Googleの来たるべき検索改革に備えるには?

Google検索が大きく変わる噂を検証する記事を紹介し、「あまり気にする必要はない」ような話をしてしまいましたが、そうはいっても検索の世界が今後ソーシャル、ユニバーサル、セマンティック等と関連しながら大きく変化していくであろうこともまた事実。前述の記事でも少し触れていましたが、現時点での検索の王者であるGoogleにとっても中長期的にAppleとの検索における対決は不可避ともいえ、Googleがこれまで培ってきた様々な検索技術とノウハウを全面投入して勝利していこうとするでしょう。特に実装面での有効性はまだまだともいえるセマンティック技術に関しては今後大きく進化していく可能性は高いです。その辺りまで考慮し、検索の未来についてより広い視点で捉え、今後あるべきSEOを考えた記事を。 — SEO Japan

グーグルが次に実施する変更が気になるだろうか?グーグルの次回の変更が大規模な変更になるかどうかに関しては意見が分かれるかもしれないが、検索の分野に変化の嵐が訪れようとしており、迎える準備をしておきたい。セマンティックテクノロジーは数年前から導入されているが、グーグルは、このテクノロジーをさらに活用するつもりのようだ。ネームドエンティティ(固有表現)に焦点を絞り、コンテンツをセマンティックのマイクロデータでマークアップすることで、検索のトラフィック(の大半)を失わずに済む可能性がある。

ウォールストリートジャーナルは次のように報じている:

グーグルは検索を改善し、より多くの事実、そして、セマンティックテクノロジーで生成される情報を提供する計画を立てている。最近、グーグルは、ネームドエンティティ(人、場所、物事)のデータベースを1200万から2億以上に増やしていた。今後行われる変更は、数十億の検索クエリに影響を与える可能性がある。これはビングの先を行き、アップルのiPhone 4Sに搭載されたシリに追いつくための取り組みである。

グーグルとアップルは今後の検索を独占するために戦う

音声作動式のパーソナルアシスタント、シリは大勢のiPhoneユーザーから支持を集め始めており、米国の歴史上最大の人工知能プロジェクトである – 国防省の学習型パーソナライズド・アシスタント(Personalized Assistant that Learns:PAL)プロジェクトの初の営利目的の製品である。このプロジェクトのミッションは、この国防省の動画で説明されているように、知的な「認識するアシスタント」を作り出し、米国軍がより効率的に動けるように支援することである。カリフォルニアのリサーチ & 開発機関 SRI インターナショナルがこのプロジェクトをリードしていた。しかし、商業的な利用としてシリがスピンアウトし、最終的にアップルに売却されたのだ。

シリに対するアップルの熱意は軍事的な利用を遥かに超えていた。アップルは、一般の人達に対するバーチャルなパーソナルアシスタントを作成することを望んだ。時間と場所を問わずに、スタートレックのような何でも知っているコンピュータと会話を行うことが出来る状況を想像してもらいたい。グーグルの検索アルゴリズムチームを統括するアミット・シンガル氏は、このようなコンピュータを夢見ている。アップルは、このスタートレックのコンピュータとなる機能を開発する計画を数年前から練っていた。1987年、アップルは次の動画をリリースしていた:

個人的には、ナレッジナビゲーターのような機能が今後の検索のカギを握ると考えている。グーグルとアップルはこの未来を巡って競い合っているのだ。検索はキーワードと青いリンクを超え、コンセプトとタスクの完了に向け、新しい時代に突入しようとしている。コンセプトは、シリやグーグルのナレッジグラフのようなセマンティックテクノロジーにおいて、中核を成す。

シリを通じて、グーグルの検索リフレッシュを理解する

グーグルの検索リフレッシュの仕組みを理解するため、シリの仕組みに注目してもらう。シリは、コンセプトを様々な関係にマッピングした巨大なデータベースに基づいて構築されている。コンピュータサイエンスの世界では、これはオントロジーと呼ばれる。シリの設立者、アダム・チャイヤー氏は、同氏がアクティブオントロジーと呼ぶプログラムを基礎にシリを開発した。

オントロジーでは、コンセプトはその特徴を説明するアトリビュートを持つ。例えば、「movie event」(映画イベント)は、“映画イベント”を説明する、映画、上映時間、俳優、映画館、ジャンル、評価、そして、場所等のアトリビュートを持つ。このようなコンセプトおよびアトリビュートが何もない状態では意味を持たないテキストに意味を与えるのだ。

「午後8時にここから近くで最高の映画を見たい」と言うと、シリは現在地の近くの映画館で午後8時または8時以降に上映される評価の高い映画のリストを引き出す(のが理想だ)。この目的を達成するためには、インプットから「最高」、「映画」、「ここから近く」、そして、「午後8時」等の特定のキーワードに焦点を絞り、その後、これらのキーワードを評価、映画イベント、場所、そして、上映時間等の類似するコンセプトを広大なデータベースからマッピングする。

movie event(映画イベント)およびmeal event(食事イベント)に対するオントロジーの図を上に掲載した。このイメージでは、「movie event」(映画イベント)が、「event date」(映画の日時)、「movie」(映画)、そして、「theater」(映画館)を持つ総合的な「event」タイプであることが分かる。「movie event」が完全にモデル化され、定義されるまで、これは更に細かいレベルに分類されていく。シリが入力した情報をこのコンセプトモデルに描いた後、シリは様々ウェブサービスを介してマッチするデータをマッシュアップし、応答を提供する(一部の人達は精度について異議を唱えている)。

セマンティックのマークアップ: 新たなSEO

それでは、シリには特定の質問に対して、どのウェブサービスを呼び掛けるのかをどのようにして把握しているのだろうか?この疑問は、同じ問題に対するグーグルのアプローチについて何を意味するのだろうか?簡単に言うと、シリはウェブサービスのAPIからセマンティックのマークアップを利用し、コンセプトモデルにマッチする情報を特定しているのだ。この分野のテクノロジーの現状を考慮すると、グーグルは同じような道を歩む可能性が高い。

事実、グーグルは、リッチスニペットとセマンティックのマークアップを2009年から強調し始め、既に今後の変更に対する準備を進めてきたのだ。昨年の6月、グーグルは、ビングとヤフー!と協力し、schema.orgを導入して、検索エンジン全体で単一のセマンティックのマークアップを定義する試みを行っていた。

例えば、「sore throat」(喉の痛み)で検索を行うと、グーグルはネームドエンティティのデータベースを利用し、ユーザーが抱えている可能性のある症状の一覧を表示して、典型的な健康に関する検索のセッションにおける複数のステップ(そしてウェブサイトへのアクセス)を省略する:

グーグルの改革に向け、サイトを準備する

人、場所、または、物事(例: 製品)に焦点を絞ったサイトを運営しているなら、schema.orgのスキーマを学び、関連するセマンティックなマークアップをコンテンツに組み込むべきである。それでは、以下のステップを踏み、グーグルの次回の検索の変更に備えてもらいたい。

1. キーワードのネームドエンティティを特定する

ネームドエンティティは、特定の人物、場所、または物事を描く認識されたフレーズである。ネームドエンティティは、「誰?」、「何?」、「どこ?」、そして、「いつ?」の質問に答えていることが多い。ネームドエンティティは、ウェブで最も頻繁に検索されるパターンに数えられ、インフォメーショナルクエリのタイプの多くを構成しており、全ての検索クエリの40%~80%を占める。ウィキペディアから結果を戻す検索として、ネームドエンティティについて考えてもらいたい。

サイトに関連するネームドエンティティを特定するためには、内部のウェブ分析を介して、もしくは、競合者分析サービスを介して、キーワードを精査する必要がある。製品、人物、位置、組織、ブランド、作品、イベント、そして、その他のタイプの人、場所、もしくは物事の言及を探し出し、リストに加えていく。

キーワードの調査は時間がかかり、また、面倒な作業になり得る。私達は、容易に検索データをふるいにかけて、ネームドエンティティを引き出すキーワードツールを提供している。

2. 関連するスキーマのタイプをschema.orgで探す

キーワードからネームドエンティティを特定したら、schema.orgで関連するスキーマのタイプとリストを付き合わせてみよう。Schema.orgは、数えきれないほどのスキーマのタイプを用意しており、地域のビジネスから、求人、そして、地形をも網羅している。製品を販売しているなら、「Product」(製品)と「Offer」(オファー)のタイプを選択して、商品を説明することが出来るだろう。

3. マイクロデータでコンテンツをマークアップする

適切なスキーマのタイプを選択したら、次にマイクロデータを使ってコンテンツをマークアップする。使い始めガイドの指示に従って、HTMLをリッチなセマンティックのマイクロデータに変えよう。このデータは、コンテンツの内容に関して検索エンジンに新たな手掛かりを与える役割を持つ。

製品の例を使って説明を続ける。製品の詳細なページのコンテンツをイメージ、ブランド、メーカー、モデル、評価、在庫、コンディション、価格、レビュー、そして、販売店等のマイクロデータのプロパティを使ってマークアップすることが出来る。

4. グーグルのリッチスニペットツールを試す

関連するスキーマのタイプでコンテンツのマークアップを終えたなら、今度は、グーグルのリッチスニペットのテストツールを使ってテストしてみよう。このテストを行うと、ページ上で読むことが可能な全てのセマンティックのマークアップのデータが表示されるので、ずれやエラーを特定しよう。

グーグルの次回の検索への変更に対してどんな考えを持っていようが、一つだけハッキリしていることがある。それは、広範なインフォメーショナルクエリに対する答えを求めて、ユーザー達が多くの検索を実施していると言う事実だ。多くのユーザーは、結果に満足できないと感じるか、あるいは結局、ウィキペディアにアクセスしている。

毎月3億の検索クリックがウィキペディアにもたらされており、これは大量の収益化されていないトラフィックが存在していることを意味する。グーグルが参入したくなるのも無理はない。また、グーグルは検索業界に新たなリーダーが登場するのを嫌う(アップル等)。グーグルは、新しいテクノロジーとユーザーのニーズに適応することで、リードを維持している。つまり、これが検索を改善するための変更である。

今回紹介したアドバイスに従ってもらえれば、グーグルが最近のPRの嵐で豪語していた類の変更に対する準備をサイトに実施することが出来るだろう。

この投稿で述べられている意見は作者のものであり、必ずしもマーケティング・ピリグリムの意見を反映しているわけではない。

ライター紹介

アンソニー・ロングは、検索のデータを利用可能な情報に変える検索分析およびキーワードツールのコンセントレイトで製品アーキテクトを務めている。AOLでSEOを統括した経験があり、同社では5年間でAOLのウェブプロパティに1億9000万を超える新しいSEOのエントリを加える等の偉業を達成していた。


この記事は、Marketing Pilgrimに掲載された「How to Prepare for Google’s Search Makeover」を翻訳した内容です。

Appleの1987年(25年前?!)の動画が面白すぎるというかAppleの先見性を感じさせる内容でした。記事の中心であるセマンティック検索時代のSEOについてはひたすら納得ですし有益な内容でしたが、個人的にはAppleのシリについての解説の方が興味深かった私です。モバイルデバイスのための作られた検索(?)エンジンだけに根本的な考え方がGoogleとは違います。ウェブ検索の覇者がGoogleであることは今後も変わりは無いと思いますが、モバイルデバイス上の検索はAppleも簡単にはGoogleにその場を譲る気はなさそうです。今後数年、検索戦争は舞台をモバイルに変えて争いは激化していくのでしょうか。 — SEO Japan
Page Top

投稿ナビゲーション