データは広告の敵ではない

日本でもマッキャン・エリクソンでお馴染みの世界的エージェンシー、マッキャン・ワールドグループ。そこでグローバルレベルのパフォーマンス分析に取り組んでいる上級副社長の筆者が語る広告におけるデータの重要性について。「データに頼っていては分からない!」と、ついつい華やかなクリエイティブやキャンペーンが注目されがちな広告業界ですが、次世代マーケッター?なら考えておきたい視点です。 — SEO Japan

メディア業界のメンバーが綴る「データ・ドリブン・シンキング」は、メディアにおけるデジタル革命に関して新鮮なアイデアを提供するコラムである。

本日のコラムを担当したのは、McCann Worldgroup(マッキャン・ワールドグループ)で、パフォーマンス分析部門のグローバルディレクターを務めるエグゼクティブバイスプレジデントのマーク・シュワルツ氏である。

広告業界では、常に変化が重要視されている。特に最近は、進化するコミュニケーションテクノロジーがこの変化を引き起こしている。このような新しいテクノロジー(その大半はデジタル)は、今まで以上にデータを生みだしている。広告代理店では、この傾向によって、多くのデータからメリットを受けられる分野としてはほとんど期待されていない – 広告のプロセスに大きな機会をもたらしている。

この機会にとって重要なのは、現在のデータが、従来型の慣れ親しんだデータとは異なる点を理解することである。静的な情報ではなく、消費者の気持ちがリアルタイムで示唆される特徴がある。そのため、データを受け入れる取り組みは、マーケットのリサーチやその他の情報収集ツールを介して消費者を理解する取り組みと一致していると言えるだろう。

しかし、このような新しい情報ソースをさらに有効に活かすためには、「データ」イコール 技術に特化する情報と考える癖を直す必要がある。データは広告の敵ではない。適切に、そして、有意義に使えば、今まで広告代理店が消費者の情報を理解し、統合してきた仕組みをさらに拡大し – 新たな見解および広告の機会を生み出すポテンシャルを秘めている。

データを広告のソリューションにもたらすことで、より関連性の高い広告を作ることが出来る。なぜなら、消費者が生活を送る場所で出会えるからだ。現在、私達が手に入れるデータのタイプは、消費者のニーズに基づいて新たなレベルのカスタマイズを誘発する。データの利用に対するこの十分にターゲットが絞られたアプローチは、CRMのようなよりテクノロジーに依存したマーケティグのアプローチの増加に関係している。しかし、所謂“従来型”の広告もまた、統合的、総合的、そして、自然な広告のアプローチからメリットを得られる。

例えば、最新のIKEAのカタログは、付随するデジタル製品 – 地理および個人的にスキャンされた情報によってコンテンツが追加されるアプリを宣伝している。このアプリによって、一方通行のマーケティングとは反対に、消費者に会話に参加してもらい、消費者の反応によって拡大および進化させることが可能なエンゲージメントが生まれる。IKEにとっては、最初の広告は消費者とのエンゲージメントにおける数あるうちの一つ目の手に過ぎない。広告、テクノロジー、そして、データをつなぎ合わせる試みをIEKAは行い、顧客経験に継続的に価値を加える取り組みを実施している。

広告代理店の戦略の考案者は、データの力を認め、活用することが出来るようにクリエイターに伝える必要がある。現在の食い違いは、意図的ではなく、ただ単に右脳の考え方と左脳の考え方を合わせる難しさを反映しているだけである。消費者に対する関連性を高める広告ソリューションを提供すると言う共通の目標を私達は掲げている。従って、データの力によって価値を加えることが出来る点を証明することで、戦略と広告との間に橋を架ける必要があるのだ。ソリューションをつなげて、さらに効果的な結果をもたらせば、クリエイティブエージェンシーとブランドエージェンシーを新たなレベルに引き上げることが出来るようになるだろう。

そのためには、データの価値を新たな方法で伝える必要がある。情報量を増やすだけでなく、ソーシャルと言う面において、消費者として、人々がどのように考え、どのように行動を起こしているかに関する新たな見解が求められている。

  • データは広告プロセスにおいて刺激をもたらすことが出来る。 ブランド、行動のデータ、取引のデータ、ソーシャルネットワークでの会話のデータ、そして、態度のデータを結びつけることで、広告が描かれるキャンバスが見えてくるだろう。例えば、ソーシャルネットワークでの会話におけるブランドの位置を理解することで、消費者の心の余白を特定することが出来るかもしれない。ブランドとの接点となる情熱が生まれる点を明らかにして、つながりを持つ上でさらに相応しい場所を見出そう。この情報は、ソリューションに現在の関連性を反映させることが可能であり、これは昨年のブランドの計測結果を調査する取り組みに勝る利点と言えるだろう。これは、クリエイティブな見解を与えるだけに留まらず、広告ソリューションの影響を計測するために利用することが可能な潜在的なKPIを特定する効果も見込める。
  • データは、新しいタイプのストーリーテリングとして活用することも出来る。ソーシャルメディアおよび参加型マーケティングの流動的な特性により、ブランドのストーリーが生まれ、消費者の誘発されたアクションおよびアクティビティを通して、パーソナライズさせることが出来る。すると、ブランドの会話は新たなレベルに到達する。解釈および応用によって、意味のないデータが活用および実施することが可能なデータに生まれる変わる可能性がある。すると、さらに多くのストーリーが生まれ、データソースが充実して、筋が通るようになり、その結果、今後に影響を与える見解を見つけられるようになる。
  • データは資産となり、広告のソリューションを生み出すきっかけを与える。 良質なデータは、広告に情報を与える、もしくは力を与える原料になり得る。特定し、利用することが可能なデータには、広告の作品に光を当て、導く力がある。ナイキプラスのようなソリューションを創造する仮定を思い描いてもらいたい。靴にデータ記録機能 – コート上の全ての動きを追跡し、電話機とシンクして進歩を把握する – を搭載することで、関連するCRM、モバイル、そして、その他のコミュニケーションを作成する力を与えるのだ。

成功を収めているエージェンシーは進歩を続けている。ラジオやテレビ等のマスメディアに適応した時、新しい広告の方式に適応するだけでなく、消費者が考え、反応し、そして、行動を起こす新たな仕組み、そして、新しい計測のアプローチにも適応しなければいけなかった。そして現在、サイロ、もしくはエージェンシーの特別な部門として見られてきた機能を異なる視点で見なければいけなくなっている。データと分析もその一つであり、こういった機能はバックオフィスではなくなり、技術的な計測や舞台裏の最適化に委ねられている。

通常の広告代理店では、いまでも2つの基礎的なタスクを抱えている: (1) 気づいてもらえる画期的な作品を作る (2) 共有する価値のある作品を作る。このような進化を続ける消費者およびブランドの構図では、新しい見方で世界を見なければこの2つのタスクを実施することは不可能である。優秀な広告担当 & 戦略担当にデータが与えられれば、広告をさらに改善するエネルギーになるだろう。

ツイッターでマーク・シュワルツ氏(@mas4462)とアドエクスチェンジャー(@adexchanger)をフォローしよう。


この記事は、AdExchangerに掲載された「Data Does Not Kill Creativity」を翻訳した内容です。

単純に効果測定しようよ、という話ではなく、デジタル技術の進化でかつてない種類と量で入手できるようになった消費者データを毛嫌いしないで、もっとクリエイティブ含めた広告プランニングやキャンペーンに活用していこう、という話でした。内容自体はどれも納得で、今日、そしてこれからの時代に当たり前すぎる話ではあるのですが、まだまだ活用は進んでいない印象も受けます。記事にもある「右脳の考え方と左脳の考え方を合わせる難しさ」が、意外と大きな原因だったりするかもしれません。ささやかすぎる例で恐縮ですが私の会社でもコンテンツマーケティングの1ツールとしてインフォグラフィックを作成していますが、ディレクター兼デザイナーの担当者いわく「掲載内容を整理する作業とデザインする作業は使う脳が違うので切り替えが難しい」といつもいっていますし。

データよりはクリエイティブよりな人がまだまだ多い広告業界、働く人々の脳が柔軟に対応していくべきかのか、働く人の種類が変わっていくべきなのか、、、そんな二極論ではないでしょうが、記事の最後にもあるように、消費者、そしてブランドも進化し続けているネット&ソーシャルな今日の時代。「新しい見方で世界を見なければ」本来あるべきエージェンシーの役割自体を遂行することさえ難しくなっていくかもしれませんし、エージェンシー自身の進化も求められている時代なのでしょう。 — SEO Japan [G+]

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