キュレーション国家へようこそ。

公開日:2011/10/19

最終更新日:2024/03/04

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久々にブライアン・ソリスのハードな記事を。この春、日本のネット界隈でキュレーションという言葉が少し流行っていた気がします。最近余り聞かないのはさておき、今後のソーシャル時代において一時のバズワードで終わらない重要なキーワードであることは間違いないでしょう。今回はブライアン・ソリスがその名も「キュレーション国家」と題した書籍を出版した著者とのインタビューの中で感じたソーシャルメディア、そしてキュレーション時代についてまとめた記事をご紹介。相変わらずの論文調ですが、ソーシャルメディア・ネットの未来について考えたい人には我慢して読む価値アリの内容です。 — SEO Japan

数年前、私は幸運にもキュレーション・ネイションの著者、スティーブ・ローゼンバウム氏と一緒に仕事をする機会を得た。当時から、ローゼンバウム氏は、オンラインキュレーションの未来を確信していた。同氏の最大の功績は、リアルタイムの動画キュレーションネットワークのMagnify.netを展開したことだ。当時、同氏はテクノロジー業界の有名なカンファレンスでは欠かせない存在であり、ソーシャル、動画、そして、キュレートされたコンテンツに関するビジョンを発表していた。ローゼンバウム氏が新しい書籍の執筆を終えようとしていたとき、前書きの著者として私に白羽の矢が立ったのだ。当時、私はエンゲージ!の新しいバージョンの執筆の詰めに入っていたため、締め切りに間に合わなかった。しかし、それでも前書きを認め、ローゼンバウム氏の新作の正式な発売を祝いたくなった。

今回は、その前書きを皆さんにも読んでもらいたいと思う…

キュレーションエコノミーと情報コマースの3つのC

複雑で重要な話題を簡単に理解することが出来るように、噛み砕いて説明してもらえると嬉しくなる。キュレーションも例外ではない。ソーシャルメディアには、ここ数年間、2つの異なるタイプのユーザーが存在した。コンテンツを作る人、そして、コンテンツを賞味する人だ。過去を振り返ると、クリエイターは、デジラティと呼ばれるデジタルエリートであり、コンテンツ作成に専念する人達はごく僅かであった。しかし、現在、ワールドワイドウェブが広がり、ソーシャルなコンテンツを楽しむ人達がデジラティを大幅に上回っている。

フォレスターリサーチ社は、テクノグラフィックスのリサーチを介して、インターネットユーザーがソーシャルテクノロジーを受け入れ、利用する経緯を追跡した。2010年、フォレスター社は、ソーシャルメディアのユーザーのほぼ70%が単純にコンテンツを消化していた点を発見した。コンテンツを投稿することはなく、オンラインで見つけた情報を自分の手元に置くだけの人達だ。私が後に行ったリサーチでは、共有する価値がある場合、共有する手段として、eメールが最も多く利用されていた点が判明した。

オリジナルのコンテンツを相次いで作成するのは、大変な作業である。コンテンツプラットフォームのおかげで、配信作業は楽になったが、この手のツールを使うには、時間と理解が求められ、そして、オーディエンスを増やす取り組みには大量のエネルギーが費やされる。身を削っても、見返りがあるとは限らない。時間をかけて特別なコンテンツを何度も何度も作っていても、寡黙なオーディエンスにしか届かないようでは、やりがいが感じられないはずだ。デジラティの集団に加わるために、または、コンテンツクリエイターの集団に加わるためには、手に負えないほどの大きな投資が必要である。

ソーシャルグラフを作る際に、私達は本質的に共有する自分達の考え、体験、そして、情報に対して、知り合いと言う名の元々存在するオーディエンスを手に入れている。現在、共有は、日常的なコミュニケーションとしての役割を持ち、そして、様々な経緯でソーシャルな貨幣となっている。ソーシャルネットワークはオンラインで共有する情報を基に活動している。私達の経験がネットワークのライフラインとなり、ソーシャルオブジェクトをストリームに導入する取り組みを簡素化することが、最も重要視されるようになった。ソーシャルオブジェクトは、交流の口火を切り、ソーシャルストリームに息吹を与える。そして、ネットワークが大きくなると、このようなオブジェクトをまとめ、共有し、そして、接触するのが容易になる。

手短なコンテンツクリエイターの台頭

ツイッターとフェイスブックの人気が高まるにつれ、新しい分野の配信ツールと、これに付随するネットワークが誕生した。現在、ポスタラスやタンブラ等のマイクロブログおよびタンブルログが浸透しつつある。タンブラだけでも600万人を超えるユーザーを、そして、15億もの月間ページビューを抱えている。しかも、伸びしろはまだまだ残されている。ワードプレスやブロガー等の従来のプラットフォームとは異なり、マイクロブログは、共有経験のプロセスを簡素化している。しかし、ツイッターやその他の形式のマイクロメディアとは異なり、マイクロブログは記憶力を持ち、そして、広範な背景を含めることも可能である。ブログのように、マイクロブログは、ブランドとしての“自分”、そして、自分が代表する全てに対するレポジトリの役目を持つ。このような新しいツールは、デジラティが住む家の土台を作り、新たなタイプのコンテンツクリエイターのために新しい部屋と階を加えているのだ。

個人的には、ブログは専門知識と意見を詳細に表現し、実証するために今後も生き残ると思う。マイクロブログは、ブログに欠かせない感情および時間を費やすことなく、より頻繁に意見を共有するタイプの人達に力を与えるだろう。マクロブログおよびマイクロブログのブロガーにとって、マイクロメディアは作成するコンテンツと接触を願うオーディエンスとの架け橋になる。加えて、マイクロメディアは、ソーシャルオブジェクトをリアルタイムで交流に結び付ける力も持ち合わせている。

インタレストグラフは未来のソーシャルニッチワーキング

ソーシャルメディアが、公開されたストリームの中で、世間の注目が当たる場所に私達を引き出すようになると、オンラインでさらに自分に関する情報を分かち合うように促され、そして、その見返りを得るようになる。興味深いコンテンツを分かち合うと、ツイート、リツイート、コメント、いいね、お気に入り、共有と言う形でリアクションが寄せられ、時にはマクロブログおよびマイクロブログの投稿につながることもある。しかし、面白いコンテンツを常に共有する取り組みの最大の見返りは、新たなつながり、友達、ファン、そして、フォロワーに対するリクエストである。

ソーシャルネットワーク、そして、ソーシャルオブジェクトの共有の後に行われるやりとりは、新しいジャンルの情報コマースの土台を作る。このような交流は、事実上、私達がコミュニケーションを取る仕組みを変える。また、情報を見つけ、共有する仕組みも変える。そして、ソーシャルメディアの重要性とその機会がここに存在する。

その理由を説明していこう。

ソーシャルネットワークでは、ソーシャルグラフを作るために私達はつながりを持つ。しかし、共有をしていくと、関係の仕組みを変えていくことになる。かつては単純に知り合いのデジタル版でしかなかったものが、興味を分かち合う人々も含む、つながりを持つグループに姿を変えつつあるのだ。

興味深いコンテンツを共有すると、基本的には自分の一部を分かち合っていることになり、関心事の表現としての役割を果たす。その結果として獲得するこの新しいつながりは、ソーシャルグラフの特徴を変える。現在、ソーシャルグラフは、“ニッチワーク”と私が呼ぶ、知り合いの友達や家族に加えて、様々な話題やテーマを代表するより大きなネットワーク内のネットワークの集まりへと形を変える傾向が見られるのだ。

ソーシャルグラフは、オンラインで維持する個人のつながりによって決まるが、ニッチワークは、焦点が絞られたインタレストグラフを作る。そして、このインタレストグラフは、繰り返し述べられる共通のテーマによって生まれた個人の結びつきのネットワークを象徴しているのだ。

ソーシャルグラフがインタレストグラフへと進化すると、背景と注目を一体化する、さらに効率がよく、さらにつながりの多い一連のネットワークが生まれる。インタレストグラフは、個人を、その焦点が絞られたテーマに最も沿う人々と情報に結びつける。その結果、ソーシャルメディアは、情報コマースおよびソーシャルコンテンツの3つのC「クリエーション、キュレーション、コンサンプション」の支えを形成してくため、興味深い転換に直面するだろう。ブログがソーシャルメディアの階層の上の階級に属している一方、マイクロブログがエリート以外の人達にもコンテンツを作成する力を与えている。さらに、マイクロブログとマイクロメディアの間の区分により、コンテンツ共有の完全に新しい階級が生まれている。このような新しいサービスは、相互につながるニッチワークのインタレストグラフを通して、関連する情報を配信する力を一段と民主化している。コンテンツの作成とは言えないかもしれながい、キュレーションが情報コマースにおいて持つ役割は重要である。

気づいてさえいないのかもしれない。しかし、誰もが既に荷造りを終えており、キュレーション国家で生活する準備は整っているはずだ。

キュレーション国家へようこそ

皆さんはコンテンツのコンシューマーだろうか、それともクリエイターだろうか?両方だと答える人もいるだろう。しかし、現実には、どちから一方に属していることが多い。クリエイターほどではないものの、コンテンツを消化するだけではないソーシャルキュレイターは、情報コマースにおけるピラミッドに新しく、重要な役割を与えている。

キュレイターは、従来、博物館やその他の収集品を管理する職業を指す。ソーシャルメディアでは、キュレイターはインタレストグラフを管理する。関連するコンテンツをウェブで見つけ、まとめ、そして、共有することで、キュレイターは、ニッチワークの完全性および活気、そして、ニッチワークを決定づける関係に貢献する。情報は貨幣となり、興味深い何かを魅力的で、味わうことも、そして、共有することも可能なソーシャルオブジェクトとして再梱包する力は芸術である。その結果、関連するコンテンツを制限し、絞り込み、改善することで、そして、オブジェクトが交流および学習をどの程度促すかで、キュレイターのソーシャル資本は決定する。

キュレイターの役割に応じるツール、ネットワーク、そして、サービスは既に人気を集めつつあり、その幾つかは他者を大きくリードしている。Storify(ストリファイ)、Curated.by(キュレイティド.by)、Scoop.it(スクープ.it)、Pearltrees(パールトリーズ)、そして、Paper.li(ペイパー.li)は、情報の再梱包および普及を可能にするだけでなく、魅力的で、興味をそそる形式でこの取り組みを行える強みを持っているため、キュレイター達から支持されている。ソーシャルネットワークのように、このようなサービスは人々を結びつけるものの、ソーシャルグラフを作る代わりに、キュレーションネットワークがインタレストグラフを作るのだ。オリジナルのコンテンツを作るのではなく、キュレイターは、関連するコンテンツを見つけ、関連するネットワークで、見解を加えて共有する。インタレストグラフのストリームは、背景およびストーリーが豊かであり、つながっている人が魅了された話題を基に学び、交流することが出来る。

また、キュレーションの作業は、ツイッターやフェイスブック等の従来型のソーシャルネットワークにもおよび、そして、好きなネットワークのステータスアップデートを通しても行われる。キュレートされたコンテンツは、ソーシャルオブジェクトとしての役割を持つ。そして、このソーシャルオブジェクトは会話とリアクションを促しつつ、- その場で – 新たな命に息吹を吹き込み、オリジナルのコンテンツの接触範囲を拡大する。

キュレイターは、ニューメディアの進化、素材の情報が広まる範囲、そして、その結果として一体化するソーシャルニッチワークにおいて、重要な役割を担っている。キュレイターは自分達にとって重要なトピックに対して、交流、協力、そして、学習を推奨する。そのため、キュレイターに力を与えるサービスは、クリエーションとコンサンプションの間の穴を埋めていくだろう。フォレスター社は、ソーシャルコンテンツの消費者の割合は、その多くがキュレーション – 注目したコンテンツを他の人達と共有する – を通じてソーシャルネットワーキングに進むため、70%から大きく減少すると予測している。この作業が容易になると、消極的なコンテンツコンシューマーが多産なキュレイターに、そして、いつの日か本格的なクリエイターに変えていくだろう。

クリエーションとキュレーションが情報コマースのやりとりを高め、ニューメディアを、ソーシャルメディアと従来のメディア、そして、関連する情報を基につながりを持つ人々の間に橋を架ける主流のメディアへと動かしていく。そのため、見つけたコンテンツ、そして、同様に共有したコンテンツが、共有された経験を通して背景およびテーマが深く関連したインフォメーションエコノミーを形成するのだ。

キュレーション国家へようこそ。国家の人口は増え続けている。


この記事は、Brian Solisに掲載された「The Curation Economy and The 3C’s of Information Commerce」を翻訳した内容です。

ブライアン・ソリスの文章だけはいつも気合いを入れないと読めないのですが、読み終われば話自体はシンプルですし十分納得できるものだと感じましたね。ソーシャルグラフがインタレストグラフに進化し、キュレーションの重要度はかつてない程増していくと。しかし文中に出てきたソーシャル”ニッチ”ワーキングという表現は座布団一枚あげたくなりました。何かの機会にサクッと使ってみたいキーワードかもです。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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