GoogleのE-A-Tにおける、よくある10の誤解

公開日:2019/12/04

最終更新日:2024/03/04

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かつてはSEO界隈のみの用語でしたが、昨今はいたるところで話されている印象のあるE-A-T。

SEOのみならず、健全なWebサイトの運用にも一役買う概念であるため、多くの人が知ることは良いことだと思います。
しかし、抽象的な概念であるが故、噂のようなものが独り歩きしてしまうのも事実。

今回の記事はSearch Engine Journalより、誤解も多いE-A-Tを解説した記事を紹介いたします。

E-A-T(Expertise、Authoritativeness、Trustworthiness:専門性、権威性、信頼性)は、Googleの品質評価ガイドラインの2014年度版に初めて登場した概念である。

このガイドラインは、Google検索の品質評価に使用される。

検索の品質評価とは、Googleに雇用された数千人の評価者が、一定のWebサイトをレビューし、それらのページの品質についてのフィードバックをGoogleに送付するといった内容だ。

評価者からのフィードバックはGoogleによってベンチマークされ、アルゴリズムの改良に活用される。E-A-TはGoogleの基準として機能し、該当のWebサイトが提供するコンテンツが、どの程度信頼に足るかを評価者が判断するために用いられる。

ガイドラインには、以下のように記されている。

有益な目的を持つ全てのページにおいて、専門性、権威性、信頼性(E-A-T)はとても重要だ。

Googleは、品質評価者が以下の項目を考慮に入れるよう、指南している。

  • 彼らが分析しているWebページのメインコンテンツのE-A-T
  • Webサイト自体
  • Webサイトのコンテンツの作成者

現行版の品質評価ガイドラインでは、167ページ中、E-A-Tという言葉が135回言及されている。

昨年、E-A-TはSEO界隈での大きな議論の的となった。特に、2018年8月1日にリリースされたGoogleのコアアルゴリズムのアップデートによる自然検索からのトラフィックの変化と結び付けて話されることが多かった。

SEO担当者は、E-A-TはGoogleのアップデートにおいて、重要な役割を担うと推測し始めた。特に、YMYL(Your Money Your Life)関連のWebサイトにとっては。
(後にGoogleもWebマスターセントラルブログで認めた)

SEO界隈で意見が交わされるに従って、E-A-T関連の議論は混乱し、誤解され、事実誤認も発生するようになった。

こうした誤解は、理論としては正しいこととGoogleのアルゴリズムの実際の仕組みの差によってもたらされている。

良いE-A-Tを持つサイトを検索結果に表示させることがGoogleの目的である。また、Googleのアルゴリズムも、そのように振る舞うと想定されるものだ。

しかし、E-A-T自体が、現在のGoogleのアルゴリズムの仕組みを説明するものではない。

この記事は、E-A-Tに関連する10個の噂や誤解を検証するために書かれている。

また、E-A-Tが実際にはどのように作用し、Googleがどのように使用しているかを明らかにしたいと思う。

1.E-A-Tはアルゴリズムではない。

E-A-T自体はアルゴリズムではない。

先日開催されたPubconでのQ&Aセッションにて、Googleのゲイリー・イリェーシュ氏は、「Googleは何百万もの小さなアルゴリズムの集合体であり、それらが一致団結して順位スコアを算出している。こうした”ベイビー・アルゴリズム”はページやコンテンツ内のシグナルを探しており、それらはE-A-Tとして概念化される」と述べている。

つまり、E-A-T自体はアルゴリズムではないが、Googleのアルゴリズムは、良いE-A-T、悪いE-A-Tと関連する、オンサイト、オフサイトの両方のシグナルを探している。

それは、権威性を理解するためにWeb上のリンクを利用する、ページランクのようなものだ。

2.E-A-Tスコアは存在しない。

上記と同様のセッションにて、ゲイリー・イリェーシュ氏は、「E-A-TスコアやYMYLスコアは存在しない」と認めている。

GoogleのアルゴリズムがE-A-Tスコアを付与していないというだけでなく、品質評価においてE-A-Tを分析している品質評価者が、個々のWebサイトのランキングには直接影響することもない。

3.E-A-Tは直接のランキング要素ではない。専門性、権威性、信頼性も、それぞれ個々のランキング要素ではない。

これは、E-A-Tがランキングとして重要な検討事項ではないということよりも、セマンティックについての議論となる。

Googleは少なくとも200を超えるランキング要素を使用している。例えば、ページスピード、HTTPS、タイトルタグ内のキーワードなどであるが、これらは特定のページの順位に直接影響しうる。

E-A-Tはこうした要素と同じように作用するものではない。ランキング決定の役割としては、もっと間接的なものだ。

E-A-Tはランキング要素か。

我々が直接測定できる、例えばスピードのような、技術的な要素を意味するのであれば、答えはNoだ。

我々は複数のシグナルをプロキシとして使用しており、該当のコンテンツがE-A-Tを満たしているか、人間と同じような判断を試みている。

この意味においては、E-A-Tはランキング要素であると言える。

E-A-Tが現在のアルゴリズムでどのように組み込まれているかと質問された際、AJ・コーン氏は次のように述べている。

「あまりに多くのSEO担当者が、専門性、権威性、信頼性をランキング要素と考えていると感じている。しかし、それらはアルゴリズムの仕組みそのものではない。

単純に、”そうあるべき”ものを推測するものだ。より有益な議論も発生している。

例えば、Googleがアルゴリズム的にこれらに影響を与えているのは何か。つまり、健康領域だ。

Googleは、最も価値のある医療系のテキストとより関連性があるかを判断するため、BioSentVec embeddingsを使用しているのか。それについての回答を私は知らない(個人的には実験しているように思えるが)。

いずれにせよ、こうした議論はより価値のあるものだと考えている。単純に、”専門性を増すために、署名欄にDrという記述を追加すべきか?”といった会話よりも。」

4.E-A-Tは全てのサイトが重点的に注視すべきものではない

Googleは品質評価ガイドラインで次のように明言している。

特定のWebサイトのE-A-Tのレベルは、Webサイトに記載されているトピックスや、どの程度YMYLの領域であるかによる。

例えば、「高いE-A-Tが求められる医療系のアドバイスは、適切な医療系の専門家や認証評価を有する個人や組織によって、作成されるべきだ」とある。

しかしながら、写真やギターの演奏方法など、趣味についてのWebサイトの場合、専門性の要求は低くなり、E-A-Tの分析という観点では、低い水準になりうる。

読者の幸福、健康、経済的な成功、福利などに直接影響を与えるYMYLのトピックを扱う会社にとっては、E-A-Tは非常に重要だ。

また、クレジットカードの情報を扱うため、ECサイトの領域もYMYLと考えられるということも重要と言える。

上記のE-A-Tメーターは、異なる領域のWebサイトにおいて、E-A-Tがどの程度重要であるかを示したものだ。

  • 左上:編み物:不要
  • 右上:有名人のゴシップ:低い
  • 左下:ペットの健康:高い
  • 右下:がん治療:非常に高い

5.E-A-Tに注力することは、技術的なSEOの監査や他のSEO施策の代替とはならない

E-A-Tに注力することが、それ単体で、SEOのパフォーマンスを向上することはない。

オンページの最適化、高品質な被リンクの獲得、技術的なSEOなど、成功するSEO戦略に組み込まれるべき通常の施策も、E-A-T獲得のために実行されるべき施策なのだ。

アルゴリズムの更新でネガティブな影響を受けたサイトにとって、E-A-Tは考慮すべき項目の1つにすぎない。

コア・アルゴリズムのアップデートからの回復は、サイト全体の品質の向上、ユーザー体験、技術的なSEO、Webサイトの構成の改善など、多くの異なる領域での改善が求められる。

さらに言えば、ページ読み込みの遅延、クローリングやレンダリングの問題など、技術的な問題を抱えるサイトは、Googleに適切にインデックスされないこともある。

Webサイトのパフォーマンスに影響しうる他の問題を抱えている場合は、そうした問題とのバランスを考え、E-A-Tへの注力を優先付けるべきだ。

6.E-A-Tは新しい概念ではない。誤情報に対するGoogleの処置でもない

「E-A-Tは、2018年8月1日にロールアウトされたコア・アルゴリズムのアップデートのタイミングでGoogleが新たに採用したものである」と主張するSEOの専門家もいる。

しかし、E-A-Tは品質評価ガイドラインの2014年度版に初めて登場している。

さらに、私はE-A-Tに注力した調査を行った結果、2018年~2019年のコア・アルゴリズムアップデートによりネガティブな影響を受けたサイトの51%が、2017年3月のフレッド・アップデートでもネガティブな影響を受けていることを発見した。

Googleによる、誤情報の削除と高品質で信頼できるコンテンツを検索結果に表示させる取り組みは、2018年8月1日にロールアウトされたコア・アルゴリズムのアップデートよりも前から行われていたのである。

検索結果の信頼性と透明性の改善やフェイクニュースの削減を目的とした取り組みへ、Googleは様々な形で投資している。例えば、下記のような取り組みだ。

7.2018年8月1日のアップデートは、「医療系」や「E-A-Tアップデート」と公式に名付けられたものではない

8月1日のアップデートはバリー・シュワルツ氏によって「医療系」アップデートと名付けられたが、一般的に、コア・アルゴリズムのアップデートはGoogleによって名前をつけられるようなものではなくなっている。

8月1日のアップデートを「E-A-Tアップデート」と呼ぶデジタルマーケターもいるが、この名前は不正確だけでなく、ミスリードさせるものだ。

このアップデートによってパフォーマンスが下降したのは、E-A-Tが無いサイトだけではない。

8.著者のバイオグラフィを記載すること自体がランキング要素ではない(Googleは全ての著者情報を認識できるわけではない)

「全てのコンテンツの著者情報を記載し、理想としては、それぞれの著者の詳細な説明ページを用意し、高品質なコンテンツを作成するための信頼があることを伝える」といったことがE-A-Tを改善するための共通のオススメ施策となっている。

品質評価ガイドラインでは、コンテンツの著者がその分野においてどの程度専門的な知識を有しているかを確認する方法として、著者のバイオグラフィを確認することを、Googleは品質評価者に繰り返し勧めている。

しかし、Webマスターハングアウトにて、ジョン・ミュラー氏は、「著者のバイオグラフィは技術的な必須要項ではなく、また、特定のタイプのSchemaも求められているものではない」と述べている。彼がくれたアドバイスは、以下のとおりだ。

著者情報と専門性、権威性、信頼性については、ユーザー調査を行うことを勧める。

いくつかのパターンを用意し、そのコンテンツを書いた人が優れた人であり、そのトピックについての信頼性や関連性があることをユーザーに一番伝わる方法を模索しよう。

パブコンのQ&Aセッションで、ゲイリー・イリェーシュ氏は次のように述べている。

Web検索において、非常に有名な著者について、例えば、ワシントン・ポスト紙のエグゼクティブといった場合、その著者のエンティティを我々は有している。

著者情報ではなく、エンティティなのだ

つまり、Googleはナレッジグラフの表示のため、定評のある著者を認識することはできるが、全ての著者を認識するのとは別のものとなるのだ。

しかし、過去数年、Googleはオーサーシップに関連した様々な取り組みを行っており、それらの経験はこの領域で活かされているかもしれない。

9.YMYL領域のサイトのみがコア・アルゴリズムのアップデートで影響を受けるわけではない。また、アルゴリズムのアップデートによってネガティブな影響を受けた場合、E-A-Tのみが原因であるわけではない

ここ最近のコア・アルゴリズムのアップデートは、YMYL領域のサイト(特に健康や医療に関連するサイト)に大きな影響を与えている。しかし、影響を受けたその他の領域のサイトもある。

例えば、2018年8月1日以降のコア・アルゴリズムのアップデートによって、レシピサイトが大きな影響を受けている。

しかし、E-A-Tに限れば、これらのサイトはほぼ似たレベルである。こうしたサイトは情熱的な料理ファンによって運営されており、オンライン上でレシピを公開するに十分な品質を保っている。

同水準のE-A-Tを有しているにもかかわらず、競合性の高い4つのレシピサイトは、コア・アルゴリズムのアップデートに大きな影響を受けている。

しかし、それぞれのレシピサイトは、E-A-T以外の、特有のSEOの問題を抱えている。例えば、サイトの構造・広告の量や大きさ・ページ読み込み速度などである。

こうした要素が、アルゴリズムのアップデートによる影響の要因と見るべきだろう。

10.E-A-Tは、効果的な特効薬ですぐに結果が出るというものではない。E-A-Tの構築には時間がかかる

SEO施策のうち、メタデータの最適化や技術的な要素の改修など、Googleが再クロールしてくれ、アップデートしたコンテンツをインデックスしてくれれば、パフォーマンスの改善がすぐに見られるといった施策もある。

直接的なランキング要素ではないこともあり、E-A-Tはこうした施策のようにはならない。

信頼性の改善のためには、非常に多くのリソースが必要とされる。完遂するにあたり、多くの時間と努力が求められるのだ。

ユーザーからの信頼を得るには時間がかかり、そうした変化を検索エンジンが認識するまでに、さらに時間を有する可能性もある。E-A-Tの問題により、アルゴリズムのアップデートの影響を受けたサイトであれば、なおさらだろう。

Googleは、サイト全体の再評価を次のコア・アルゴリズムのアップデートまで行わない場合もある。その場合、E-A-T改善のための施策の効果が認識されるまで、少なくとも数ヶ月かかることになる。

しかし、E-A-Tの改善の効果は、SEOの領域以外にも認められるだろう。ユーザーがあなたのWebサイト、著者、ブランドをより信頼するようになるため、E-A-Tの改善はユーザー体験の強化につながるのだ。

この記事は、Search Engine Journalに掲載された「Google’s E-A-T: Busting 10 of the Biggest Misconceptions」を翻訳した内容です。

E-A-Tのみならず、検索エンジンのランキング要素の要因として扱うには危険な項目は昔からありました。

新しい概念が広まり、それがWeb全体を健全な方向に導くのであれば非常に素晴らしいですが、悪影響を与える広まり方は避けたいと思います(特に悪意を持って広めようとする場合)。

今回の記事の肝どころは、最終行の「E-A-Tの改善はユーザー体験の強化につながる」だと思いますが、ここでも、ユーザーをまずは念頭において施策を行いたいものです。

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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