Google検索結果の変化から読み解く「SEOの未来」

最終更新日:2024/03/01

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つい先日、モバイル検索でのレイアウト変更が発表されました(ソース)。ランキングアルゴリズムと同様、Googleは検索結果のレイアウトを常に変化させており、SEO担当者としては必然的に注視すべき領域となります。

今回の記事では、ここ最近の変更とそれから導き出される見解を、ニール・パテル氏が披露してくれています。SEOの未来とは、いかに。

SEOについて考える時、また、ここ5年間での変化について考える時、あなたは何を思い浮かべるだろうか?

「Googleの検索結果での高順位獲得が困難になった」ということではないだろうか。

しかし、自然検索結果からの流入獲得が困難になったのは、なぜだろうか。

多くのSEO担当者は、「それはGoogleがより複雑なアルゴリズムを構築したからだ」と答えるだろう。

彼らは、過去にはあまり重要視されていなかったページスピード・ブランドクエリ・その他何百という要素に目を向けている。

しかし、それでは話半分に終わってしまう。

SEOが困難になった理由として、Googleのアルゴリズムの変化は、その一部分に過ぎない。

この記事では、多くのSEO担当者は語っていないが、それでもあなたが注意すべき事柄について言及する。なぜなら、それらは「SEOの未来」につながる話だからである。

常に変化するGoogleのレイアウト

Googleで検索した際、あなたは何を目にするだろうか。

いくつかの自然検索結果、そして、いくつかの広告であるはずだ。

自然検索結果と広告は、Googleが長い間表示し続けていたものだ。この核となるコンセプトは大きく変化していない。

しかし、長期間においては、Googleは小さな調整を続けており、それらが積み重なった結果、大きな変化を生み出している。

過去数年のGoogleの検索結果の変化を見てみよう。幸運なことに、Orbit Mediaは2012年、2014年、2015年とランダムな調査を行っており、それぞれの年代の検索結果と現在の検索結果のレイアウトの比較を行っている。

2013年から2019年までの検索結果の比較

  • 左:1位の表示位置は、ページ上部から330ピクセル下に表示されている。
  • 右:1位の表示位置は、ページ上部から1050ピクセル下に表示されている。

2013年と2019年の大きな違いは、以下のとおりである。

  • 自然検索結果の1位の表示位置が大きく下がっている
  • デザインの観点からも、広告ははっきりと区別されていた。
    しかし、現在はより自然検索結果に混じっている。

では、2014年と2019年とを比較してみよう。

  • 左:1位の表示位置はページ上部から150ピクセル下に表示されている。
  • 中:通常のファーストビューの表示領域
  • 右:1位の表示位置はページ上部から650ピクセル下に表示されている。

そして、2015年と2019年だ。

  • 左:1位の表示位置はページ上部から150ピクセル下に表示されている。
  • 中:通常のファーストビューの表示領域
  • 右:1位の表示位置はページ上部から630ピクセル下に表示されている。

大きなトレンドは、自然検索結果の表示がファーストビューの下部に押し下げられたことだ。おおよそ、3.3倍という数字になっている。

これは、非常に大きな変化である。

現在の検索結果には、マップ、ナレッジパネル、画像や動画など、ユーザーが求めているとGoogleが判断した様々な要素が表示されている。

強調スニペットとサイトへの流入の減少

別の大きなトレンドとしては、強調スニペットの表示が挙げられる。強調スニペットはあなたのサイトにトラフィックを与えてくれるかもしれないが、検索者が求める情報を提供するため、あなたのサイトへのクリック(流入)が発生しない場合もある。

「世界で一番大きな木(the largest tree in the world)」という検索をしてみよう。

もちろん、私はlivescience.comへのリンクをクリックし、答えを求める可能性もあるだろう。

しかし、あえてlivescience.comのサイトに訪問する理由はあるだろうか? Googleはすでに答えを私に提示しているのに。

自然検索結果が下部に押し下げられ、そして、クリックせずとも、回答の一部をGoogleがユーザーに提供している。こうした状況は、自然検索結果のクリック率が徐々に減少することを意味している。

1ページ目に表示される自然検索結果の数の変化

質問をさせていただこう。

1ページ目に表示される自然検索結果の数はいくつか?

おそらく、あなたは10と答えるだろう。

かつてはそうだったかもしれない。しかし、あなたが10個の検索結果を最後に確認したのはいつのことだろうか。

Googleは1ページ目に表示される自然検索結果の数を5.5%少なくしている(参考)。もちろん、10個のリンクが表示されることは多いが、それでも、かつてほどではなくなっている。

自然検索結果の表示が10個以下の検索結果数

以下は、自然検索結果の変化をグラフ化した資料だ。

18%! これが、自然検索結果の表示数が10個以下になる割合である。

かつてが2%であったことを考えると、驚くべき数字だ。

Googleがレイアウトテストを行っている他の要素

レイアウトのテストとしては非常に小規模ではあるが、自然検索結果が全く表示されない場合もある(SEMrush Twitter)。

広告は表示されているが、自然検索結果は1つも表示されていない

しかし、Googleはこれをミスだとしている(参照)。表示すべき自然検索結果がないと判断されており、同時に、広告も表示されないはずだ。

今後も、Googleはより多くのレイアウト変更の実験を行い、その内のいくつかは、恒久的な変更になるだろう。

SEOの未来について語る前に、一つ確認をしておきたい。

Googleは、株式公開企業である。そのため、驚くべきプロダクトを作成することが彼らの目標となるわけだが、同時に、彼らは利益を上げる必要がある。

広告の売上のための変更を行ったとしても、彼らを責めることはできない。

「ユーザー体験を損なってしまう」、といった批判をするかもしれない。しかし、果たしてそれは正しいのだろうか?もしそういった批判が正しかったとすれば、ユーザーはBingやその他の検索エンジンを使用するようになるはずだ。

私は、Googleを毎日使用している。自然検索結果がクリックしづらくなったかもしれないが、ユーザーとして、彼らは驚くべき体験を提供していると考えている。

SEOの未来予測と仮説

Googleはただ盲目的にレイアウトの変更を行っているわけではない。実験をし、ユーザー調査を行い、検索者が求めるものを把握し、それを提供している。

過去数年間におけるレイアウトの変更に基づき、いくつかの仮説を立ててみよう。

1.新たなリッチスニペットの登場

ユーザーは自身が抱えている問題に対する答えを可能な限り早く得たいと考えている。より早く答えを提供できるとGoogleが判断した場合、将来のレイアウト変更によって、より多くの種類のリッチスニペットが登場するかもしれない。

2.音声検索によるクリック率の低下

Comscore社によれば、2020年までに検索全体の50%が音声検索になるとのことだ。音声検索の結果、ユーザーがあなたのサイトに訪問してくれると単純に予測すべきではない。

3.ユーザーは広告を無視することに慣れている

Googleがどれだけ自然検索結果の表示を下部に掲載しても、ユーザーは広告を無視することに慣れている。Googleが広告と自然検索結果の区別を曖昧にしても、多くのユーザーは自然検索結果をクリックするだろう。

4.世界では43.9%の人が、インターネットにアクセスできていない

Googleが世界の検索エンジン市場を独占していることは明らかだ。しかし、世界の56.1%の人しか、インターネットにアクセスできていない。より多くの人がオンラインになれば、より多くの人がGoogleを使用するだろう。それは、より多くの人があなたのサイトをクリックするようになる、ということを意味している。

言い換えれば、SEOは不要になるのではなく、それどころか、驚異的なチャネルであるままなのである。ここ1ヶ月の私のサイトのトラフィックを見て欲しい。

月間で4,362,165の流入がある。この流入数のうち、Googleを始めとした検索エンジンからの流入がどれほどあるかを想像してみて欲しい。

2,343,362流入である。

つまり、SEOが全てのトラフィックの53.71%を占めているのだ。非常に大きな流入数である。

Googleの絶え間ない変更のおかげで、私のサイトへのトラフィックは減少していると思ってはいないだろうか。実際は、増加しているのである。

1年前、私のサイトへのGoogleからの流入数は月間で1,088,251であった。Googleのアルゴリズム変更によりSEOは難しくなり、自然検索結果の表示が下部に押し下げられても、流入数は増加し、2,343,362流入までに至っている。

集客チャネルをSEOのみに依存すべきではない

私はGoogleが好きであるし、SEOに未来があると考えているが、それでも依存すべきではない。あなたがどれほど優秀なSEO担当者であったとしても、成功は確約されていないのだ。

あなたにもきっと馴染み深い企業を例に挙げてみよう。Airbnbだ。

自宅、もしくは、自室を貸し出すというコンセプトはAirbnbが生み出したアイデアではないことをご存知だろうか。

AirbnbとVRBOの集客チャネル比較

Airbnbでなければ、誰が「自宅or自室を貸し出す」というアイデアを思いついたのだろうか。

VRBOだ。彼らはAirbnbがこのアイデアに至る13年も前に、このビジネスモデルを思いついている。

ここに興味深い事実がある。SEOにおいては、どちらが勝者なのか。

驚くべきことに、勝者はVRBOである。

Googleの検索結果の順位という領域では、VRBOはAirbnbを長期間において圧倒している。下記にAirbnbではなく、VRBOが上位表示されているキーワードを記載する(注:英語での検索結果)。

  • ヒルトン ヘッド レンタル
  • オーシャンシティ メリーランド レンタル
  • ケープコード レンタル
  • キャビン レンタル
  • バケーション 家
  • バケーション レンタル
  • バケーション 家 レンタル

Airbnbも多くのキーワードで上位表示されている。しかし、その多くがブランド名に関連したキーワードだ。

AirbnbはSEOに頼らず、ライバルを圧倒している。13年後、彼らが市場に参入したとき、その状況を作り上げていた。

Airbnbは優れたプロダクトとオムニチャネルへの注力を行った

では、Airbnbはどのようにして勝者となったのか。

最も大きな理由は、彼らがより優れたプロダクトを作成したことだろう。

さらに、彼らはオムニチャネルに注力したということだ。SEO、PPC、機内のモニターでの広告も含め、あらゆる主要なチャネルでの露出を試みたのだ。

SEOは、もちろん、必要だ。

しかし、トラフィックや収入のソースとして、依存すべきではない。多様性が求められるのだ。Googleからの評価をあげるためのみならず、あなたがコントロールすることができない、消費者行動のために必要なのだ。

将来、人々は検索エンジンを使用することを好まなくなるようになるかもしれない。彼らが他の手段を選ぶようになれば、あなたもその動きに適用しなければならなくなる。

また、たった一つのチャネルから大きなビジネスを構築することは、もはや不可能と言えるだろう。

もちろん、Facebookはリファラで、QuoraはSEOで、Dropboxはソーシャルメディアで、それぞれの成功の場所を築いたという例はある。しかし、こうした状況はもはや起こりえないだろう。こうした企業を成功に導いた施策が、あなたの企業にあてはまるということは保証できない。

今日のマーケットで勝者となるためには、あらゆるチャネルの最適化が必要となる。

SEO依存からの脱却とオムニチャネルへのアプローチ

Googleは、マーケターやビジネスオーナーとしては好ましくない変更を、これからも加えていくだろう。しかし、それは、SEOが不要になったことを意味するものではない。

私のトラフィックの推移をご覧いただきたい。Googleが常にアルゴリズムを変更したとしても、自身のサイトへのトラフィックを伸ばすことは可能だ。

未来を憂う必要はない。予測することは困難であり、避けて通れないものばかりなのだから。

現実的な解決策はたった一つだ。オムニチャネルのアプローチを採り、特定のチャネルへ依存することをやめよう。

Google検索の現在のレイアウトから、あなたはどんな未来を導き出すだろうか。

この記事は、Neil Patelに掲載された「How Google’s New Layout Predicts the Future of SEO」を翻訳した内容です。

Googleがレイアウトを変更する理由は、ユーザー行動の反映が主となりますが、「Googleの変更によって、ユーザー行動が変化する」といった場合もあるかもしれません。ときには、全ての変更がうまくいくわけではなく、ユーザーの行動が変化するどころか、不満が生まれる場合もあるでしょう。

Googleですら、こうした試行錯誤を続けているため、自身のWebサイトも様々な検証を行うべきと感じました。オムニチャネルの施策を含め、メディア戦略に非常に参考になる記事でした。

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編集者情報

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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