世界初のチーフ・コンテンツ・オフィサーが明かす仕事の流儀

最終更新日:2024/03/01

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米国、そして日本でもコンテンツマーケティングがブームとなっています。日本では黎明期ということもありコンテンツマーケティングのサービス業者の大半が、大量にライターを抱えたブログ記事執筆代行エージェントだったりする現実もあるわけですが、米国ではコンテンツを大量生産する前にその前の戦略から深く考え、社内に編集チームを置いてコンテンツマーケティングを運用する企業も増えているようです。そして、ついにトップレベルでコンテンツ戦略を統括するチーフ・コンテンツ・オフィサー、CCOなる職種まで現れたようで。。有名女性ブロガーとして米国で知られ、最近大手マーケティングメディアのCCOに就任したアン・ハンドリー氏が語るライティングの極意とは。 — SEO Japan

image of Ann Handley

コンテンツが魅力的かどうかを、手っ取り早く、なりふり構わずテストしたいなら…

ティーン世代に見てもらい、次の問いに答えていこう:

  • 30秒後、1分後、5分後、15分後、あるいは、30分後も引き続き読んでいた(見ていた、あるいは、聴いていた(だろうか?
  • 喜んだだろうか?混乱しただろうか?それとも怒っただろうか?
  • その子は自分の子供だろうか?

自分の子供が30分後もコンテンツを聴いているなら(読んでいるなら/見ているなら)、そして、楽しんでいるなら、素晴らしいコンテンツを作ったと言えるだろう。

10代の反応を軽視していた方に知ってもらいたい科学的な事実: ティーン世代のDNAには、大人、とりわけ両親に対する行動への反感が刻み込まれている。

自分の娘にプレゼンを聞いてもらったところ、気に入ってもらえたシーンを想像してみよう。

これは、アン・ハンドリーが実際に経験したシナリオである。

母親のプレゼンを聞いた後、アン・ハンドリーの娘は、「どうせ退屈なプレゼンだと思ってたけど、コンテンツを作りたくなった!」と言ったのだ。

アン・ハンドリーの秘訣

コンテンツマーケティングに関する本を執筆した実績がある。

それだけの知識を持っている。

C.C. チャップマンと共同で執筆した「Content Rules」は、ベストセラーとなり、イタリア語、トルコ語、中国語、韓国語、ポルトガル語を含む9ヶ国語に翻訳された。

この本を出版する前に遡ると、アン・ハンドリーは、インタラクティブマーケティングのニュースおよび解説の草分け的な存在、ClickZ.comを共同で立ち上げた。

また、MarketingProfsでは、チーフ・コンテンツ・オフィサー(今までになかった肩書き)に就任し、その傍ら、ブログ「AnnHandley.com」を運営している(因みに、このブログは、かつて「Annarchy」と呼ばれていた(本人がこの名前を気に入っていた時代))。

2011年には、Forbesによって、「ソーシャルメディアで影響力を持つ女性」の一人に選ばれていた — その勢いはすさまじく、21万5,000名以上のTwitterのフォロワーを持つほどである。

2010年には、ForbesWomanによって、女性ブロガー Top 20の一人に選出されている。

LinkedInのインフルエンサープログラムの一員に選ばれている事実も忘れてはならない(招待制)。

さらに、月に一度Entrepreneur誌に寄稿している。

ここまでくると、まだ手を付けていない取り組みを探す方が難しそうだ — よくぞ言ってくれた。

アン・ハードリーは喋れるのか?講演は得意なのか?

数々の推薦をご覧になれば、その答えが自ずと見えてくる。

もちろん、アラスカ在住のソフィアさんやサウスカロライナ州在住のバディ. T氏等からの推薦ではない。

あのJP Morganのバイスプレジデントによる推奨もあれば、Ciscoのバイスプレジデントの推奨もある。他にもMarketoのシニアディレクター、Kinveyのバイスプレジデントもアン・ハンドリーを高く評価している。

ソフィアさんやバディ. T氏に対して個人的な恨みがあるわけではないが、アン・ハンドリーに寄せられた推薦の数々は、重みが違う。

Live Your Talkのジル・フォスターCEOは、「ライターとして、マーケッターとして、独特で、実用的な見解を主張することが出来る点が(既に存在する常識を繰り返すのではなく)、講演者としてのアン・ハンドリーの長所である」と語っている。

この長所こそが、アン・ハンドリーの下に続々とキーノートの依頼をもたらしている。そして、この事実は、次のポイントにつながっている…

その「アン・ハードリーが、Authority Intensiveで講演を行うことが決定した」点は、既にお伝えしただろうか?きっと会場を盛り上げてくれるに違いない(出来ればお馴染みのマントを羽織ってもらいたい)。

紹介はこのくらいで十分だ。後は、本人に大いに語ってもらおう —

ライターについて…

自己紹介をして下さい

自己紹介ですか?実は先程同じことを要請され、1時間以上色々考えたのですが、気づいたら、自分の存在の価値を疑問視していました。

しかし、今回は、簡単に紹介しましょう: 私は作家、講演者、そして、世界初のチーフ・コンテンツ・オフィサーです。*

(*私の知る限りですが)

(*ちゃんと調べました)

ライターとして専門とする分野は何ですか?

月並みなマーケティングコンテンツに宣戦布告しています。

(…と言いましたが、本人はそこまで凶暴ではありません。)

どこで作品を読むことが出来ますか?

本が売っている場所(Content Rules)。インターネット: AnnHandley.comMarketingProfsが基本です。また、Entrepreneur誌に毎月寄稿しています。Twitter(ここここ)も利用しています。

ライターの生産性について…

一日の中で、読む取り組み、または、調査にどれぐらいの時間を費やしますか?

分かりません。時間を測ったことがありませんから。プロジェクトに取り掛かっているかどうかにも左右されます。答えっぽくない答えですが大丈夫でしょうか?それとも、充分だったでしょうか?因みに、質問に質問で答えても構いませんか?

書き始める前に、何か事前に行う儀式やしきたりはありますか?

請求書を処理します。見る時間がなかった映画やテレビ番組を全て見ます。車のオイルを交換します。Facebookで1~2時間無駄に過ごします。凝った夕食を作ります。

続いて、犬に首輪をつけて、散歩に連れていき、家に帰った後に最初に書く行を決めるのです。

記事を書く際に、好んで聞く曲はありますか(あるいは、音楽を聞きませんか)?

静寂が一番好きです。誰かが近くで息をしていたら、止めてくれ、と要請します。気が散りますから。

文章の作成(Eメール、ソーシャルメディア等は除く)に1日にどれぐらいの時間を割きますか?仕事がはかどるのは何時ごろですか?

プロジェクトに取り組んでいる際は、週末の大半を執筆に費やします。平日は平日の仕事があるので忙しいのです。プロジェクトに着手していない時は、週末の大半は自由を満喫し、奇妙な話ですが、プロジェクトに取り掛かっていないことに罪悪感を感じます。

最も仕事がはかどる時間帯は、午前10時から午前10時20分の間です。コーヒーの影響で目が覚めてから、昼ごはんのことを考えて、気が散る前までの時間です。

毎日文章を作成していますか?それとも、何か特別なシステムにこだわっているのでしょうか?

毎日、– メディアは異なりますが — 書く努力はしています。必ずしも、公開する作品とは限りませんが、自分自身が何かしら考えていることを確認するには、うってつけの作業なのです。

「ライターズブロック」の存在を信じていますか?信じているなら、どのように回避していますか?

いいえ、信じていません。ジャーナリストのロジャー・サイモンも、「父はトラックドライバーズブロックを一度も経験したことはない」と言ってます。

ライターズイベイジョン(ライターの言い逃れ)は信じています。先程申し上げた車のオイル交換の件にも表れていますね。ライターズディッフィカルティ(ライターの困難)、ライターズプロクラスティネイション(ライターの先延ばし)、ライターズドーナツが残っているか確認しようかしらの存在も信じています。

しかし、ライターズブロックは信じていません。

ライターの創造力に関して…

創造力を定義して下さい。

選択方式にしてくれていたら、楽に答えられたかもしれません。そうですね、インスピレーション、そして、モチベーションが該当するのではないでしょうか。

オンライン、または、オフラインで好きな作家を教えて下さい。

E.B. ホワイト、ケイト・アトキンソン、デビッド・セダリス、アレキサンダー・マコール・スミス、ジョーン・ディディオン、バーバラ・ピム、オルハン・パムク、あとは、ロズ・チャスト(漫画家として有名ですが、彼女の作品を読むと気分が良くなります)も好きです。

一番好きな名言を教えて下さい。

2つあります:

「読者は賞賛したいためにページをめくるのではない」 — ドン・マリー、作文の先生

「ライターは、解決策の一部になるため、人生について少しでも理解するため、そして、分かったことを伝えるために常に努力する」– アン・ラモット(ひとつずつ、ひとつずつの著者)

現在、執筆に関して、誰、または、何から刺激を受けていますか?

現在、マーケティングとライティングに関する本を書いています。そのため、刺激の源は、「反刺激」に該当します — 劣悪なマーケティングのコンテンツにうんざりしているのです。「反刺激」…意味が通じるでしょうか?

[編集者注: 「反刺激」で通じると思います。]

優れたライターの条件を教えて下さい。

読者やオーディエンスの気持ちを理解し、常に読者(オーディエンス)にスポットライトを当てることが出来るライターが理想です。

ライターのワークフローについて…

どのハードウェアとタイプライターのモデルを好んで利用していますか?

北アフリカタゲリの羽ペンと先祖代々受け継いできた家畜の皮で作った紙です。

と言うのは冗談で、買って2年になるMacBook Proを使っています。

書く取り組み、そして、通常のワークフローに対して、どのソフトウェアを頻繁に活用していますか?

つい昨日、Scrivenerを買いました(Facebookでソニア・シモーネさんが、この製品を薦め、続いて、今週昼食を取っている際に、デビッド・ミーマン・スコットさんが、Scrivenerのおかけで、仕事が捗ると言っていました)。いずれ、感想を伝えたいと思います。

先送りを回避するコツを持っていますか?締め切りを忠実に守っていますか?

私は先送りの達人です。ただし、締め切りに間に合わなかったことは一度もありません 締め切りに間に合わなかったことは数えるほどです締め切りを守ることには自信があります。最後の砦となるのが、仕事に対する意欲です。泣きながら仕事をすることもありますが…

また、「Linchpin」でセス・ゴーディンが伝えていたメッセージに助けられています — 期日を選んで、納品しろ!

おまけ…

恩師は誰(または何)ですか?

リスクを取らずに後悔することです。

人生で一番の成功は何だと思いますか?

私にとっては、自分の人生を楽しむこと以上の成功は考えられません。その点では、私は成功しています。

現在、最も腹立たしく思っていることを教えて下さい(執筆に関連することでも、全く関係がなくても構いません)?

時間がないこと、そして、限られた時間にあまりにも多くの要求があることです。

一緒に食事をしたい作家(故人でも構いません)は誰ですか?

ジョージ・エリオットです。なぜなら、女性にとって興味深い時代に生き、尚且つ、素晴らしい人生を送っていたからです。何よりも、彼女の個人的な体験談を聞いてみたいです。と言っても、ジョージ・エリオットの作品に興味がないわけではありません。自伝を読みたいのです(この場合では、聞きたい、と言った方が正確ですね)。

明日、世界のどこにでも行くことが出来るとしたら、どこに向かいますか(コストや仕事は度外視して下さい)?

暖かいところに行きたいですね。ギリシャやイタリアの海岸が理想です。

他に何か読者に知ってもらいたいことはありますか?

ここまで読んで頂いたことに感謝しています。

ライターの仕事場…

一流のライターは、所謂「神聖」な場所を持っている。カフェの指定席や家の静かな場所で、インスピレーションの到来を待つことになる。

アン・ハンドリーはオフィスを持っている。しかし、「大抵の場合、プリンターや消耗品の倉庫」になっているようだ。

デスクで執筆作業に取り組むと、閉じ込めれたような気分になります。この写真の場所で、通常、私は書く作業に取り掛かります。本棚に囲まれていると、気分が落ち着き、やる気が起きるのです。

よく分かる気がする(ヒュー・マクラウドの作品が良い味を出している)。

ann-handley-desk

ライターファイル…

私達に刺激を与えてくえるライターの作品の中に、さらに多くの問いや答えが眠っている。アーカイブを調べたい方は、このページをクリックして、インスピレーションを得てもらいたい。

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それでは、締め切りを大胆に決めて、仕事に戻ろう。次回をお楽しみに!


この記事は、Copybloggerに掲載された「Here’s How Ann Handley (the World’s First Chief Content Officer) Writes」を翻訳した内容です。

チーフ・コンテンツ・オフィサーの仕事というより、有能なライターの仕事の仕方を垣間見えるインタビュー記事でした。チーフ・コンテンツ・オフィサーの仕事や役割に関しての話も聞きたかったですが、いずれにしても今後企業レベルでコンテンツ戦略を重視し、経営レベルでコンテンツと統括する人材は増えてくるのでしょうね。特にウェブメディアの場合はコンテンツがサービスの生命線でもあるわけですし。日本も徐々に戦略的にコンテンツを活用する企業も増えてきそうで楽しみです。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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