Facebookが1000億円ビジネスに成長することを私が疑った理由と、その過ちから学んだこと

最終更新日:2024/02/16

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先日紹介したアンドリュー・チェンの「マネタイズはどうやるの?」と尋ねるのはもう止めてが人気を博して、してやったりの私です。今回はその記事で取り上げられていたアンドリューがそれ以前に書いたFacebookに関する彼の成長予測をそれを外した理由、そしてそこから学んだことについて書き記した記事を。一流な人であればある程、自身の間違いを素直に認め、そこから何かを学び次に進むと思いますが、その辺含めて諸々参考になること多い記事です。 — SEO Japan

2006年初頭のFacebook

時々あなたは、偏見にとらわれないことを自分に思い出せるために、ひどく、呆れるほどに、間違える必要がある。これは、私がFacebookの可能性を理解しなかったという話だ。

2006年、私は、ソーシャルネットワーキングデータを使用したターゲッティング広告を数多く試みる新しいアド・ネットワークビジネスに取り組んでいた。それは今では“リターゲッティング”として知られている。このアイディアは、あなたの関心に応じた広告をターゲットにすることができ、それがより高いCPMを導くというものだ。このプロジェクトの一環として、私たちは、まだ12人しかいなかったFacebookとミーティングをした。この会社についてニュースで少しだけ読んだことはあったが、私が大学を出てから数年が経っていたため、彼らの製品を使ったことはなかった。ミーティングをするにあたっては、当時私はシアトルを拠点としていたため、何人かの同僚と飛行機に乗ってPalo Altoへ行き、彼らの新しいオフィスで話をした。

私たちは、University AveにあるSushitomoのすぐ隣のオフィスでFacebookチームと会った。その場所は男子寮のように見えた―テレビとゲーム機が床に置かれ、洋服やゴミがそこら中にあった―数人の若い人が一生懸命働いている結果である。数分待った後、私たちはミーティングルームに案内され、そこでSean ParkerとMatt CohlerとMark Zuckerbergに会った。Seanがミーティングを指揮し、Facebookに関するたくさんのこと、最近AccelからのVCラウンドを調達することに自分が貢献したこと、Facebookで起きているありとあらゆる良いことについて教えてくれた。Markとその他の人達は何も言わなかった。

私たちは、最終的にはMySpace、AOL、Wall St. Journal、NY Timesなど数千のパブリッシャーと契約をしたが、結局、Facebookと仕事をすることには至らなかった。同時に、そのミーティングは、私にひどく間違ったことを確信させた:Facebookは決して10億ドル企業にはならない、と。

Facebookのメトリクス―高い成長と、とても低いCPM
ミーティングの一環として、私たちはFacebookに関連するメトリクスについて少し話した。そして、私はいくつかのことに驚いた:

  • Facebookは急速に成長していた―とても急速に。そして、月に何百万のユニークビジターのあるサイトに座っている超若いチーム(私のように!)によって見事に運営されていた。
  • CPMは最悪で、0.25ドルより低く(1000の広告インプレッションにつき獲得する収益)、サイトは(当時)オンラインポーカーやデーティングサイトや住宅ローンなどのくだらない広告で覆われていた。(皮肉にも、今それらのことはMySpaceと結びつく。)
  • 彼らは広告についてあまりよく知らなかったし、彼らのCPMは本当に悪く、良くなりそうもなかった―彼らのマネタイゼーションの戦略はよくてもうわべだけに見えた。

これらの数字から、私は素早く計算をした:

$0.25 CPM × 最大月50億の広告インプレッションは?
=$125万/月=$1500万/年=$1億5000万~3億の企業?

私は、Facebookが一か月で50億の広告をヒットすればすごいことだと思った―だって、それは結局のところ大学のソーシャルネットワークなのだから。月間50億インプレッションは、私たちの当時の最大のクライアントであり、トップ10インターネット企業のESPN.comよりも大きかった。それより大きいのはYahooやMSNやAOLのような巨大ポータルサイトくらいだ。Facebookがいつかそれら全てのポータルよりも大きくなるというような考えが、私の頭によぎることは決してなかった。

私は業界中から(MySpace、Friendster、Hi5、その他多くのソーシャルネットワークから)集めた独自のデータポイントを複数持っていたため、CPMの数字が低いままで居続けることには特に自信があった。私は、自分がFacebookの真の可能性について唯一の理解をしていると確信していた―Facebookが決して大きくならないということはもっと確信していた。

そして、もちろん、私は完全に、ひどく、間違っていたのだ:)

Facebook買収に向かったYahooの事例
ミーティングの後に私がこれらの計算をしていたのと同時に、YahooもFacebookを買収することへの不運な試みのためにこの会社の価値について似たような分析をしていた。私は最初それについてWall Street Journalで読んだが、その後、Techcrunchでこの興味をそそられるスライドを目にした。

以下のスライドは、その当時Facebookがどれくらいの登録ユーザーを保有しているのかの見積もりで始まり、彼らが“高校生と若者”の中心的なユーザーベースを飽和状態にすることが何を意味するのかを論理的に提示した―当時、これらは最終的に大きな買収価格を正当化することができるアグレッシブな見積もりのように感じたことは確かだ:

これらの数字を見て実際に起きたことと比べると、とても面白い。彼らの予測した2010Eと実際に起きたことを比較すると、数億ユーザーのずれしかなかったのだ!

さらに、Yahooの数字はCPMが次第に$0.25から$5に増えることについてもかなり楽天的だったと言える。計画されていなかったユーザー生成コンテンツの隣にさらされるブランド広告主にはたくさんの問題があったし、これらの数字は最終的にFavebookがhomepage takeoversなどをすることを伴った。実際、$5レベルに近いCPMを生み出すことができている大きなユーザー生成コンテンツやソーシャルネットワーキングサイトがないことは事実だ。

では私の推理は何が間違っていたのか?
結局のところ、私の全ての結論は、けた違いに間違っていた―Facebookはインターネットでナンバー1サイトになるだろう。そして、歴史的なデータポイント、改変、専門家の意見などを基に理論づける全ての試みを壊すだろう。

比べてみると私の理論付けがどれくらい馬鹿だったかが分かる:

私の2006年の予測:Facebookは最大で3~50億のページビュー/月になるだろう
現実:
Facebookは1兆ページビュー/で、まだ成長し続けている。

CPMがそれほど増えないということについては正しかったが、月のページビューで200~300倍もずれていたのだからそんなことは関係ない!完全な失敗だ。もちろん、Facebookは大学生のソーシャルネットワークに留まらず、世界の全ての人をターゲットとした商品になるというのが大きな見解だった。大学というニッチ内に限定されていたのだから、Facebookがいつか月に1兆のページビューに届くという考えは馬鹿げているように思えた。しかし、創設チームのビジョンのおかげで、Facebookはこのニッチを打ち破って、世界がこれまでに見たことのない新しい製品を築き、私が予測しなかった数字に達したのだ。

最も並外れたケースはシンプルなパターンマッチングを受け付けない
シリコンバレーにおける集団思考VSイノベーションに関する前回の記事の中で述べたように、私たちがビジネスを分析し分類するために使用するメンタルツールと、人気の出る並外れた会社が存在する時にそれがどう見えるかにはおかしな矛盾がある。パターンマッチング、演繹的理論付け、専門家の意見は“一般的な”ケースでの物事の仕組みを教えてくれるが、もちろん、私たちは一般的なケースには興味がない―私たちは並外れたもの、スタートアップランドスケープを定義するロケット船のような会社を探そうとしているのだ。

それは、まさに私たちの論理的な理論付けと歴史に基づいた理論付けが、私たちを最も裏切る時だ。

例えば、ThisNext、Kaboodleなどのようなソーシャルショッピングカテゴリ全体からの長年の失敗の後、Pinterestは今年一番ホットな会社になった。長年Googleが、全てのスタートアップはX-rankと呼ばれるアルゴリズムと10倍リードした技術を持つ必要があるという印象を私たちみんなに与えた後、Twitterとして知られる簡単なウェブアプリが台頭するだろう。そして、VCによって資金提供された10社の検索会社がスタートされ、Yahooの人達が検索は損失を導く機能で、アウトソースされるのが一番だと考えた後、Googleが台頭した。このリストは延々と続く。

Google、Yahoo、Paypal、Appleなどに投資した伝説的なVC、Mike Moritzが関連のあることを言っている:

私は大きなテーマについてめったに考えることはない。ビジネスは野鳥観察のようなものだ。私は群れを見つけ出そうとはしない。それぞれが違うのだ。私は、群れ全体について観察をしようとするよりも群れの中の面白い外見の鳥を見つけようとする。それが理由となり、他のVCが必要以上に騒がれすぎていたり、市場が既に成熟しているという理由で避ける業界や会社にあえて投資をすることもある。

醜いアヒルの子に投資をすることには良い面もたくさんある。Don ValentineがCiscoへのSequoia Capitalの投資を指揮した時、他の多くの人はLen BosackとSnady Lernerという夫婦の創設チームをパスした。

野鳥観察についてもっと突っ込んだことは言われていない:)

私が学んだ最大の教訓
これから学ぶべき明確な教訓は、現代では、ビジネスモデルはコモディティであるということだ。私は、“でも、彼らのビジネスモデルは何?”と人々が尋ねるのを聞きたくない。なぜなら、数年で10億のユーザーベースを育てることができる世界では、売れ残り枠に広告を表示して$0.25のCPMを獲得することが目的を果たす。もしくは、いくつかのフリーミアムモデルを投げて、その中の1%をマネタイズするのだ。もしあなたがオーディエンスを築くことができれば、あなたは大きなビジネスを築くことができる。

もっと抽象的な教訓はこうだ:謙虚になって、おかしな新しい会社に先入観を持たないこと。シリコンバレーでの数年間の後、あなたは何が機能し何が機能しないかについてたくさんの役に立つ経験則を集めることができる。それは大部分の場合はあなたを助けるが、例外的なケースのこととなると、番狂わせが生じる。だから、確立されたパターンにフィットしないおかしな若い会社に出会っても先入観を持たないことだ。もしかするとその創設者たちは、みんな最近のMBA取得者かもしれないし、退屈な古い会社からのスピンアウトかもしれない。または、それは動きの遅い市場かもしれないし、夫婦かもしれないし、10人の創設者がいるかもしれないし、その他一般的には悪いことかもしれない。あなたは、そのような特徴のある会社全てのミューチュアル・ファンドではなく、自分の目の前にいる会社のために、役に立ち、投資をし、働いているのだということを忘れないことだ!

あなたが、私がしたように、全てのソーシャルネットワーキングサービスをグループとして見るなら、疑問の余地があるビジネスモデルを持つ会社の群れを見つけていただろう。しかしながら、あなたがFacebookを選び出すほどの予知能力があったのなら、全ての歴史的先例を破って大きな成功を収める会社を目にしただろう。私が2006年のあの日に出会った12人の従業員には脱帽する。


この記事は、@andrewchenに掲載された「Why I doubted Facebook could build a billion dollar business, and what I learned from being horribly wrong」を翻訳した内容です。

私如きがコメントするのは畏れ多いですが、色々と考えさせられると共に起業家としてのチャレンジ精神をふるいたたせられる記事でした。新たなイノベーションが求められる日本、起業家やスタートアップも(ネット業界では)これまでにない以上に増えており、その中で多くの失敗があると思いますが、仮に自分が理解できなくとも新しい製品サービス、そこに潜む価値観や発想、そしてそれを支える人を応援する心は持っていたいですね。そして自らも過去の経験に囚われず常にチャレンジしていきたいと思います。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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