UXのプロはコンバージョン最適化をどう見ているのか?

最終更新日:2024/03/01

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CRO(コンバージョン最適化)の文脈においては、しばしばUX(ユーザーエクスペリエンス)についても議論しなければなりません。CROとUXが被る部分、そして対立する部分はどこにあるのでしょうか?そして、実際作業を行う際はどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか?
UXの専門家たちの意見を聞いてみましょう。
— SEO Japan

How Do UX Professionals View Conversion Optimization?

自分が取り組んでいることに対して、他者の意見を聞くことは、いつも楽しいものだ。

コンバージョンの最適化に関して、私たちはUXがプロセスの重要な部分を担っており、UXがさらなるコンバージョンをもたらしてくれると信じている。しかしUXの専門家たちは、コンバージョンの最適化をどう考えているのか?それが一体どういうもので、UX最適化の文脈に当てはまると考えているのだろうか?

その答えを見つけるため、私はUXの専門家たちに話を伺った。そこで学んだのは、彼らのコンバージョン最適化に対する認識は私たちのものと近い一方、必ずしも一致してはいないということだ。

UXのプロはコンバージョン最適化をどのようなものだと考えているか

UXのプロたちは、コンバージョン最適化をどう定義しているのか?また、コンバージョン最適化の取り組みでは何が行われていると認識しているのか?

Lean UX」の著者ジェフ・ゴセフ氏によれば、コンバージョン最適化とは「製品やサービスにおいて、顧客をより深いレベルのエンゲージメントへと導くための、価値の構成、CTA、価格の正しい組み合わせを見つけること」である。

他の人々も同様の定義をしている。コンバージョン最適化とは、もちろんより広範囲のものである。しかし人々の理解を話で聞いてみるのは興味深いものだ。例えば、MDH Human Pactorsの代表であるスーザン・オルソン氏は、こう語る。

スーザン・オルソン氏

スーザン・オルソン氏
「コンバージョン最適化は科学的な手法を使って、訪問者を顧客へと変えることです。効果的な戦略により、既存サイトにおける受動的な閲覧トラフィックを双方向の個人的な体験へと変えることで、より高い売り上げや利益がもたらされます。」

ウェブサイト最適化に、科学的なアプローチを持ち込んだところが私のお気に入りだ。なぜなら、コンバージョン最適化がただの「思い付きをテストすること」もしくは短期的な利益である、といった考えを薄めてくれるからである。

Digital Jugglerのオーナーであるジェームズ・ガード氏は、小さな行動と大きな行動の両方において、ビジネスの指標を改善する構造的なアプローチだと語っている。

ジェームズ・ガード氏

ジェームズ・ガード氏
「コンバージョン最適化とは、目標が何であるかを問わず、ユーザージャーニーの進行や達成を改善する構造化されたアプローチだ。コンバージョンは財務ベース(注文の完了など)もしくはソフトターゲット(ニュースレターの登録など)の形がある。また、ブログを読んだ人のうちどれだけがシェアしてくれたか、というイベントベースの場合もありえる。

より広い文脈に関して、マクロコンバージョンはビジネス目標に沿ったものであるべきである。デジタルチャンネルはビジネスのビジョンの助けとなるべきで、もしビジネスの戦略にインフルエンサーを増加させることが含まれているならば、ネットプロモータースコアの調査、ソーシャルでの共有、友人へのおすすめなど、関連したコンバージョンを見るべきである。

マイクロコンバージョンは通常、マクロの文脈内でデジタルチームが運用するものになります。ここが戦術的最適化のプランが入る場所であり、マクロの目標を達成するために働く。例えば、マクロコンバージョンの目標が購入数の増加であれば、おそらくリストから製品ページヘのクリックの増加というマイクロコンバージョンが含まれることだろう。」

構造的なアプローチということには、全く同意である。私が発見したのは、大部分において、UXのプロはコンバージョン最適化をよく知っているわけではなく、それが何を伴うのかを非常に正確に理解しているということだ。ほとんどのプロたちは、構造的な最適化のプロセスを通して、ビジネスの指標を改善することだという風に考えている

コンバージョン最適化は組織にどう当てはまる?

次に私は、UXのプロたちがより広い最適化という文脈に、コンバージョン最適化がどう当てはまると考えているかを知りたくなった。CROチームは、SEO、ブランディング、IT、製品、そしてもちろんUXを含めて、どのように他者と働くことになるのだろうか?

UXとCRO(コンバージョン率最適化)の違いは?

最初に、コンバージョン最適化とUXの両方において、認識される目標を明確に描いておくと話がしやすいだろう。両者を実行するにあたり、どういった違いがあるのだろうか?

スーザン・オルソン氏によれば、効果的なコンバージョン最適化の戦略は非常に重要であり、コンバージョン最適化の法則の多くに、UXが当てはまると言う。実際、テストとリサーチを行ってチャンスのある領域を明らかにし、デザインを検証するという面においては共通だ。

スーザン・オルソン氏

スーザン・オルソン氏
「UXは学習、知覚、認識、振る舞い、動機に関連する多くの法則を、決定の判断に適用します。

コンバージョン最適化も、こうした心理学的法則を適用するのは同じですが、ユーザー体験を管理し、購入を行いたくなるような説得のマーケティングも合わせて組み込みます。

UXとコンバージョン最適化のどちらも、科学的な手法を活用し、繰り返しのテストを行うことが要求されます。しかしUXにおいて、テストはデザインの早い段階で行うのに対し、コンバージョン最適化では展開を開始した後に行うのです。」

次に、バーデン・ホップナー氏がQuoraで回答した、興味深い解説を見てみよう。

バーデン・ホップナー氏

バーデン・ホップナー氏

「UXデザイナーとは通常、UXプロジェクトでユーザーとの接点やクリエイティブを構築する人のことだ。ユーザーリサーチからのフィードバックを受け取り、ビジネスとユーザーに向けたソリューションを考える。UXデザイナーは非常に多様なバックグラウンドを持っており、しばしば、ワイヤフレーム、プロトタイプ、デザインソフトウェアのいずれかを使用して、アウトプットを制作します。

「コンバージョン最適化コンサルタント」は、特定のワークフローを評価する、短期的なビジネス契約を締結した人物です。ウェブ解析の経験を持っていることが多く、フローにおけるコンバージョン改善のため、一連のテストを提案する。こうしたテストを行うため、UXデザイナーと共に仕事をすることになるだろう。彼らが使いそうなツールは、ウェブアナリティクス、AB/MVTテストツール、デザインソフトウェアやパワーポイントだ。」

的を射た解説だ。しかしこれには、継続した最適化プロジェクトに取り組んでいる内部の人々が含まれていない。Axbom Innovation ABの創業者でUXデザイナーでもあるパー・アクスボム氏は、コンバージョン最適化を次のように語る。「これは開発プロセスと、デジタルソリューションの進行中に行うメンテナンスの一部である。実際の作業は他の誰かが行うとしても、責任を負うのは製品マネージャーなのだ。」

他にも、「コンバージョン最適化はUXの一部分である」といった反応もあった。また、次のようにも話している。

パー・アクスボム氏

パー・アクスボム氏
「私は、コンバージョン最適化は実行可能なUXの一部分であると認識している。
ユーザー体験のコンセプトは非常に広く、研究、戦略から、プロトタイプやコピーライティングにまで渡る。

あらゆるUXの作業に共通して当てはまるのは、ユーザー行動に関するデータと洞察をスタート地点としているということだ。コンバージョン最適化は、最初にKPIの設定におけるスキルとして起こり、次に開発を推し進めるデザインの決定において発生し、三番目には継続中のメンテナンス作業で起こる。私は、UXとコンバージョン最適化が相互に補完し合っているとはあまり思えない。なぜならコンバージョン最適化とは、プロダクトマネージャーがいつ、どこで最適化が必要であるかを理解するということだからだ。」

その定義の中では、うまく意味が通るように思う。しかし私は常に、UXはコンバージョン最適化の一部であると認識していた。なぜならコンバージョン最適化を行う多くの人々はUX(もしくは解析)の経験があり、それが最適化を行う上での基礎のスキルセットであると考えていたからだ。
おそらく、こういった形になるのではないだろうか。

UX+Analytics+Copywriting+Testing=Conversion optimization

しかし正直にいうと、あまりにも実験とデータが目立つがために、私はUXがより理論ベースのものであるとも考えていた。

もちろんユーザビリティ調査には厳密な定量的分野がある。しかし私が感じたのは、コンバージョン最適化はそうしたものの多くも含んでいるということだ(図中に、重なるエリアがあるだろう)。そしてコンバージョン最適化にももちろん、ある程度のヒューリスティックな側面も存在する。特にまだトラフィックが多くない段階であればなおさらである。

UXとCRO
※UX:理論と発見、CRO:テストと経験論

UXとCROはお互いどう補い合うのか?

この2つは別々な領域ではあるが、UXとコンバージョン最適化は多くの部分で重なり、また補い合っています。

スーザン・オルソン氏は、どちらも意思決定における不確実性を減少させることを狙いとしており、それによって収益と信頼性が高まると話しています。

スーザン・オルソン氏

スーザン・オルソン氏
「収益の高い組織では、大きな賭けを行うのにデータを使用し、不確実性、間違い、差異を減少させ、同時に確実性、信頼性、利益を増加させます。

コンバージョン最適化においては、しっかりとテストをコントロールしなければならない。収集できるあらゆる観測や分析が結果を改善させうるが、それは仮説を肯定するもしくは否定するテストを経た場合だけだ。

ユーザビリティテストは、さまざまなシナリオを素早く探求して即座にフィードバックを得たい場合や、予測できなかった仮説を立てる際に価値を持ちます。」

最後のポイントは、私が何度も聞いた事柄が含まれている。ユーザビリティ調査は、より優れた仮説を知らせるのに使われるということである。私たちの、ResearchXLモデルにおけるひとつのポイントになっているのには、理由があるのだ。

Digital Jugglerのジェームズ・ガード氏が、これをうまく説明してくれている。

ジェームズ・ガード氏

ジェームズ・ガード氏
「CROを行うには、テストに向けた仮説を立てるための洞察が必要となる。

証明、もしくは反証するための仮説がないテストには、集中すべきポイントがない。UXは、なぜそれが起こっているのかを理解する手助けとなってくれる。どうしてユーザーはモバイルで商品をカートに入れないのか、といったことである。

構造化されたUXのアプローチは、顧客中心的な考え方を用いて、ユーザーがどうウェブサイトと関わるか、何がうまく機能して、問題がどこにあるのかを探求する。これを優れた手法として、特定されたユーザーのニーズに基づいた改善に利用することができる。そのため、UXの考え方はCROプロジェクトの構造、焦点、関連性を改善できるのです。」

ついに、優れたUXはより高いコンバージョンをもたらすことが分かった。これはジェフ・ゴセフ氏も信じていることである。

ジェフ・ゴセフ氏

ジェフ・ゴセフ氏
「価値を明確に、簡潔に、力強くプレゼンテーションすること(コンテンツ、デザイン、美しさ、CTA)で、提供する製品やサービスでは大きなコンバージョンの改善が見られるだろう。これはUXにおいてもコンテンツ側に寄った話だが、しかしデザイン要素もブランドに見合うものであるべきである。」

しかしデザインは、計量的な考えとは対立するものではないのか?

分析はデザインの敵だ。もしくは、ある人々は(おそらく)そう考えている。実際は、全くそんなことはない。これはUIEのジャレッド・スプール氏が行った素晴らしい講演の議題であり、彼の結論は「デザインは計量的な考えとは対立するものではなく、デザイナーとして計量の世界を受け入れ、その大きな力で、今取り組んでいることを変えるのに使う必要がある」といったものだった。

彼はさらに、ユーザー体験と定量的な分析を隔てるべきではないと続けている。

ジャレッド・スプール氏

ジャレッド・スプール氏
「私たちは経験を使い、あちらの人々は定量的データを使う、といった考えは間違っている。私たちは定量的データを、少なくとも行動に関するデータ関しては、持っておかなくてはなりません。

態度に関するデータなどはどうでもよい。しかし行動に関するデータは、人々が実際に何を行っているのかを示しており、定量的データがUXチームの活動の一部となっているのである。」

つまり分析と経験が交差するどこかに、コンバージョン最適化、もしくはスプール氏が語った定量化可能なUXのようなものが、あるようだ。

どちらの領域も「推測」は信じない

最適化の初心者たちは、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる的なアプローチが正しい道だと思い込んでいます。「とにかくテストだ!」と彼らは言います。しかし人々は、トラフィックのA/Bテストに潜むトレードオフを忘れています。時に半分の片割れを失っているという事実を。

現在、それが探求のリスクとなっています。そもそも私たちがA/Bテストを行う見返りとして期待しているものは、一貫した戦略的なテストを通して、どのデザインが最もコンバージョンを得られるのか発見し、検証することだ。長期間行えば、それが利益をもたらしてくれるのだ。

しかし、どれをいつテストするのかを思い付きで推測するだけでは、テストを無駄にするリスクが発生し、無駄が増えれば、テストに対する不信感が芽生えるだろう。

Users Knowの代表で、UX for Kean Startupsの著者であるローラ・クライン氏も、これに同意してくれるだろう。彼女は単に思い付きのテストを行い、うまくいくものを見つけることよりも、定量的なユーザビリティの洞察を集めてテストに注ぎ込むことが正しいと信じている。

ローラ・クライン氏

ローラ・クライン氏
「もし本当にコンバージョンを最適化したければ、なぜ人々がコンバージョンしないかを知らなくてはなりません。私は実験が大好きですが、実験を行うためのアイデアを素早く得るには、会話が有効です。多くの人々は、より高いコンバージョンを目指して自己の手法をただA/Bテストするだけです。理想的なセグメントに属する顧客と話をして、コンバージョンファネルのユーザビリティテストを行い、直接フィードバックを受けましょう。これがうまくできれば、あなたのA/Bテストがもっと効率的になるでしょう。」

多くの人々がコンバージョン最適化に関して誤解しているのは、私たちが思い付きをテストしていて、意味ある洞察をもとにテストをしていないのではないかということだ。推測するに、前述の図を元にすると、これはUXにおいてもよくある誤解のようで、発見やアイデアから逸れてしまうのだ。

実際はどちらの分野においても、とにかく壁に物を投げてくっつく物を探すような手法は好まれない。どちらも、研究に多大な投資をするのである。

「なぜ」を見つける

UXとコンバージョン最適化が交差するもう一つの場所は、理由を見つけようと試みる場合だ。どちらも定量的データを分析してチャンスのある領域を見つけ、ソリューションを探求する。これについてUIEのジャレッド・スプール氏はこう語っている。

ジャレッド・スプール氏

ジャレッド・スプール氏
理由を理解することなく、優れたデザインの決断を下すことは難しい。私たちは深い解析を行う必要はないのである。必要なのは、ユーザー体験を改善する指標だ。すでに私たちは、そのツールを持っている。「ジャーニーマップ」と呼ばれるものである。」

制御不能な意見のリスクを緩和する

デザインvs指標について、スプール氏は素晴らしい話をしてくれている。

「私は何年も、ある実験を行っている。ある画面を見せるのだ。あなたのようなデザイナーが部屋いっぱいに集まり、そこで画面を見せるのである。

そして、私は一人ひとりになぜこんなことが起こっていると考えているのか書かせる。思い付いた推測を書いてもらうのである。

もちろん、これら4つの推測はどれも同じ大きさで、平等にグループ分けされて示される。興味深いことに、そこに集まった全ての人が、自分が正しいと感じたものこそが正解だと結論付けてしまうのである。」

この実験は、Malwarebytesで最適化のリーダーを務めるアンドリュー・アンデルソン氏のものと似ている。彼の記事「物語の誤診」で語られたことを見てみよう。

アンドリュー・アンデルソン氏

アンドリュー・アンデルソン氏
「私が新しいコンサルタントにしてもらった最初の事は、まだ結果を見たことがないどんなテストも行ってもらい、なぜテストにおける全てのバージョンが最高のものであり、明らかに優れているのかを説明してもらうことだった。

このゲームを始めるといつも、コンサルタントはそんなことは不可能で、どれだけ難しいのかを語る。しかし4つ目か5つ目のテストを行うまでには、説明することがどれだけ簡単なのかを理解し始めるのである。

  • 「このバージョンはバリュープロポジションを改善し、余分なものを取り除くため、人々は共感する。」
  • 「このバージョンは、ユーザーに行動を促す前に鍵となるセールスポイントを訴求することで、購入者がたどる道筋により多くのものを加えている。」
  • 「このバージョンの色使いは製品が知覚されるのを助け、ブランドに価値を加える。」

覚えておいてほしいのは、彼らはまだ結果は知らず、どれがうまく働き、どれが働かないかを判断する根拠を持っていないことです。これらの物語は、ただ物語を創造するために作り出しているに過ぎないのである。」

UXとCROのどちらでも、手がかりがない状態での推測、物語、根拠のない意見は尊重されない。

UXとCROに対立はあるか?

SEOとCROの関係性と同様で、UXとCROも相互補助的に働くと考えられる(マーケティングを始めたばかりの人々は、その頭字語から誤解を招きます)。しかし常にそうなのだろうか?私が話したUX専門家のうちの数人は、潜在的な対立について懸念を抱いていた。

直帰率と他の悪い指標

これはコンバージョン最適化に限ったことではないが、指標の中には政治的に影響されやすいものがある。つまり、あなたの計略を補強できるのである。ジャレッド・スプール氏が、スピーチでこのことを語っている

ジャレッド・スプール氏

ジャレッド・スプール氏
「私たちは好きなように、これらの数字を見る。それは直帰率だ。直帰率はコンテンツに関する検証を行う人々が、最も話題にする数値だ。「うちの直帰率は高いから、もっといいコンテンツを書かなければ」もしくは、「うちの直帰率が高いということは、訪問者は正確に求めるものを見つけられている、つまりうちのコンテンツは十分に質が高い」などと言う。どちらを選んでもらっても構わないし、自分が好む意見を支持するのに直帰率を使うことも可能だ。

これは分析ではない。これは計略を増強するものだ。部屋にあなたの計略を持ち込み、得られたデータでそれを支持する。これは問題で、私たちはこういった見方をしてしまった場合、どうやって他の見方をすれば良いのか、全く手がかりがないのである。そして私たちは会議に集まり、何をしたいのかをすでに理解した上で、決定を支持するためにデータを読んでしまうのだ。」

直帰率や類似した指標について、最適化に熟達した組織でこのような使われ方をしているとは言えない。しかし、オンラインには十分にひどい内容の記事があり、罪深い人がいることを知った。

コンバージョン率もまた、悪い指標である

文言によるコンバージョン率の最適化は大きな議論を呼んでいます。それは、収益やビジネスにおける実際の指標に一切言及しないまま、コンバージョン率に集中しているからです。

CXLのPeepは、「もし本当にコンバージョン率だけを上げたいのであれば、値段を半額にすればいいのだ。これで即座に上がる。」という例について述べている。またジャレッドスプール氏も、微妙に異なる形で、このことを語っている

ジャレッド・スプール氏

ジャレッド・スプール氏
「コンバージョン率には、他にも大きな問題がある。たとえば、私のサイトに一人の訪問者が来て、製品を見ているとしよう。一度戻って、また見に来てくれる。また戻って、またやって来た。それを繰り返し、ようやく購入してくれた。これは4回の訪問で1回購入が行われたとみるべきだろうか?それとも、一人の顧客がようやく購入をしてくれたとみるべきなのだろうか?

私たちは初回の購入のみに最適化するのか?それとも顧客が決断し、情報の印刷、上司や奥さんへの承認をもらうまでの時間を与えるべきだろうか?

我々は間違ったことに対して最適化しているようだ。あなたが望むように、コンバージョン率には意味を加えることができる。データを十分に長く曲解すれば、望んだ通りに働いてくれてしまうのだ。」

短期的ゴールを追求しすぎる?

私が聞いたうちでも最も大きな対立は、コンバージョン最適化は短期間の最適化になりがちな一方で、ユーザー体験の改善は長期間の満足度のために行われるというものだ。ここに少しでも真実が含まれているのか、それともただの誤解なのかはわからないが、これは長年信じられている。

パー・アクスボム氏は、これは長期間のユーザー満足度を考慮するよりも、短期間のビジネス目標を推し進めた結果であると説明している。

パー・アクスボム氏

パー・アクスボム氏
「もしコンバージョン率が飛躍的に上昇すれば、コンバージョンのプロジェクトとしては成功だ。しかし同時に、満足していないユーザーが増えれば、UXのプロジェクトとしては失敗です。短期的には売り上げは上昇するだろうが、ユーザーはすでに別のサービスへの乗り換えを検討しているかもしれないし、それによって後にユーザー数が突如として落ち込むことになるかもしれない。

私が最近書いた記事「おとぎ話に潜む落とし穴」で、UXを手がける人間として、コンバージョン最適化だけを行う人間にはならないことが私たちの仕事である、ということを論じた。私の恐れには2つの部分がある。

  1. 1. コンバージョン最適化を行う人々は、ユーザーを理解するのに十分な時間を使わず、間違ったデータ(時にはただの勘)で新しいデザインをこき下ろす。そのため、うまく動作するデザインソリューションに仕上げるのに時間がかかる。
  2. 2. そして高いコンバージョン率に集中することで、顧客が意図せず購入を行ってしまう場合、たとえば認知能力にハンデを持つ人が、うっかり同じ製品の定期購読をいくつも申し込んでしまうなど、を無視してしまう。時には、ただ余計な摩擦を取り除くだけで良いのだ。

しかし、UXとコンバージョン最適化の両スキルがうまく合わさればもちろん、魔法のような結果を生み出す可能性もあるだろう。」

ジェフ・ゴセフ氏は、最適化におけるダークパターンの使用についても懸念している。これは優れたユーザー体験とは真逆のものであり、訪問者を騙すような形でコンバージョン率を上昇させることができてしまう。

ジェフ・ゴセフ氏

ジェフ・ゴセフ氏
「コンバージョン最適化においては、本当に多くのダークパターンが存在する。これらは長期的なブランド、ロイヤリティ、リテンションを諦めるかわりに、短期的にコンバージョンを高める。一例として、過剰なメールマーケティングが挙げられる。これで早期にコンバージョンの上昇を達成できるが、この過程で、ブランドを大きく傷つけることになるだろう。」

ウェブデザインとコンサルティング業務を行うブラッド・フロスト氏も、これに言及している。コンバージョン最適化とUXは通常はお互いを補い合うものだが、ちょっとした手法を使うことで、人々を思い通りに操る力も秘めている。

ブラッド・フロスト氏

ブラッド・フロスト氏
「UXデザインのベストプラクティスに従えば、最小限の労力で人々を思い通りのユーザーフローへと招き入れることができるだろう。これはいいことだ。しかし!マーケティングのゴールとユーザーのゴールが異なる場合も多いため、ビジネス側はひどいUXテクニックを利用して、ユーザーの注目をビジネス側の意図するものへと誘導するような策略を企てたくなるのである。

私のアドバイスはシンプルだ。ユーザーと彼らの時間を尊重すること。継続的に良い体験を与えれば、ユーザーは喜んでニュースレターに登録したり、製品を購入したり、Facebookでいいねをくれたりなど、望む行動を取ってくれるだろう。」

Change Sciencesの創業者であるパメラ・パブリスカック氏も、短期目標と長期目標のバランスが常に理想的とは限らない点に触れている。

パメラ・パブリスカック氏

パメラ・パブリスカック氏
「CROとUXは、短期的な説得と長期的な付き合いのバランスが取れない場合に枝分かれをします。私たちの理不尽で感情的な内面をデザインするのではなく、最高の体験がそれらを支持するのである。結局、そうした体験こそがユーザーとの有意義な関係を最も育ててくれるのです。」

その他の組織的対立

私はCROとUXの潜在的な対立について、スーザン・オルソン氏の視点が気に入っている。彼女は、コンバージョン最適化は未だに誤解されていると言う。

スーザン・オルソン氏

スーザン・オルソン氏
「私はここには二種類の対立があると思います。まずは、コンバージョン最適化が過小評価され、誤解され続けていることです。まだ十分に発達しておらず、科学的な手法の知識が求められ専用のツールを使う必要があると思われています。もう一つは、最適化をUXとともに組織の戦略に組み込む方が合理的であるということです。特に組織内に熱心な推進派と、意見よりもデータを重視する文化の存在が求められます。」

ジェームズ・ガード氏も、対立は実践的なものと言うより、組織的な苦しみであると認識している

ジェームズ・ガード氏

ジェームズ・ガード氏
「科学的な観点から見て対立があるとは思わない。しかしビジネスにおいて、CROの責任者とUXの責任者の間に断絶が存在することはよくある。

たとえば、ウェブ解析の当事者はデータ分析を元にテストを計画するが、そこにテストの手法や優先度のアドバイスをくれるUXチームは含めない。

私も、顧客中心でないテストプログラムを見たことがある。それはデータを利用して問題を特定しデジタルチームがソリューションを導き出すものだが、テストの仮説を特定するのにUXドリブンのアプローチを使わず、ユーザーインサイトだけを元にしてソリューションを作り上げてしまうのである。

つまり対立は、広いビジネスの参加が必要とされるテストの実行の過程ではなく、一貫性に欠けるプロセスの中に潜んでいることが多い。」

おそらく、組織的な効率を向上させるには、UXと最適化(とSEO)のチームが手を組み、重要なビジネスの指標を増加させるよう働く必要がある。

結論

UXに関わる人々はほとんどの場合、コンバージョン最適化を正しいレンズで認識している。しかし、いくつか相違も見られる。

一つ目に、コンバージョン最適化の作業についての見方だ。バリュープロポジションとCTAが全てではない。

二つ目に、コンバージョン最適化を行う人々は、短期的な利益を追求するという考えだ。最適化の担当者が、ごくわずかに人を騙すような要素を入れ、200%の上昇が1日で得られたとしましょう。しかしそれでは振れ幅が大きくなり、またその上昇にもあまり価値はない。

こういった行動は、熟練のプロにはあまり見られない。

しかしまとめると、UXとコンバージョン最適化は、どちらもユーザー体験を最適化し、顧客とビジネスの成果の両方により高い価値を与えることなのである。認識は常に一致しなくとも、その目標は同じものなのだ。


この記事は、ConversionXLに掲載された「How Do UX Professionals View Conversion Optimization?」を翻訳した内容です。


目指すところは共通していても、内包している要素や期間の長さでの違いがあるというのは興味深いですね。また、CROは長期的にビジネスを発展させるためのプロセスであることは肝に銘じておく必要があります。– SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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