米国Grouponの失敗事例から考えるクーポンの効果的な利用法

日本でも大人気サービスとなっているグル―ポンですが、年末に起きたおせち問題でも大きな議論を巻き起こしています(正直やりすぎな気がしますが)。まだまだ成長過程のサービスだけに様々なトラブルが起こりうることは想像がつきますが、本国の米国でもグル―ポンにおけるトラブル事例が幾つかあるようです。今回は余り日本では紹介されない米国グル―ポンの失敗事例をソーシャルメディアエクスプローラーから紹介。これを読んでグル―ポンの効果的な使い方について改めて考えてみませんか? — SEO Japan

私の妻と義理の母がインターネットに興奮するのは、彼女たちが大好きな地元のレストランチェーンであるLouisville Originals(ルイビル・オリジナルズ)からメールが届き、次回のレストランの特価クーポンがオンラインに登場する時期を伝えられた時だけである。ルイビル・オリジナルズを介して、地域のレストランが手を組み、時期を限定したクーポンを配信し始めたのが2006年であり、それ以来この地域の食通は熱狂している。多くの人気の高いレストランでの食事が30%以上も割引されると言う口コミはすぐに広がり、コンピュータを持っていない人々も慌てて登録して、クリックしたものだ。ルイビル・オリジナルズは、これが現在全国レベルのオンラインコマースおよびクーポン配信のトレンドとなり、完璧ではないものの、瞬く間に人気が高まったマーケティングの機会の先駆けとなるなど思いもしなかったはずだ。

最大のクーポン配信サイトであり、Forbes(フォーブス)が史上最速で成長する企業と呼ぶGroupon(グルーポン)はグーグルの$60億ドルの買収を拒否した。消費者は毎日のメールの通知を受けるために登録し、地域の事業を中心とした40%-50%オフの特売に招待され、購入する。「バーニグ・ブッシュ・グリルで$16の地中海料理がたった$8で楽しめる」これが典型的なオファーである(ちなみにこの特売は先週火曜日のルイビル・グルーポンに掲載されていた)。行動を起こす時間は限られており、この特売をオファーする企業は規定を設けることが出来る(例えば、1人につき1点のみ、その他のクーポンとの併用不可など)。

しかし、グルーポンにも問題はある。クーポンを提供する事業は最低でも50%オフにするべきだと主張し、それでいて取引で発生した収益の50%を手数料として取っている。また、クレジットカードの手数料を課し、(私の知る限り、そして、実際にグルーポンを利用した事業によると)グルーポンの販売数の上限を決めることが出来ない。(**注記** この報告は事実誤認であった。グルーポンは実際には販売数の制限を認めている。事前に事実確認を適切に行わなかった点を謝罪したい)

そのため、小さな事業を運営し、200枚ほど50%オフのクーポンを提供することで、店に足を運んでもらえると考えているなら、注意してキャンペーンを実行しよう。1日限りのグルーポンが200枚ではなく、2000枚ほど売れ、利鞘がなくなる可能性もあれば、損失が出る可能性もある。

Posie’s Cafe(ポージーズ・カフェ)のオーナー、ジェシー・バーク氏は、2011年の9月11日に投稿されたブログの中で、グルーポンとの取引を“事業主として今まで犯した過ちのなかで最悪の過ち”と切り捨てている。同氏がオレゴン州のポートランドで運営するカフェは今年の夏1000枚以上のグルーポンを販売したが、先程述べたコストが原因で、バーク氏は$8000ドルの赤字を被った。

グルーポンの営業担当者を信じるべきではなく、取引を策定する際は、手数料および諸経費を計算に入れるべきだと言うのが、バーク氏が得た教訓と言えるのではないだろうか。当然だが、50%~オフのクーポンは25%オフのクーポンよりも多く売れる。しかし、売り上げはクーポンストアに向かい、自分のもとには届かず、貧乏くじを引くのは事業主である。

失敗したのはポージーズカフェだけではない。他にも例はある。また、顧客の立場でもフラストレーションが発生しており、グルーポンと店舗がうまく連携していない点が指摘されている。

グルーポンの競合者であるTryItLocal.com(トライイットローカルドットコム)を運営するMemberMinded(メンバーマインディド)のCEO(そして私の友人でもある)、トッド・イヤーウッド氏は、ネガティブな例はあくまでも例外だと述べている。イヤーウッド氏は、同氏の毎日の取引の取り組みを取り上げたInsiderLouisville.comに私が投稿したエントリのなかでで次のように述べていた。

「グルーポンの取引によって害を被った事業はほんのわずかであり、注目する価値があるとは思えません。メディアやブロガーは弱点を見つけることが出来ないため、例外を発見し、大騒ぎするのです」

一本取られた。グルーポンに関するオンラインの会話を手早くチェックしてみたところ、4:1でポジティブな声がネガティブの声を上回った。しかし、SMEのマーケティングリサーチパートナー、ConsumerBase(コンスーマーベース)によると、ネガティブな声が増えてきているようだ。これはトライイットローカル等のブランドがより適性な手数料やカスタマイズ可能な取引を用意するようになった結果と言えるのかもしれない。しかし、全体的にネガティブな声は多数の恩恵を受ける顧客ではなく、“ごく僅か”な事業から上がっているようだ。このようなオンラインのクーポンネットワークが長期的に成功するためには、双方のオーディエンスを大事にする必要があるだろう。

一部のメディアは、いち早く反応し、バーク氏のような顧客がグルーポンを賢く利用しなかった点を指摘している。しかし、このような顧客がグルーポンの営業担当者- 収益を一人占めにして、諸経費の責任は負わない企業の代表者 – に相談し、丸めこまれているなら、当事者だけを非難するのは可哀そうだ。

しかし、グルーポンは、小規模な企業、特にイベントを介して、成功に導いている。オハイオ州ラブランドでHyperDrive Interactive(ハイパードライブ・インタラクティブ)を営むアリソン・マルゲロ氏は、グルーポンを介したイベントチケットのおかげで、シンシナティのKrohn Conservatory(クローン・コンサーバトリー)が軌道に乗ったと教えてくれた。クローン・コンサーバトリー(植物園)は毎年恒例のチョウのショーの入場券をたった数分の間に2000枚以上販売した。最終的に通常の25%のみの収益しか得ることが出来なかったが、予測していたよりも遥かに多くの客が足を運び、イベントに関する口コミに弾みをつけることが出来た。「私たちの目標は参加者の増加であり、収益ではありません。そのため、うまくいったと言えるでしょう」とマルゲロ氏は述べた。

さらに、ここルイビルのHistoric Locust Grove(ヒストリック・ローカスト・グローブ)遺跡および博物館のキャロル・エリー氏からも、イベントに関連するグルーポンのサクセスストーリーが届いた。この団体はグルーポンを使って、18世紀のマーケットフェアを誰でも知っているハロウィンと競うために用いて、500枚のチケット(イベントの参加者の約25%に相当)を販売した。同氏はグルーポンの手数料で失った利益をイベントでの食べ物の販売やグッズの販売で取り戻したと報告している。

その他にもグルーポンを使った成功例は豊富にある。グルーポンは店舗に人々を導く役目を持ち、前払い費用のない広告とも言える。クーポンサービスとして見られており、安っぽいイメージをもたられてしまう可能性はあるが、グルーポンのような1日限りの特価サービスは事業に客を運ぶ効果があり、しかも測定することが出来るメリットがある。コストの一部を賄い、新しい顧客やクーポンハンターの人達に自分のサービスを知ってもらう取り組み、また来たくなるような取り組み、あるいは来場中に高い商品を買ってもらう取り組みを行えば、収益源になり得るポテンシャルは秘めている。

一方、グルーポンの代打はあまり充実しているとは言えない。

LivingSocial(リビングソーシャル)は、ネットワークもユーザーベースもグルーポンには全く及ばないが、手数料は40%であり、30日後に収益を支払う(グルーポンはクーポンが提供されてから最大で90日以内に分割で支払う)。リビングソーシャルは地域に焦点を絞っているが、トライイットローカルほどではない。また、競合者と特売を同じ時期に行うことは出来ないようだ(グルーポンにも同じことが言える)。その他の大半の競合者も似たり寄ったりである。

ルイビルに本拠を置くトライイットローカルは異なるビジネスモデルを採用しており、その他の競合者が埋めることが出来ていないギャップを埋めているように思える。このサービスは商工会議所を対象としており、収益の70%を当該の事業に返すことで、経費の問題の解決を支援している。また、収益の70%以上と言う取りきめは地域の経済を潤わせる効果もある。なぜなら、手数料は商工会議所に流れる仕組みになっているからだ。トライイットローカルのビジネスモデルは、事業に高い収益の利鞘を提供して、特売を行う事業がより柔軟に対応することが出来るようにしており(販売数の制限等)、また、信頼されているパートナー、つまり商工会議所を通してオファーされるため、競合者のビジネスモデルよりも遥かに安定している。このサービスよりも地域の事業に早く接触することが出来るサービスは存在するのだろうか?(存在する。グーグルだ!グーグルには歯が立たない)

さらにトライイットローカルは事業のクライアントに対して、今まで見たことがないような客層のデータを提供している。ターゲットのオーディエンスが45-55歳の女性だと考えていたかもしれないが、トライイットローカルの取引を実施した結果、実際にクーポンを購入するほどの興味を示した客層が分かる。イヤーウッド氏によると、驚くことに、2つのデモが若干異なることもあるそうだ。

(既にお気づきだとは思うが、バイアスがかかっている。イヤーウッド氏と私は2008年に共同でSocial Media Club Louisville(ソーシャルメディアクラブ・ルイビル)を立ち上げた。また、私はイヤーウッド氏と今は亡き(ただしウェブでは永遠にアーカイブされている)The Daily Idea(ザ・デイリー・アイデア)においても協力した。私たちが仲が良い点は言うまでもないだろう。しかし、トライイットローカルはルイビルの企業であり、これは私のブログである。訴えたいならどうぞ)。

毎日特売を提案するサイトはずっと前から存在している。恐らく初めてこの類のサービスを始めたのはWoot.com(ウートドットコム)だろう。2004年以来、営業を続けている。グルーポンは地理的な局面および通常の店舗を加え、爆発的な人気を得た。競合者は満たされていないニーズを見つけようと試みており、この流れに乗ろうとしている。これは、規模は異なれ、事業にとってはプラスに働くだろう。

しかし、この類のサービスを使って、自分の会社への客数や仕事を増やそうと考えているなら、自分が提供するサービスが何なのか、幾らかかるのか、そして、最終的に幾ら得ることが出来るのかをよく把握しておこう。

皆さんは事業を軌道に乗せるために、このようなサイトを活用しているだろうか?コメント欄に体験談を投稿してもらえると嬉しい。


この記事は、Social Media Explorerに掲載された「The Good And Bad Of Groupon And Small Businesses」を翻訳した内容です。

$8000、70万円近い赤字となれば小さいカフェのオーナーにしてみると死活問題ですよね。ちなみに外部記事で紹介されている他の事例も「オフィスが閉まっていて申込停止をグル―ポンに依頼できない早朝の時間帯にオーダーが入りすぎてしまい赤字になった」というような内容でした。そもそも利益率の低い飲食店にとってはクーポンが売れすぎてしまうことで、予想以上の赤字を引き起こしてしまう、ということは十分にありえることですよね。半額オフでさらにグル―ポンに手数料を支払いという内容では、常識的に考えて利益を出すことは不可能に近いと思いますし、プロモーション手段として割り切って予算を決めて取り組むことが大事ではないでしょうか。当たり前といえば当たり前のことですが、深く考えずに見切り発車してしまうケースもあるのでしょうか。

また変に「クーポンを売って儲けよう」なんてことを考えてしまうと今回の日本でのケースのようなトラブルにつながりかねないのではとも感じます。そもそも「儲かる」構造のクーポンで顧客満足を引き出せるとは中々考えにくいですし(飲食の場合)。文中にあるように「また来たくなるような取り組み、あるいは来場中に高い商品を買ってもらう取り組み」をどこまで考えて行っていけるかということが大事なのでしょうね。 — SEO Japan

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