SEOmoz対SEO Book、トップ検索マーケッター2人のトークバトル

最終更新日:2024/02/17

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今回はアメリカのSEO業界のエース2人による長編インタビューを。SEO Bookのアーロン・ウォールがSEOmozのランド・フィッシュキンへの単独インタビューを行った内容になります。SEOはもちろん検索マーケティングにそれなりのレベルで携わる人なら必読。 — SEO Japan

ランド・フィッシュキン氏と私には多少意見の食い違いがあることは周知の事実だ(特に追放に関するアプローチに関して) 😉

しかし、意見の違いはあるにせよ、同氏が抜け目のないマーケッターである点は間違いない。そこで、同氏のSEOのバックグラウンドを尋ね、私たちの意見が異なる分野における同氏の考えを記事にまとめることにした。興味深いことに、私が考えていたよりも遥かに多くの点で意見が一致することに気付いた。皆さんにはこのインタビューを楽しく読んで頂ければと思う 🙂

SEO業界でのあなたのキャリアを通じて、大きな個人的な功績を教えてください。

まずは小さな企業を個人で経営しているとき、私自身(そして母)を破産の危機から救った英断をまっさきに挙げます。それ以来、何度も素晴らしい境遇に巡りあいました:

  • カンファレンスでの初めてのプレゼン(2004年のSES トロント)
  • コンサルティングからソフトウェアビジネスへの移行
  • ベンチャー投資を獲得
  • チームを構築(人材を採用しただけではありません)
  • 国連の事務局長(パン・ギムン氏)との晩さん、そして、UNの技術責任者にSEOを説明したこと – 世界の紛争の絶えない地域の人々が検索を利用して、安全な避難所を探したり、逃げたり、情報を送信する経緯、そして、UNがSEOに関する機会を失っていた事実は衝撃的でした。私はそれまで自分達の職業が生きるか死ぬかの問題に発展するなどとは思ってもみませんでした。
  • 米国で最も成長が早い企業を取り上げたInc 500 リストに入ったこと(地獄のような不況でした)
  • 恐らく私の最も大きな功績は、私の妻との関係でしょうか。私の人生に何が起きても、妻が支えてくれました。そして、愛してくれました。だからこそ私のような人間でも苦しい時期を乗り切ることが出来たのだと思います。

Geraldine & Rand in San Francisco
サンフランシスコで休暇を楽しむ妻と私(妻のブログ

SEOにおいてフィッシュキンさんが学んだ最も直観から外れていることは何ですか(例えば、理論的には失敗するはずなのに、うまくいくこと、またはその反対のパターン)?

最も分かりやすく、個人的に頻繁に感じているのは、“最高のコンテンツは滅多に成功しない”と言う点です。システムの滑車とレバーを(意図的であっても無意識であっても)最大限に活用するコンテンツは、検索エンジンが“意図的”に上位にランクしようとするコンテンツよりも遥かに早く上位に格付けされます。

非常に積極的な販売戦略、とてもネガティブで不愉快なコンテンツおよびパーソナリティの成功も忘れてはなりません。恐らく、私が育った環境、あるいは、世間に対する私の見解が影響しているのでしょうか、私はこのような特徴を経済的な成功の妨げになるものだと考えていました。しかし、そうではないのです。このような特徴は自身の満足感および幸福感とは関係していないように見えます。そして、このような問題を持つ人々/組織において、この傾向は顕著に見られます。

私がいつも成功することに驚かされる技術的な戦略があります。それは、明らかに有償のテキストリンクを掲載する戦略です。数ヶ月前、リンクスケイプのインデックスを使って、ID 90%以上の有料リンクスパムをシンプルなプロセスを通して利用することが出来る点に気付きました:

  1. 1万または10万のクエリを収益化することが出来る用語/フレーズを利用します(上位のアドセンスの収益性の高いリスト等を介して)
  2. 別のウェブサイトに向かう外部のアンカーテキストのリンクを2本以上含むページを探します(例えば、ページAが、123.comに向かう「office supplies」と表示される1本のリンク、そして、456.comに向かう「student credit card」と表示される1本のリンクを持つ場合)
  3. リンクの計算を行う際は必ずこれらのリンクからもたらされる値を除外します(関連性/ランキングに影響を与えることはありませんが、ほぼすべての有料リンクの効果をそぎ落とします)

私たちはすべての作業を実施することなく実際にこの戦略を採用したわけではありません。そのため、実行に移すのが難しい特別な理由があるのかもしれません。しかし、3、4本のリンクのページにもこの方法を適用し、ウェブの大量の“有料”リンクグラフを取り除くことが出来る点は衝撃的です。グーグルが明らかにこの点を実施していないため、うまくいくはずはないのですが、いまだに理由が分からずに私は苦しんでいます。

話は変わりますが – 私は複数のSEOのプロの方にリンクスケイプ/オープン・サイト・エクスプローラを介して、この戦略をメトリクスにすることが出来るか尋ねてみましたが(例:“このページが有料リンクを含む可能性”メトリクス)、揃いも揃って反対されてしまったので、この戦略を近い将来実施することはないでしょう。

フィッシュキンさん達は、透明性の概念をマーケティングの大きな切り口として推進しようとしていました。そのため、リンクスケイプをローンチした際に非難されましたね(そしてその他の幾つかの状況においても)。透明性の観点をプッシュした取り組みは、全体的に役に立ちましたか?それともマイナスに働きましたか?

SEOコミュニティの住民は、内部の対立を大げさに取り上げる傾向が見られます。私やあなた、そして、多くの業界の内部の人間がこの問題を把握し、このような類の問題から何かを得ようとしている点は同意します。しかし、ソフトウェア企業として、数千名の有料購読者、および、数万名ものメンバーを抱えるSEOmozへの影響は、私個人への影響よりも遥かに少ないようです。

リンクスケイプの問題ですが – 少なからず、- 正直に申し上げると – 私たちがこれまで遭遇した最悪の評判/ブランドに関わる問題は常に個人的な問題や論争に関係しています(誰かのブログへのコメント、私たちが投稿したエントリ、もしくはYOUmozでの投稿を許可した作品)。問題が発生した理由を説明することはできませんが、この時点においてはこのような問題には予測可能なパターンが存在するのではないかと思います(ウォールさん自身も見分けがつくはずです – 事実、この話題を分かりやすく説明するエントリを投稿しています)。そのため処理するのは簡単です – 怖いのは予測不可能な問題です。

私たちは透明性を本質的な価値として維持しており、常に透明性を推進するために働きかけています。個人的には本質的な価値とは、“収益や利益よりも私たちが重要視していることがら”を指します。そして、たとえ計測が困難であり、逆効果があったとしても、私たちは今後も維持します。実際にオフィスにはデザインチームが作成した以下のポスターが掲げられています:
The "T" in TAGFEE
TAGFEEのポスターから抜粋

この件を私以上に分かりやすく説明する大好きな引用があるので紹介します:

「(私たちの)本質的な価値は競争で優位に立つことになったのかもしれません。しかし、この価値を持つ理由とは異なります。この価値自身が私たちを定義しており、たとえ競争上の不利になっていたとしても、私たちは変わらずこの価値を抱えていくのです」 – ラルフ・ラーソン、ジョンソン・アンド・ジョンソン CEO

透明性が功を奏するのはどのような事業だと思いますか?また、透明性が役に立たないのは、どのようなタイプの事業だと思いますか?

そうですね… 私はすべてのタイプの事業に当てはめたわけではありませんが、ほとんどすべての企業が透明性からメリットを享受することが出来るのではないでしょうか。ただし、新たなリスクを背負い込むことになります。透明性を保っていても、軍事ビジネスの業者、特許荒らし、そして、ソーセージの製造業者が好転するとは思えません。

フィッシュキンさんは、投資家を維持しながら、どのように透明性を管理してきましたか?

投資を獲得した後は難しくなると思っていました。しかし、彼らは大半のケースにおいて協力してくれています(リンクスケイプの一部、特に特許の申請等は例外)。支援してくれる人がまったくの別人であった場合にも同じことが言えるとは言い切れませんが、だからこそスタートアップ企業が投資家を選ぶ際は、夫/妻を選ぶときと同じように選ぶべきだと言うアドバイスが的を射ているのではないでしょうか。

投資資金を獲得した際、主に手に入れたのは資本だけですか?それとも、その他に無形の資産がついてきましたか?投資家の方々は、ビジネスモデルを構築する上でどのように支援してくれましたか?

投資のおかげで間違いなくソフトウェアのモデルに、より焦点を絞ることが出来るようになりました。お気づきのように、2010年はコンサルテイング業務を完全に停止し、基本的に測定不能な収益の構造をすべて制限し、ベンチャーキャピタルが支援する事業の目標に一致するように心掛けています。私たちは素晴らしいアドバイザーを抱え、また、ベンチャー投資なしでは運営が難しい、多くのテクノロジーおよびスタートアップのコミュニティでさらに多くの注目を浴びました(しかし、この傾向はここ数年で変化しているように思います)。

フィッシュキンさん達は、投資家を買収しようと検討したことはありますか?買収されたら、どんなことになるのか心配していますか?

そんなことが出来れば最高ですが、恐らく不可能でしょう(SEOmoz以外で個人的な思いがけない巨額の収入が入れば話は別ですが)。私たちが1ドルでも多く稼げば、投資家の方々は私たちの会社の未来を有望視し、ポテンシャルの限界に達する前に株を手放す可能性は低くなるでしょう。ベンチャーキャピタルは、ハイリスク・ハイリターンであり、つまり中規模の収益力のあるモデルよりも、いちかばちかの賭けが好まれるのです。$3億ドルを超える投資に$500万ドルや$1000万ドルの資金を加えても、ベンチャーキャピタルにとってはあまり効果はなく、そのため$500万ドルや$1000万ドルを取り戻すための破産は許容範囲であり、また、その方が好まれる場合があります。

VC Chart of Returns
私はこの件について「ベンチャーキャピタルプロセスに関するエントリで詳細に説明しています(2009年の夏に資金獲得に失敗した件を取り上げています)。

現在、フィッシュキンさんは有名人です。そして、十分な資金を獲得しており、SEOに関してはリスクの低い戦略を採用していますね。しかし、この業界に参入したばかりであり、資金も限られているとしたら、当面の資金を得るためにスパムを生成しますか?また、どの時点で、スパムを行う方が忘れされるよりもリスクが少ないと考えますか?

素晴らしい質問です 🙂

スパムは道徳的な問題でも倫理的な問題でもないと思いますが、ホワイトハットのサイトとして、ブランド構築よりもスパムの方が価値がある冒険だとは思えません。一夜の成功は数年の努力の結晶であり、蓄えを得るためにスパムを用いて、その時間を無駄に過ごすのではなく、腰を落ち着け、自力でスタートしたいものです。しかし、それが誰にでも当てはまるとは思いません。ウォールさんもご存じのように、私には怪しい取り組み(出来れば知りたくないほど)を何度も行ったことがある友人がたくさんいます)。しかし、だからと言って彼らを軽蔑していると言うわけではありません。

リスクの低いSEOに関連して、フィッシュキンさんは、なぜ私たちのサイトのいずれもがいまだに「seo」でグーグルから1位に格付けされないのだと思いますか?そして、ランキングには多くの事業面での影響があると思いますか?

私たちはランキングモデルでクエリを確認したことがありますが、恐らく私たちがウィキペディアの結果、グーグル、あるいはSEO.comよりも上に行くのは難しいでしょう(グーグルがドメインの完全な一致を好む癖をやめてもらえれば話は変わってくるかもしれません)。とは言っても、私たちはともにSEOchat.com(そしてその他の一時的に登場するサイト)には、すぐに逆転しなくてはいけません。私たちのサイトの数名のエンジニアは潜在的ディリクレ配分法(LDA)がこのような非常に競争の激しいクエリをよりよく理解する上で役に立つと考えているようです。

Analysis of "SEO" SERPs in Google
グーグルドットコムの「SEO」に関するSERPの分析、リンクスケイプのメトリクス + LDA(クリックすると拡大します

事業面での影響に関して、- そうですね、私たちのどちらにとっても、嬉しい話ではないですね(また、他の特定の単一の用語/フレーズにおいては、このように感じることはありません)。トラフィックよりも、関連する認識の方が大事です。

ユニークなものを売るSEO業者として(どこにでも売ってる製品ではなく、また、アフィリエイトとしてもなく)、私は口コミマーケティングの方が、SEOよりも遥かに効果が高いことに気づきました。フィッシュキンさんは、SEO業界で検索結果は懸念としてあまりにも誇張されていると思いますか?SEOmozの売り上げの大半は口コミによるものですか?

私はウォールさんが以前所属していた業界を心得ています。しかし、私たちの分析では、複数のチャンネルを組み合わすことで、売り上げがもたらされることが分かっています。人々は検索して、私たちを見つけ、そして、閲覧しています。あるいは、私たちの噂を聞き、情報を求めて検索するでしょう。その後、ソーシャルメディアまたは紹介するサイトで私たちを見つけ、無料のアカウントを登録するのではないでしょうか。そして、私たちからeメールが届き、PROについて確認し、一度去ります。数カ月後、SEOについてもっと真剣になり、ツールまたは答えを求めて検索し、私たちに再び出会い、最終的に「この人達は信頼できそうだ」と思ってもらえるのです。

だからこそ、直近の訪問先が危険なのです。しかし、マーケティング/ブランドの存在を複数のチャンネルで維持する重要性は分かってもらえるでしょう。SEO業者の多くはすべての問題を釘、そして、仕事をハンマーと見ている所以がここにあります。

検索が合うビジネスモデルはどのようなモデルだと思いますか?また、反対にどのようなビジネスモデルが検索とは合わないと思いますか?

ウェブ上で収益化出来るコンテンツや製品を持っており、その製品が既に人々がウェブ上で検索しているアイテムに関連しているなら、その事業は最適だと思います。検索する側にとってまだ必要とされていない新しい何かを“考案”する製品/サービス/事業にはあまり向いているとは思えませんね。情報であれ、取引であれ、娯楽であれ、人々が既に弱点を心得ている問題を解決しているなら、検索は非常に役に立つでしょう。その弱点があまり大きくないなら、若いなら、あるいは、既存の検索オーディエンスがいないなら、ブランディング、アウトリーチ、PR、そして、クラシックな広告の方が効果は高いかもしれません。

あまりにも収益率が低いのでSEOを行う価値はないと企業に伝えたことはありますか?

実はあります!私は数年前Gistと言う名のシアトルの地域のスタートアップ事業にアドバイスを贈り、人々がeメールを送信するソーシャルプラグインのニーズを理解し始めて、実際に検索を始めるまでは、SEOはあまり意味がないと伝えました。これは多くのスタートアップに言えることです。

Mixergyに関するインタビューで、フィッシュキンさんは、検索業界に参入したばかりの頃、借金があったと言っていました。もし誰かがウェブで仕事を始めるとしたら、フィッシュキンさんなら、いつ、借りた資金を使ってサービスを成長させるアドバイスを贈りますか?

借金は賢明な判断とは言えません。少なくとも私が借りた金額はお勧め出来ません。近頃、ウェブはますますお金がかからなくなっている業界であり、無駄を省いたスタートアップ起業のブームにより、軍資金1万ドル以下の多くの企業が生まれています(その多くは小規模ではありますが成功を収めています)。このような企業が借金をする意味はありません。とりわけ、現在の債券市場の恐ろしさを考慮すると、あまりこのルートを深追いするべきではありません。低コストのローンを家族や政府が支援する低金利のスタートアップ助成金を得ることが出来るなら、それに越したことはありませんが、クレジットカードの借り入れ(私のように)は、問題外です。

ビジネスを始めた頃、その借金のストレスがあったにせよ、とても幸せそうに見えましたが、フィッシュキンさんはどのようにして存在感を維持することに成功したのですか?

正直に言うと、私はあまり借金のことは考えなかったんです。3万ドルほどお金を借りているなら、月ごと、そして、日ごとに幾ら返せばいいのかばかり考えてしまうはずです。45万ドル借り、夫婦揃って必死に家賃を払っているなら、大きな成功を収めてすべて返済するか、あるいは、破産を申請するかを考えるようになります。後者になるまでは、前者を意識するでしょう。その他に出来ることがほとんどないのです。

ボブ・ディランも言っているように – 「何もないなら、失うものもない」のです。

この業界に参入したばかりの多くの人々は公の場で話すことを恐れていますが、フィッシュキンさんは当初から受けがよかったですね。講演に対してどのように準備していたのですか?また、良いプレゼンを行う鍵は何だと思いますか?

そんなことはありませんよ – 最初の数回のプレゼンは思いっきり失敗しています。誰もが最初は失敗するのではないでしょうか。私のプレゼンが受けたのは、少なくとも個人的にそう思うのは、ウェブで既に支持者を獲得し、そこからポジティブな評価を得ていたからです。大きなプレゼンで心構えが出来ているのは(グーグルのウェブスパム/検索クオリティチームと協議する際、または、カンファレンスのキーノート等)、それまでに何度も経験を重ねてきているからです。その件に関して、チャンスを与えてくるダニー・サリバン氏に感謝しています。

– まずは小規模なプレゼンから始めること、出来るだけ多くこなすこと、動画を活用すること(カメラの前で堂々と振舞うことが出来れば、生の観客の前でも素晴らしいプレゼンを行うことが出来るでしょう)、そして、お気に入りの講演者やプレゼンターを真似することを勧めます。

大企業がグーグルのガイドラインを何度も違反しても、通常は何もお咎めはありません。適当な例を挙げるとすると…そうですね…マハロにしましょう。しかし、小規模な企業がレーダーに引っ掛かると、グーグルのマーケットシェアがあまりにも大きいために、つぶされてしまうのです。このようの2通りの反応には違いがあるため、小さな事業を追い出すのはナンセンスだと思います。なぜなら、個人からの機会を奪う一方で、社会に醜い影響を押し付ける大企業の背中を押すからです。フィッシュキンさんはそうは思いませんか? 😀

ほとんどの意見には同意しますが、小規模なスパマーを追放するのはもはやナンセンスではなくなってきているのではないでしょうか。グーグルが基準を不公平に適用している点には同意しますが、公平な世界など存在するとは思えません。もし、mikeyspaydayloans.infoがグーグルのインデックスになくても、誰もグーグルのことを悪く言う人はいないでしょう。一方、もし、Disney.comがグーグルに掲載されていなかったら(たとえこのサイトがブロゴスフィアでリンクをまったく買っていなくても)、検索者はグーグルを信頼しなくなり、検索エンジンを変えるでしょう。このような環境で賢明な行動を取りたいなら、お咎めなしで許されるぐらいの存在感を持っている場合のみ、ガイドラインを違反するべきなのです。

グーグルのこのような問題への対処には満足していませんが、スパムがSEO業界のイメージを歪曲している現状にも満足していません。毎日テクノロジー業界の有名人が必ず私たちの業界の悪口を言っています – そして、10中8、9、それはスパマーが原因なのです。SEO業者はスパマーを“追放”するべきではないと言う理由で彼らを守ったら、ただでさえひどいイメージがさらに悪くなります。大半のウェブスパムは「SEO」と識別されるべきではありませんし、私たちの業界をマーケティング部門やエンジニアリング部門から正当に評価してもらいたいなら、醜い影響を私たちに与えるような人々を守るべきではないのです。

この件に関しては意見が食い違うことは分かっていました。しかし、それにしてもいつも興味深い議論になりますね 🙂

(パブリッシャーとして)取り組みを実行する場合と、教える場合/コンサルティングを行う場合の間に所得にギャップが見られます。フィッシュキンさんは、現在、このような大きなギャップが生じている理由は何だと思いますか?

教える役割はいつも利他的な取り組みになります。その他のほとんどの業界の先生達のことを考えてみてください – 彼らは製品/配信を重視する同僚よりも遥かに収入が少ないのです。コンピュータ科学を教えている人達は、グーグルやマイクロソフトに勤務するコンピュータの科学者が稼ぐほどの収入を得ることはありません。数学を教えている人達は、ウォールストリートで働く“金融アナリスト”よりも遥かに給与が低いのです。悲しい現実ですが、これが、マーケット・モーティブサード・ドア・メディア、そして、オンライン・マーケティング・コネクト等、教えるだけでなく、収益性の高い事業を構築することを望む人々から私が評価される理由です。私は収益を求めつつ、崇高さを感じさせる取り組みを理想としています。

フィッシュキンさん達は、ブランドの認知度が高いために高い料金を要求することが出来るにも関わらず、ブランドのコンサルティング分野から撤退しました。そこで、多くのコンサルタントが同じ行動を取り、別の分野に進出すると思いますか?SEOのビジネスモデルが今後の3年から5年でどのように進化すると思いますか?

他のコンサルタントが撤退するとは思いません – 私たちのコンサルティングビジネスはとてもうまくいっていましたし、SEOコンサルティング企業を運営する友人はとても成長していると話していました。利鞘および出口価格の評価は、VCにとっては意味がない行為です。しかし、決して劣悪なビジネスだとは思いませんし、他のコンサルティング企業も素晴らしいサービスを提供しているはずです。先日、iCrossingがHearstに$3億2,500万ドルに売却された件を見てください。コンサルティングサービスを提供する素晴らしい企業を設立することは可能です – ただ単に私たちはこのルートを辿らなかっただけです。

SEOのビジネスモデルの進化についてですが、社内のSEOおよび外部の業者/コンサルタントにおいて、今後数年間で、さらに洗練され、自動化され、そして、さらに拡張可能になるのではないでしょうか(そして、出来ればさらにこのような進化を支援するソフトウェアが開発されることを望みます)。SEOのコンサルティング事業が2002年からほとんど進化していないのに対し、eメールマーケティングや分析では、ソフトウェアが標準となり、優れた数多くの企業が競い合っています(分析分野ではグーグルが競争を少し難しくしていますが、それでもキスメトリクスアンバウンス等の企業は素晴らしく、興味深いサービスを提供しています)。

小規模な企業はいろいろな意味で不当に評価されているマーケットだと思います。しかし、同時にサービスを提供するのが難しいマーケットでもあります(時間の制約があり、そして、予算も少ないため)。フィッシュキンさんは、地図 & その他のバーティカルの台頭は、小規模の事業体に大きなチャンスを与えると思いますか?それとも、これらのバーティカルは、彼らが学ばなくてはならない複雑なアイテムでしかないと思いますか?

恐らく、後者よりは前者の方が可能性は高いでしょう。私の知り合いの小規模な事業のオーナーは、主な収益源になる場合のみ、ウェブのことを学ぶ傾向があります。地域の事業体が成熟し、ウェブを熟知するまでさらに10年間ぐらいかかりそうな気がします。当然ですが、この傾向は、時間とリソースをウェブに投じる人々にとっては優位な働きますが、これは同時に地域の産業がオンライン(もしくは検索エンジン)では“未完成”であることを意味するため、消費者にとっては理想的な状態とは言えないでしょう。

有料検索 & SEOの投資の差はいつ縮まるのですか?(縮まるとするなら)

現在、縮まっています。有料検索は集中的に資金が投じられており、マーケットとして成熟していると言っても過言ではありません(少なくともグローバルなウェブ検索においては。先程の質問は地域に関してではないと見込んでいます)。SEOは、フォレスターリサーチによると、年複利成長率(CAGR)が増加しているようなので、やはり差は縮まっているのではないでしょうか。

Forrester Growth of SEO vs. Paid Search
via Forrester Research's インタラクティブマーケティングの予想 2009-2014年

時折、グーグルのポリシーは、矛盾する政府の経済学者のコメントのように聞こえてしまいます。しかし、グーグルでさえアフィリエイトネットワークに投資しており、これは、HTMLのリンクを支払いに応じてコントロールしていることを示唆しています。グーグルはその複雑な仕組みが原因で失墜する前に、もしくは、規制当局から注目を浴び、変更を余儀なくされる前に、さらにどれぐらい成長すると思いますか?

グーグルが慎重に行動し、政治献金およびパブリックリレーションズに膨大な投資を行えば、今後5~10年間は安泰でしょう。未来のウェブは憶測の範囲を出ません。また、予測不可能な特質や大幅な変更により、大半の規制をかわすことが出来るのではないでしょうか。フェイスブックの台頭は、たとえグーグルがソーシャルウェブでは太刀打ち出来ないため不満が残るかもしれませんが、政府の干渉におけるリスクに対しては良い影響を与えるでしょう。

かつてフィッシュキンさんはフェイスブックとツイッターから大量のトラフィックを得るものの、売り上げに全くつながらいとブログで嘆いていましたね。検索がウェブの中心から外れる日はやって来るのでしょうか(収益化に関して)?または、これらのネットワークの大半は、ブランディングにおいてのみ役に立つのでしょうか?

直接的なトラフィックのポータルとして、フェイスブックとツイッターのユーザーがグーグルの検索ユーザーのように、購入/リサーチプロセスを行うとは思えません。これらの企業はグーグルのモデルまたは意図と競合する製品を今後ローンチする可能性はありますが、彼らの現状を考慮すると、フェイスブックとツイッターが直接的な販売のチャンネルになるとは考えられないのです。これらのサービスは、トラフィック、ブランディング、認知、そして、広告収益モデルのサイトとしては立派ですが、関連性または検索の価値がなくなる点を心配するマーケッターにとっては脅威には映っていないでしょう。

LDAとLSIの大きな違いは何ですか?

どちらも用語/フレーズのベクターのスペースモデルを構築し、より“関連性の高い”コンテンツを見つけるため、その間の距離を計測するメソッドです。1988年に開発されたLSIは多数のスケーリングの問題を抱えています。同類のPLSI (確立的 LSI)がこの問題の一部を解決するために1999年に登場しましたが、まだスケーリングの問題は残っています(インターネットは本当に大きいのです!)。また、基本的なソリューションが適切な場合でも、複雑なソリューションに偏る傾向が見られます。

2002年に生まれたLDA(Latent Dirichlet Allocation)は、同じ精度を持ち、同じ目的を持つものの、LSIよりもさらにスケーラブルなシステム(完璧ではありませんが)と言えるでしょう – LDAは数学的に概念と言葉の間の距離を表示します。メジャーな検索エンジンはすべてこのシステムを大学で学んだ従業員を数多く抱え、グーグルにはLDAに関する論文や記事を書いている従業員がたくさん在籍しています。私たちはベクタースペースモデルに対するメソッドとして、LSI/PLSIよりもLDAが世界的に好まれる点を把握していますが、グーグルも大いにLDAを活用してきた可能性が非常に高いです。

続いて「ブランド」のアップデートが、検索クエリのつながりが発生する理由として描かれています。Wired(ワイアード)の記事で、アミット・シンガル氏もまたグーグルがバイグラム分割プロセスにおいてエンティティを探す仕組み、そして、検索クエリのシーケンスがこのような関係を理解する上で役に立つことが多い点を強調していました。フィッシュキンさん達は、どのように同じようなデータベースを検索セッションにアクセスすることなく、構築したのですか?もしくは検索データを買うことが出来たのですか?

検索機能のベクタースペースモデルでは、距離およびデータセットは、クエリログよりもコーパスを活用しています。事実上、LDA(またはLSI、もしくはTF-IDF)において、最初の検索クエリを持ち出す前に、関連性を計算することが出来るようにしておきたいはずです。私たちのLDAの作業および研究室のLDAツールは、約800万のコーパス(ウィキペディア)を利用しています。グーグルのLDAはほぼ間違いなく自社のウェブインデックスを利用しているでしょう(あるいはその一部)。

クエリのデータを同じ目的で利用することも可能です(しかし、人々が検索する方法に違いがあり – 長い用語やフレーズではなく短い用語が好まれるため – 恐らく別の方法で用いられているでしょう)。これはグーグルの優位性をさらに増す効果があるでしょう(マーケットシェアを支配している点を考慮すると)。

グーグルの存在が時間の経過とともに変わるのではないかと考えることがあります(コアのキーワードではなく、関連するキーワードをターゲットに選ぶアウトライヤー(離れた)ページの急激なランキングの上昇および下降を考慮すると、あるいは、2つの似たようなキーワードの検索結果が全く同じ結果を表示する場合もあれば、まったく異なる結果を表示する場合もあるとき)。フィッシュキンさんは、どのようにこの類の変化を説明しますか?

現時点まで、私たちはモデルを特に変更していません – と言っても先週ローンチしたばかりですが。しかし、一貫して行える取り組みが一つあります。それは、私たちのモデルをグーグルの検索結果に対して実行することです。こうすることで、グーグルが変更を加えると、私たちのスコアも変化するのです(最終的に、私たちが行うアドバイスも変わるのです)。グーグルを関連性において“倒す”のではなく、これは、グーグルのポジションを特定するサービスの良い面(競合する検索エンジンはグーグルに勝ちたいと望むため)と言えるでしょう。

SEO業界で昔からとても嫌いだったことがあります。それは劣悪なオールインワンのデスクトップツールです。この類のツールは、誤ってキーワード「the」の密度を変えようとさせたりするのです。私たちが無料のファイヤーフォックスのエクステンションを提供するために大金を投資してきた理由の一つは、このようなオールインワンのツールが嫌いだったからです。多くの優れたSEO業者は、オリジナルのミックスおよびマッチングアプローチを好むようです。先日、オールインワンのような作業を行うウェブアプリケーションを立ち上げましたね。その際、多くの人々が嫌うデスクトップのソフトウェアに勝る製品を作るため、失敗は許されない感じた重要なアイテムは何ですか?

ウェブアプリの構築に対するウォールさんの思いは、その他のほぼ全てのウェブマーケティングのバーティカルでソフトウェアが進化した経緯の影響を受けているのでしょう。オンライン調査の部門では、かつては一度きりの調査を自分で作っていましたが、Wufoo(ウーフー)やSurveyMonkey(サーヴェイモンキー)等のサービスは、総合的で、シンプルで、且つ強力なソフトウェアを巧みに開発しました。その他の分野にも同じことが起きています:

  • PPC – グーグルはアドワーズの統合、そして、オプティマイザー、さらにアナリティクスをローンチすることでPPCをうまく管理してきました
  • CRM – Salesforce(セールスフォース)は元祖
    “オールインワン”のウェブマーケティングソフトウェアであり、このモデルを使って優れた会社を作ることが出来る点を証明してきました。現在、InfusionSoft(インフュージョンソフト)やその他のサービスも急速に素晴らしい事業を構築しています。
  • Eメールマーケティング – Exact Target(エグザクト・ターゲット)、Constant Contact(コンスタント・コンタクト)、Mailchimp(メールチンプ)、MyEmma(マイエマ)、iContact(iコンタクト)、そして、その他の多くのツールが、eメールマーケティングを処理する“オールインワン”のソフトウェアを提供することで、多額の収益を上げています。
  • バナー広告 – Aquantive(アクゥオンティブ)、DoubleClick(ダブルクリック)、AdReady(アドレディー)等のプラットフォームは、オンライン広告で大規模な収益を上げるスケーラブルなソリューションを提供しています。
  • 分析 – 一度きりのログファイル分析ツールを使っていた時代、そして、自分でツールを構築し、データを発掘していたコンサルタントがいた時代がありましたね。この類のコンサルタントは今でも活動していますが、彼らは現在- グーグルアナリティクス、オムニチュア、ウェブトレンズ等 – 遥かに強力なツールを使っています(そして、KISS メトリクスのような新たなツールも)。

恐らく強力なプレイヤーは今後もそれぞれのサービスをマッシュアップし、改善し、そして、独自のツールを構築し、さらにマーケットでの独占的な立場を高めるため、そして、(願わくば)競争力をつけていくでしょう。そのため、秘密のプロセスを守ると言うウォールさんの予測は恐らく的を射ているでしょう。しかし、これらのサービスは釣鐘曲線の遥か彼方にいるのです。上述の業界(そしてその他の多くの業界)はそれぞれの分野において、大勢の人々が選び、利用し、そして、気に入るスケーラブルなソフトウェア製品を作るためには、釣鐘曲線の中間から上端の部分を最適化すること以外に考えられません(距離を置くエキスパートになるのではなく、“中級”から“上級”にレベルアップすると言い換えることも出来るでしょう)。

ランキングのデータを集める際、APIを使いますか?使わない場合、このレベルまでデータの抽出を上げるには、技術的な面でどれほど苦労しましたか?

一部のデータについてはAPIを通して集めることが可能ですが、大半のデータはAPIでは得ることが出来ないので、効果的に情報を得るためには比較的強固なネットワークが必要になります。幸いにも、私たちは優秀なエンジニアのチームを抱え、そして、エンジニアリング部門の副社長はアマゾンやマイクロソフト等のサイトでデータの抽出を経験しています。間違いなくこれは私たちが直面した技術的な問題の中でも10本の指に入りますが、トップ3には入らないでしょう。

自作のアプローチでは手に入れることが出来ないものの、オールインワンのアプローチを行うことで手に入れることが出来るものは何ですか?

利便性、一貫性、UI/UX、ユーザーフレンドリネス、そして、スケーラビリティは大きな利点です。しかし、“隠し味”的な感覚、そして、奇妙な状況や結果を現場で一対一で対処することで得られる力を若干失ってしまいます。私たちのウェブアプリを利用する多くの人々がエッジケースの問題を指摘していますが、私たちが理想的なアプローチを取っているとは言い難いでしょう。また、この欠点を解決するのは時間がかかりそうです。

一部の企業は推測分析を用いて、自動的にページのタイトル & その他の特質をまとめて変更しています。このアプローチには大きなリスクがあると思いますか?SEO業者は、顧客を維持するため、CMSツールをパッケージの一環として提供し、一方でSEOのプロセスをさらに深いレベルで統合しているのですか?

昨年の夏、ベンチャー資金を獲得する活動を行っていた頃、多くのVCが納得し、この分野で製品を持つべきだと言う主張を認めてくれました。

個人的には好きではありませんし、うまくいくとは思えません。その理由を説明させて下さい:

  • 検索エンジンのために最適化を行う自動的なシステムではなく、編集者/ライターがコンテンツに対して責任を持つべきです。確かに、この類の自動シシテムは、推奨することは出来るかもしれませんし、また、そうするべきだとは思いますが、「完璧なSEO」が、サイトで用いられる用語やフレーズの全てを束縛してしまうなら、コンテンツおよびユーザビリティの未来が心配です。
  • リンクがシグナルとして重要視されているため、機械が作った感じが丸出しの“完璧”なページにリンクを張るよりも、人々が実際にリンクを張りたくなるような若干ターゲットをぼかしたページを持っていたいですね。
  • 自分の作品に誇りを持っているなら、コンテンツのクリエイターは自らが検索エンジンから見返りを受けるような役割を果たすべきだと思います(少なくとも長期的には – ディマンド・メディア等に対する反対運動がうまくいくことを望みます)。また、このようなシステムを認めないコンテンツ・クリエイターは、自分達のコンテンツがアルゴリズムの評価に基づいて自動的に変えられることに満足出来ないはずです。

このようなシステムがプラスに働く場合もあるでしょう。例えば、- 標的に最も近いページだと判断したページへの被リンクを獲得するため自動的にページをリダイレクトする404ディテクター。

先日、フィッシュキンさんのブログでは、ドメインのオーソリティモデルのスコアを変更した後、騒動が起きていました。この反動は予想していましたか?スコアになぜこのような大きな変更を加えたのですか?

私たちの意図するテストが、明らかなスコアを誤って判断していることに気づくまでは確かに驚いていました。

基本的に、私たちはDAとPAをコンピュータの学習モデルを使って計算しています。このモデルがさらに“相関性”の高い結果を見つけると、私たちはこの結果をシステムに反映させ、新しいスコアを作ります。残念ながら、8月末のリリースでは、良質な相関性の平均スコアを出していましたが、一部のスコアは異常に外れていました(例えば、単一のページのキーワードにマッチするドメインがDAで100を獲得していました)。

私たちは先日アップデートしたスコアを展開しました(予想していた時期を前倒ししました – 数週間後を見込んでいたのです)。そして、どうやらスコアは改善されたようです。フィードバックはいつも歓迎しています。

SEO業界に参入した頃(そして参入後の数年の間)、ある人物の上位の被リンクを分析し、容易にそのほとんどを複製することが出来たような気がします。それ以降、SEOの知名度は上がり、グーグルは有料リンク等を取り締まるようになりました。そのため、SEOへの多くのアプローチが分析から離れ、その代わりにクリエイティブなマーケティングを行い、そのうちの一部が留まることを願うだけになりました。フィッシュキンさんは、データを聖域として見ていますか?それとも、だいたいの出発点と見ていますか?データ & SEOへのアプローチは、時間の経過とともにどのように変化しましたか?

ウォールさんのアプローチは私のアプローチと全く同じだと思います。リンクのデータ、ソーシャルスタッツ、トピックのモデル等は分析プロセスには便利ですが、以前と比べると、“あのサイトの真似をして、もっとリンクを獲得しましょう”と言い切ることは遥かに難しくなってきています。

この分析とメトリクスの追跡は今でもとても貴重な戦力です。なぜなら、自分とリーダーの距離を特定する際に役に立ち、戦略的/戦術的な決定を下すための重要な見識を与えてくれるからです。また、進歩しているのか否かを判断する上でも便利です。しかし、かつてほどの絶対な力はありません。

SEOmozで私たちの悩みの種になっているのは、現在このような分析に役に立つレベルのデータしか提供出来ていないと感じることです。6-7年前に同じことが出来ればよかったのですが(当然ながら当時はもっとコストがかかり、マーケットは未熟で、現在のビジネスモデルを支えることは出来なかったでしょう)。

フィッシュキンさんなら、データの分析と戦略の実行にどれぐらいの時間を割り当てるべきだと提案しますか?データに見受けられることがある重要な & 簡単な有益な情報を幾つか教えてください。

ウェブアプリを使うと有益な情報が得られるのではないでしょうか(またはRaven(レイブン)、Conductor(コンダクター)、Brightedge(ブライトエッジ)等の競合者分析ソフトウェアを使うと)。データの収集/分析よりも、問題/機会の特定およびこういった問題の解決の方が、遥かに時間がかかります。

私たちの新しいウェブアプリの利点は、週に一度のクロールを通して明らかに修正が必要なページにIDをつけることが出来る点です(404や500、グーグルウェブマスターツールと似ていますが、私たちのウェブアプリはウェブマスターツールでは取り上げていない302、不正確なrel canonical等の20種類以上のデータポイントを持っています)。

Blekko(ブレッコ)は、ランキングモデルとリンクデータを共有することで、高く評価されているようです。ブレッコの最大の難点は、インデックスのサイズが制限されていることです。これはコスト費用対効果分析の結果が影響しており、一般公開する前に恐らくインデックスのサイズを拡大するでしょう。ウェブの一部の分野では、グーグルは私が想像していた以上にクロール & インデックスし、その他の分野ではあまり深く見てもらえないことがあります。フィッシュキンさんは、グーグルのクロールを何らかの方法で追跡する試みを行っていますか?また、どのようにクロールを管理し、グーグルが手にしている奥深い情報を手に入れ、一方でグーグルが重要視していない奥深い情報を敬遠しているのですか?

私たちはグーグル、ビング、そして、マジェスティックに対してほぼ定期的にクロールをマッピングしています。これらの検索エンジンに対する私たちのパフォーマンスのおおよそのイメージを伝えたいと思います:

  • Google – インデックスの中で最もフレッシュで最も“競争が激しい”(スパム/ジャンクを除いて)。規定のリンクスケイプのインデックスは、同じ時間の枠内でグーグルインデックスの40-60%程度ですが、ドメイン、そして、被リンクの多いページを網羅する取り組みに関しては自信があります。その一方で、大きなサイトでのディープクロールは不得意です。
  • Bing – ビングもグーグル並みに巨大なインデックスを抱えていますが、ウェブの人気のない分野における鮮度のレベルにおいては私たちはビングを上回っているようです(人気の高いブログ/ニュース等を取得する点に関しては、ビングの方が遥かに早いようです。これは私たちが月に1度しかアップデートしていない一方で、彼らは毎日複数回アップデートしているためです)。
  • Majestic – グーグル、ビング、またはリンクスケイプよりも遥かに多くのURLを持っていますが、鮮度や標準化においては上述の3つの検索エンジンよりも劣ります(インデックスで、同じページにも関わらず、奇妙なURLのパラメータが加えられた大量のページを見かけることがよくあります)。私たちはマジェスティックの機能の多くを気に入っており、同エンジンのサイズは羨ましい限りですが、規定のアップデートを繰り返すのではなく、継続的に追加していくモデルに移行するつもりはありません(容量が大きく増し、処理能力が大幅に早くなるなら話は別ですが)。


過去のURLを維持する際の問題は、WWWの崩壊を分析した際により明確になりました。

ウェブの奥深くに到達する点において、私たちはスパムおよび“薄っぺらい”コンテンツを制限する取り組みがこの領域では難しい点を痛感しています。eメールのトラフィックのうち90%以上がスパムだと推測されているように、すべてのページをクロールし、インデックスすると、ウェブでも同じような割合になる可能性があるのです。この問題の解決策として、私たちはmoxTrust、mozRank、そして、一部のPA/DA等のメトリクスを利用し、クロールを導く予定です。インデックスのサイズを拡大していくと(恐らく12月/1月になるでしょう)、この取り組みはさらに難しくなるでしょう。

今回、インタビューに応じてくれたランド・フィッシュキン氏にあらためてお礼を述べたい。同氏の見解を確かめたい方は、SEOmozブログを読み、ツイッター「@randfish」でフォローしよう。


この記事は、SEO Bookに掲載された「Rand Fishkin Interview」を翻訳した内容です。

テクニカルな情報が多くあるわけではありませんが、トップレベルの検索マーケッターが業界の現状と未来を考えているか色々分かって非常に示唆に富んだインタビューでした。ランド・フィッシュキンのいう有料リンクの排除手段(人気キーワードでリンクが直接張られているリンクを無効化)は究極ながら、確かにこれで有料リンク市場は消え去るかもしれません。とはいえ、多少の不具合もあるでしょうし、それはそれでアンカーテキストを調整した別の有料リンク市場ができるのでしょうが。

アーロン・ウォールがいう「有料リンクの効果が薄れてきた結果、クリエイティブなマーケティングを連発し、定期的なヒットを狙う。それがSEOにもなり口コミマーケティングにもつながる。」路線は、フィッシュキンも賛成していますが、実際問題、そこまで有料リンクの効果って英語圏で薄れているのでしょうかね。。。日本では海外ブログのコメントスパムもワードサラダもまだそこそこ効いているようですけど。しかしSEOmozは売上がツールASP中心に4億円位あるんですね。それ以上に、検索マーケティングの老舗会社iCrossingが350億円程度で今年の6月に売却されていたことにも驚きましたが。流石、グローバル市場の評価は高い。。。負けずに日本勢も頑張りましょう! — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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