「Context is King」 – コンテキストが王様の時代

「コンテンツが王様」「Content is King」、今日のSEO、そしてコンテンツマーケティングブームを代表する名言です。しかしコンテンツはあくまでコンテンツ、実際はそれが存在するコンテキストを通して初めて意味や価値を持つともいえ、その意味ではコンテキストこそ真の王様なのかもしれません。米国フォード社のデジタルマーケッターによる一歩進んだ考察を。 — SEO Japan

ビル・ゲイツが、あの名言、「Content is king」(コンテンツが王様)を残したのは、20年近く前の1996年だ。同氏の主張は、今でも大部分において正しい。

2006年、シェル・イスラエル氏ロバート・スコブル氏は、共同で「Naked Conversations」を執筆した。この本は、現在のソーシャルビジネスの時代の到来を予言していた。両氏は、この時代が、ブログ、そして、顧客と会話を交わす(そして、恐らく、顧客の声に耳を傾け、顧客の要望を学ぶ)企業の力を軸として展開されると推測していたものの、ソーシャルメディアが、企業のコミュニケーションで担う大きな役割の土台を作っていた。

そして、2013年、スコブル氏とイスラエル氏は、再び、これから世界が向かおうとしている目的地を「The Age of Context」の中で、再び言い当てている。両氏は、この本の中で、5つの影響力を持つ要素を特定している — ソーシャル、モバイル、データ、センサー、位置情報。これは、人工知能を持つコンピュータが登場する映画「2001年宇宙の旅」のようなSFではなく、– たとえ、全容は明らかになっていなくても、現実の世界の話であり、事実、この5つの要素は私達の身の周りに存在する。今なら「Context is King」(コンテキストが王様)と言っても、全く問題はないはずだ。

この本で、スコブル氏とイスラエル氏は、様々な例、そして、この5つの原動力をビジネスに活用している企業 — Uber、Apple、Phillips、Google Glass等を紹介している。あまりにも多くて、ここで全ての会社の名前を挙げることは出来ない。シェル・イスラエル氏はジャーナリストとして経験を豊富に持ち、そして、ロバート・スコブル氏は、起業家や重役に対してインタビューを精力的に行っている。その結果、リサーチの行き届いた内容に仕上がっている。

ここでは、交通の章で取り上げられていたFordの例を詳しく見ていくことにする。個人的にコンテキスト(事情、背景)の面で関連しているためだ。イスラエル氏とスコブル氏は、Googleの自動運転車が、1秒につき700メガバイトのデータを生成する(偶然にも2013年版のFordのFusion は、既に1秒間に数百メガバイトのデータの生成に成功しており、1600万行のコードを持っている — TwitterとFacebookを合わせたコードよりも多い)と指摘しているものの、全ての車がこのレベルの量のデータを生成すると、クラウドが破壊されるとも推測している。

嬉しいことに、この本ではFordのテクノロジーが少し紹介されている。勿論、全ての情報を網羅することは不可能だが(インフォマーシャルではないので確実に無理)、とりわけ人気の高いイノベーションの一つに数えられる、MyKeyが取り上げられていた。MyKeyとは、ドライバーが、キーフォブをプログラムして、最高速度、ラジオのボリューム、ラジオ曲を制限し、また、シートベルト着用のリマインダー、そして、早い段階での燃料の減少に関するリマインダーを発するシステムである。また、ZipcarTechShop、そして、ネットに接続した車の中心にスマートフォンを据え、持ち込まれたデバイスを承認する、SYNCおよびMyFord Touchハンズフリー車載用インフォテイメントシステムへのFordの取り組みも触れられている。

当然ながら、自動運転を行う車は、大きな注目を集めるはずである。最近、この類の車は、大勢の消費者の好奇心を掻き立てているように思える。しかし、Ford – そして、その他の多くの自動車のメーカー – では、個々のポイントが既に明らかになっており、あとは点と点を結ぶだけである、と言う事実を理解していない人もいる。例えば、私が運転するFusionは、視界に入らない可能性がある車が存在する際、左のサイドミラーで伝えてくれるBLIS(Blind Spot Information System: ブラインドスポット情報システム)、そして、後方から車が近づいている際に、知らせてもらえるCross-Traffic Alertを搭載している。Active Park Assistは、ハンドルに触れることなく、駐車することが出来る。また、Adaptive Cruise Control(適応走行制御機能)とLane Keeping Assist(車線保持補佐機能)のおかげで、前を走る車のスピードに合わせて運転し、また、レーンからはみ出ると、車をレーンの内側に戻してもらえる。

このテクノロジーを全て組み合わせると、自動運転が実現する。イスラエル氏にも伝えたように、Fordでは、車を運転する楽しさ、そして、ハンズオンの運転を可能にする点を重要視している。時間の経過と共に、そして、特定の目的においては、「ドライバー不在」のシナリオが、受け入れられるようになるだろう。しかし、大勢の車のオーナーが、単純に後部座席に座るとは私には思えない。周りの自動車が予測出来ない動きを取ることもあるため、やはり、ドライバーはハンドルの近くにいる方が良い気がする。

ビル・フォード会長は、Fordを創設した祖父が約束した – 全ての国民に安価な交通手段を提供することと言う目標は、巨大な都市が集まる世界でのFordの役割であり、ただ単に自動車を増やすのではなく、機動性の改善に貢献することだと、熱く語ることがよくあるそうだ。 車-to-車のコミュニケーション、そして、車-to-グリッドのコミュニケーションは、データを処理する上で役に立ち、センサーと位置情報を用いて、運転の状況を把握し、リアルタイムのアップデートを介して、フィードバックをドライバー/車体に与える。これは、そこまで型破りなアイデアではない。


シェル・イスラエル氏とロバート・スコブル氏は、Fordの技術を支えるK. ベンカテシュ・プラサド氏を取材している。同氏は、Open Innovationの取り組みをリードし、テクノロジーアドバイザー委員会に名を連ね、パロアルトにあるFordのシリコンバレーオフィスに主に勤務している。 プレサド氏もまた、自動車は究極のモバイルデバイス」だと指摘しており、「認知装置」と呼んでいる。

コンテキストの時代において、これは重要な意味を持つ。人間の感覚、そして、意思の疎通のみに頼ることは出来ないためだ。車を運転している時は尚更である。SYNCテクノロジーが搭載されたFordの車は、テキストを聞き、ドライバーが、スマートフォンに触れることなく、事前にプログラミングされた応答を最大で15本送信することが可能であり、また、電話を「おやすみモード」に設定することも出来る。しかし、自動車によって、既に大量のデータのやり取りが行われており、また、様々な第三者のサービスが、製品を提供している点を考えてもらいたい。自動化、そして、調整を運転の習慣(そして、好み — 自動車のパーソラナイゼーションが進んでいくため)にさらに活用することで、ドライバーが、指を動かすことなく、「コンテキスト」において、関連する情報につながり続ける状況を作り出すことが出来るようになるかもしれない。

可能性に関して、スコブル氏とイスラエル氏が、一歩先を進んでいることは間違いない。両氏は「Naked Conversations」で7年前に時代を読む力を証明していた。しかし、現在は、世界はさらに早いペースで動いており、「The Age of Context」では、さらに近い将来、このスキルを証明するようになるだろう。両氏が本の中で紹介した優れた起業や製品をほんの少しでも実感してもらえたら嬉しい。

実際に本を読んでもらいたい。ただし、現金で購入することを薦める。クレジットカードを使うと、「コンテキスト」を知られてしまう可能性があるためだ ;-)


この記事は、Scott Montyに掲載された「Context is King」を翻訳した内容です。

ウェブマーケティングに限定して考えると、そもそものフレームワークがある程度絞り込まれており、Content is Kingの発想で十分な気もしますが、実際はコンテキストを考えることがまず大事なのでしょうし、ウェブマーケティングにおいても、コンテキストをどこまで考えられるかがコンテンツの活用法も相当に変わりそうです。しかし米国の最新自動車業界事情を考える時、ついついテスラばかりが思い浮かんでしまいますが、フォード含め既存の大手メーカーがシリコンバレーと本格的に連動して今後の自動車シーンをリードする可能性もなくはないよな、とこの記事を読んで思ってしまいました。日本勢も負けじと頑張ってほしいです! — SEO Japan [G+]
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