コンテンツファームが永久に不滅な理由

最終更新日:2024/03/15

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世間はGoogle+1ボタンが話題になっていても、コンテンツファーマーはひたすら汗かき日々コンテンツを生成するのみ、、、かどうかは知りませんが、ますますコンテンツの質が問われる時代に入りつつあるのだけは間違いなさそうです。その上でSEO Bookが語る「コンテンツファーム不滅論」をご紹介。 — SEO Japan

工業産業的な生産手法を用いて、ロングテールのクエリをターゲットにしたコンテンツを作成するサイト — 所謂コンテンツファームにグーグルが行った措置に関する議論が、最近、事あるごとに交されている。この件は多くのインターネットビジネスの関心を引いた。その理由は、アドワーズのコンテンツネットワークで広告を掲載しているからか(そして、拡大解釈するとコンテンツファームで宣伝していたと言うことになる)、もしくは、特定の検索においてコンテンツファームと競合していた、もしくは、検索結果にコンテンツファームが掲載されているのが許せなかったのかいずれかだろう。たまたま、私はこの3つの理由全てに該当している。こんなことを言うのは悔しいが、コンテンツファーミングは今後も続くだろう。経済的に避けられないのだ

アテンションエコノミー

現在、インターネットの大半は、直接的な収益化から若干距離を置くアテンションエコノミーの下で動いている。フェイスブックは500億ドル以上の価値があるかもしれないが、それは大儲けしているからではなく — 実際に大儲けしているが — アテンションエコノミーで独占的な立場を築き上げ、このような巨大なアテンション(注目)の流れを自分の好きなように動かし、その一部を実際のお金と交換することが出来るからだ。

グーグルはアテンションエコノミーで最も優位な立場にいる — インターネットのナビゲーションをコントロールすることで、大量の注目を集めており(検索でダントツにリードすることで)、注目をアドワーズ広告と言う形式で販売し、そして、アドセンスの製品を使って、注目を巡る市場を提供しているのだ。

個人のパブリッシャー — ニューヨークタイムズから、インターネット上の小規模な趣味レベルのサイトに至るまで — もまたアテンションエコノミーに参加している。ニューヨークタイムズのような巨大なブランドにとっては、注目は作り出すこと可能なアイテムである — 文字通りニュースを作り出している。ディズニーは、繰り返すことが可能な産業プロセスを持っており、一人の少女を迎え入れ、数万人もの熱狂的なファンを生み出している。

小規模なプレイヤー達 — 寮の部屋で開発されていた時代のグーグルや現在の趣味サイト — はこのような規模で注目を作り出すことは出来ない。既存の注目を集めることで精いっぱいである。注目は、その存在とは関係なく、世界に存在している。ゴルフを楽しむ。クッキーを焼く。ダン・ブラウンの小説を読む。メッセージを読む。このようなこと、そして、それ以外のことに対して、人々はコンテンツを求めるのだ: ゴルフのスイングを改善することを望み、新しいクッキーのレシピを知りたがり、ダン・ブランの新作の小説を読みたがり、how-to動画を見たがっている。そして、稀な商品であり、現金に換金することが可能な注目を介して進んで料金を支払うのだ。

コンテンツ作成の経済の仕組み

インターネットで注目をお金に変える効果的な方法がない状態を仮定してもらいたい。容易に想像することが出来るはずだ: ドットコムバブルの時代のインターネットがまさにこの状態であり、誰もが“訪問者数”を気にかけていたが、“訪問者数”とバナー広告の組み合わせは、経済的に持続不可能なビジネスをもたらしたのだった。この仮のインターネットでは、コンテツは、大抵、実際にコンテンツを作る理由を持っている人々によってコンテンツが作成される: 情熱を分かち合いたい愛好家、専門家としての評判を高めたいロースクールの教授、誰か(ウェブマスターを含む)を採用する必要がある政府などだ。これはエデンの園のシナリオと呼べる: 心を乱すお金の影響のないインターネットである。

このインターネットはかつて実在し、一般のユーザーは惨めな目に遭っていたのだ。

インターネットでコンテンツを配信する力は、難解な技術的なスキルの存在により支配されていた(つまり“ウェブマスター”になると言うこと。この肩書はありがたいことに廃れていった)。ウェブマスター達は概してとてもギークな人材が揃っていた。基本的にウェブマスターは自分の好きな分野に専念し、その結果(やはり)ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズのキャラクターシート、アメコミのトリビア、そして、ファンが字幕をつけたアニメのエピソードでインターネットは埋め尽くされた。

エデンの園タイプのインターネットではあまり見かけなかったのが、ギークと関わることがほとんどない層の関心を引くコンテンツであった。女性、若年層、高齢者、非英語圏のユーザー等は、ダンジョンズ & ドラゴンズのプレイヤーとは正反対に位置していた。アップルパイの作り方に関するアドバイスも存在したが、それは運がよければの話であり、奇妙なことに関心を持つコンピュータサイエンスの教授が作っただけであった(少なくともコンピュータサイエンスの教授にとっては)。

コンテンツ管理システム(CMS)が普及するようになると、この傾向が変わり始める。CMSのおかげで、“コンピュータプログラミング”レベルから、“ワープロ”レベルのスキルでもコンテンツを作成することが出来るようになったのだ。初めて一般に普及したCMSがブログであり、ブロガー達の間では、ブログがインターネットを民主化したとして称賛の声が相次いでいた。パジャマのままでブログに取り掛かり、それでもニューヨークタイムズと対等に戦うことが出来るといった主張が絶えることはなかった。

ワープロを使うことが出来るスキルは、ウェブマスターになるスキルよりも広がっていったが、それでも一般に浸透しているわけではない。ブログは主に情報を発信する職業から支持されていた。つまり、大学教授、ジャーナリスト、そして、印刷媒体を用いたスキルを長い間利用し、既存のオーディエンスから信頼されていた職業の人達である。時を同じくして、教養のある、中流階級の郊外に住むアメリカの白人の社会人に向けたコンテンツ作成が爆発的に増加していた。政治、お金に関するアドバイス、教育、宗教、国際的なニュース等が、大手メディア、オンラインに移行してきた配信業者、そして、ニューメディアによって(従来型のメディアと同じタイプだが、必要な資本は圧倒的に少ない)、何度も何度も報じられていた。コンテンツは、革命によりアメリカが民主化されたと同じコンセプトで、民主制を迎えることになった: 白人の資産家は自分達の関心が適度にオンラインに反映されるようになった。

インターネットを早い段階で導入した人達以外の人のコンテンツに対して膨大な量の需要 — 未回収の注目 — が存在していた。大規模なオンラインのパブリッシャー達は、需要の頂点を追い始め、ホビーサイトは引き続き、アップルパイのレシピ等のコンテンツを配信していった。見せると言う意味での質は、数年前からは格段に進歩していることが多かった。グーグルアドワーズは、この進歩を可能にした要因の一つであった — アップルパイ等のニッチを支配する趣味のサイトが、突然趣味レベルではない額のお金をサイトのオーナーに与えるようになった。これは基本的には広告販売の交渉に係る取引コストがアドワーズの登場によって割愛されたためだ。また、アドワーズにより、グーグルが注目の余りをより巧みに収益化することが出来るようになった。なぜなら、検索者をアドセンスを持つサイトに送ることで、クリックに対して料金を得る2度目のチャンスが転がり込んでくるためだ。アドセンスによる収益はここ数年グーグルの収益の約3分の1を占めている。

コンテンツ作成の産業化

コンテンツ作成に対するハードルをテクノロジーが下げ続け、アドワーズ等のビジネスモデルの最適化が注目を収益化する機会を改善していったため、供給曲線と需要曲線が交差することは現実的に避けられなくなった。住宅ローン等の価値の高いバーティクルはずっと前から存在していた。多くの取引が行われ、利益率が高く、多額の広告予算がつぎ込まれ、そして、流動性のアフィリエイト/リードを生成するマーケットは、大量のコンテンツの作成を支援してきた。多くのインターネットに精通したユーザー達は、住宅ローンやポーカーを日ごろ検索しているわけではないので、この現象に気づかなかったのだ。インターネットは実際に数えきれないくらい多くの注目のマーケットであり、その多くにおいては、手に入る注目の量では穴埋め出来ないほどコンテンツの作成にはコストがかかった。このようなニッチが十分に活用されない状況が続いていた。資本主義風に言うならば、もっと多くのコンテンツを人々は利用するものの、その肝心のコンテンツが存在しなかったのだ。

そして、破壊的な革新が起こった: 基本的に、多くの企業がアルゴリズムが予測する注目とコンテンツ作成をアウトソース化することで、比較的少ない量の注目を、大きな規模で同時に搾取することが可能な点に気づいたのだ。このイノベーションは、今まで供給曲線と需要曲線が一度も交わったことがない、おびただしい数の注目市場において、供給曲線と需要曲線が交差する現象を起こした。その結果、巨大な規模で、コンテンツファーミングが行われることとなったのだ。

例えば小学校の先生を対象にしたビンゴカード。これはとてもニッチなテーマだが、家賃ほどの収益を上げる。このテーマにも注目が存在するのだ: ビンゴはアメリカの学校では様々な主題の語彙を復習するために昔から利用されている。徐々に教師と親がインターネットとグーグルを利用するようになると、ビンゴに関する注目 — グーグルがコントロールする大量の注目のほんの一部 — が容易に入手可能になった。注目の一部は私のサイトを含む趣味のサイトに流れ、ニューヨークタイムズのアバウトドットコムのサイト等、大規模なパブリッシャーに流れていったが、ほとんど取り上げられていない分野が存在した。例えば、教師がクエリをグーグルに入力するものの、提供される結果は役に立たない無益なものだった。

私はグーグルのアドワーズコンテンツネットワークで広告を数年に渡って出している。過去4年間においては、一定の価格を下回る場合、グーグルが販売を望む様々な質のトラフィックを、基本的には出来るだけ多く買うようにしている。そのため、アドワーズのスタッツに、誰がビンゴ関連の検索のトラフィックを得ているのかが現れるようになる(グーグルはインターネットのナビゲーションを牛耳っており、そのため、ビンゴカードのような目先の欲望のためのトラフィックの存在は、検索が行われた点を強く示唆しているのだ。信じられないなら、アナリテイクスをチェックしてもらいたい)。

私のマーケットは、季節によって注目が大きく変わるので、1年間の状態と一貫性のある1ヵ月の状態を比較して見てみよう。以下に4年間の2月の傾向を紹介する。

  • 2008年、アドワーズへの支出は、アバウトドットコム等の時代遅れのインターネットパブリッシャー、教育分野のニッチなパブリッシャー、そして、趣味サイトに振り分けられていた。費やした額の合計は約370ドルであり、その約70ドルをアバウトドットコムが手中に収めていた(19%近く)。
  • 2009年、趣味のサイトおよびニッチのパブリッシャーは、Kaboose(カブース)と言う名の新しいパブリッシャーが台頭し、勢いを失った。カブースは女性が興味を持ちそうなトピックに焦点を絞っており(ビンゴを含む)、初期のコンテンツファームとも言えるサイトである。支出の合計は約560ドルであり、そのうち160ドル近くがカブースに注がれており(他を圧倒する29%)、2008年のパフォーマンスを5倍以上上回った。別の言い方をすると、この小さな注目のマーケットにおける倍以上の増加を単一のパブリッシャーが果たしたのだ。また、2009年はトップ10に新しいサイトがランクインしていた: 無名のディマンドメディアと言う企業が運営するマイナーなサイト eHowである。
  • 2010年、支出はさらに増加(640ドルに増加)し、上位はコンテンツファーム、そして、時代遅れのクラウドソースコンテンツファーム eジンアーティクルズによって占められていた。カブースは新たにマーケットに参入したコンテンツファームにシェアを奪われ、前年比で50%の成長を遂げていた。コンテンツファームはこの注目市場の約3分の1をコントロールしている。
  • 2011年は、支出はさらに増加し(昨年から50%近く増加し920ドルに到達)、コンテンツファームは注目マーケットを独占している。eHowは再び取り組みを改善し、単独で広告販売で150ドルを獲得し、前年度のパフォーマンスの5倍の成果を上げている(2009年の10倍の収益を得ていることになる)。

コンテンツファーミングのミクロ経済

なぜ、コンテンツファーミングはアテンションエコノミーの大半を短期間で獲得することが出来たのだろうか?基本的には、単一の検索用語に敏感に反応し、コンテンツを作成するプロセスを繰り返すことが出来るようなると、関連する検索で成功しているページ等のマーケットのシグナルに反応し、ロングテールを迅速に複製することが出来るようになるためだ。私のサイトは、バレンタインデーのビンゴカードに関するページを昔から用意している。なぜなら、このニッチでパブリッシャーとして活動する中で、このページの重要度が非常に高い点を悟っていたからだ — 事実、毎年2月のバレンタインデーのビンゴで収益化できる十分な量の注目が存在する。バレンタインデーのビンゴカードは、インターネットのスケールで考えると、非常に小さなニッチだと思うだろうか?eHowはこの分野のバリエーションを狙った30を超えるページを用意している — 小さなニッチのかけらを、個別にターゲットに絞る価値のある30種類にさらに分割している。代表的なタイトルを挙げていく:

  • 教会のバレンタインデーのパーティーゲーム
  • バレンタインデーのビンゴカードを作ろう
  • 教室のバレンタインデーのパーティーゲーム
  • バレンタインデーの算数ゲーム
  • キリスト教徒のバレンタインデーのゲーム
  • キリスト教徒の大人のバレンタインデーのゲーム
  • 年長の子供達向けのバレンタインデーのパーティーゲーム
  • その他

上述したページの1つのページのパフォーマンスに注目してみよう。教会のバレンタインデーのビンゴに関するページに私は2011年の2月に広告を掲載するため9ドルを支払った。そこで、2月以外には全く収益が出ず、さらに、過去の遺物とも言えるイメージ広告が何の役にも立たない(グルーポンやオンラインゲームが収益化するためにつぎ込んでいる額を考慮すると、的を射ているとは言い難い)と言う必要以上に消極的な推測を行った場合、当該のページの4文字のテキスト広告は約30ドルの収益をもたらすことになるだろう。グーグルが68%の収益を分配するため、ディマンドメディアはこのページから2011年だけで約20ドルを獲得することが出来る。

コンテンツファームはいつまでも新鮮なコンテンツに焦点を絞っている。事実、バレンタインデーは2012年にも到来し、また、当日、ビンゴで遊びたい教会もまた存在するだろう。このページからの収益はゼロになるのだろうか?それは可能性が低い。なぜなら、このページは2011年になってから作成されたわけではなく — 2010年に作成されており、私は当時1ドルを支払っていた(約2ドルの収益を示唆している)。検索環境が変化し、そして、ディマンドメディアは内部のトラフィックを活用する取り組みを高度化させていったため、1年間で限界費用ゼロで価値が9倍に上がった。

コンテンツファームは、ポートフォーリオ戦略を基に活動している: このバレンタインデーのページのような成功を収めたコンテンツが、成功を収めていないコンテンツを補っている。ポートフォーリオ全体の平均の収益が、コンテンツ作成のコストを上回っていれば、コンテンツファームが資金をコンテンツ生産に投じて、その規模を拡大させると見るべきである。eHowが天文学的に収益を伸ばしており、コンテンツファームが、非ファーミングのコンテンツの息の根を止める力を実証している点から判断すると、ポートフォーリオ戦略は功を奏しているように思える。eHowだけでも、2011年には、2010年よりも、5倍多くのページで私の広告を表示していた。

それもそのはずだ。コンテンツファーミングの個別の収支は非常に魅力的である。ディマンドメディアは、312ワードのコンテンツを作成して、編集するために約10ドルを支払っている。ウォールストリートが、10ドルのコストで2010年には1株当たり2ドル、2011年には1株当たり20ドル、そして、その後も有望な額の収益を上げるエクイティを策定することが出来れば、その他の投資の授業は全て時代遅れになると言っても過言ではない。唯一の問題は、市場リスクのみである。

このモデルを無効にすることが出来るのは、コンテンツ作成のコストの高騰化、あるいは、マーケットにおける注目の希薄化(収益化の難度が上がる)のみである。

収益化するための注目はまだまだ存在する: インターネットの利用が将来減少する可能性は否定できない。しかし、小学校のビンゴマーケットに存在するカンザス州の古風な女性教師が、オンラインの利用においてこのブログの平均的な読者に追いつくのはまだまだ先のことであり、インターネット上で獲得することが可能な注目の量は大きく増加し、このタイプの人達が気にする注目のマーケットに比例してさらに拡大することが予想される。

グーグルと広告主が注目のコストを吊り上げる: フェイスブックのゲームの隣に表示される広告等、半信半疑の巨大な注目の源を無視し、クエリをグーグルに入力した2秒後に表示されるアドセンスの広告は、検索広告と言っても過言ではない。

上述の文をもう一度読んでほしい。とても重要だからだ。

つまり、コンテンツファームは事実上検索広告の収益化ビジネス — インターネット史上、最も収益性が高いビジネス — に参入しているのだ。検索広告は桁外れに収益性が高い。なぜなら、ユーザーの注目を得るだけでなく、ユーザーの意図を組み込んでいるためだ。そうすることで、過去のバナーディスプレイ広告(ユーザーはすぐに見向きもしなくなった)、ファームビル、あるいは科学の授業に出席する可愛らしい女の子等の写真の隣の広告よりも、桁違いで価値が高くなる。コンテンツファームは、検索の意図を維持している。あるトピックのページとアドセンスを正確に組み合わせることで、当該のアドセンスの広告が検索に対して確実に対応するコンテンツとなり、ページのそれ以外のコンテンツがすべてコンテンツファームによって作成されている点を考慮すると、ページで広告が最も質が高いコンテンツになるのだ。

当然ながら、コンテンツファームは人気の高いクエリでは上位にランクインすることが出来ないため、検索の範囲の大半を検索エンジンに譲っているが、グーグルのたった5%のクエリであっても、その価値は計り知れないものがある。グーグルは、競合するのではなく、手を貸す行為に意欲的に取り組んでいる。一方、競合者がいるマーケットでは、グーグルは全ての売り上げの利益を拡大するまで広告のコストを吊り上げていくだろう。利益率の高い、ソフトウェアのようなカテゴリでは、競合者がぎりぎり利益のある売り上げを達成するために販売価格の51%を支払うなら(コストパークリックの価格)、私は喜んで51%に入札する。やがて広告のコストが上昇し、ROIは減少するものの、引き続き収益を上げるため、見逃す手はない。グーグルとグーグルの配信パートナーの大勝である。

それもこれもGoogleがコンテンツファーム対策を行うまでの話…だよね?

2011年の2月下旬、グーグルはパンダアップデートを展開した。このアップデートは、コンテンツファームをターゲットにしていたと多くに人に受け取られていた。しかし、実際には、コンテンツファーミング1.0とコンテンツファーミング2.0の分離が行われたのだった — eジンアーテキクルズやマハロ等の初期の参入者(そして不有名な多くのサイト)は、優れた取り組みを行うeHow等のファームに大敗したのだ。</ p>

例えば、先程のように2月を比較するのではなく、ビンゴのニッチの3月の経過を見ると、バレンタインデーが3月にはないため、3月は一貫して2月よりも注目が少ない: 変則的な2008年の3月は別として(簡単に説明すると、アドワーズのコードを壊してしまったため)、支出は2009年には28%、2011年には17%減少した。2011年には減少が遥かに目立った。これは、パンダアップデートがアテンションエコノミーの状況を一新したことが原因だと思われる: 37%に大幅に減っていたのだ。

しかし、個別のパブリッシャーのパフォーマンスにはばらつきが見られた:

  1. eHow(ディマンドメディア)は18%のみ減少した。この数字は過去の季節のトレンドと一致していた(2010年の増加はとても早く、ほとんど横ばいの状態が続いていた。つまり、マーケットよりも成長するスピードが早かったのだ)。2011年3月のパフォーマンスは(ビンゴに対する注目にとっては“低調”な月)、2009年の2月(ビンゴに対する注目にとっては“絶好調”な月)のパフォーマンスを上回っている。これがeHowはパンダの影響を事実上受けていないと言う仮説を信じる理由なのではないだろうか。
  2. LoveToKnow(ラブトゥノウ)は大打撃を受けた— 支出は71%減った(2010年の減少はたった25%であった)。
  3. eジンアーティクルズは大打撃を受けた — 68%減少した(2010の減少はたった~10%であった)。
  4. アバウトドットコムは深刻な影響を受けた — 支出は46%減少した(2010年の減少はこちらも低く — たった21%であった)。

パンダは、コンテンツファームを全て集め、アテンションエコノミーの一部分に関する勝者を選んだように思える: 勝者とはeHowである。

私は、コンテンツファームが再起不能の状態に追い込まれる中、多くのクエリでコンテンツファームと競合する私のサイトが、再び分配されるアテンションの一部を手に入れることが出来ればいいと願っていた。 これが起きていたとしても、それは気づかないぐらい些細な量であったはずだ。アナリティクスのスタッツでは — グーグル経由のオーガニックな検索は、パンダが存在しなかった際に得られたであろうトラフィックとほとんど一致していた。明らかな勝者と敗者はコンテンツファームに集中していたようであり、ファーム以外に流出した注目の量はごく僅かだった。ある意味、個人的には納得のいく結果だった — 私のサイトはeHowと比べると、教会のバレンタインデーのビンゴゲームのニーズに応えているページが少なかった。私のサイトのページはeHowのページよりも遥かに質が高いはずである — ビンゴカードの作り方のページは実際に参考にするとビンゴカードを作ることが出来る — しかし、それが“教会向け”の点を含め、ユーザーの意図を全て満たすことよりも重要だとは思わない人がいてもおかしくはない。私の些細なオンラインの体験談以外にも、大手のパブリッシャーの支援団体が、パンダアップデートは、10億ドルの広告収益を再分配したと推測している。巨額の広告マネーが移動したのだ。しかし、コンテンツネットワークが毎年200億ドル以上の広告を販売している点を考慮すると、10億ドルでは、根本的なシフトチェンジとは言えず、残り物を敗者に割り当てたようなものである。

パンダはコンテンツファームを葬ったか?

コンテンツファーミングを葬ることが出来るのは経済のみであり、パンダがコンテンツファームのミクロ経済を大きく変えたようには見えない。パンダアップデートが行われる以前に10ドルのページに対して40ドルの広告を売ることが出来て、アップデート後には20ドルの広告しか売れなくなったとしたらどうなるだろうか?コンテンツファーミングは続くはずだ。このビジネスモデルは、ポートフォーリオが少しでも収益を上げるなら、どこまでも拡大していくだろう。また、苦戦しているコンテンツファームは振り出しに戻って、コンテンツの賭けを行う場所を再評価する取り組みを奨励されるだろう: 例えば小学校のビンゴカード(または小学校のビンゴカードの下半分等)のような特定のニッチのマーケットは、追求するほど利益性がないかもしれいないが、より価値の高いマーケットは考えられないぐらい収益性が高い可能性もある。コンテンツ作成のリソースをさらに前進させるようになると、それが可能な場合の話だが、さらに競争は激しくなるだろう。

一方、ディマンドメディアは、カナリアを捕まえたばかりの猫のように笑いが止まらない状態だ。コアのビジネスの命題は基本的に全く影響を受けず、ビジネスモデルにおいてはまさに悪夢が現実のものとなったが(グーグルが怒りに燃える神のように罰を与えた)、ディマンドメディアの経済は劇的に改善した。今後、収益性の低いマーケットでは、競争が少なくなると推測し、この類のマーケットで得ることが出来る注目の大部分を手に入れ、比例して、さらに多くの収益を得るだろう。

未来: コンテンツファームがコンテンツ生産を支配?

人間型のロボットが人類を打ち負かすと言うテーマは暗いサイエンスフィクションでよく取り上げられる。コンテンツファームのようなアルゴリズム/フリーランサーのハイブリッドが、コンテンツテールの大部分において、他者を打ち負かす傾向が起きており、さらにその勢いを増している。これは、動画の台頭(テキストよりも一桁生産コストが高い)、そして、愛好家によるコンテンツ作成の減少等、コンテンツの作成および消化における変化によって、悪化の一途を辿るだろう。2006年、私のウェブサイトは、キーワードに対して、個別の教師のウェブサイトと激しい競争を繰り広げた。恐らく、教師達はこのインターネットとやらを試すためにウェブページを立ち上げる決断を下したのだろう。2021年、先生が作成するサイトは減っているだろう。なぜなら、2011年現在、iPadを持ち、教育非営利団体の動画を見ることに熱中しているが、iPadはコンテンツの作成には向かないからだ。私は既に顧客の行動が変化している光景を目の当たりにしており(例えば、カードをiPadで作りたいが、プリンターをiPadに接続するにはどうすればいいのか?コンピュータの電源を入れるのが面倒臭い — ウイルスか何かに感染したかもしれない。遅い等)、通常、このタイプの人達は常に時代に乗り遅れている。

さらに、この教師は、一般的なアクティビティにターゲットを絞るためにニッチに専念しており、ビンゴに5ページ以上を費やしたことはなかった。私はオリジナルのソフトウェアをフリーランサーに集中的に使ってもらい作成した約1000種類のビンゴのアクティビティを用意している。しかし、コンテンツファームの配信スケールから見ると、私は怠け者に過ぎない

この事実は明らかな改善のルートを私に示唆している: グーグルに200ドルを支払うことで、グーグルがeHowに130ドルを支払い、eHowがフリーのライターに5ページを作成するために50ドルを支払うことで私が大きな収益を得られるなら、この200ドルを使ってフリーのライターに同じ5ページ…そしてさらに15ページを作成してもらえばいいのではないだろうか?これまでこの行為を私に躊躇させているのは、インターネット汚染に関する懸念のみである。しかし、経済的な魅力は否定できない。選択肢が、溜まっている1週間分の400本の記事の作成をこなす匿名のフリーランスのライターが作ったコンテンツか、ビンゴの記事を作成するためだけに私に雇われた人が作成したコンテンツだった場合、私のコンテンツが選ばれる可能性はあるはずだ。

多くのマーケットで何度も繰り返されているこのジレンマは、2020年のインターネットを作り出すだろう。麦わら帽子を用意しておこう。私達は揃ってコンテンツファーミングに乗り出すだろう。あるいは、少なくとも仲介者(グーグルとコンテンツファーム)に料金を払って、代わりにファーミングを行ってもらうようになるだろう。大きな違いは、うまくファーミング戦略を行うことが出来るか(eHowのように)、それとも不器用にファーミング戦略を行うかである(最近大きな打撃を被った競合者のように)。

ディマンドメディアは既にビジネスモデルをサービスとして展開している: 新聞やその他の時代遅れのパブリッシャーは、a) 瀕死の状態にあえいでいるものの、b) グーグルに恐怖感を与える力を持つため(グーグルの評判を貶める力を持っており、その結果、グーグルが唯一恐れる規制を政府が断行する可能性があるため)、ディマンドメディアは新聞社にファーム化したコンテンツの看板になってもらいたがっている。十分な信頼性のシグナルを持ち、当該の分野で任意のロングテールのコンテンツで上位にランクインすることが出来るなら、手を出さずにはいられなくなるだろう。「既知の質のコンテンツの作成を繰り返すことが可能なプロセスを作り出し、拡大するために投資し、結果に対して広告を売る取り組み」はまさに新聞のビジネスモデルそのものである。コンテンツファームは、“印刷媒体の数十億ドル規模の配信ネットワークを所有”して、“1本の記事につき1000ドルを超える償却原価で数百人に関連する記事を作成する”等のマイナスな部分を排除しているだけである(新聞の広告の中で最も収益性の高い広告は、ニュースではなく、スタイルやトラベルセクションの広告である点は周知の事実だ)。ピューリッツァー賞級のジャーナリストではなくても、今シーズン最もホットな赤紫色の傘に関する記事やカンクンをお勧めする記事を書くことは出来る。“リアル”なニュースは、その他のタイプのコンテンツよりも広告の販売においては食い付きが弱い。10分の1のコストで10倍くだらないコンテンツを作成することが出来るなら、それに越したことはない。それが出来るなら、… 「リアル」なニュースなどそもそも必要なのだろうか?

グーグルは、パンダの息子アップデートをさらに行い、圧力を強めることは出来るのだろうか?経済の法則を無効にしなければ、効果は期待できないだろう: ファーミングは供給曲線と需要曲線が重なっている全てのトピックで行われている。40%のクエリ全体で上位にランクインするコンテンツファームの能力を奪ったとしても、コンテンツスペースの一部の金銭面での魅力がなくなっただけである。コンテンツスペースは無限大であり、注目を収益化する能力は常に改善されている。グルーポンが“鼻の穴をほじる方法”に関するページの片隅に料金を支払う場合、コンテンツファーム以外にこの注目の獲得を争うプレイヤーはいないはずだ。

このようなインターネットを私は望んでいるのだろうか?恐らく望んでいない。しかし、私は — ギークとして、コンテンツへの関心が、たとえコンテンツを作成する金銭的なインセンティブがなくても、今後もインターネットで十分に反映されていくことに喜びを感じずにはいられない。私が質問を投げかける前に、Q&Aサイトに向かい答えを提供する人が現れるだろう。スタークラフト XIIの攻略動画を作成する人が現れるだろう。1セントを得ることなく、ソフトウェアを開発する人まで現れるだろう。しかし、あまり恵まれていない人達にとって、インターネットの幕開けにつまづいた過去を持っていたとしても、ニーズに応えるコンテンツの増加の大半を除外することがプラスに働くとは私には思えない。コンテンツが豊かなサイトが成功し、誰もがコンテンツファーミングに励むインターネット時代が到来する可能性はある。

先程も申し上げた通り…まるで暗いSFである。

この記事のゲスト・ライターであるマトリック・マッケンジーは小規模なソフトウェアビジネスを展開している。en not ブログ、もしくは世界の印刷可能なビンゴカードのマーケットを支配している時を除き、新たなベンチャー、Appointment Reminder(アポイントメント・リマインダー)の運営に力を注いでいる。


この記事は、SEO Bookに掲載された「Why Contents Farm Are Here To Stay」を翻訳した内容です。

読み応えある上に納得できる点の多い記事でした。SEO Bookなのでアーロン・ウォールかと思いきや違う人でした。後半の展開もSF映画/小説ファンだった私には響きましたね。コンテンツファームの未来は気になるばかり。ちなみに途中、検索広告の収益性の高さを「ユーザーの注目だけでなく、意図を組み込んでいるため」と表した一文には目からウロコでした。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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