コンテキストで変化するGoogleの検索結果

最終更新日:2024/02/16

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先ほどのSEO by the Seaの記事が薄すぎたので今回は厚め&充実の記事を。常に進化を続けるGoogleの検索アルゴリズム、その最新の技術が垣間見える記事を。 — SEO Japan

検索エンジンを使って、情報を探す際、具体的なクエリから始め、得られた結果に応じて、利用するクエリを変えていくことが多い。どうやら、Googleは、この類の検索の行動に注目していたようだ。今月の上旬にGoogleに付与された特許によると、検索エンジンのユーザーがクエリのセッション中に利用するクエリを確認し、そのワードやフレーズに、より大きな重要度を認め、セッションの後半で加えられる用語の重要度を低く見積もる可能性がある。

この特許は、ハミングバードアップデートをもたらしたアルゴリズムの進化の一部を担っているのではないだろうか。

An old print from the 1880s showing a cat evolving into a catcher.

検索クエリのセッションの情報に注目し、その結果に応じて検索結果を変更するテクノロジーを取り上げた特許は、他にもある。 事実、私はこのサイトで2、3点の特許を取り上げたことがある。当該の特許を振り返ると、発明家が共通していることに私は気づいた — それはAshutosh GargとKedar Dhamdhereの二名だ。どちらも既にGoogleを退職しており、Ashutosh Gargは、現在、Bloomreachと呼ばれる会社に勤めており、また、一方のKedar DhamdhereのLinkedInにはFacebookで働いていると記載されている。

Googleが後続の関連する検索に対して検索結果を格下げする仕組み」の中で、私は「反復的な検索結果の降格」と題された特許を取り上げている。この特許は、「black coats」等のクエリで検索を行い、続いて「black jackets」等のクエリで検索を実施した場合、この2つのクエリの間で返された結果は、2つ目の用語に対するセッションでは、下位に引き下げられる可能性がある点を指摘している。なぜなら、当該の結果を確認したものの、初めて見た際にユーザーが注目しなかったと考えられるためだ。

一方、「Googleが検索結果のスニペットを変える理由」の中で、私は特許「セッションベースの動的な検索スニペット」を取り上げているが、この特許は、少し異なるアプローチを採用している。

同じ検索用語を使って、2件の同様の検索を実行し、同じ結果が表示されると、Googleは同じページを下位に引き下げる代わりに、新しい検索で用いられたワードに焦点を絞り、ページのスニペットを書き直すことがある。すると、ユーザーに選ばれるチャンスを当該のページに再び与えられることになる。ユーザーが実行したクエリ、そして、双方に関連するクエリを共に反映しているためだ。これは結果を単に降格するよりも、良い解決策のように私には思える。

1件目の特許は2007年に申請され、新たに付与された特許は2008年に申請されていた。最後に紹介した特許(セッション中に新たなクエリが浮かび上がると、Googleが同じ結果に対するスニペットを変更する手法)は、2007年に申請され、2011年に再び申請されていた。これは、Googleがこのような検索結果を処理する仕組みが、時間の経過と共に進化していることを物語っている。

それでは新たに付与された特許を紹介する:

コンテキストに応じた検索用語の評価
発明: Ashutosh Garg & Kedar Dhamdhere
付与先: Google
米国特許番号: 8,645,409
付与日: 2014年2月4日
申請日: 2008年4月2日

概要

コンテキストに応じた検索用語の評価が明らかにされる、機器、システム、そして、メソッド。進行中の検索クエリが、検索セッション中に受信される。すると、検索クエリの後続の部分の特定が行われ、クエリ内の後続の検索用語が特定される。続いて、後続の検索用語の検索用語の特質が調整される。

検索セッション

検索エンジンは、様々な方法で、検索セッションを追跡することが可能だが、通常は、特定のトピックを検索し、当該のトピックに関連する複数のクエリを実施した期間を参考にすることが多い。ユーザーは、複数のタスクを同時に行い、セッション中に関連しないクエリを検索する可能性もあるが、オリジナルのトピックに関連するクエリを再び検索する場合は、同じクエリのセッションと見なされることもあり得る。

クエリのセッション中に、ユーザーが何を検索しているのかに注目するこの概念は、類義語とセマンティック検索に関連する特許でも登場しており、Googleのハミングバードアップデートと大いに関係していると見られる。詳しくは「Googleがクエリセッション内の共起を基にクエリを変える仕組み」を参考にしてもらいたい。

断定クエリ

あるユーザーがGoogleで「Atlanta weather」を検索した際、検索結果自体は適切ではあるものの、ユーザーが求めていた結果を正確に提供しているわけではなかったとする。その結果、ユーザーは再びGoogleに戻り、今度は「Atlanta weather forecast」と入力して、求めている結果の範囲を狭めた。この特許は、一つ目のクエリを「断定クエリ」、そして、追加されたクエリを「後続クエリ」と呼んでいる。

また、この特許は、断定クエリの用語を、重要と見なし、一方の後続クエリの用語に対しては、重要度を低く見積もる — 場合によっては、後続クエリをオプション扱いすることもあると指摘している。

特許を何度か読んでいくうちに、このアプローチが、問題の解決に役立つとは私には思えなくなった。ユーザーが、「Atlanta weather forecast」で検索を始めた場合、「Atlanta weather」を検索し、その後、「Atlanta weather forecast」を検索した結果とは異なる結果を得るためだ。特許には、この仕組みを採用する理由が一つ挙げられている:

しかし、検索クエリに新たな検索用語を加えても、検索エンジンが、追加した検索用語に同等、もしくは、より大きな重みを加えている場合、ユーザー体験の強化にはつながらないと考えられる。

この特許は、検索エンジニアが、後続クエリに対して、低い価値を与える仕組みに関して、詳細な情報を提供しているものの、上述の根拠に対しては、補足されていない。

教訓

個人的には、同じワードを幾つか利用している可能性がある、2つの異なるクエリに対する検索エッションにおいて、同じページが検索セッション内に登場した際に、ページのスニペットを変更する仕組みを説明した特許のアプローチを気に入っている。

どちらのアプローチが、現在、Googleに採用されているのかを見極める術はない。LinkedInによると、Ashutosh Gargは、2008年にGoogleを去っている。Kedar DhamdhereがGoogleを退職したかどうかは分からないが、スニペットの変更に関する特許が米国特許商標局に正式に申請されたのは、2011年であり、アップデートされた特許に携わったのは、いずれか一名であった可能性がある — もしくは完全に別人によって作成されたと見ることも出来る。

いずれにせよ、検索セッションの情報は、Googleの複数の場所で利用されている確率が高いと言えるだろう。これは、長く、複雑で、ハミングバードアップデートで見られる音声のクエリを書き直すような技術であり、また、ナレッジパネルの結果が、記述されたエンティティに関する追加の情報を提供する際にも用いられていると考えられる — 例えば、エイブラハム・リンカーンの身長が、ナレッジパネルに含まれるものの、その他の大統領には身長がリストアップされていないケースを考えてみてもらいたい。

リンカーンを含むクエリと検索セッションの中で、リンカーン大統領の身長を尋ねるユーザーが大勢いる可能性が高い。

この新しい特許において、最も興味深いと感じたのは、特定の問題を解決するアルゴリズムが、時間の経過とともに進化し、変化していく経緯が示されている点である。Googleは、検索セッション中の同じようなクエリに対して、以前の当該のセッションのクエリに応じて、異なるアプローチを試していることは明白である。

指摘した2人の考案者が、この2点の特許に関わり、また、同じように思える問題に対して、異なるソリューションを試しているように見えるためだ。

Googleのハミングバードは、検索セッションで同一のユーザーの過去のクエリに頼るのではなく、代わりに、過去の検索クエリのセッション、そして、最初のクエリを書き直すために、ユーザーが見ていた対象の情報を利用する — つまり、もともとの検索で見たかった可能性のある検索結果を与える — 進化の一環である。


この記事は、SEO by the Seaに掲載された「Evolving Google Search Algorithms」を翻訳した内容です。

ユーザーの利用状況で検索結果の関連性や重要性が判断され、提供される情報が変わってくるのは、流石Googleという感じです。しかしこの調子でGoogleの進化が続けば、というか今でもですが、検索に置いて余りに圧倒的な存在になりどこも太刀打ちできない存在になりそうですね。単純にPCに座ってウェブ検索する時代はとっくの昔に過ぎ去っていますし、モバイルデバイスの普及で様々な場所、シーンで検索やレコメンデーションがされるようになってきた今日のGoogle。ただただスゴイと思うと同時にその圧倒的な存在感に若干の怖さも感じる私でした。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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