IBMのエグゼクティブが語るCIOとCMO、マーケティング部とIT部門のあるべき関係

公開日:2012/09/26

最終更新日:2024/02/18

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ネットとデジタルの発展でかつてない程、企業が大量の情報を入手し活用していける現代、大企業ではCIOやCMOのような新たな職種が誕生し、彼らの活躍が企業の成長に大きな影響を与える時代にもなってきました。とはいえ、彼らが有効に機能しうるにはまだまだ課題も多い、ということで、世界を代表するグローバル企業の一社、IBMでマーケティングの仕事に携わる筆者が、CIOが効率的に機能する組織の在り方について語った記事をAdExchangerから。 — SEO Japan

メディア業界のメンバーが綴る「データ・ドリブン・シンキング」は、メディアにおけるデジタル革命に関して新鮮なアイデアを提供するコラムである。

本日のコラムを担当したのは、IBMのエンタープライズ・マーケティング・マネージメントでVPおよび統括マネージャーを務めるユチョン・リー氏である。リー氏はUnica(ユニカ)の設立し、CEOを務めた経験を持つ。

私は今まで奇妙なチーフマーケティングオフィサー(CMO)とチーフインフォメーションオフィサー(CIO)の関係を取り上げたことが何度もある。大抵の場合、私達はCMOの立場からこのパートナーシップを見ているが、CIOの立場で考えることも同じぐらい重要だと私は思う。CMOがジェネレーション Cのニーズに適応する必要があるように、CMO/CIOのコンビで対等の立場に立ちたいなら、CIOもまた進化しなければならない。

マーケティングは、IT部門を保守的な人達の集まり – つまりマーケティング部門が直面するペースの速いニーズにとっての障害と見なすことがよくある。正直な意見を言わせてもらうなら、この考えは大いに的を射ている。CIOは、長く、苦しいプロセスによって身動きが取れず、そして、マーケティング部門が短期的なタスクを行う上での最大の障壁となっている。そのため、CIOとITチームと協力する代わりに、CMOはIT部門を回避して、外部のベンダーを採用し、独自の複雑なシステムを構築することがあるが、これでは効率が悪く、一貫性のないマーケティング戦略になってしまう。

ただし、CIOは基準を下げて、重要なITのプロセスを廃止するべきだと言っているわけではなく、基準のプロセスを変えて、CMOのために事業のニーズを早めることが出来るかどうか検討する必要があると私は言いたいのだ。CIOの人達の多くは、ITのプロセスがフロントオフィスに影響を与えている経緯すらも考慮していない気がする。CIOは、最前線に注目し、早さ、そして、マーケティングのニーズにすぐに反応する能力に力を入れるべきである。これは現在のペースの速いマルチチャンネルの環境下では欠かせない要素である。CIOはマーケティングの成功の障害になるのではなく、CMOにとって信頼の置けるパートナー – つまりマーケティングプロジェクトを遅らせるのではなく、付加価値を与える存在にならなければならない。

それでは、評価の高いパートナーになるには、CIOは何をする必要があるのだろうか?まずはCMOが、3年から6年ではなく、3ヶ月から6ヶ月ベースでプロジェクトを素早く動かせるテストスペースを作ることから始めてもらいたい。そのためには何をすればいいのだろうか?

第一に、フリーサイズのプロセスを全てのマーケティングの状況に当てはめる方針を打ち切り、マーケッターが直面するニーズの多くは短期間で満たさなければならない点、そして、インフラのニーズが一時的である点を考慮するべきである(家ではなく映画セットを建てるように)。マーケティング部門に一息できる余地 – 簡単にマーケティングのソリューションを試したり、実施したりすることが可能なスペースを用意しよう。長期的な主要なテクノロジーのソリューションが必要になる状況も考えられるが、最も重要なプロジェクトや短期的なプロジェクトを完了するスペースをマーケティング部門に与えれば、このパートナーシップが成功を収める可能性は高まるだろう。

抵抗勢力がいても、マーケッター達は仕事を実施しなければならない。しかし、IT部門を回避して、ベンダーを探す方針は、長い目で見ると事業にマイナスの影響を与えてしまうことがある。 そうではなく、CIOは手綱を取り、マーケッターがテストするスペースを与え、また、外部のベンダーが必要な場合は、率先してベンダーとの関係構築を行うべきである。また、CIOには、実装が短い傾向が見られるクラウドのインフラおよびSaaSのソリューションを活用する方針を検討してもらいたい。さらに、可能ならば、統合済みのソリューションを探し出し、出来るだけ特注のアプリケーションを最小限に抑える努力が求められる。

敏しょう性は重要ではあるものの、CIOが消費者に注目していないようなら、全くもって意味はない。昔からIT部門はバックオフィス環境に慣れ、マーケティングは常に「ITの洞穴」を避けてきたが、このような考え方は完全に顧客を無視していると言わざるを得ない。

従来、IT部門は顧客の問題をマーケティング部門に押し付けていたが、顧客が管理されている現代では、IT部門こそが顧客中心のアプローチの中心的な役割を担う必要がある。

顧客から話を聞く限り、CMOはようやくこの点を理解しつつあるようだ。CMOはフロントオフィスのニーズを常に把握しているだけでなく、バックオフィスのテクノロジーの決定に参加し、CIOと関係を構築しなければならない点に気づきつつある。また、ご存知のようにガートナー社は、2015年のITの予算に対して、CMOの影響力が強くなると見込んでいる。CMOがITの予算において影響を与えるようになると、CIOはこのプロセスに参加して、マーケッターに適切な購入を行うよう促す必要がある。

CMOが従来の仕事の殻を破り始めているため、マーケティングのフロントオフィスのニーズを理解する上で、CIOもバックオフィスの洞穴から姿を現し、スポットライトを浴びるべきである。前に進み、顧客およびマーケッターが求めるニーズを理解することで、CIOは問題を早く解決し、会社の収益の成長に大きなインパクトを与えることが出来るようになるのだ。

効果的なCIOになるのは難しくはない。ペースの速い相方のCMOに答えを提供すればいい。逆にそうしなければ完全に相手にされなくなり、最終的に組織全体を危険に晒すことになるだろう。この窮地を救う答えは分かっている – CMOとCIOを結ぶ効果的且つ生産的なビジネスを確立するのだ。敏しょう性を高め、そして、フロントオフィスを新しい観点で考えることで、CIOは、CMOにとって頼りになる、信頼のおけるパートナーとなり、そして、会社の収益の増加に貢献することが出来るだろう。

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この記事は、AdExchangerに掲載された「How CIOs Can Get Into the Marketing Game」を翻訳した内容です。

確かにこれからのマーケティングにおいてITの活用で収集される情報を活用することは必須ですが、特に大企業のIT部門となれば、それはそれで歴史もありますし、どちらかというとバックエンドで裏方的に企業内部の情報管理を行うことが中心ではあったと思いますし、結果、IT部門で働く人の多くがマーケティングを意識することは皆無だったことは想像がつきます。話の規模を小さくしても、ウェブサイト運営のレベルでさえSEOで実施したいちょっとした内容変更をIT部門の強烈な抵抗でできなかったりすることも未だに多々ありますしね。

CIOやCMOを筆頭に、マーケティング部とIT部門が効果的に連携しあう組織を作れるかどうか、というのはグローバル企業、大企業がネットやデジタルデバイスの普及と共に進化し続けるユーザー心理と行動に対応し、成長し続けていけるかどうか(せめて失速しないか)の重要要素の1つなのでしょうね。その取り組みを成功させるためにもCIOやCMOが会社の中でトップレベルの権限を持って行動していけることがまず大事だとは思いますが、さて日本の大企業での状況はどんなものなのかも気になる所です。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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