィードバックのループ。
  • 人々の生活を変えるためにデジタルファブリケーションと3Dスキャンニングの新生テクノロジーを繰り返し活用しているScott Summitt。
  • David MarcusとBill Scottの指揮の下、製品体験を向上するためにLean Startupを採用することによって自身を再定義およびリエンジニアリングしているPayPal。
  • 仮説検証を介してセールスファネルにある問題に取り組むために部門の枠を超えたチームを築いて権限を与えているKISSmetrics。
  • 社内革新とスタートアップの新しい試みを養育することを計画している分野とLean Startupを結合する方法を大企業に見せているIntuit社。
  • Berkeley Pizza:ファーマーズ・マーケット内のピザから着席形式のレストランまで。

The Lean Entrepreneurに関して私が気に入っているもう一つのことは、BrantとPatrickがこの本をスタートアップのように扱っていることだ。1つの例が彼らのマーケティングにある。今日の環境では、それは価値を提供することが要求される。これは、製品を指し示してその製品の価値を説明するということよりも、マーケティングが価値そのものを提供するという意味だ。

ブックキャンペーンの一部として、BrantとPatrickは、以下を含む4つの無料オンラインビデオクラスを提供するためにGeneral Assemblyとチームを組んだ:

リーンなUXリサーチのテクニック、迅速なプロトタイピング、開発者の雇用方法、成長するハッキング

本の予約をすると、これら全てのクラスにアクセスすることができる―実際にはもっと多くの特典がある。2013年2月10日までは彼らのサイト上で予約が可能で、その後はAmazonでできる。

最後に、私がThe Lean Entrepreneurのために書いた前書きをシェアしたいと思う。2013年に入った今、Lean Startupのムーブメントがどこまで進んだのかをじっくりと考えるのにふさわしい時だ:

2008年8月に初めてブログを書き始めた時、私は何が起こるか見当もつかなかった。その頃、スタートアップブログはあまり“クール”ではなかった。多くのベンチャーキャピタリストが、私にそれをしないようにアドバイスした。

私の個人的なバックグラウンドはエンジニアで、勤めていた会社はWebベースのスタートアップだったため、私はそれについて書いた。それらの会社の成功と失敗にについて説明することに苦労しながら、私は、継続した展開や顧客開発やアジャイルの超加速された形式のような原則について議論した。リーン・マニュファクチャリングを掘り下げて考えた時、私は、ぴったりと一致するコンセプトと専門用語を発見した。その結果が、私がThe Lean Startupと呼んだ新しいアイディアだ。

私はいくつか基本的なセオリーから始めた:スタートアップとは、極度の不確かさの土壌で育つようにデザインされた組織であり、予測と計画に根付いた従来のマネージメントテクニックはその不確かさの前では上手く機能しない。それ故に、私たちには、イタレーションと科学的学習と迅速な実験のためにはっきりとデザインされた新しいマネージメントツールキットが必要だった。

当時私は、そのセオリーはハイテクスタートアップやウェブをベースにした環境のような特定の業界に結びついているのかもしれないと偶然として捉えていた。とはいえ、リーンは、巨大な自動車生産会社であるトヨタから現れたのだ。私は、Lean Startup原則は他の種類のスタートアップや不確かに支配された他の分野のビジネスにおいても機能するという信念を述べた。

しかし、私は次に起こることに対する準備はできていなかった。私は、私たちがスタートアップの作られる方法を変えることを望んでいたが、4年以上早送りして自分がその進化に驚かされることを知らなかった。新生コミュニティは、一人前のムーブメントへと花開いた。新規および経験豊富な起業家は共に、ケーススタディやカンファレンスや数多くのブログで自分たちのLean Startup体験を堂々とシェアする。情熱的な実践者によって生み出された本やワークショップやコースは、Lean Startup原則を独自に作る方法を生徒に教えるために、経験を語り、考えを共有し、ツールを作り出す。多くの投資家、アドバイザー、メンター、さらには有名な起業家アイコンさえも、Lean Startup言語を話す。

それは大きなテントだ。私たちは、顧客開発、破壊的イノベーションの理論、テクノロジーライフサイクル採用理論、アジャイル開発という、巨人の肩の上に立つ。ユーザー体験のプロ、デザイン思考実践者、販売やマーケティングやオペレーションやさらにはアカウンティングの機能的な領域みたいに、相補的な考え方が、一体となって私たち皆を高める実践を共有する。

Lean Startupはメインストリームとなった。これはいくつかのマスタープランの一部だった、私はあらゆる規模の企業が―ハイテク界のはるか外側で―Lean Startupを採用することを最初から知っていた、と言えたらいいのだが。The Lean Startup: How Today’s Entrepreneurs Use Continuous Innovation to Achieve Radically Successful Businessesを発行する年に、アメリカ連邦政府のようなモンスターを含む多くの巨大組織が、より高速で、より競争が激しく、情報であふれかえった今日の世界に立ち向かうためには、新しい手法が必要とされることに気が付くだろうと予測していたなら良かった。実際には、この変化は全て、私たちの誰もが想像した以上に早く全面的に発生した。そして、もうお分かりのように、私たちはまだ始まったばかりだ。

だから私は、あなたが手にしているその書物に興奮しているのだ。The Lean Entrepreneurには、それらの新しい手法に関することが書いてある。Brant CooperとPatrick Vlaskovitsは、Lean Startupや顧客開発のような新しいアイディアの最も早い採用者の中にいる。彼らの新しい著作物は、そのレンズを3つの重要な焦点に向けている:不確かなビジネスの試みの針を動かすために、顧客とやり取りし、実験を行い、すぐに使用可能なデータを使用する方法だ。

彼らの全ての著作物と同様、彼らのものは単なる理論の本ではない。BrantとPatrickは、これらの分野それぞれに素晴らしい戦術的な奥行きを提供している。

彼らはこんな疑問に答えようと努めている:あなたが組織としてどのような場所にいるとしても、どこで自分のLean Startupアクティビティに焦点を合わせるべきかを知るのか?Lean Entrepreneurは、組織が無駄を省いた方法でビジネスモデルの課題を特定してそれに基づいて行動するのを助ける新しい考え、ツール、アクティビティを提供する。従来のリーン思考の教えに従って、BrantとPatrickは、組織が製品開発やマーケティングやセールスなど価値を生み出すために自分たちがすべきことを仮定するのに役立つ価値発見プロセスを紹介する。これらのビジネスモデルの前提は、テスト、測定、イテレートの機が熟している。

さらに、あなたが生み出す価値は、それを必要とし、求め、強く願い、最終的にはあなたが作ったものの最終的な価値を判断する顧客なしでは意味がない。BrantとPatrickは、あなたが自分の顧客セグメントをじっくりと考えるのを手助けすることにかなりの時間を費やす。彼らは、賢くそして科学的な手法の姿勢で、あなたの顧客理論のどこが間違ってきるかを発見するのを手助けする。

誰もが良いストーリーを好むものだ。BrantとPatrickはたくさんの起業家にインタビューし、ハイテク内外のスタートアップおよび大企業の数えきれないほどのケーススタディを記録した。1998年に遡ったクラシックなWizard of Oz法のMVPさえもあるのだ!

間違いなく、BrantとPatrickは始めからここにいた。彼らは、2010年4月にThe Entrepreneur’s Guide to Customer Developmentを自費出版した。最初から、彼らは実践者でありメンターであり、ペイント・バイ・ナンバーのアプローチに従うのではなくリーンに考えること―素早く、敏しょうで、継続的な学習―を起業家に勧めていた。過去2年にわたって、彼らは世界中を旅して、Lean Startupについて話し、アドバイスし、教えてきた。

The Lean Entrepreneurは、私たちがイノベーションと不確かさに取り組む方法を改善するためにデザインされた原則と実践の増していくライブラリに追加する大切な一冊だ。それがスタートアップであれ、Fortune 100であれ、非営利であれ、政府であれ。

私は、BrantとPatrickが友人であり同僚であることを幸運に思っている。この本からあなたが価値のある考えを獲得し、あなた独自のLean Startupを作り、そしてもっと重要なことに、あなたが世界を良い方向へ変えることに成功することを期待している。

Eric Ries,
2012年12月、サンフランシスコにて

この記事は、Startup Lessons Learnedに掲載された「The Lean Entrepreneur is here」を翻訳した内容です。

実は書籍のタイトル&紹介記事だったわけですが、ケーススタディ満載で起業家&スタートアップ研究家?であれば必読な雰囲気の内容ですね。そしてエリック・ライズの序文も熱い。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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