GMのFacebook広告撤退から考えるSNS広告の正しい在り方

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株価の冴えないFacebookですが、一か月程前にアメリカを代表する超大手企業の1社GMがFacebook広告を取りやめたというニュースが話題になったことを覚えている方も多いでしょう。再開に向けて話し合いもしているそうですが、株価低迷のマイナス材料であったことには違いはありません。今回はそんな騒ぎにまつわるSNS広告への考え方についてソーシャルメディアの論客ブライアン・ソリスが考察した興味深い記事を。 — SEO Japan

フェイスブックが歴史的なIPOを実施する直前、GMは、フェイスブックでの1000万ドルの広告費を削ると発表した。すると、論争が起こり、そして、批判が続いた。この議論では、GMを支持する人達、フェイスブックを支持する人達、そして、どちらの肩を持つわけではないが注目している人達の3つのグループに分けられた。

フェイスブックの営業幹部とゼネラルモーターズ・グローバルのジョエル・エワニックCMOおよびその他のGMのシニアマーケティングの重役が集ったこの“会議”は忘れられることはないだろう。最終的に、フェイスブックとGMはともに会議室に入った時点から、大きなものを失った。フェイスブックは主要な広告主を、そして、招待制の顧客委員会でアドバイザーを務めていたエワニック氏も失った。一方のGMは、広告業界および自動車業界が苦戦している中で、リーダーシップを示す機会を失った。 しかし、全てが失われたわけではなく、GMは引き続き3000万ドルを投じ、アーンドメディアおよび共有メディア戦略を介して、フェイスブックでのプレゼンスを維持していく。

それでは、この不評の会議で何が起こったのだろうか?いつか、この会議がAMCのマッドメンのエピソードで取り上げられるかもしれない。

プロジェクターの明かり以外、光は何もない、薄暗い会議室だった。タバコの煙が、僅かな光を遮っていた。壁にはフェイスブックのタイムラインのイメージが映し出されている。ドン・ドレイパーは前屈み気味で座っている。ドレイパーの言葉が煙を切り裂く。 落ち着いた、抑えの利いた威嚇するようなトーンで、ドレイパーはこの会議室にいるたった一つの理由を挙げた。

「クライアントがホームページのテイクオーバーを要求した。さて、答える前に一つハッキリさせておきたいことがある。君達が売っているモノ、君達の広告製品とやらは我々の役に立っていない。私達は資金を豊富に持っており、我々のビジョンを分かってくれる適切なパートナーには喜んで投資する。と言うことで、その他のメディアパートナーのように悪さをせずに、我々の欲しいモノを寄こすんだ。」

フェイスブックは「いいえ、断ります」と答えた。すると、営業チームはiPadとMacBook Airを閉じ、リハーサル通りとも取れる素ぶりで部屋を後にした。慣れているに違いない。ドレイパーは椅子に深く腰掛け、たった一度「やれやれ」と呟くのであった。

会議室で何が起きたのかを大勢の人達が推測していたが、アドバタイジングエイジのコットン・デロ氏は、上のシナリオに近いことが起きたと報告している。GMはフェイスブックのオーディエンスに関心を持っているものの、現在の広告フォーマットは魅力的ではなく、効果もないと考えている。GMチームは、より大きな、インパクトの強い広告ユニットを望んでいた。結局、GMやその他の世界中のブランドは、文字通り、そして、大げさに言うならば、他社とは一線を画すキャンペーンに投資することで、広告の利点を学んできたのだ。

それでは、なぜフェイスブックはGMの資金を断固として望まなかったのだろうか?その答えはユーザーエクスペリエンスである。フェイスブックは9億を超える人々が利用しており、米国のユーザーだけでも、デスクトップでは441分間/月、そして、モバイルプラットフォームでは391分間/月を過ごしているサービスである。マーク・ザッカーバーグ氏、そして、同氏が作り出したフェイスブックの名高い「作って、出荷する」カルチャーは、ユーザーエクスペリエンスの改善のみを追求しており、妥協は絶対に許されない。しばらくは、この経験を破壊するものはすべて、たとえ1000万ドルの契約を破棄しなければならなくても、交渉を打ち切るきっかけになるだろう。しかし、株式会社として今後は投資家の経験も改善していかなければならない。

いつか、ブランドに対して、広告の選択肢を増やさなければならない日がやって来るだろう。広告は邪魔者扱いされるのではなく、興味を引き付ける必要がある。 しかし、問題の大半は形式とは関係なく、作用に関係している。広告スポンサー達はいまだにその他のプラットフォームで退屈なデジタル広告を展開している。そして、多くのブランドが同じメソッドをソーシャルメディアにも持ち込んでいる。従って、従来のマーケッターがソーシャルネットワークで成功を判断するために利用するメトリクスは、インプレッション、リーチ、クリック、そして、エンゲージメントに限られている。

「出だしが悪いと、結果も悪くなる」- エウリピデス

広告スポンサーは、遥かに多くのつながりを持つ目の肥えたオーディエンスに刺激を与え、交流したくなるような新しい徹底した経験を考案する必要がある。ホームページのテイクオーバーはマイスペースやウェブのどこかを放浪する人達向きのメソッドである。フェイスブックは、抜け目のない常連客を魅了するために異なる描き方が求められる、新しいタイプの共同キャンパスである。

GMはアーンド、オウンド、そして、シェアードプログラムを介して、引き続きフェイスブックを活用するものの、従来型の哲学およびアプローチを日常的なコミュニティ戦略に採用している。 現在、GMは38万3000人のいいね!を集めている。シボレーは120万以上いいね!を獲得している。一方、ライバルのフォードは世界で1000万人を超えるファンを集め、マスタングは400万人のユーザーに支持されており、フェイスブックで最も多くのファンを持つ自動車の地位を獲得している。

私はフォードのグローバルデジタルコミュニケーション部門を統括するスコット・モンティー氏に連絡を取り、GMの方針に関する意見を求めた。フォードはフェイスブックを新たなストーリーテリングの手段と見ており、ペイド、アーンド、オウンド、シェアード、そして、プローモティドメディアが集まり、新たなルールを生み出す新しいストーリーボードを作り出している。モンティー氏は、「フォードはフェイスブック、そして、その他のソーシャルプラットフォームでの取り組みを強化している。すべて実行が鍵になる。私達は、フェイスブックの広告は、ストレートなメディアバイイングと扱うのではなく、交流、素晴らしいコンテンツ、そして、革新的なストーリーテリングの方法と組み合わせると非常に効果が高いことを発見した。」と話していた。

多くの人々に称えられているフォードのフェイスブックでの成功の一つは、「Reveal」キャンペーンを介して導入した2011 フォードエクスプローラである。フォードは、広告とクリエイティブなストーリーテリングを組み合わせた結果、僅かなコストで従来のスーパーボウルの広告を凌ぐパフォーマンスをもたらしたと主張している。

また、モンティー氏はフェイスブック側のサポートを強調していた。「私達は今後もフェイスブックとの強固な協力関係を維持していく。その中には車の初公開、広告、そして、コンテンツを共有する革新的な手段が含まれる。また、フォードのエンジニア達は、試乗体験をフェイスブックに統合する独自の安全な方法を開発するため、フェイスブックと協力している。」

フォードのフェイスブック戦略は、世界で進行中のより共感を呼ぶマーケティングおよび販売キャンペーンの延長線上にある。私はロサンゼルスで行われたブログワールドエキスポでフォードの初のCMOに就任したジム・ファーレイ氏に話しを聞く機会を得た。同氏のミッションは、フォードのアラン・ムラリー会長が指示したように、消費者に“再び青い楕円形(フォードのロゴ)を好きになってもらう”ことであった。

ブランドが意図を持ってマーケティングおよび広告の機会にアプローチすると、意図および実行に対する投資に見合う結果が出る。つまり、投資が結果に反映されるのだ。また今週のコムスコアの調査では、フェイスブック広告の効果が証明されている。CNBCのジュリア・ブアスティン氏は、コムスコアはフェイスブック広告が“戦略的にブランド製品の購入において消費者に大きな前向きな印象を与える”と主張していると説明している。

以前から、独創的に考えることで、広告は効果を発揮してきた。そして、フェイスブックのようなフラットな消費者向けのネットワークに対しても、再び符独創的な考えが求められているのかもしれない。しかし、フェイスブックに欠陥がないわけではない。フェイスブックもまた広告スポンサーが有効なキャンペーンを策定し、計測する上で、その一方で、アクティブなユーザーのコミュニティに好きなブランドを支持するよう引き込む上で支援しなければならない。ここ数週間だけを取っても、フェイスブックは、新しいAPIを導入し、広告スポンサーがマーケティングの取り組みにおいて「クリック・トゥ・アクション」を作成し、従来とは異なるものの、より有意義な成果をもたらすことに協力してきた。フェイスブックは、いいね!や従来型のインプレッションの領域を超えて考えるよう促している。

GMの別れに直接反応する形で、フェイスブックはマーケッター達が何を見逃しているのかを伝える賢明な新しいツールを紹介した。現在、タイムラインの内部で、マーケッターは各投稿のリーチのデータを確認することが出来る。これには、投稿を見たと思われる人達の合計の人数、そして、ペイドプロモーションを介して接触に成功した人達の合計の人数等の情報が含まれる。

フェイスブックは、接触する相手だけでなく、現在接触していない人達の間にも機会が存在することをマーケッター達に伝えようとしているのだ。

フェイスブック vs GMの戦いに関しては、世論が介入する可能性がある。しかし、本当の戦いは、ソーシャルネットワークのユーザー vs 従来のマーケティングメソッドの間で行われているのではないだろうか。ハッキリしているのは、フェイスブックがユーザーを優先していると言う点である。広告スポンサーは、ザッカーバーグ氏からヒントを得て、消費者がクリック、共有、そして、参加せざるを得ない広告およびマーケティングキャンペーンを介して、経験について考え直すべきなのかもしれない。


この記事は、Brian Solisに掲載された「The GM Facebook Advertising Saga Plays Out Like an Episode of Mad Men」を翻訳した内容です。

Facebookがユーザーエクスペリエンスを最重要視しており、GMが望むGM従来の手法に基づいた広告展開ができなかったことが撤退の大きな要因だったと。しかしそれは、必ずしもSNS広告を否定するものではなく、SNS広告の在り方自体を考え直すべき機会でもある。SNSではユーザーに参加させるエンゲージメント性が高い広告が求められている。要約してみるとこんな感じでしょうか。

GMも大資金に支えられた数々のクリエイティブ(派手?)な広告キャンペーンで成果を上げてきた企業とは思いますが、ソリスが「ソーシャルネットワークのユーザー vs 従来のマーケティングメソッドの戦い」と表現したように、SNSにおいては、競合フォードとの数値比較でも明らかなように、よりユーザーエンゲージメントを考慮した広告を考える必要があるのかもしれませんね。

ちなみにフォードはソーシャルメディアのマーケティング活用において米国でも最も最先端の企業としても知られています。SEO Japanでもそのマーケティング責任者のスコット・モンティのブログ記事を配信していますので興味ある方は是非ご覧ください(最近更新がないので過去記事になりますが・・・)。 — SEO Japan [G+]

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