ソーシャル広告の時代が来た!(証明する大量のデータ付き)

公開日:2011/09/06

最終更新日:2024/02/17

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ソーシャルメディアがウェブの主流になりつつある、いえ既になっていることを否定する人も少ない最近ではと思いますが、ソーシャルメディアを活用した広告、いわゆるソーシャル広告の普及は日米共にまだまだな印象もあります。サーチ広告と比較して結果に直結しにくい、ROI測定が難しい、企画発案に悩む、顧客との対話が大変、、、色々な理由はあるでしょうが、ユーザーがこれだけソーシャルメディアを利用している現状がある以上、今後ソーシャル広告が急速に普及していくことは間違いないでしょう。今回はブライアン・ソリスが米国で行われたソーシャル広告に関するアンケート調査からソーシャル広告の今と今後を読み解きます。 — SEO Japan

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最終的な目的地としてウェブを目指す時代が終わりを迎えようとしている。消費者がソーシャルネットワークで過ごす時間が増え、eメールの受信箱にアクセスしたり、従来型のウェブサイトに訪問する際に費やす時間が減りつつある。そのため、ブランドは、注目がブランドに関連する会話に集中している際に消費者とつながりを持とうと望み、ソーシャルメディアサイトで今後も競争を続けていく。しかし、消費者の注目を何度も集め、徐々に関係を築く取り組みは簡単ではない。

当然のことながら、多くのブランドはフェイスブック、ツイッター、そして、ユーチューブ等で関連する顧客のネットワークで存在感を構築しようと試みている。早い段階で成功するブランドもあるが、大半のブランドは、ネットワークの規模、そして、交流の深さと持久力を高める手段を模索している。ソーシャルメディアにおいて、デジタル広告サービスおよび製品の新しい波によって、既存のコミュニティを超えて接触を行う力がもたらされている。例えば、ツイッターの広告製品群、フェイスブックの背景を考慮した友達ベースのバナー広告と“スポンサードストーリー”プログラム、そして、ユーチューブの広告動画は、消費者のソーシャルグラフおよびインタレストグラフをうまく活用することで、ブランドに接触範囲を拡大する効果をもたらす。魅力的なソーシャル広告プログラムを介して、注目を集め、関連性を見出し、そして、効果的なコミュニティを構築することを企業は望んでいる。

ピボットのスタッフは、230名のブランドマネージャー、重役、そして、マーケティングのプロに調査を実行することで、ソーシャル広告の現状および機会に関する詳しい情報を得る試みを行った。

ソーシャル広告はバナーブラインドネスを是正することが出来るのか

バナーやキーワードの購入等、デジタル広告は、クリックスルーを高める機会を生成する製品を企業にもたらしてきた。しかし、このような製品はソーシャルネットワークでは役に立たない。「バナーブラインドネス」(バナー広告に対する関心の無さ)と呼ばれる現象が起き、消費者は焦点の領域内での好ましいコンテンツを優先して、多くのデジタル広告の形式を無視している。ユーザビリティのカリスマ、ジェイコブ・ニールセン氏は、ヒートマップを通じて、ウェブサイトの画面に視点が集中している場所を明らかにした。ご覧の通り、消費者の注目はテキストに集中しており、その周りのバナー広告には注がれていない。

ソーシャルウェブでは、バナーブラインドネスは、より広範に浸透している。ソーシャルネットワークでは、コンテンツが消費者のプロフィールのソーシャルストリームの大半を占めている。ヒートマップモデルをソーシャルストリームに適応すると、従来のウェブサイトにおける行動を反映する仕組みを視覚化することが出来る。広告ブラインドネスはソーシャルネットワーク内では現実的な脅威だが、同時に有料広告を考え直す機会を与えている。そのため、ソーシャルネットワークは、接触を望む消費者の注目を手に入れる力をブランドに与える製品やサービスを作り出している。

ソーシャル広告において、交流の新しい機会は新たなアテンションダッシュボード、つまりソーシャルストリームに主に眠っている。

フェイスブックは、管理型およびセルフサービスのモデルを用意している。フェイスブックの広告およびスポンサードストーリーは、関心および消費者とつながりを持つユーザー、そして、消費者の言葉および消費者自身を表す表現に対して販売される。企業は広告をキーワード(関心)、言語、地理、そして、リーチに対して広告を購入することが出来る。消費者によるプレイシズのチェックイン、ライク、そして、アプリケーションのアクティビティが、広告に反映されるのだ。

ツイッターは、とりわけソーシャルストリームの近い、消費者の視界に入るプロモーティド製品を販売する。しかし、プロモーティド製品は2011年の半ばにソーシャルストリーム自体に掲載されると見られており、状況は変わっていくだろう。

ツイッターの収益化戦略は、ソーシャルグラフよりもインタレストグラフに接触する能力にかかっている。ソーシャルグラフでは、誰を知っているかが最も重要とされているが、インタレストグラフでは、何を共有しているか、または何を言っているかをベースとしているかの違いがある。

ツイッターの広告製品は、リアルタイムで、注目と意図が存在するタイミングで、適切なオーディエンスに接触することを目的としている。要するに、キーワードの検索を行うと、関連する広告が結果に表示されていることになる。間もなく関連するキーワードをツイートする、または特定の企業をフォローすると、ソーシャルストリーム内に広告が表示されるようになるだろう。ツイッターのプロモーティドアカウントおよびトレンド製品を介して、有料の広告がストリームの右側に掲載される。これは視界に入る範囲であり、消費者の注目が集中するエリアに戦略的に掲載される仕組みになっている。

また、ツイッターは2011年の後半に小規模な企業を対象としたセルフサービスの製品を導入すると見られている。

レポートにもあるように、ユーチューブはウェブで2番目に大きな検索エンジンである。ユーチューブのプロモート動画は、ユーチューブで関連する検索結果および関連する動画コンテンツに対して動画広告を表示することで、ブランドが消費者、視聴者、そして、購読者を魅了する効果がある。このセルフサービスモデルは、ユーチューブでバナー等の従来型のデジタル広告を引き続き提供する管理型ブランドサービスを捕捉する効果がある。

ソーシャル広告における真実

ピボットは、ソーシャル広告における関心および利用を計測するため、ソーシャル広告におけるトレンドの調査を実行した。このオンライン調査への招待は、マーケッター、そして、マーケティングの代理業者にeメール、ブログ、ツイッター、そして、フェイスブックを介して行われた。回答は2011年5月18~26日にかけて集められた。

ソーシャル広告に関しては楽観視する傾向が見られる。回答した企業のうち60%は、ソーシャル広告が大きな価値をもたらすと予測している。32%の回答者も、過去の取り組みに対する満足度に関わらず、ソーシャル広告を価値があると見なしている。

2011年のソーシャル広告に関する調査への参加者のうち、85%は現在ソーシャル広告を試している、もしくは今後12ヵ月以内に実行する計画を持っていると答えている。

企業は、ソーシャル広告の効果を認めている、もしくは投資する価値があると考えているようだ。54%はソーシャル広告での経験にこれまでのところ満足している、または非常に満足していると答えている。

このピボットの調査から、主要なソーシャルプラットフォームがソーシャル広告の企画を独占していることが分かる。93%、78%、そして、61%の回答者は、それぞれフェイスブック、ツイッター、そして、ユーチューブで既に広告キャンペーンを展開している。今後の1年以内に、この3つのネットワーク以外でも、企業はソーシャル広告プログラムをフォースクエア(26%)、リンクトイン(21%)、そして、ユーチューブ(20%)で試すようだ。メディアやウォールストリートでは人気が高いものの、ブランドはジンガで広告を行う準備は出来ていないようだ。ジンガを利用しているのは2%のみであり、49%がこのサービスの利用を計画していないと述べている。しかし、13%は今後12ヵ月以内にジンガで広告を行うつもりだと答えている。

ソーシャル広告を試すブランドは、自分のブランドにとって理に適う製品を見つける必要がある。フェイスブックは提供するサービスにおいてトップに立っており、フェイスブックの有料プログラム製品に対して、調査に参加した業者は31%が素晴らしい、38%が良質であると表明している。しかし、ユーチュブ、ツイッター、リンクトイン、そして、フォースクエアに対する評価は高くない。マーケティングスタッフ、重役、そして、ブランドマネージャー達は、これらのサービスでのソーシャル広告は、素晴らしいとは対照的に、良い、そして、悪くはないと評価している。

ソーシャル広告の認識されている利点、または理解されている利点は、調査の参加者の間で広く共有されている。54%はソーシャル広告が勢いを得つつある点に強く同意を示している。ソーシャル広告がその他の形式のマーケティングへの投資を強化する点に51%が強く賛成し、39%が同意している。情報はソーシャルメディアにおいて最も重要であり、ソーシャル広告は顧客候補および顧客に関する情報をその他の形式のマーケティングよりも提供する点には37%が強く同意し、35%が同意を示している。

ブランドは各種の成果を評価しており、ソーシャル広告に対する目的が調査の至る所で垣間見れる。ソーシャル広告を使って製品の導入またはその他の告知を行っているブランドは17%に上り、現在、最も一般的な目的に挙げられている。13%は既存の顧客との交流を求めている。12%で、コミュニティの規模を拡大するため、もしくは外部のウェブサイトにトラフィックをもたらすらめにソーシャル広告を利用するが同率で並んでいる。回答者の11%はブランドの知名度を構築するためにソーシャル広告を利用していると答えている。

下位の目的では、9%で製品の販売、フィードバックの獲得、そして、リードの生成が興味深いことに並んでいた。最下位は、4%で感情の変化および動画視聴数の増加であった。

ソーシャルメディアの機能をどのぐらいの頻度で広告キャンペーンに取り入れているかを尋ねる質問では、38%が毎回、34%が非常に頻繁に、そして、21%の回答者は時々実行していると答えていた。

ソーシャル広告は、キャンペーンの企画に導入されている傾向があり、70%はソーシャル広告の企画は、その他のキャンペーンと同時に行われている明言している。ソーシャル広告を広範なキャンペーンの前または後に企画すると答えたのは、12%であった。

今後12ヵ月以内に実験を計画しているグループに対して、ピボットはどのメソッドが“ソーシャル広告”に該当するのか尋ねた。83%と言う驚異的な割合の参加者が、企業、製品、またはブランドを代表するブログ投稿とツイート送信がソーシャル広告に当たると述べていた。ソーシャルネットワークの広告製品を介した広告の有料の掲載が69%で続いている。

この質問への回答には以下の答えも含まれる:

バイラルな動画: 67%
コンテスト: 64%
広告ツイート、トレンド: 63%
ソーシャルメディアの最適化(SMO): 62%
ツイート/ライクして賞品を獲得: 55%
有料ツイートおよび投稿: 49%
アドボカシー/アンバサダープログラム: 43%
インフルエンスプログラム: 38%

現在ソーシャル広告を実施ている企業の中では、ブロガーおよびインフルエンサーと関係を築き、会社に代わってブログやツイートを投稿してもらっており、67%もの回答者が、このアクティビティを増やす計画を持っている。SMOで成功していると考えている42%は、ブランドのリーチを拡大する上での機会と捉えている。30%はバイラル動画への投資を増加させると述べている。現在ソーシャルネットワークで広告を実施している27%は、投資を増やすと答え、ツイッターの広告製品を利用している21%は実験を拡大すると明確に述べている。反対に、ツイッターの広告製品を利用しておらず、今後も利用するつもりはないと答えた調査の参加者は30%に上っている。また、41%はツイートや投稿には資金を投入せず、今後も投資する予定はないと答えている。しかし、12%はツイートおよび投稿に資金を投じており、この戦略への投資を増やすと決めており、11%は現在このアクティビティを行っており、今後も同じ規模で実施すると述べている。

意外にもアドボカシー/アンバサダープログラムの比率は少なかった。20%はこのタイプのプログラムを実施し、さらに拡大していくと述べているものの、このプログラムのイニシアチブを管理し、今後も継続すると答えていたのはたった10%であった。8%は投資額を削るつもり、13%は利用するつもりはない、10%はこのプログラムの存在を知らない、もしくは適用していないと述べている。一方、25%は現在は利用していないものの、アドボカシー/アンバサダープログラムを今後主催する計画があると答えており、これは明るい材料と言えるだろう。

従来型の広告をブランドのソーシャルネットワークで掲載していると答える参加者が続出していた: 70%の回答者は従来型のメディアを使って、ソーシャル広告における関与を高めようとしている。

企業はソーシャル広告をユーザーの関与を奨励する手段と見ている。58%はユーザーにブランドと関わることを求め、16%は消費者がソーシャルストリームの内部で製品または企業を支持してもらえることを望んでいる。

それぞれのネットワークが独自の文化を誇っている。この文化は、ユーザー達がコミュニケーションを取る仕組み、発見する仕組み、そして、共有する仕組みによって決まる。その結果、フェイスブックでうまくいくことが、ツイッターでうまくいくこととは異なり、ユーチューブで効果的なことが、フェイスブックでは役に立たないこともある。ソーシャル広告は、それぞれのプラットフォームでの計画に沿って実行され、「フリーサイズ」的な戦略は対象外になる。この点に関して、56%はキャンペーンを各プラットフォームに対して大幅にカスタマイズしていると答えている。19%は主要なプラットフォームに対してのみソーシャル広告をカスタマイズしていると主張し、17%はネットワークを基にプログラムを若干カスタマイズしていると述べている。

ソーシャルメディアでは、交流はオンとオフのスイッチで行われているわけではない。消費者は常にオンの状態であり、つながりを持つ相手にも同じことを求める。75%の企業は、ソーシャル広告が継続的なプログラムである点に同意している。

最近よく耳にするように、ソーシャルメディア1.0の終焉がまさに今起きている。今こそ、測定可能なビジネスの影響を把握するため実験を行う必要がある。まずはROIを何としてでも調べておきたい。ソーシャル広告の広告主にとっては、ROIの立証が最大の難点であり、42%は大きな障害となる、44%は時折障害となると主張している。予算の確保が次に挙げられ、34%は顕著な問題、53%は定期的な問題と報告している。重役の承認を得る取り組みが続いているが、重役の承認の獲得と予算の確保は、ビジネスのインパクトを実証するソーシャル広告キャンペーンにおいては関連していると言えなくもない。

計測は、いかなるキャンペーンにおいても効果を証明する重要なアイテムである。ROIの実証、予算の確保、そして、重役の承認の獲得は、ソーシャル広告における難題の上位に挙げられており、計測は拡大/縮小において欠かせない存在になっている。調査の回答者達は、主にソーシャルメディアの分析ツールでソーシャル広告の効果を計測している。ここでは、次のような計測ツールが挙げられている:

ソーシャルメディア分析: 63%
モニタリングツール: 43%
ウェブ分析ツール: 30%

また、16%は現在ソーシャル広告の取り組みを計測していないと答えている点は注目に値する。

結論

ソーシャル広告は進化を続けており、創造力豊かなエキスパート達は、まだ存在していない可能性もある既成概念にとらわれずに、考えを改めざるを得ない状況に身を置かれている。このリサーチでは、ピボットは反復可能な成功を実現する特効薬を見出していなかった。ソーシャル広告におけるベストプラクティスの指針は、現在進行形で作成されている。また、それぞれのソーシャルネットワークの文化は異なる動きを見せ、専用のアプローチを必要とする。そのため、この点は、ブランドが創造性、意図、そして、価値をそれぞれのイニシアチブに投入して、消費者が望むこと、または、望まないことを学ばなければならないため、ブランドにとって難問と機会を提示していると言える。

ソーシャル広告がバナーブラインドネスの特効薬になるかどうかはまだ分からない。このレポートの結果によると、ブランドは今後も実験を継続し、注目を集めるための、そして、望ましく、測定可能なパフォーマンスと成果を実現するための公式を見出す取り組みを行うようだ。レポートの中でも明らかにされているように、ROIは今後の投資において重要視されている。また、広告への無関心を克服することが、成功には欠かせない点は明白である。メトリクスまたは成果をキャンペーンに導入しなければ、マーケッターが価値を重役に証明する取り組みは困難になるだろう。また、パーソナライゼーションおよび関連性をソーシャル広告プログラムに導入することに失敗すると、消費者に価値を証明するのが難しくなってしまう。

広告の未来は、ソーシャルネットワークでの消費者の行動の影響を主に受けるだろう。耳を傾け、プログラムを計測し、進化させるブランドは、- 消費者、そして、最終的にはブランドの利益のため、広告を推し進めていくだろう。

ピボットカンファレンスは、ブランドおよびブランドの代理業者を対象としており、ニューヨークで10月17日と18日に行われる。今年のカンファレンスのテーマは、ブランドが「ソーシャルコンシューマーの台頭」に対処する上でのマーケティングにおける重要な変化を中心に取り上げる。

参加を望む人は、ここで登録してもらいたい。 SOLISVIPを使うと、20%の特別な割引を受けられる。スポンサーについては、medelhart@pivotcon.comでマイク・エデルハートに問い合わせてもらいたい。


この記事は、Brian Solisに掲載された「Report: The Rise of the Social Advertising」を翻訳した内容です。

FacebookやTwitterはともかく、YouTubeにLinkedIn、FourSquareまでかなりの企業がソーシャル広告に既に取り組んでいることに米国マーケッターの積極的な姿勢を感じます。どのデータも1つ1つ見ていくと中々に興味深い答えがあり、具体的な手法も紹介されていますし、今後日本のソーシャル広告の未来を占う上でも参考になる気づきが色々あるであろうアンケート結果(&ソリスの分析)でした。前半で紹介されていたツイッターが今年後半にリリース予定らしい中小企業向けサービスも気になるところです。。。 — SEO Japan
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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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