最適化のための、KPI(キーパフォーマンスインジケーター)

事業の評価測定のための指標を探している中で迷走してしまうことはよくある。しかし、重要ないくつかの指標に集中することは、最大の成果をもたらすことにつながる。

そのため、注力すべき指標を見極めることが重要となる。この記事では、KPI(キーパフォーマンスインジケーター)を定義し、設定するために、あなたが知るべきことを解説する。

KPI(キーパフォーマンスインジケーター)とは何か?

KPIとは、事業として重要な側面における運営がどのようなものか、また、どのくらいのボリュームがあるかを測定するために使われる、定量的な活動のことを指す。Webサイトにおいては、「売り上げ」、「訪問者数」、「カートに入れられた金額の平均」など、様々な指標が用いられる。

KPIは指標であるが、あらゆる指標がKPIとなるわけではない。また、相互に排他的な用語でもない。ある情報が測定可能だとしても、その測定値が情報になるとは限らない。KPIは特定の目標に対して結果をもたらすものなのである。

マクロコンバージョンとマイクロコンバージョン

設定した指標は、「マクロコンバージョン」、もしくは、「マイクロコンバージョン」とつながっている。マクロコンバージョンは、あなたのWebサイトにおける主要な目的、つまり、ユーザートラフィックを収益に変えるということを意味する。

一方、マイクロコンバージョンとは、収益を生むマクロコンバージョンへの経路の途中にあるものであったり、収益を生むことと直接の関係をもたない、ユーザーが完了するアクションのことである。プロセス内のマイルストーン、もしくは、副次的なアクションが、マイクロコンバージョンに該当する。

チェックアウトの訪問者数、ユーザーあたりのページビュー数、カートへの追加数などがこれにあたる。しかし、マイクロコンバージョンはKPIではない。マイクロコンバージョンに注視しすぎるべきではない理由については、こちらをご確認いただきたい。

どの指標がKPIにならないのか?

一般的に、後回しにできる指標は、ユーザーあたりのページビュー数、クリック率、直帰率、ユーザーの平均滞在時間などである。金銭に直接は関わらない指標が該当する。ユーザーがWebサイトで過ごす時間は、多いほうが良いのか?それとも、少ないほうが良いのか?一概に答えることはできない。では、ユーザーがWebサイトに費やす金額は多いほうが良いのか?少ないほうが良いのか?この場合の答えは、間違いなく「多いほうが良い」となる。

その他のマイクロコンバージョンとしては、チェックアウトページへの訪問数、カートへの追加数、訪問したページ数などが該当する。これらは興味深い指標ではあるが、ユーザーの「購入」を促す役割を果たすことはない。

マイクロコンバージョンをわざわざ観測する必要はあるのか?

ジャード・スプール氏のCXL Live 2017での発言

「訪問者数は重要である。訪問者がいなければ、売り上げが立つこともない。しかし、売り上げほど重要であるわけでもない。事業上、重要とならない指標は多くあるため、こうした指標には多くの注意を割く必要はない。」

こうした行動によってお金が発生することはない。これらの事柄は素晴らしいものではあるが、自身のサービスに対する対価を得ることにはつながらないのだ。

しかし、こうした指標やマイクロコンバージョンを全く観測する必要が無い、というわけではない。こうした指標を追うことで、Webサイトやサービスのどの箇所に注意を払うべきかを把握でき、将来的なコンバージョンにつながる礎を築いてくれるのだ。

しかし、意思決定においては、マイクロコンバージョンではなく、「お金に関わる指標」を元にすべきであるのだ。

Webサイトの最適化における4つの重要なKPI

1)訪問者一人当たりの収益

訪問者一人当たりの収益(RPV:Revenue per visitor)とは、簡単に言うと、訪問者一人当たりの平均の収益額のことである。

Webサイトにおけるどのような行動が、最終的な収益の発生につながっているのかを把握することができるため、RPVは重要な指標となる。この数値が高いほど、あなたの事業が生み出す収益は高くなるのだ。

2)コンバージョン率

金額を測定できない場合(例:リードジェネレーションを目的とした、何も販売していないWebサイトでない)は、次善策としてコンバージョン率が挙げられる。

コンバージョン率がどのようなものか、わからないだろうか?その場合は、「初心者向けコンバージョン最適化」の記事の#1をご確認いただきたい。

3) 顧客獲得コスト

顧客を獲得するにはお金がかかる。そして、顧客を獲得する際にかかる費用は、「顧客獲得コスト(CAC:customer acquisition cost)」として知られている。顧客1人を獲得する初期コストは、1顧客がコンバージョンした際に得られる収益よりも、小さくなければならない(つまり、LTVよりも低くなければならない)。

ここでの目標は、プロセスを完璧にすることであり、その結果、支出と時間を最小限とし、収益を最大化させることである。

ForEntrepreneurs.comのデイビッド・スコック氏による発言

「あなたが次のビジネスを計画している起業家であれば、顧客獲得にかかるコストを無視する余裕はない。この課題に取り組む時期は早ければ早いほど望ましい。あらゆる最善策は、新しい方法で製品を作る必要があるからだ。

また、自身にこう問いかけることも重要である。自身のビジネスは、収益化できる金額よりも低い金額で顧客を獲得することができるか?そして、それは現実的な期待であるか?」


バランスが取れている事業バランスとは、このようなものである(画像のソース

実質的に、多くのスタートアップ企業が失敗する最大の理由は、上記の画像のバランスが逆になっているからである。CACが顧客のLTV(つまり、生涯価値)を上回ってしまっているのである。

ConstantContact社は、LTVを把握することで、顧客獲得のための費用を大きく下げることに成功した。

「ConstantContact社の顧客は、平均して、45か月間滞在する。価格帯は月額39ドルであるため、一人あたりの生涯収益は約1,800ドルとなる。つまり、ConstantContact社は、450ドルの獲得単価(CPA:cost-per-acquisition)で収益を上げることができる。」

しかし、過度に重要視することは危険である。LTVは、時として、嘘をつくのだ。

4)顧客生涯価値

最も重要なKPIはLTVであるとする者もいる。LTVとは、「将来を含めた、顧客との関係性全体を起因とする、純利益の予測」である。基本的に、その顧客から生涯にわたってどれほどの利益を得ることができるか、ということを意味する。

最も重要な顧客を、生涯を基準として評価することが重要である。その顧客が、長期的にどれほどの価値となるか、把握する必要があるのだ。

例えば、月額50ドルのサブスクリプションの製品に3人の顧客が同時に申し込んだとしよう。1人は1ヶ月、2人目は3ヶ月、3人目は2年間、サービスを継続してくれた。入会時の金額は50ドルと同一であるが、LTVにおいては大きな差異がある。それぞれ、50ドル、150ドル、1200ドルとなるのだ。

顧客が事業に提供してくれる価値は、すべて同一であるわけではない。そのため、LTVの高い顧客を早期に予測できることができれば、それに越したことはない。

しかし、LTVの測定は非常に困難である。顧客の障害価値を測定できている企業は、約40%ほどである。唯一の方法は、情報を集め、予測モデルとして組み立て、抽出したデータを元に顧客の行動を予測することである。

顧客生涯価値の計算式とは?

LTVの算出方法は、事業内容によって異なる。ここでは、SaaSのLTVにおける典型的な計算方式を紹介しよう。


(MRRはMonthly Recurring Revenueの略であり、月ごとの定期収入を意味する)(画像のソース

直接購入をしてくれる顧客の価値は高いのは当然であるが、こうした顧客は、別の行動によって収益の向上に一役買ってくれる。口コミや紹介などの、間接的なマーケティングはその一例である。こうした特徴やサイトへの訪問などの行動を追跡することが、LTVのモデルを作成するうえで最も有効であると言える。

なぜ、これらの計算式は重要なのか?

こうした計算式の主要な価値は、マーケターに対し、予算をどの領域に投下し、顧客を獲得するためにどの程度のコストがかかるのか、そういった考えを与えてくれるからだ。優先順位をつけ、高額購入者へのアプローチに集中することで、マーケティングがより簡単になる。

また、特定の顧客からの長期的な収益を知ることで、利益を確保しつつ割引が可能であるか、事前に価格を設定できるか、顧客をページに誘導することができるか、などを判断することができる。

適切な指標を計測し、それらの改善に取り組むことで、費やした金額を取り戻し、さらには利益を上げるための戦略を立てることができるのだ。

LTVのモデル化

顧客を獲得する際にLTVを予測するにはどうすべき良いのか?これは、非常に難しい。

ウォートンスクールのマーケティング教授であるピーター・フェイダー氏による発言

「新しく顧客を獲得した場合、彼らとの取引についてのデータはほとんどないため、彼らのLTVを正確に算出することは困難である。

しかし、獲得プロセスの中には有益な情報が含まれている。例えば、獲得チャネル、ファネルやキャンペーンの情報、最初の取引自体の情報(購入した商品、支払った金額、使用した割引)などである。

過去に取引した顧客の中から、このような特徴を持った顧客を探せば、彼らのLTVは把握しているはずである。そのため、こうした要素に基づいて、他の顧客とどの程度似ているかを、重みづけされた他の顧客の加重平均をとることにより、新規顧客に対する「推定値」を算出することができる。

複雑なプロセスに見えるかもしれないが、実はそうではない。実際、企業はこの算出をほぼリアルタイムで自動で行うことができる。その結果、顧客との関係性を築くきわめて早い段階で、その顧客をVIPレベルで扱うべきかどうか、即座に読み取ることができるのだ。」

こうした作業を行うには、Google Analyticsのようなデータ収集を自動で行ってくれるソフトウェアを使用することが一番である。また、独自でモデル化を可能とする、様々なGoogleスプレッドシートも存在する。

LTV予測モデル

では、どのようにして予測モデルを構築できるだろうか?最も簡単な答えは、データサイエンティストを雇用しよう、ということになる。社内にデータサイエンティストがいない場合は、以下の方法が考えられる。

有用な方程式は、

(平均販売額) X (リピートの取引数) X (リテンションの平均期間(月または年))

である。

ジムの会員メンバー

ここでは、事務の会員メンバーを例に挙げて説明してみよう。

「簡単な例として、毎月20ドルを3年間支払ってくれるジムメンバーのLTVを挙げてみる。この顧客のLTVは、

20ドル X 12ヶ月 X 3年間 = 720ドル (もしくは、年間240ドル)

この簡単な例からも、多くのジムが新規顧客を獲得するために、初回無料のキャンペーンを行う理由がおわかりだろう。ジムのオーナーは、新規顧客の獲得費用が240ドル以下であれば、短期間でその顧客からの利益を得られることを知っているのだ。」

このように、このジムは、顧客一人当たりの獲得予算を算出し、利益を増やすためのプロセスに着手することができる(何かを販売してお金を得るのでなければ、リード数やコンバージョン率が主なKPIとなる)。

実際はどのようなものなのか?

Kissmetrics社のメンバーが、2004年から2012年のデータを用い、スターバックスの顧客の平均LTVをモデル化している。このモデルは2017年に作成されたモデルであるが、LTVの予測モデルを作成する上で、良い例となっている。

特徴抽出データ

一般的に、スターバックスの平均的な顧客の行動を評価するためには、3つの指標が必要となる。「1回の来店ごとの顧客支出」、「1週間当たりの訪問回数」、「1週間当たりの平均顧客価値」がそれにあたる(「1週間当たりの平均顧客価値」は、週当たりの顧客支出と来店回数の両方を掛け合わせて算出している)。

顧客変数を含むこれら3つのデータセットの平均値を把握できれば、いよいよ算出を開始できる。上記で算出した平均値を用い、一定の定数を考慮に入れ、全体的な生涯価値を算出するための方程式を作ることができた。

ここでは、一般的な3つの公式が採用された。「単純なLTVの方程式」、「顧客LTVの方程式」、「伝統的なLTVの方程式」の3つである。これら3つの全ての方程式から得られた結果を平均して、LTVを算出した。

企業によってLTVは異なる。需要なことは、どのような顧客が長期的に自社と関りを持ち、商品を購入しているのかに焦点をあて、顧客満足度を高めることである。最終的に解約されたり、投資価値が低くなる可能性のある「安い」、「平均的」な顧客にリソースを費やすのではなく、ユーザーに対して、投資するようにしよう。

一般的に、マイクロコンバージョンを指標とすることは可能ではあるが、KPIとしてはふさわしくない。4つの重要なパフォーマンス指標は、以下である。

訪問者一人当たりの収益
コンバージョン率
顧客獲得コスト
ライフタイムバリュー

顧客コストを把握することで、マーケティング予算にどの程度投資すべきかを決定することができる。


この記事は、CXL に掲載された「Key Performance Indicators (KPIs) for Optimization」を翻訳した内容です。



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