ブランドの支持者を確実に遠ざける10通りの方法

公開日:2010/10/25

最終更新日:2024/02/17

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ソーシャルメディアの活用法といえば、自社製品やブランドのファンを育てていくことですが、使い方によっては逆にファンを離れさせていきかねないのがソーシャルメディアの難しさ。今回はそんな悩めるマーケッターに送るアドバイス。 — SEO Japan

やりましたね!あなたのブランドはデジタルマーケティングの世界で見事に自滅しましたね!

あの常軌を逸したユーザー達が作成する動画のコンテストは、数千本もの作品を集め、1ヵ月の間に5000万回も視聴され、そして、最新のヒット商品の素晴らしさを伝える新たなタイプの消費者の支持者達を活気づけてきた。この素晴らしいアイデアを生み出した広告代理業者が業界の授賞式で最高の名誉の賞を受け取ったため、会社では祝賀会が始まった。

誰がソーシャルメディアが役に立たないなどと言ったのだろうか?私ではない。

毎日、ブランド、そして、その製品を褒めちぎる新しいブログが誕生する。レビュー、動画、ポッドキャスト、フォーラム、出来ることは何でもやる。支持者として顧客の軍隊が猛スピードで前進している。

ちょっとでも目を離すと、顧客の支持者が新たなコンテストが開催し、想定している以上にメッセージをさらに多くの人々に、そして、広い範囲で伝えている。ウェブ上に広がるすべての無料のメディアを組織するだけでもパブリックリレーションズのリソースをすべて使い切ってしまうぐらいの多さだ。短期間で成し遂げられた功績に恐怖心さえ抱いてしまう。さて、これからどうすればいいのか?

分かった!過酷な年貢を強要して好意を完膚なきまでに踏みにじればいい!

大きな失敗なくしてソーシャルメディアの部門でブランドのトップに立つことなど出来ない。さもなければ、あのデジタル世界の業者やコンサルタント達は毎日にように記事を書き、ケーススタディを提起し、カンファレンスでプレゼンを行い、そして、公の場でお互いを褒め合うことなど出来ないはずだ。

ブランドは独特な流儀、プロセス、そして、適切に機能させるために従う必要がある業務を数多く持っている。マーケティングから、パブリックリレーションズ、広告、そして、カスタマーサービスに至るまで、効率、そして、当然ながら利益をもたらす、明確に定義されたワークフローのなかで部門間の業務を簡素化する戦略的なアプローチの下に企業は成り立っているのだ。

それにも関わらず、この類の顧客、ブロガー、そして、支持者達はイニシアチブにフィットしないアクティビティを始めやてしまった!

力関係を見せる時がやってきた。当然だが、ブランドはあなたのものだ。そのため、コントロールすることが出来る立場にいるべきである。他の誰でもない。絶対に自分がコントロールしなければならない。特に顧客に任せるなんてもってのほかである!

1. 大使の公式なルールを定める

さて、多くの顧客の支持者を獲得したので、自分の旗の下、支持者たちを構造化したコミュニティに集める必要がある。彼らは無給で非公式な大使である。ブログを持ち、ファンを持ち、フォロワーもいるだろう – しかし、ブランドについて好き勝手な発言を行うようになるなら、企業の基準に従ってもらわなければならない。

自ら行動を起こし、彼らに公式の“支持者”プログラムへ招待するメッセージを送ろう。機密保持契約書を添付し、プリントアウトしてもらい、署名をしてもらい、公証してもらい、そして、伝書バトで送り返してもらえば完璧だ。非公式の大使になることで得られるメリットを大々的に伝える必要がある – 例えば、新製品の販売ページに向かうリンク付きのド派手なバッジが手に入る等。その他に加えるもの、すべて彼らにとってはごちそうだ!

2. 誰も認めるべからず(必要に迫られるまでは)

ブランドの大使が製品に関する素晴らしいhow-to動画をユーチューブに投稿したとしよう。ポッドキャスターが優れた仮想のCMを作り出したとしよう。ブロガー達が最新の製品に関する詳細なレビューを書きあげたとしよう。さあ、どうする?

露出、そして、新しいオーディエンスへの接触に関する支援には感謝しているが、自分の代わりにこのような仕事をしている人達に会って、感謝するほど暇ではない。しかし、インターンを彼らとの連絡係に任命する手はある。その際は出来るだけ臨機応変に対応してもらおう。もちろん、形式的なeメール以外、特に個人的な感謝のメッセージは必要ない。そもそも、こちらからメッセージが届いた時点で彼らは大喜びするはずだ。

3. すべての質問を役立たずのコミュニティマネージャーに丸投げする

インターンに関して、… ブランドのコミュニティの管理のすべてを一人に任せよう。すべての顧客の支持者が、会社に関連していると思えることに関しては、すべて当該のインターンに判断を仰ぐ点を徹底する。インターンが郵便室の職員よりも地位が低いこと、そして、ブランドのイニシアチブおよび情報について無知であることには目をつむろう。これらの情報を熟知しているスタッフには顧客に対して人として姿を現すなんてことよりも、遥かに重要な仕事があるからだ。

ボーナスとして、少なくとも5時間/日は大量のレポートを申請させ、コミュニティマネージャーに地獄を見せてあげよう。わざわざ質問や要請に返事をする必要はない。分類するだけで十分だ。顧客は同じ問題を持ち続けるだろうが、この市場のリサーチデータは、製品開発チームに大いに役立つだろう。あと、あえて最も熱心な大使からのeメールには絶対に返信をさせてはいけない。彼らはTV、新聞、あるいは業界のメディアではない。彼らの問題でわざわざ時間を無駄に費やす必要はないはずだ。

4. 個人的な意見には最後通告を出す

ブランド支持の土台は、選ばれし“インフルエンサー達”が熱狂的に製品を宣伝する行為で成り立っている。しかし、彼らがブランドについてあまり褒めなくなり、間接的に事業を何かしらの方法で批判するようになったらどうすればいいのだろうか?

そんなことは絶対に実現させてはならない。ファンを抱える目的は、真面目に製品に関する前向きなレビューを出来るだけ投稿してもらうこと以外にはない。ブランドの素晴らしさを批判する1本の記事がブランドの失脚につながる可能性がある。彼らには自分の立場をわきまえてもらう必要がある。

ブログから支援をすべて引き揚げると脅すのだ(と言っても、実際にはウェブサイトの奥深くに埋まっている意味のないリンクである)。事前にPR部門に相談もせずに、不当にネガティブなエントリを投稿したことを責めよう。企業側に妥当な問題があったことを認めることなく、公の意見を変えることが出来る方法を選ぶ – それが最高のアプローチと言えるだろう。

5. 検索エンジンのランクを巡って争う

ソーシャルメディアでの成功を祝うお祭り騒ぎを終えた後、IT部門から、ブランドの公式のウェブサイトの検索結果のランキングが、卑しいファンのブロガーや顧客のユーチューブの動画に抜かれたことを告げられたとしよう。「SEO」と言う文字は、すべてフラッシュのウェブサイトが開発されたとき、自分の辞書には載っていなかったようだ。

この分野の知識が足りない点を責める代わりに、その辛辣な言葉を、非道なブラックハットの戦術を駆使してスポットライトを奪ったであろう、過激な顧客の“ハッカー達”に向けてぶちまけるのだ。このような極悪非道な支持者達に警告を発し、すべてのプレスリリース、イメージ、そして、ブランドの言及には公式のウェブサイトにリンクを張る作業を強制しよう。

次に、ウェブでの存在を組み合わせることで、“リンクジュース”の蛇口を閉めるため、非公式の情報源に向かうすべてのリンクを削除することに時間を費やす必要がある(ただし正しいSEOについて熟知しているスタッフは、そもそも会社にはいないとは思うが)。

6. コミュニティが作成したコンテンツを見せない/共有しない

ブランドの大使達が宣伝を行い、顧客がブランドに対する愛を示すコンテンツを作成する現象が起き始めている。そのほとんどはアマチュアレベルである。なかにはプロレベルの作品もある。しかし、すべて非公式だ。ソーシャルメディアのプラットフォームでそんなものを他の人達と共有するなどもってのほかだ。この類のコンテンツ、そして、作成しているサイトを、会社側が認めていると言う風に世間に思われないように注意するべきだ。

ブランドのプレスリリースを立て続けにリリースし、ソーシャルメディアのアカウントで公式の発表を連続して行おう。半年前にウェブサイトに掲載した同じつまらない昔のニュースを丸投げしてしまうのだ。顧客のコミュニティの活動よりも、ブランドが三流の雑誌から与えられた賞、あるいは、CEOが開発部門で作成した短い退屈な動画の方が一般の人々にとっては重要だ。一般の人々は企業の声を聞きたいのだ、顧客の声ではない。企業が公式だ。顧客は公式ではない。そんな人達のことを誰が気にするのだろうか?

7. 公式サポートフォーラムの役に立つリソースはブロックする

ブランドの最も熱心な支持者のなかには、会社の開発チームよりも製品に詳しい人達がいるはずだ。公式のサポートフォーラムを見ればすぐに分かるはずだ。彼らは新しい顧客を手当たりしだいに支援し、最新の製品の使い方を教えている。何をするにも登録を必要としている公式のウェブサイトの影に隠れていなければ、すぐに分かるはずだ。

顧客は体験談を投稿し、自らFAQを作成し、サポート用の文書を作り、そして、最上部のスレッドで最も一般的なユーザーの問題に対するリンクを提供している – すべて一般の人々に役に立ちそうだが、公式のカスタマーサービスは大打撃を受けている。彼らの維持費を保つことを正当化するには、継続的に客層のデータを調査して、マーケティングのキャンペーンを改善するしかない。顧客がこの分野に入るために多くの個人情報を入力しなければならなくするためには、他には方法はない。

データを収集しつつも、公式のサポートファーラムでリンクを投稿したり、署名を利用したりすることが出来ないようにしよう。ビジターがサイトを去ってしまうのは是非とも避けたい。まだ高額な商品を売り付ける機会すら到来していないのだ。また、当然ながら、SEOの影響、そして、外部のリソースを認めていると思われるのも痛い。そのプラットフォームは会社のものだ、顧客のものではない。その点を忘れないように。

8. 法務部の力を借りてコンテンツクリエイターを苦しめる

ブランドの最大の資産は商標である。世間の人々がこの巨大なイメージを見ると、信頼性、信ぴょう性、そして、顧客をホっとさせる特別な感情が湧きあがる。そのため、顧客にまるでわがもの顔でブランドの影響力を行使させてしまうと、人々の心に宿る会社の力を薄めてしまう。そんなことは絶対に許すべきではない。

ブロガー、ファン、そして、コンテンツクリエイターと連絡を取り合う際は、「停止」と「警告」は最初に覚えなければいけないボキャブラリーである。もし、この類の非公式なソースがブランドの商標名を文字っていたりしたら、またはコピーライトを保有するフレーズを引用していたら、法務部にすぐに連絡しよう。

このような大使達が情熱を注いで自分よりも遥かに優れたリソースを作った事実、そして、無給にも関わらず、彼らこそが最もブランドのメッセージを世界へ広げてくれた事実は気にしなくてもよい。彼らには問題を抱えてもらおう。自分が所有するメディアのコンテンツは神聖な存在である。具体的なガイドラインがない状態で、そして、法律の手続きを取っていない状態では、表示すること、もしくは手を加えることは許されない。

顧客の支持者がそれでもこの点を理解していないなら、DMCA削除通知を発行し、ウェブサイトをシャットダウンしてしまおう(SEOの面では確実にプラスに働くはずだ。少なくとも、会社のベテランのITスタッフはそう言うだろう)。

9. 収益化の取り組みは追放する

大使達はブランドを愛するゆえに活動している – 顧客は情熱を分かち合い、自らが存在する聖地を作っているのだ。このような支持者達に時間と労力に対する収益を入手させるのは、コミュニティの目的の本質に反する。また、立場を利己的に利用していることになる。製品を作っているのはブランドだ。それを利用して小遣い稼ぎするなど言語道断だ。ブランドがなければ、彼らのウェブサイトもブログもフォーラムも存在しない。利益を得るのは会社だけだ、支持者達ではない。

顧客の支持者には、第三者の広告が受け入れられない点を強調しておこう。なぜなら認めていない推薦広告の横にブランドを表示させることなど許容範囲を超えているからだ。競合者にとって有利な広告なら尚更だ。サービスに関するhow-to関連のアドバイス、または製品に関連する非公式なパッケージ化されたコンテンツで料金を取ろうとしている人達には、「訴えるぞ!」と言って脅そう。当然ながら、会社のコミッションプログラムを介して、自分の会社の製品のみ取り扱っている場合は例外だが、それ以外のアフィリエイトマーケティングは全面的に禁止すること。

ブログのスポンサーを買って出るようなことはしてはならない。レビュー用の製品を無料で提供するなど絶対にあってはならない(ブランドを愛しているんだから、自分でお金を払って買うはずだ)。支持者に贈呈用のキーホルダーや冷蔵庫に貼るマグネットを贈るのは問題ない – 毎週彼らが会社の利益を上げるために費やす時間の補償として妥当だ。このようなプレゼントをもらえることに逆に感謝してもらいたいくらいだ!

10. 名誉を独占する

さて、顧客を支持者として利用することで、無料メディアで成功を収めたので、今後は名声を一人占めしよう。コミュニティが中心となった素晴らしい活動を褒めちぎって、スポットライトを手当たり次第独占するのだ。このレベルまで達したのは明らかに自分の努力の結果であり、多くの無償の、非公式のブランドの支持者達が来る日も来る日も一生懸命労力を注いだ結果ではない。

その点には触れないようにしよう。名前を挙げるのはまずい。大使の誰かがスポットライトを盗むようなことがあれば、出来るだけ目立たなくしよう。顧客候補が製品に関する最新の情報および最高の情報を求めて支持者に向かう事態は避けたいところだ。そうなると支持者を利己的なマーケティングのニーズにあからさまに利用し、悪用する意味がなくなってしまう。彼らは使い捨てだ。自分は違う。

上述した10の手順を踏むと、ブランドは、ソーシャルメディアのエキスパート達が数年に渡って警告してきたように、エリート志向が仇となり、失脚する。モトリン、ネスレ、君達のことだ!

おめでとう!あなたのブランドはデジタルマーケティングの世界で見事に自滅しました!
さらに重要なニュースがある。最も優れ、そして、最も献身的な顧客もまた破滅の道を歩むことになる!

(さあ、この大規模な失脚のいけにえを探しにいこう。自分のせいにされるなんて絶対にごめんだ。)


この記事は、Social Media Explorerに掲載された「10 Sure-Fire Ways To Alianate Your Brand’s Most Devoted Advocates」を翻訳した内容です。

なかなか皮肉の利いた文章ですが、分かる人ほど分かるといった内容でしょうか。従来のマーケティングの考え方とソーシャルメディアマーケティングは全く違うものなんだな、と改めて納得できる記事でした。既存の概念から抜け出さないマーケッターに読ませてみたい内容でした。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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