最初のスタートアップを始める前に知っていれば良かったと思う11のこと

公開日:2013/02/27

最終更新日:2024/02/16

ブログ

ウェブマーケティングに誰よりも詳しいシリアルアントレプレナーといえば、CrazyEggやKissMetricsでお馴染みのこの人、ニール・パテル。そんな彼でさえ多くの失敗を繰り返してここまできたわけです、ということで、彼自身が自ら語る起業家志望の皆さんのためのスタートアップを失敗さえないためのアドバイス集を。 — SEO Japan

私はいくつかの会社を共同創設してきたが、初めて自分のスタートアップを作ったのは7年前だ。最初のそれは、ウェブサイトをもっと使用可能にするのを手助けするCrazy Eggだった。そして、4年半前に、初めてベンチャーの支援を受けたスタートアップKISSmetricsを共同創設した。

よく言われるように、スタートアップライフは上り下りのあるジェットコースターだ。だから、もしあなたがそれを始めようと思っているのなら、このブログ記事が役に立つだろう。

それでは、私が最初のスタートアップを始める前に知っていれば良かったと思う11のことを紹介しよう:

レッスン1: 投資家はなぜ自分が投資をしたくないかについて言い訳をするのが好き

Crazy Eggのピッチを始めた時、私たちに小切手を書こうという投資家はいなかった。それは彼らの失敗ではなかった。だって、私と共同創設者はピッチが下手くそだったのだ。彼らはなぜ投資したくないかについてみんな異なる理由を持っていて、投資家から20以上の“No”の返事を受け取った後、私は何かが間違っていることに気が付いた。誰もが“No”に砂糖をふりかけて、良く見えるようにしてそれをあなたに伝えるのだ。

悪い評判が欲しい投資家などいないのだから、彼らに文句を言うつもりはない。しかし、私が起業家として学んだ1つのことは、投資家があなたに“No”と言う時、あなたは自分のピッチを改善するためにどういう風にすればよかったのかを尋ねるべきであるということだ。これを尋ねることによって、あなたは自分のピッチ全体を改善して資金調達の可能性を上げるために使用することができるフィードバックを手にするだろう。

レッスン2: たくさんのお金を調達するからと言って、あなたが高い給料をもらうという意味ではない

KISSmetricsのためのシードラウンドは100万ドルで、シリーズAは300万ドルだった。私たちがシードラウンドを調達した時、外部から資金調達をしたのは始めてだったし、自分たちが給料をもらえることをとても喜んで、私と共同創設者は有頂天になった。私たちは、6ケタの給料がもらえることさえも期待していたのだ。

私たちのリード投資家True Venturesはかなりフレキシブルで、私たちがもらう給料がいくらかに関して制限をしなかった。彼らは、私たちの相談に乗り、もし私たちが望むなら高い給料を取ることもできるが、それが全体の資金燃焼を増やすことになり、それは会社がもっと多くのお金を早く集めなければならないことを意味し、それが私と共同創設者にとって希薄化をもたらすことになる、と説明した。

このことにより、私たちは月5000ドルの給料だけをもらうことに決めた…300万ドルのラウンドを調達した後さえも

さらに、私が、年収60,000ドルではなく月収5,000ドルをもらったのだと言う理由は、物事が自分たちの思うようにいかなかった時にはお金を節約しなければならなかったので毎月いつも自分たちに給料を支払えたわけではなかったからだ。長い目で見ると、全て上手くいったが、もし私たちが倹約していなかったら―自分たちの給料だけでなく全てのことにおいて、私たちはやって行けなかっただろう。

もしあなたが資金調達をするつもりなら、自分にたくさんのお金を支払うようなバカなことはしないことだ。それは単にあなたがもっとたくさんのお金を調達しなければならないという結果を引き起こし、それはあなたが自分自身の会社をそれほど所有しないことを意味する。

レッスン3: オプションは希薄化をする最速の手段

特にベイエリアでは、従業員と顧問は株式の4分の1から2分の1を求めることで有名だ。もちろん、優れた従業員は、GoogleやFacebookで働くよりは少ない給料であなたのために働くのだから、たくさんの株を手にするにふさわしい。

しかし、私たちの過ちは、大量の顧問との契約にサインし、彼らが早くから求めたものを彼らの多くに与えたことだ。このせいで、私たちはオプションプールを早く使い尽くすことになったため、私たちが次のラウンドを調達した時にはオプションプールを10%いっぱいにリフレッシュしなければならなかった。これによって、私と共同創設者は、期待していたよりも多く希薄化されることになったのだ。これは私たちの顧問のせいではなかった。彼らはたくさんの価値を提供してくれた。私たちがより良い契約交渉をすべきだったのだ。

自分のオプションをゴールドのように扱うこと。自分の大切な従業員に渡すことができるように、それらを手放さないこと。もし顧問がたくさんの株を求めたら、それらの株に対して彼らが何をあなたに提供することになるのかについて必ず書面での契約を交わすようにすることだ。

そして、顧問が大きなパーソナルブランドを持っている場合、彼らにはあなたを助ける時間はあまりないかもしれないということを頭に入れておくことだ。だから、株に対して彼らがあなたに何を提供するのかについて書面による契約を手に入れるのだ。(これは、彼らがたくさんの株を要求している場合にのみ必要)。

レッスン4: スタートアップネットワーキングイベントの90%が時間の無駄

大部分のスタートアップネットワーキングイベントであなたが学ぶことは、オンラインで学べることと同じだ。唯一の違いは、スタートアップイベントは一般的にお金がかかるということだ。参加する価値のあるネットワーキングイベントもいくつかあるが、ほとんどはそうではない。

カンファレンスやネットワーキングイベントに登録する前に参加者リストを探すこと。見込みクライアントもしくは自分よりもずっと賢い人のどちらかがそのイベントにいることを確かめるのだ。もしも、会社を経営する方法についてあなたが教える側なら、何かが間違っている。自分よりも賢い人々がイベントにいる場合にのみ、あなたは学ぶことができるのだ。

もし良いネットワーキングイベントに参加したいのなら、私的で招待制のものを探すこと。それらのイベントに参加するのは難しいが、もし参加すれば、それには価値がある。それこそが、新しいフレンドシップとビジネスパートナーシップを作ることを可能にするイベントのタイプだ。

レッスン5: サンフランシスコに住む。でも、そのために作らないこと。

私はサンフランシスコに住んでいないが、よくそこにいる。それに、私のビジネスパートナーはこの街をちょっと出たところに住んでいる。私たち二人の過ちの1つは、テック部門にいる個人から得たフィードバックを元にビジネスを築いたことだ。

これは、本当に賢い人々からフィードバックを得るのだから賢いことのように最初は思われるかもしれないが、あなたは、彼らが自分の理想の顧客ではないかもしれないということに一歩下がって気が付く必要がある。スタートアップの人達は物事にお金を支払うことを好まないし、彼らは世界の人口のほんのわずかな一部を占めているにすぎない。

製品やサービスを作る時には、ベイエリアの外に住む人達全てを考慮する必要があるのだ…リンカーン・ネブラスカに住んでいるかもしれない人のように。世界の大部分の人は、テック中心地に住んでいるわけではないということを忘れずに。

しかし、あなたの顧客がサンフランシスコに住んでいないかもしれないからと言って、あなたがサンフランシスコに住むべきではないないという意味ではない。あなたは、サンフランシスコでは他のどんな場所よりも多くのテック投資家を見つけることになるだろう。そして、彼らは自分たちが知っていて信じている人に投資する傾向がある。あなたは、彼らの近くに住まないことには、彼らのことをよく知ることはできない。

レッスン6: お金を稼ぎ始めるのに時期が早すぎるということはない

初めて資金を調達する時には、自分のスタートアップへの利益の流れを作る緊急性は少ない。シリーズAラウンドを受ける時には、顧客にお金を払ってもらうよりも、多くの時間を製品を作ることに費やすことになる。その一方、もしあなたが自分の会社を作るのに自分の個人的な貯金を使っているのなら、できる限り早く収支が合うようにしたいだろう。

私たちがKISSmetricsで犯した最大の過ちは、早くに販売し始めなかったことだ。私たちは優れた製品を作ることや、プロダクトマーケットフィットに手が届くこと、そしてスタートアップがするその他全てのことに焦点を合わせていた。しかし、プロダクトマーケットフィットを手にする前、もしくは製品に取り組む前でさえ、販売を始めることができないというわけではないのだ。

私たちがこの会社にセールス部長を加えてから1年以上が経つが、彼の参加から6か月以内に、私たちの利益は急上昇し始め、ふさわしいところに達した。どんなに販売に長けている人でも、自分の製品を販売したりそこから利益の流れを生み出す方法を見つけ出すのにはしばらく時間がかかるものだ。

私たちは、製品を作り終える前に販売プロセスを始めるべきだったのだ。なぜなら、それは、お金を取り入れて資金燃焼を減らすのに役立つだけでなく、お金を支払う顧客からより速く学ぶことを可能にするからだ。

レッスン7: 経験のある従業員がハングリーな従業員よりも優れているわけではない

あなたのスタートアップが銀行に数百万ドルを持っている時には、雇用に関してたくさんのフレキシビリティがあることになる。これが理由で、あなたは最も賢い人間を探すだろう。そう、エグゼクティブのように、たくさんの経験を積んだ人間、あなたがしたいことをしたことのある人間だ・・・。

私がすぐに学んだことは、それらの高賃金の人達は直近の仕事では成功したが、それはあなたの会社でも成功するという意味ではないということだ。多くの場合、彼らは大企業の環境の中でより良い結果を出す。彼らに欠けていることは、速く動き、他人に依存せずにそれをする能力だ。

それらの企業エグゼクティブは、自分達で物事を行う方法を見つけることよりも、仕事を請け負うことに慣れている。スタートアップが若い時、これらの人々とは距離を置くことを私はお薦めする。その代わりに、まだキャリアの中でそのような大きなブレイクを経験していないハングリーな人間を雇いたい。戦いを厭わず、成功するためなら何でもする人間を。

あなたは後で企業エグゼクティブを雇うことはできるが、初期の頃は彼らを必要としない。

レッスン8: ソーシャルサークルがあなたを定義づける

子どもの頃、賢い子と付き合うように両親に言われただろうか?私はそうだった…私の両親は、私に影響が及ぶことを恐れて、バカな子や行いの悪い子と付き合って欲しくなかったのだ。

同じことが起業家精神にも当てはまる。私が、自分がどれくらいうまくやるかに自分の仲間が大きな影響を与えるということに気が付いたのは、私のキャリアがだいぶ進んでからだった。もしあなたの友人が成功している賢い起業家なら、それはあなたが良い結果を出すのを後押するだろうし、あなたは起業家としてより早く発展するだろう。

例えば、私のビジネスパートナーはたくさんの製品側の人間やエンジニアと付き合いがある。彼はそのことに大変満足している。なぜなら製品を築くこととなると、それが彼のスキル向上に役立つからだ。そして、私はたくさんのビジネス/ファイナンス側の人間と付き合いがあり、それは、資金調達をする方法や企業買収を組み立てる方法のようなことを理解するのに役立っている。

ビジネスパートナーも私も、私たちが発展するのを助ける人々と付き合い始めたのは、最初のスタートアップを作ってしばらくしてからだった。もし私たちが事前にこのことを知っていたら、もっと前にオレンジ・カウンティから出ていただろう。

あなたは、自分が人生で求める場所に達するのを手助けしてくれる人々に囲まれることができるような場所に移るべきだ。そして、それと同時に、必ず、彼らに報いて、あなたができることは何でもするようにすることだ。

レッスン9: 隣の庭の芝生はいつも青い

もしあなたが勤め人の世界の出なら、恐らくTechCrunchを読んだことがあり、どのようにして若い子が何百万ドルの資金調達をして自分の会社を10億ドルでFacebookに売却しているかを目にしているはずだ。

もしあなたがスタートアップの世界にいるなら、あなたは常に、どのようにして人々が大企業で働いて無料の食事のような特権の付いた6ケタの稼ぎを得ているのかについて耳にしている。特に、彼らは9時から17時まで働けばいいので、たくさんのストレスがない。

現実は、上記2つの状況はどちらも正確ではない。スタートアップの世界にいる人々は、身を粉にして働き、大した給料も手にせず、成功することはめったにない。そして、勤め人の世界にいる人は、常に高い給料をもらっているわけではなく、彼らの多くは、週40時間働いた給料しかもらっていないにも関わらず、週70時間働いている。

起業家的なライフスタイルを送りたいからといって、起業家にならないこと。そして、簡単な仕事が欲しいからといって、勤め人の世界で働かないこと。

私が初めて起業家になったのは、率直にいって金持ちになりたかったからだ。もちろん、私は金銭的にはとても上手くいっているが、これまでにたくさんの失敗をした。私が今起業家であるのは、自分が情熱を持っている問題を解決するという困難が好きだからだ。しかし、もし私が自分の労働意欲を持って勤め人の世界に直行していたとしても、恐らく金銭的には成功していただろう。

私がしたように、単にお金のためだけにキャリアを選ばないことだ。スタートアップの世界は、大部分の人が裕福になるような場所ではない。幸運にも私はうまくいったが、もし私があなたなら、運は考慮しない。もしあなたが、自分が情熱を持っている問題を解決したいのなら、お金のためではなく、それを理由に起業家になるのだ。お金は、人々が直面している問題を解決することの副作用である。

レッスン10: 自分が知っていることにこだわる

Warren Buffettは、自分が理解する企業に投資をすることで有名だ。彼はBill Gatesなどの人々と親しいが、彼は、自分がテック業界を理解していないことが理由でMicrosoftに思い切って投資をすることはない。

私はかつて会社を始めたり自分が情熱を持っていることに投資をしていたが、多くの場合、自分が興味を持っていたことを理解していなかった。しかし、私が早いうちに知らなかった1つのことは、情熱は成功するビジネスを作るのに十分ではないということだ。もし私が自分が理解するビジネスを作ることにこだわっていたなら、自分のスタートアップをもっと先に進めていたことだろう。

例えば、KISSmetricsでは、共同創設者と私は、人々がお金を払ってもいいと思うような物を手にするまでたくさんの製品イタレーションを経験した。私たちの製品の以前のバーションはオンラインゲーム企業のために問題を解決することに焦点を合わせていた。

その当時、Facebookゲームがかなり人気になっていたが、1つ大きな問題があった。ビジネスパートナーも私も、ゲームを作ったことがなかったため、ゲームについてあまり理解していなかったのだ。一方、私たちの現在の製品はマーケッターが直面している問題を解決する。それは、マーケティング企業を所有するビジネスパートナーと私がよく理解していることだ。あなたがそのビジネスを見てみると、私たちの成長は、私たちが自分のしていることを知っているために拡大しているということが分かる。

もしも自分の成功する確率を上げたいのであれば、Buffettのアドバイスに従って自分が知っていることにこだわるのだ。

レッスン11: 成功している人が常に、何が一番かを知っているわけではない

始めた当初、私は他の成功している起業家から指導を受けていた。年間を通して、彼らのアドバイスは役に立ったし、彼らがいなかったら私は今ここにいないだろう。

しかし、私が失敗し続けていた1つのことは、これらのメンターからのアドバイスに疑問を持たなかったことだ。1億ドルで自分のビジネスを売ったことのある人に私が偉そうに疑問を持つことではないという理由で、もし彼らが何かを言ったら、私はそれに従った。

メンターは一般的なビジネスのアドバイスをすることやあなたを導くことに優れているが、その人物があなたの業界についてたくさんの知識を持っているのでない限りは、彼らから特定の業界に関するアドバイスを得ることが常に賢いアイディアというわけではない。

成功しているからといって、その人があなたのビジネスにとって何が一番良いかを知っているという意味ではないのだ。ある成功している人が、私たちにKISSmetricsでソーシャルゲーム市場を狙うように言った…しかし、それは私たちにはうまくいかなかった。そして、それは彼らの失敗ではない…それは、そのアドバイスに疑問を持たなかった私たちの失敗なのだ。

結局、私たちは、ピボットして、顧客のニーズに基づいて独自の方向性を築き、それが上手くいった。私たちのメンターは素晴らしく、私たちをたくさん助けてくれた。ただ私たちは、適切な質問をする方法を学ばなければいけなかっただけだ。

最後に

このブログ記事が、あなたが思い切って起業家精神に飛び込むことを止めなければいいのだが。私自身はそれを気に入っているし、自分が他のことをできたとは思わない。あなたはただ、思い切って飛び込む時に現実的な期待を持つ必要があるだけだ。自分はたくさんのお金を集めて、最高の会社を作って、それをFacebookに10億ドルで売却するのだと考えることは現実的ではない。

あなたは会社を始めることについてどう考えるだろうか?思い切って飛び込む前に知っていれば良かったと思うことはあるだろうか?


この記事は、Quick Sproutに掲載された「11 Things I Wish I Knew Before Starting My First Startup」を翻訳した内容です。

新米起業家に限らず、起業家の方には色々感じ入ることが多い内容だったのではないでしょうか。私も経営歴は10年を超えましたが、共感すると共に改めて勉強になった記事でした m(_ _)m 私も今年幾つかの新規サービスをリリース予定で新人アントレプレナの気分で取り組む覚悟ですが、この記事を読んでどこか気持ちがリフレッシュしましたし、10年前の自分に戻って頑張ろうと思います! — SEO Japan [G+]
  • Facebook
  • X
  • はてなブックマーク
  • pocket
  • LINE
  • URLをコピー
    URLをコピーしました!

編集者情報

  • X
  • Facebook

アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

メディアTOPに戻る

RECRUIT

一緒に働く人が大事な今の時代だからこそ、実力のある会社で力をつけてほしい。
自分を成長させたい人、新しいチャレンジが好きな人は、いつでも歓迎します。